・「世界は”狂った”キリスト教徒を必要としている」とミャンマーのボー枢機卿が訴え(CRUX)

Cardinal Bo: World needs more ‘crazy Christians’

In this file photo, Cardinal Charles Bo of Yangon, Myanmar, attends an Oct. 10, 2017, candlelight interfaith prayer service in Yangon. (Credit: Soe Zeya Tun/Reuters via CNS.)  innovative

  「私たちの世界は『”狂った”キリスト教徒たち』を必要としています」―ミャンマーのヤンゴン大司教、チャールス・ボー枢機卿が10日、シドニーで、教皇認可の慈善団体CatholicMisson主催の「革新的教育のための資金集めの会合」に出席して訴えた。

 そして、集まったオーストラリアの関係者たちに対して、「皆さんは、私たちの貧しい若者たちに尊厳をもたらす困難な運動に協力してくださいました。私たちは遠隔地に学校を開きました。これまで教会が無かったところに教会を建てました。貧しい神学生を教育し、遠隔地に戻しました。あなた方は、”思いやりのパン”を分けてくださったのです」と感謝を述べた。

 枢機卿は十年前、ミャンマーに教員養成センターを開校し、同国の教育を支援してきた。枢機卿をリーダーとするミャンマーの教会は、教育支援を最優先事項とし、良く訓練された教員のいる学校を多数開校させ、既存校の修復なども合わせて進めてきた。「オーストラリアの教会は、質の高い教員の育成を支援し、校舎を建設するのを助けてくださいました。こうして出来た学校群は新たな希望の寺院です」と支援の意義を強調。さらに「ミャンマーの問題の原因は、若者たちに対する機会の欠如に遡ることができます。教会は、教育を通して若者たちの将来が開かれるのを希望しています」と説明した。

ミャンマーでは、アウンサン・スーチー女史が率いる国民民主連盟が地滑り的勝利をおさめた2015年の民主選挙の後、政治・社会危機がますます深刻になっている。国内の少数民族ロヒンギアの人々に対する国軍の掃討作戦によって、これまでに70万人を超える人々が故郷を追われ、隣国バングラデシュに逃げ込んでいる。

「悪魔のようになった人々、型にはまった人々-イエスはその犠牲です。今日、世界中の多くの場所で、特定の文化、地域に属する人々が悪魔のようにされ、暴力的な扱いを受けています⁻これが、今日のカトリック教会共同体に対する挑戦です」と枢機卿は語り、「キリストは、ご自身の家族からさえも、”気が狂っている”と見なされました。世界は”気が狂った”キリスト教徒たちを必要としています。”狂ったキリスト教徒”です」と強調した。さらに、「狂ったキリスト教徒たちはマザー・テレサが好きです―彼女は街に出て、瀕死の人、衰弱している人を集め、ご自分のところで、命を取り戻すように看護しました。しかし、悲しいことに、教皇フランシスコが指摘なさったように、多くの伝統的なキリスト教国は、他の社会を非難し、悪魔化し、非人間的な扱いをしています―そのような現実に、ミャンマーは直面しているのです」と訴えた。

枢機卿はまた、「終結することのない紛争は何百万の人々が国外に出るのを余儀なくし、安全が保障されない移民、難民、そして国内で移住を強制される人々を生んでいる」、そして「私たちの国は” Exodus(出エジプト)”の状態にあります。地上にも地下にも宝の埋まった”約束の地”だった。他者に対する嫌悪と恐怖が、私たちの人々の人生を、終わることのない” Exodus”にしています」と語った。そして、同国に平和がもたらされるのは「心が平和で、批判的な見方をもった認識を受け入れる時のみ」だ、と言い切った。

ボー枢機卿は、この会合で、Catholic Mission とカリタス・オーストラリアの教育支援に感謝を表明し、「教育は、憎しみの闇を払い、私たちの人々に調和と平和をもたらす『丘の上の光』になるでしょう」と期待を示した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2018年6月14日