(2020.3.5 カトリック・あい)
第二次大戦前後の困難な時代に教皇職を務め、ナチスによるユダヤ人大虐殺などへの対応で様々な議論のあるピオ12世(在位1939年3月2日 – 1958年10月9日)の大量の関係資料を、バチカンの使徒公文書館が2日から、世界の研究者などに公開した。バチカン放送が伝えた。
歴代教皇の治世下の関係資料は、慣習的に当該教皇の死去75年を経過した後、整理・準備の期間を経て公開される。ピオ12世の治世下の関係文書については、昨年、教皇フランシスコが今年、準備か整い次第、公開することを明らかにしていた。
公開された資料は、バチカンの国務省など教皇庁の各省・評議会などの120の定期刊行物、公文書など2万点に上る。バチカン使徒公文書館の発表によると、その大部分はデジタル化され、同時に120人の研究者に対応可能。予約は昨年10月から始まっている。
ピオ12世は第二次世界大戦の前後の約20年にわたって、文字通り世界的な危機と大惨事が続く中で教皇職を務めた。
ナチの台頭、全体主義国家と民主主義国家の戦い、そして、戦後の米ソによる東西冷戦の中で、世界のカトリック教会を率いた教皇が、どのような考え、立場で、連続する危機に対処したのか、しようとしたのか。教皇は20年の間に、戦争犯罪者、労働者、運動選手、ジャーナリスト、心理学者、医師、芸術家、天文学者を含むさまざまな人々と出会いの機会を持ったことでも知られており、今回の資料公開は、ピオ12世を巡る様々な議論への答えを提供するとともに、政治、経済、社会、そして環境問題を含む地球規模の危機にある現在のカトリック教会の在り方にも多くのヒントを提供するものと期待される。