教皇、一般謁見でチリ・ペルー訪問を総括

(2018.1.25 バチカン放送)教皇フランシスコは24日の水曜一般謁見で、南米チリおよびペルー両国の公式司牧訪問を次のように総括し、両国のために神の祝福を祈るよう会衆に願われた。

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 「チリ訪問が実現する前に様々な理由から反対運動があったのを、皆さんもメディアを通じて知っておられたと思います。この事実はまさしく今回の私の訪問のモットー『私はあなた方に平和を与える』というキリストの言葉の意義を際立たせることになりました。私たちは毎日、ミサの中でこの言葉を繰り返しています。キリストがその弟子たちに向けた言葉です。真の平和、それは私たちの救いのために死に、復活されたキリストだけがお与えになれる恵みです。私たち一人ひとりが平和を必要としているだけではなく、世界中に分散発生している『第三次世界大戦』の真っただ中にある今日の世界も、平和を必要としているのです。どうか皆さん、平和のためにともに祈りましょう。

 チリにおける政府関係者たちとの出会いでは、完全なる民主義実現の歩みを続けるよう激励しました。その最も有効な実現方法とは『人々の声に耳を傾ける』ということ、特に貧しい人々、若者たち、高齢者たち、移民そして土地そのものの声にも注意深く耳を傾けることだ、と強調いたしました。

 チリにおける最初のミサは平和と正義のために捧げられました。ミサ中、イエスの山上の垂訓から『平和ための働き人は幸いである。なぜなら神の子らと呼ばれるだろうから』という言葉が強調されました。特にこの言葉がチリ―の社会の現状の中で必要とされるからです。

 大変重要な訪問も実現しました.首都サンチアゴの女子刑務所訪問です。そこで幼子を腕に抱いた多くの若い母親たちにも出会いました。多くの困難の中にあっても彼女らは大きな希望の中に必死に生きていました。彼女たち一人ひとりが完全に更生し社会復帰するために真剣に努力するよう励ましました。私たちはあらゆる刑務所を『完全な社会復帰』という観点から考えなければなりません。もしこの社会復帰の希望がないなら、刑務所は『終わりのない拷問』になってしまいます。社会復帰のために刑務所がうまく機能するなら、終身刑の囚人たちも、刑務所の中から、社会のために役立つ仕事を通して、社会に貢献することができるのです。対話の道はいつも開かれていなければなりません。どの刑務所も、絶えず社会復帰という観点に立たねばなりません。

 司祭や修道者、司教たちとの出会いも持ちました。この国の教会を苦しめる傷、その中でも児童の性的虐待などの問題を、決してなおざりにすることなく、解決に真剣に取り組むよう、互いに確認しました。同時に、神への信頼の中で、この大きな試練によって教会関係者たちに清めと刷新がもたらされることをも指摘しました。

 若者たち、大学生たちとの出会いで、私は聖アルベルト・ウルタードの言葉『キリストは私のこの場にいたら何をなさるだろうか』を常に念頭に置いて対応するよう勧めました。人生の中で困難や問題、衝突はつきものです。それらを隠す必要はありません。問題の所在を明らかにし、何事をも忍耐強い対話をもって解決するようにしなければなりません。問題を見ぬふりすることなく正面からぶつかっていきましょう。そして話し合う機会を持つことです。衝突はこのようにして解決に向かいます。対話によって解決されるのです、と強調しました。

 ペルー訪問のモットーは「希望によって一致して」というものでした。一致とは『何もかも同じ』という、実りのない『画一性』のことではありません。様々に異なる文化や歴史を包み込む豊かさそのものを意味します。

 ペルーの政府関係者たちとの出会いで、私はこの国の自然、文化、霊的遺産の豊かさを高く評価しました。同時にこの国に影を落とす二つの点についても、注意を促しました。それは『環境破壊』と『汚職』の問題です。これらは人の心を破壊します。誰もこの問題から免除されません。すべての人が真剣に取り組むべき問題なのです。

 ペルーにおける最初のミサは海辺の街、トゥルヒッリオでのミサでした。昨年大暴風雨によって大きな被害を被ったところです。この街で私はただ自然の災害に立ち向かうだけではなく、もう一つの『嵐』-組織犯罪や教育の欠如、失業などに対しても、勇気をもってたち向かうよう励ましました。この街は聖母マリアへの信心の篤い街です。ここで聖母賛美式を執り行い、人々の崇敬をあつめる「門の聖母」像に戴冠し「慈しみと希望の母」と命名しました。

 今回の司牧訪問の最後の行事はペルーの首都リマで執り行いました。「奇跡の聖主」という聖画がまつられているペルーで最も有名な巡礼聖堂で500人ほどの観想修道会修道女らと会いました。彼女らは教会と社会全体にとって信仰と祈りの促進者です。身体全体に空気を送り込む肺のような存在です。

 リマの司教座聖堂ではペルーのすべての聖人たちのお取次ぎを願いながら特別な祈りをみなとともに捧げその後司教たちとの出会いを持ちました。

 ペルーの若者たちには聖人たちをキリストにあくまでも付き従った不屈の人々として示し、その模範に従うよう勧め、チリとペルー両国民へのキリストのメッセージとして、最後のミサの典礼からから取られた「改心して福音を信じなさい」という言葉を残しました。

 親愛なる兄弟姉妹の皆さんチリとペル―両国の上に主の祝福豊かに注がれるように祈りましょう。

(バチカン放送日本語版をもとに、「カトリック・あい」が編集しました)

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2018年1月26日