・アジアの教会の新代表、ボー枢機卿が新年に示した5目標(VaticanNews)

(2018.12.31 Vatican News Robin Gomes

 アジア司教協議会連盟(FABC)の会長に新年1月1日からミヤンマーのチャールズ・ボ-枢機卿(ヤンゴン大司教)が就任し、アジアにおけるカトリック教会の代表としての五つの抱負を、クリスマス・メッセージを通して語った。

 枢機卿はまず、「新年2019年が、生ける神、愛の神、解放の神がイエスを通してこの世に示された愛の年となりますように」としたうえで、「このメッセージは、アジアの全ての方々に対して、正義と繁栄の私たちの旅を続ける決意を再確認するものです。ベツレヘムの慎ましやかな小屋の上に輝いた光は、私たちすべてに対して、希望の光となります」と述べた。

 2018年11月に開かれたFABCの中央委員会で、会長を12月末に任期満了で退任したオズワルド・グラチアス枢機卿(インド・ボンベイ大司教)の後任として、 ボー枢機卿が新会長に選ばれていた。

 メッセージで、枢機卿はさらに「私は、アジアの社会・司牧の大事業で達成する必要のある五つの目標を確かめたいと思います」と述べ、それらの目標を以下のように示しながら、「これらはまだ私の提案の段階であり、さらに、もっと価値のある提案」が出されるかも知れません、と付け加えた。

 アジアという世界最大の人口を抱える地域にとっての、第一の目標は、聖ヨハネ・パウロ二世が1999年のニューデリーでのアジア・シノドスにおける勧告-“Ecclesia in Asia”(アジアにおける教会)で明確にされたものだ。教皇は勧告で、「キリスト教は最初の1千年期にヨーロッパで確立され、次の2千年期にアメリカとアフリカで、そして、その次の3千年期はアジアの番です」とされ、「この広大で活力のある大陸で、信仰の素晴らしい実りが収穫されるでしょう」と努力を求められていた。

 第二の目標は、教皇フランシスコが使徒的勧告「福音の喜び」と環境回勅「ラウダ―・トシ」で訴えておられ、「アジアではその権利が多くの面で否定され」ている「経済と環境における正義」の確立だ。

 そして第三の目標は、アジア大陸の多くの国の広範な地域でカトリックの大きな集合体を形成している原住民の人々の存在と権利を認める緊急の必要性に応えることだ。現在の市場経済は、自然との調和の中での彼らの暮らしに大きな騒乱を作り出している。「『ラウダ―・トシ』は天然資源と伝統的な生活様式に対する権利を主張する原住民の教会との絆を、取り戻すように求めています」と枢機卿は語った。

 第四の目標として、枢機卿は、貧困、文化、宗教の三層の対話を続けることを通して平和を追求することを提起した。「貧しい人々と彼らの尊厳を守る私たちの仕事は、他の宗教と出会う”芝地”であることが必要」とする枢機卿は、教会を現地の文化に溶け込ませる招きとしてのアジアの文化・宗教の多様性を念頭に置いている。

 最後の第五の目標は、紛争と絶えない戦争がアジアのいくつかの地域を傷つけ、血を流させていることを深刻にとらえ、アジアの教会は「和解」を新たな福音宣教の本流とすることだ。教皇フランシスコは2017年11月にミヤンマーを訪問された際、「教会は、勢力を急速に強めている『嫌悪の文化』の解毒剤とならねばならない」と訴え、「教会は嫌悪を嫌悪で返してはなりません。知られた傷、隠れた傷を癒すものとなる必要があります」と述べておられる。

 枢機卿は「貧困、嫌悪、文化の衝突は、改めて私たち皆に、三層の対話に深く関わるよう求めているのです」と強調した。

 彼はまた、以上の五つの目標以外にもアジアの教会には多くの課題があることも認めるとともに、これらを、あらゆる時を通してアジアの信徒たちを助け導く機会と考えるように、強く求めた。

 FABCは南、東南、東、中央のアジア全域の19の司教協議会と8の準会員から成る連合体でアジアにおける教会と社会の繁栄のために相互の連帯と教皇の責任を強め、より大きな善に役立つもの全てを促進し、守ることを目的としている。

(翻訳「カトリック・あい」」南條俊二)

 

 

 

 

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2019年1月1日