・”暫定合意”後も、カトリック教会、信徒への地方当局の締め付け変わらず

(2018.10.19「カトリック・あい」)

 バチカンは中国政府と同国内の司教任命について暫定合意していたが、地方の現場でのカトリック教会や信徒に対する政府・共産党の締め付けに改善は見られないようだ。

 アジアでの人権侵害問題を中心に報道を続けるインターネット・ニュース、ucanews.com が17日報じたところによると、中国湖北省の武漢市で同省民族・宗教問題委員会が主催して8日から11日まで開かれたセミナーで、宗教問題を管轄する地方当局者が、地元のカトリック教会の代表に対して「バチカンは、我が国におけるカトリック教会の問題に依然として関与しようと計画している」と批判した。

 また、同委員会のXiong Huaqi副事務局長はこのほど改定された宗教活動規制法により、この地域のカトリック信徒たちはその宗教的活動を適切に規制し、地方政府の利益を守るよう求め、「このことは、先の中国共産党全国代表大会が強調した教会の”中国化”の精神に基づいてなされねばならない」と強調。副事務局長がセミナー用に作ったパワーポイントでは、先のバチカンとの暫定合意にもかかわらず、「カトリックの問題に関与しようとするバチカンの試みは変わっていない」「これからは、もっと巧妙に、多様な形で行われるだろう」と強く批判した、という。

 この一方で、湖北省のパウロ神父はucanews.comの取材に対し、「このパワーポイントの内容は馬鹿げています。中国のカトリック教会は教皇を長とする自身の統治体制をもっていますから」としたうえで、「バチカンはなぜ、司教の任命について暫定合意したのでしょうか。中国政府には、この内容が示すように、誠意などありません」と語り、今後、当局がカトリック信徒たちを規制するためにもっと厳しい姿勢をとることに懸念を示した。

 また、ucanews.comによれば、先のバチカンと中国政府の暫定合意が発表された直後の9月22日に、中国のカトリック司教協議会と国に忠誠を誓う中国愛国天主協会が共同声明を発表し、「教会が愛国的であり、国の再生のため共産党の指導の下に、中国の”社会主義社会”に適合することが特に重要である」と、政府・共産党への忠誠を強調した。これに関連して、パウロ神父は、バチカンに、中国の共産党政権の真の顔をよく確かめるよう求め、「彼らの究極の目標は、あらゆる宗教を排除することです。例外はありません」と訴えた。神父によれば改正宗教活動規制法が施行されて以来、中国のカトリック教会が直面する事態は一層厳しさを増している、という。

 

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2018年10月19日