・教皇、シリア政権軍の“化学兵器”による女性、子供含む市民殺傷を糾弾、被害拡大

(2018.4.9 バチカン広報などもとに「カトリック・あい」が編集)教皇フランシスコは8日、内戦が続くシリアでアサド政権軍の化学兵器使用が疑われる攻撃などで幼児を含む多くの死者が出ていることに対して、声明を出し、犠牲者を悼むとともに、こうした行為を強く糾弾した。

  声明では「シリアからの情報では、爆撃で何十人もの死者が出ており、犠牲者の多くは女性と子供たちだと言われています。爆弾に詰められた化学物質で多くの方が被害に遭っている、ということです」としたうえで、「私たちは、亡くなられたすべての方々、負傷された方々、そして、被害に遭われた家族の方々のために祈ります」。さらに「戦争には、良い戦争も悪い戦争もない。自らを守る術もない人々に対してそのような殺人手段を使うことは、全く正当化できるものではありません」と今回の行為を含む弱者を巻き込んだ戦闘行為を糾弾したうえで、「私たちは祈ります。政治、軍事の分野の指導者たちがほかの手段、交渉による解決の道を選ぶように祈ります。それだけが、死と破壊ではなく、平和をもたらす道なのです」と訴えた。

 在英の民間団体「シリア人権監視団」によると、アサド政権軍は6日から8日にかけて、反体制派組織「イスラム軍」が拠点を置く首都ダマスカス郊外の東ゴータを攻撃し、住民ら90人以上を死亡させた。負傷者を救護する民間団体「シリア民間防衛隊(ホワイト・ヘルメッツ)」が伝えるところでは、7日、塩素ガスとみられる物質を積んだ爆弾が東ゴータのドゥーマ地区に投下され、40人以上が死亡した。また、同団体のその後の報告によると、「塩素ガスとみられる物質を積んだたる爆弾の投下で、約500人が呼吸困難の症状を訴えた。テレビ映像によると、攻撃を受けた家屋内で、幼い子どもや女性らが折り重なるように倒れ、口から泡を吹くなどの症状も見られている」という。

こうした事態を受けて、国連安全保障理事会は9日(日本時間10日)に緊急会合を開く方向で調整に入ったが、アサド政権を支援するロシアが抵抗することで対応に乗り出せないというのが多くの関係者の見方だ。

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2018年4月9日