・復活祭中の爆破テロ-教皇フランシスコ、アジアの司教たちがスリランカに哀悼と連帯表明

(2019.4.22 VaticanNews Robin Gomes)

 復活祭の教会などを襲い大量の死傷者を出したスリランカの自爆テロから一日たった22日、教皇フランシスコは改めてスリランカの人々に寄り添い、連帯していくことを確認した。アジアの教会と他の人々もそろって哀悼と連帯の意を表明している。

 教皇は22日、サンピエトロ広場に集まった大群衆を前にして、被害の中心になったコロンボのマルコム・ランジス枢機卿と教会への強い連帯を表明するとともに、数多くの犠牲者、負傷者のために祈りをささげた。そして、国際社会に対して、スリランカへの救援を強く呼びかけるとともに、この悲劇に関与したテロリストたちとその絶対に正当化することのできない非人間的行為を断罪することをためらうべきではない、と訴えた。

 悲劇が起きた21日は復活祭に当たり、教皇は恒例の全世界への祝福のメッセージを述べた後で、「スリランカのキリスト教共同体、祈りの最中に負傷した人々、そして『このような残酷な暴力』の犠牲となった全ての人々に、心からの慰めと連帯」を表明されていた。

 コロンボ、ネゴンボ、バッティカロアの三市で爆破テロの標的となった教会、ホテルのうち、カトリック教会はコロンボの聖アンソニー教会、ネゴンボの聖セバスチャン教会の二つだった。

 アジア各国のカトリック教会も、スリランカの教会に対して連帯と哀悼を表明する動きが相次いでいる。

 アジア地域の19の司教協議会で構成するアジア司教協議会連盟(FABC)会長のチャールス・ボー枢機卿(ミャンマー)は、コロンボ大司教のマルコム・ランジス枢機卿に書簡を送り、「今回の悲劇に、心底から苦痛の叫びをあげるのをお許しください。私たちが世界中で、死と悪に対する生と善の勝利を祝っている、まさにその日に、罪のない人々の命が奪われたのです」と述べた。300人近い死者と500人の負傷者を出した自爆テロは、スリランカでは2009年の内戦終了後で最大の犠牲者を出した。死傷者の中には外国人も多く含まれている。これまでのところ、犯行声明はどの団体からも出ていない。

 ランジス枢機卿は今回の爆破テロを「野蛮で非人間的」と強く非難するとともに、死傷者の家族たちにも哀悼の意を表明。さらに、医療専門家たちに重傷者の命を取り留め、負傷者の看護に努めるよう求めた。

 ボー枢機卿は「私のささやかな祈りを、非常識極まる暴力の犠牲になった方々のために捧げます。犠牲者の家族や負傷者の介護、心のケアに携わる人々、機関のためにの祈ります」と兄弟愛的な支えの言葉を贈り、「私たちは復活された主イエス、希望と平和の王、の恵みの座を嘆願する必要があります。爆破の惨事で引き起こされた恐怖と猜疑に満ちた動揺を鎮めるのを助けるように、全ての善意の人々を力づけるために」と祈った。そして、アジアの司教たちと信徒たちがスリランカのために祈ることを誓約して書簡を締めくくった。

 スリランカは2000万人の全人口の7割が仏教徒で、ヒンズー教徒が12.6パーセント、イスラム教徒が9.7パーセントを占める。キリスト教徒は150万人で、総人口の6パーセントのカトリックがその大半だ。FABCとは別に、インドのカトリック教会も哀悼の意を表明した。インドカトリック司教協議会会長のオズワルド・グラシアス枢機卿は21日にランジス枢機卿に送った書簡で、インドの教会が「深く悲しみ、強い痛みを感じている」と述べ、「今回の教会爆破による犠牲者の家族と負傷者の方々に祈りを込めた連帯を表明します… 復活の希望の祝祭の日に、スリランカの私たちの兄弟姉妹が、非常識極まる暴力によってひどい打撃を受けられました。復活されたイエスに平和を祈ります」とした。

 同様の哀悼や激励、祈りの表明は、世界中の個人、教会、団体から出されている。その中には、米国、ハンガリー、ドイツの司教協議会、聖地エルサレムのカトリック協議会、カトリック信徒の団体、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領、国際慈善団体の “Aid to the Church in Need”、そしてキリスト教各派の連合体である世界教会協議会、が含まれている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

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2019年4月22日