・インターネット依存が深刻化、「病的使用」の中高生、5年間で倍増、93万人に

(2018.9.1 「カトリック・あい」)1日付けの朝刊各紙が厚生労働省研究班(代表・尾崎米厚鳥取大教授)発表の調査結果として伝えたところによると、オンラインゲームやSNSなど一日の多くの時間を費やす「インターネット依存」の疑いがある中高校生が2017年度で全国で推計約93万人に上ることが明らかになった。2012年度の前回調査で約52万人だったのに比べ、2倍近くに増えたことになる。

 「インターネット依存」で、学校を欠席、さらには退学に追い込まれたり、睡眠障害につながる例も既に出ており、うつ病など深刻な疾病の原因になる可能性も指摘されている。研究班のメンバーで、「ネット依存外来」を設けている国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は、読売新聞や日本経済新聞のインタビューに答え、「急増に驚いている。ネット依存はもはや世界的な問題。日本でも状況が深刻化しているのは明らかだ」「だが、ネットの使いすぎへの対策は始まったばかりで手探りの部分がある。社会全体で適切な方法を考える必要がある」と早急な対応を訴えている。

 研究班の調査は17年12月~18年2月に実施し、全国の中学校48校と高校55校の約6万4千人からの回答をもとに集計、分析した。インターネットの使用状況についての質問では、8項目のうち5項目以上に該当し、ネット依存が疑われる「病的使用」と認定された生徒の割合は、中学では男子が10.6%、女子が14.3%。高校では男子が13.2%、女子が18.9%。この数字をもとに、ネット依存の疑いがある中高生が12年度比1.8倍の93万人と推計した。

 研究班によると、ネットで使用したサービスでは、男子はオンラインゲームが多く、女子はSNSの利用が多かった。今回は8項目のうち3~4項目に当てはまる場合、病的使用の一歩手前にある「不適応使用」と初定義。こうした“予備軍”が推計で161万人に上る。

 ネットの使いすぎで経験した問題としては、「成績低下」が各学年で約4~5割を占め、「居眠り」は2~5割で、学年が上がるごとに高くなる傾向が出ている。次いで「遅刻」。「友達とのトラブル」も各学年で約1割が経験していた。

(論評)「インターネット依存」というよりも、もはや「インターネット中毒」と言っていい。電車に乗ると、いや電車に乗る前のプラットホームでも、中高生どころか、大学生、サラリーマン、さらに中高年まで男女を問わず、スマホ依存だらけの異常な状態になっている。

 しかも、それを異常と思わない人々が増えているようだ。ゲーム、漫画、ファッション情報、短い言葉のやり取り・・彼らの目を見ても、力がなく、ひたすら受け身で、眺め、思考能力をどんどん喪失し、ただ面白い、気持ちいいなどの動機でマインドコントロールを受けやすい人々が増えているように感じられる。インターネットを前向きに活用する方法もたくさんあるにもかかわらず、多くの人が安易な受動的な利用に傾いている。

 このままでは、日本国中に心身ともに病む人が増えていくだけでなく、マインドコントロール術に長け、「サイバー軍」まで編成、強化している、どこかの国が、こういう人々を巧みに操り、日本の国家、社会を危うくすることも、杞憂にすぎない、と言っていられない時が間もなく来るかもしれない。

 日本の教会の一部も、「反安部」「反憲法改正」など、十分な現状理解もないまま政治問題に首を突っ込み、どこかの政党と足並みをそろえ自己満足に浸り、現実の社会から浮き上がるのではなく、このような社会問題に真剣に取り組むことで先頭に立つべきではないか。(「カトリック・あい」南條俊二)

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