中国 相次ぎ国際会議…言論統制や検閲 正当化(読売新聞)

 

(2017年12月19日 読売新聞朝刊)

 

独自価値観 浸透狙う

【北京=東慶一郎】2期目政権を発足させたばかりの中国の習近平シージンピン国家主席が、外交や人権、インターネットをテーマにした国際会議を相次いで開催した。経済成長という成功モデルを強調し、自国の言論弾圧やネット規制などを正当化するほか、中国独自の価値観を国際社会に浸透させることが狙いだ。

  「中国人民は十分な民主的権利と広範な自由を享受している」。中国共産党の思想宣伝を取り仕切る中央宣伝部の黄坤明フアンクンミン部長は7日、北京で初開催した「南南人権フォーラム」の開幕式で胸を張った。フォーラムは、アジアやアフリカなど発展途上国約70か国と国際機関の関係者を招待。途上国で深刻な人権問題を互いに話し合うのが目的で、欧米諸国からの参加はほとんどなかった。

  中国では、政権を批判した民主活動家らが当局から監視、摘発されることが多く、欧米諸国から人権状況の改善を求められている。黄氏は、こうした批判を念頭に「それぞれの国情に立脚し、独自の人権発展の道を進むべきだ。世界共通の人権基準も発展モデルもない」と主張した。

  フォーラムに招待された国連人権理事会の特別報告者も、演説では中国の人権問題に言及することなく、会議は翼賛ムード一色だった。北京の人権活動家・胡佳フージア氏は、「経済大国となったことを背景に、習政権は歴代政権の中でも最もあからさまに欧米の価値観に対抗している」と指摘する。

  習政権が国際会議で多く用いる言葉が、不安定な世界情勢を逆手に取り、中国と友好的な国とは互いに利益を得られるような関係を築く「人類運命共同体の構築」だ。各国の政党幹部を集めた「世界政党ハイレベル対話」や約80か国・地域が参加した「世界インターネット大会」でも中国が中心的役割を担うことを暗に示しながら、「運命共同体の構築」を訴えた。

  習氏は、ハイレベル対話での基調講演で「中国共産党は人民の幸福を考え、人類の進歩のために奮闘する党だ」と述べ、一党独裁批判に反論。インターネット大会では、「ネットの発展が、(反体制運動など)世界各国の主権に新たな挑戦をもたらしている」として、「ネット空間(における国家)の主権」を強調し、検閲や言論統制を正当化した。

  中国では、急速な経済発展への自信から「中国こそが世界最大の民主国家だ」(中国共産党理論誌「求是」)といった自国礼賛の論調が目立つようになった。北京駐在の外交関係者は「中国が力を持てば周囲がなびき、価値観を変えられるという風潮が国民の間にも広がっている」と指摘した。

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2017年12月19日