中国、外国政界や世論への工作活発化…各国警戒(読売新聞)

 

 (2017年12月25日 読売新聞)

 【北京=東慶一郎】中国による外国政界や世論への工作が活発化していることが相次いで明らかになり、各国が警戒を強めている。習近平シージンピン政権は、世界第2の経済力を背景に自国に有利な政治行動を取る国を増やし、中国主導の国際秩序を浸透させようとしており、そうした活動の一環とみられる。

 「外国勢力が、(オーストラリアの)政治プロセスに影響を与えるため、前例がなく、ますます巧妙な工作をしている」 豪ABC放送(電子版)によると、オーストラリアのターンブル首相は5日、海外からの献金を禁止する法案を議会に提出し、背景をこう説明した。同国では、野党・労働党のサム・ダスチャリ上院議員(当時)が、中国人企業家から多額の献金を受け取り、南シナ海問題で党の方針に反して中国の領有権主張を支持したことが政治問題になっていた。

 ターンブル氏は、中国を標的にした法案ではないと強調しつつ、「ダスチャリ氏はオーストラリアを売り渡した」とも述べた。中国外務省の耿爽グォンシュアン副報道局長は定例記者会見で、法案について「中国に対する偏見に満ちている」と反発した。

 工作活動の一端は、ほかでも明るみに出ている。ニュージーランドでは9月、中国出身の国会議員を巡る「中国のスパイ」疑惑が取りざたされた。議員は「スパイではない」と否定した。

 シンガポールでも8月、政府が、リー・クアンユー公共政策大学院の中国系の教授(現在は米国籍)が「外国の情報機関と連携してシンガポールの外交政策や世論に影響を与えた」として、妻とともに国外追放したと発表した。地元メディアなどは、この情報機関を中国とみている。

 中国による外国での政治・世論工作は、共産党中央統一戦線工作部(統戦部)が主に担う。中国への好意的な意見を増やし、一党独裁モデルの利点を広めるのが任務とされ「外交官として、外国政治家や有望な国外の中国人との人脈を築く」(米専門家)のが手口とされる。近年は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使った工作にも力を入れているようだ。

 独DPA通信(英語版)は今月11日、ドイツ情報当局が、主にビジネスマンが人脈拡大などに使うSNSの「リンクトイン」を使った中国の諜報ちょうほう活動に警告を出したと報じた。報道によると「中国のスパイ機関」は偽の経歴を作って今年に入り、1万人以上のドイツ人と連絡を取り、政官界に協力者を作ろうとしたという。

 こうした状況を受け、米上院は13日、「中国の影響力拡大」をテーマにした公聴会を開催。マルコ・ルビオ上院議員は、「中国政府は、中国の歴史や人権の記録を修正し、その弾圧的な政策の批判者を脅迫しようとしている」と警鐘を鳴らした。

このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年12月25日