教皇フランシスコ、中継を通じて上智大学の学生らと対話(バチカン放送、読売新聞)

 

 

(2017.12.18 ローマ時間 12:04 バチカン放送)教皇フランシスコは18日日本時間夕方(ローマ時間同日朝)、上智大学の学生たちとビデオ中継で対話された。上智大学による教皇と映像回線を通して対話する催し「教皇フランシスコと話そう」で、教皇と上智大学の学生たちとの中継による対話は、イエズス会の教育機関である同大のアイデンティティーを確認すると共に、史上初のイエズス会出身の教皇である教皇フランシスコと同大の交流を深めることを目的に行われた。

 教皇との質疑応答のために、学生からおよそ100の質問が寄せられ、最終的に8つの質問が選ばれた。次のようなやり取りがあった。

 「教皇に選出されてから一番嬉しかったことは何か」との質問に、教皇はご自分にとって喜びは「一つのことではなく、多くのことが一緒になって大きな喜びを形作っている」と述べ、「中でも人々、特に子どもたちや、お年寄り、病者らと出会い、話すことが喜びの源となっている」と語られた。

 グローバル化した現代社会に生き残るために教育の重要性が指摘されるが、「大学教育の目的で一番重要なものは何か」という質問に、教皇は「出世や成功だけを追い求めることの危険」を指摘。「人を成長させるのではなく、消耗させる教育は、実力主義に奉仕するもの」であり、「実力主義的な社会の中に実力を中心に据えることは、時に悪い結果をもたらすことになる」と懸念された。そして、「他人への奉仕の視点のない教育は失敗に向かう、自分だけを見つめる教育は危険」とし、上智大学の奉仕の精神を「大きな豊かさ」として評価された。

 「今日の若者に対する心配と希望」については、「若者が文化や、歴史、家族、人類のルーツや記憶を忘れ、根の無い、成長できない人間となること」を憂慮。

「若者は常に動きまわり、目的に向かって歩んでいるが、ルーツにしっかりとつながることで、現状の課題と向かい合うことができる」と話された。

 宗教の重要性については、「あらゆる真の宗教性は人を成長させ、自分自身をも超越させ、他人への奉仕を教えるもの」と述べ、キリスト教徒については「神を礼拝し、他人に奉仕しないならば、キリスト者とは言えません」と話された。また、すべての宗教には原理主義者の小さな集団があり、それらは「宗教の理想に応えることがなく、時にテロリズムの原因となる」と語られた。

 環境と貧困の問題について、今、人類は「環境問題を真剣に考えるか、あるいは人類の破滅に向かうかの、選択を迫られている」と話され、地球の環境に対して責任を持ち、それを大切にする必要を説くと共に、利益のためにすべてを犠牲にする経済中心主義に対して警告。「エコロジー上の不均衡が社会の不平等に影響を与え、新しい貧困を生んでいる」と指摘された。

 また、「ご自分に対してどのようなイメージを持っているか」という問いに、虚栄に陥らないために「鏡」に映る自分を見ないようにし、自分自身を判断するために、一日の中で自分がしたこと、決断したこと、取った態度などを振り返ることにしている。自分自身は「神に愛されている一人の罪びと」であり、その思いがご自分を幸せにしていると語られた。

移民問題について、教皇は歴史的観点から「人間とは移民である」と述べ、ヨーロッパ人の持つ移民的なルーツを指摘。

 ヨーロッパへの移民問題を第2次世界大戦以来の悲劇として、それへの対応の必要を説く教皇は、「戦争や貧困から逃げる移民を拒絶してはならない、一人の人間として、受け入れ、統合する必要がある」と述べられた。

 日本の印象に関して、教皇は過去に一週間、日本に滞在したことを思い起こしながら、「日本人は理想や深い宗教性を持ち、働き者であると同時に、大変苦しんだ民族だ」という印象を持っていると語り、「日本の過度な競争社会、とどまることのない消費主義、実力主義が、この国が本来持っている大きな力と理想を害し、削いでしまう恐れ」を指摘された。また「日本を尊敬している」と述べ、日本訪問の可能性について「もちろん訪問できたらよいと思うし、公式な招待も受けているが、他に多くの訪問を控えているので、それがいつになるかは分からない」と答えられた。

 日本国民を大変愛していると述べた教皇は、この対話の試みを喜ばれると共に、「日本は現状に甘んじない精神によって、長く続く偉大な文化を救っていくだろう」と語られた。

日本を尊敬…ローマ法王、衛星回線で若者と対話(読売新聞)

  • 映像回線で学生の質問に答える法王フランシスコ(18日午後、東京都千代田区の上智大学で)=林陽一撮影
    映像回線で学生の質問に答える法王フランシスコ(18日午後、東京都千代田区の上智大学で)=林陽一撮影
  • 映像回線を通じて学生の質問に答える法王フランシスコ(18日午後、東京都千代田区の上智大学で)=林陽一撮影
    映像回線を通じて学生の質問に答える法王フランシスコ(18日午後、東京都千代田区の上智大学で)=林陽一撮影

 上智大学(東京)で18日、バチカンと大学キャンパスを映像の回線で結び、ローマ法王フランシスコと学生らが対話するイベントが開かれた。

 イベントは、法王の人柄に触れる機会として企画され、上智大の学生のほか、経営母体の学校法人が運営する中学、高校の生徒など計約700人が参加した。

 日本の印象を問われた法王は、「能力を持ち、勤勉で、非常に多く苦しんだ国民というイメージがある」と述べ、「過度な競争、消費をずっと続けているが日本という国を称賛、尊敬している」と語った。

 また、今の若者に望むことなどを問われると、祖母と孫の交流を描いた黒沢明監督の映画「八月の狂詩曲」を例に挙げ、「高齢者との対話を通じ、国、家族、人間としてのルーツを探してほしい」と呼びかけた。

 兵庫県の六甲学院高2年の男子生徒(16)は、「厳かな中にも親しみやすさがあり、とても話しやすかった。ぜひ日本に来てほしい」と話していた。

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2017年12月18日