・日本カトリック司教協議会が10月の「福音宣教のための特別月間」に向けて呼びかけ

(2019.3.19 カトリック・あい)

 日本カトリック司教協議会が3月17日付けで以下のような呼びかけを行いました。呼びかけの肝心かなめと思われる「キリストの呼びかけに応えて、新たな熱意、手段、表現をもって」行おうとする「創造的な取り組み」が何なのか、どのように進めようと考えているのか、それが不明のまま、なぜ半年以上も先のことを呼び掛けたのか、など、いろいろな感想をお持ちの方も少なくないと思いますが、これに沿った具体的な方針と内容の説明、実施が、今後なされることを期待して、当面はコメントなしで以下に転載します。

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ともに喜びをもって福音を伝える教会へー「福音宣教のための特別月間」(2019年10月)に向けての司教団の呼びかけ

 キリストにおいて兄弟姉妹である皆さんへ

はじめに

カトリック教会は、毎年10月の最後から2番目の主日を、「世界宣教の日」と定めています。教皇フランシスコは、今年の10月を「福音宣教のための特別月間」とすることを宣言されました(i)。この特別月間は、今から100年前、悲劇的な大戦後の1919年に当時の教皇ベネディクト十五世が「諸国民への宣教」を強調した使徒的書簡『マキシムム・イルド』と関連しています。そこでは、「聖なる生活と善行を通して、主イエスをより広く告知し、イエスの愛を広めることこそが宣教活動の目的」(ii)であることが説かれています。そこで、教皇フランシスコは、全世界の教会が「喜びを特徴とする福音宣教の新しい旅の段階」(iii)に向かっていくよう呼びかけています。

日本の教会は、教皇と福音宣教省の呼びかけ(iv)に応えて、次に提示する事例を参考にしながら、創造的な取り組みを始めていきたいと思います。

①福音宣教をする教会の魂

教皇フランシスコは『福音の喜び』の中で、聖霊降臨の出来事を思い起こし、聖霊こそが、「福音宣教をする教会の魂」(v)であり、「聖霊の働きに対し恐れることなく自らを開いている福音宣教者」(vi)となるために、日々、聖霊に祈ることを薦めておられます。

この度、「ともに喜びをもって福音を伝えるための祈り」を作りました。地元の観想修道会の兄弟姉妹の協力を願いつつ、全教区で、祈りによって宣教活動を支えていきましょう。

②イエスと出会い、ともに出向いていく

福音宣教の第一の動機、それはわたしたちが受けているイエスからの愛です(vii)。イエスの愛を受け、その救いの喜びに生かされるために、わたしたちは、秘跡、とくにミサにおけるイエスとの人格的な出会いの恵みを大切にしましょう。また、聖書通読、みことばの分かち合い、黙想会、聖体礼拝、聖体訪問なども、そのための有益な助けです。

さらに、イエスとの人格的な出会いの喜びを、日常生活の中で神と隣人への愛として広げていくために(viii)、わたしたちは出向いて(ix)社会の福音化に奉仕します。今日の日本の文化や社会の中には、すでに福音的な芽生えもありますが、多くの人々を弱い立場に追いやり、抑圧、差別している現実もあります。キリストの力でこの芽生えを育て、全ての人を大切にする社会と文化に変革する福音の担い手になりましょう(x)

 ③殉教者や聖人の生き方に倣う

聖フランシスコ・ザビエルによって福音の種が蒔かれてから今日に至る歴史の中で、日本の教会は、日本26聖人殉教者をはじめ、聖トマス西と15殉教者、日本205福者殉教者、福者ペトロ岐部司祭と187殉教者、福者ユスト高山右近殉教者という数多くの模範を、「信仰の礎」としていただいています。

また、これらの殉教者の信仰を受け継ぎ、浦上四番崩れ(1867年)に端を発する明治初期のさらなる迫害によって、西日本の22か所に流配され、信教の自由のために命をささげた人々もいました。彼らの中で、津和野の証し人37名の列福に向けた動きも始まっています。

また、第二次世界大戦前後の困難の中で、宣教のために力を尽くした聖マキシミリアノ・マリア・コルベ司祭、尊者であるチマッチ司祭や北原怜子さんの生き方は勇気を与えています。日本の教会にとって、彼らの信仰の模範は、弱い人間を支える神のいつくしみと力を示す優れた証しです。

このような列聖・列福された聖人や殉教者、そして尊者の他に、とりわけ250年にも及ぶ禁教時代に互いに支え合って信仰を伝えた名もなき先達の信仰にならい、彼らをわたしたちの宣教活動の模範と励みといたしましょう。

④「諸国民の宣教」に関する研究や養成

第二バチカン公会議後の文書や教皇パウロ六世の使徒的勧告『福音宣教』(1975年)の精神を土台にして、かつて、日本の教会で行われた「福音宣教推進全国会議(NICE)Ⅰ(1987年)・Ⅱ(1993年)」の提言を再読し、それ以降の宣教活動のあり方を振り返ることも有益です。

同時に、わたしたちが現在、置かれている文化、歴史、社会などの背景を考慮しながら、新しい視点で、日本の人々にキリスト教の救いの意味をどのように解き明かすことができるのかについて、ともに考え、分かち合いましょう。

また、司祭や修道者の召命を促進し、信徒の宣教者、カテキスタ、教会学校のリーダーなどの養成にも力を注ぎつつ、「一人ひとりが宣教者である」という意識を深めましょう。

⑤宣教活動に従事するキリスト者の支援や国内外の災害復興支援

宣教のために助け合った初代教会の信者たちの模範(使徒言行録2・43-47)を思い起こしながら、世界の教会とともに、国境や地域を越えて宣教活動に従事するキリスト者を、祈りや献金などによって支援しましょう。「日本カトリック信徒宣教者会」の活動への支援、また「世界宣教の日」、「宣教地召命促進の日」、「世界こども助け合いの日」などに毎年行われている祈りや献金は、教皇庁宣教事業を支える手段となっています。

また、日本の教会全体を挙げて取り組んできた、東日本大震災やその他の自然災害からの復興支援と被災者への祈りを、これからも続けてまいりましょう。

結び

教皇フランシスコは2019年11月に日本を訪問する意向を示されています。わたしたちは、教皇の訪日を日本の教会に向けられた「神の恵みの風」とうけとめ、「全世界に行って…福音をのべ伝えなさい」(マルコ16・15)というキリストの呼びかけに応えて、「新たな熱意、手段、表現をもって」、絶えず全力で福音宣教に取り組む決意を新たにしたいと思います。

ともに喜びをもって福音を伝えるための祈り

喜びの源である神よ、あなたは、御子キリストを遣わし、その受難と復活を通して、救いに導く喜びの福音をこの世にもたらしてくださいました。
また、あなたは、キリストの後に従う働き手を通して、諸国の民に福音を告げ知らせ、どんな逆境にあっても、キリストを信じる人々の喜びを支えてくださいました。
さまざまな困難に直面している現代社会の中で、人々の救いに奉仕する教会を顧みてください。
キリストの救いの喜びを新たな熱意、手段、表現をもって伝えることができるよう、わたしたちを聖霊によって強めてください。
わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

2019年3月17日日本カトリック司教協議会
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2019年3月19日