・中国の二人の研究者「新型ウイルスの発生源は武漢の研究所のコウモリ」、論文消される(BW)

   中国・武漢で最初の発症が確認された新型コロナウイルスが世界中を感染危機に巻き込む中で、いまだにその感染源が明らかになっていないが、中国の二人の研究者が、発生源は武漢の二つの研究所に保管されているコウモリだとする論文を出した。この論文は、まもなく当局の検閲にかかり、国際学術データベース「Research Gate」から抹消された。中国共産党・政府は実際に何が起きたのかを、世界に説明すべきである。

 

ResearchGate
ResearchGateから消えた2人の研究者の論文.

 致死性の高いこの新型ウイルスがどこから発生したのか。大方の世界のメディアは憶測でセンセーショナリズムをかきたてるような報道しかしないので、誰も信用しない。わがイタリアでも最大の日刊紙Corriere della Seraが、新型コロナウイルスは武漢に由来しない、と繰り返している。

 だが、National GeographicからのGoogleの二つの記事は、それと反対だーウイルスは武漢の魚市場から来た、と。記事の日付はいずれも2020年1月20日で、2020年3月9日のGoogle検索で最初に表示された。

 権威ある英国医学雑誌The Lancetは2月15日、武漢の市場が新型コロナウイルスの発生源とする見方を科学的に否定した。中国での最初の新型コロナウイルスの症例は、実際には2019年12月1日付であり、武漢の市場とのつながりは確証がない。また、41件の症例のうち13件は、武漢の市場とつながりがない、と。そして世界中のメディアがこれを伝えた。

 しかし、それで問題は終息しなかった。2月中旬、広東省広州市にあり、政府から教育部直属重点大学に指定されている華南理工大学の2人の研究者、 Botao Xiao 、 Lei Xiao両博士が、感染源がコウモリであることを確認する論文を出したのだ。興味深いことに、二人の論文は間もなく、国際学術データベースResearch Gateから姿を消した。

 中国共産党が好まない論文についてこのようなことが起きるのは珍しいことではないが、インターネット上で削除された内容を回復するツールWayback Machineで、その論文を読むことはまだ、可能だ。

 新型コロナウイルスが発現した地域にはコウモリは生息していない。つまり、この論文が指摘するコウモリは、野生ではない、ということだ。コウモリが生息している地域は、最も近い所でも武漢から900キロメートルも離れており、仮に新型ウイルスをもったコウモリがいたとしたら、武漢の住民が感染する前に、生息地から武漢までの途中の地域が”無傷”ではありえない。.

 従って、この新型ウイルスを運んだコウモリは武漢とその近隣にある二つの研究所からのものである可能性がある。 1つは武漢の市場から300 mしか離れていない武漢疾病管理予防センターであり、もう1つは、約12キロメートルにある中国科学院が管理する武漢ウイルス学研究所だ。

 2人の研究者の論文によれば、新型ウイルスに関する実験がこれらの研究所で行われており、「主任研究者は、新型コロナウイルスを reverse genetics(逆遺伝学=遺伝子構造から機能形質解明することを目指し研究手法組換えDNA技術ゲノム研究進展で可能になった)手法を使ってキメラ(異質同体)ウイルスを生成するプロジェクトに参加し、人体への出現の潜在可能性を指摘していたしていた。そして、直接的な懸念は、新型コロナウイルスあるいはその派生ウイルスが実験室から漏れる可能性がだった、という。

 論文は、コウモリが新型コロナウイルスの発生源とし、それは人間に感染する。それが始まった経緯に関する可能な答えは、2つの研究所で何かが制御不能になり、外に漏れてしまった可能性がある、ということだ。 2人の論文で明確にしていないのは、世界を苦しめている致命的な新型ウイルスが、果たして、意図的に作成られ、増殖されたかどうかである。

 中国の2人の研究者の論文に関するニュースを最初に伝えた西側の新聞は、英国の日刊紙、デイリーメールだ。同紙は、すでに、SARSとエボラ出血熱のような危険な病原体の研究の為に、二つ目の研究所が、2018年1月に武漢地域に開設されたことを報じていた。そして、ウイルスがそこから漏れるのを懸念した米国の生化学安全問題の専門家は既に2017年にその問題を指摘していた。中国には、2004年にSARSウイルスが北京の研究所から漏れた前歴があったからだ。

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 「ビターウィンター」の誰もが、ウイルス学者でも伝染病の専門家でもないので、問題全体の判断を専門家に委ねている。2人の論文の信頼性について、自分たちで評価することもできない。だが、はっきり言えるのは、私たちが透明性を求めている、ということだ。国際社会は、中国に対し説明を求める権威と力があるー全世界に向かって武漢の二つの研究所で何が起きているのか、どのようにしてウイルスを扱い、動物を使った実験をしているのか、動物をどのように扱っているのか、を明らかにすることを。

 私たちは”グローバル化”した世界に住んでおり、新型コロナウイルスの蔓延危機は、この”グローバル”の困難な意味を提起している。私たちは、中国が陰謀をはかっていると非難してはいない。ただ、真実を知りたいのだ。 世界の人々は真実を求めている。そして、抑圧された中国の人々も真実を求めている。 そして、この様々な情報、主張、専門家の意見、疑問などが飛び交う中で、私たちを最も困惑させているのは、人権と偽情報に関する恐るべき前歴を持つ中国に対して、ほとんどの国の関係者が、中国に明確な説明を求めていないことだ。

 武漢の研究所は、発生場所とされた市場から一つは300メートル、もう一つは12キロメートル にある。 私たちは誰も、中国を軽い心で非難していない。 私たちは問いを発し、答えを求めている。それなのに、 なぜ世界は、も同じような問いを発しないのだろうか?

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日5言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

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2020年3月19日