・性的虐待隠ぺい疑惑で無罪となったが…教皇、仏枢機卿のリヨン大司教辞任認める

Cardinal Philippe BarbarinCardinal Philippe Barbarin  (AFP or licensors)
(2020.3.6 VaticanNews  Benedict Mayaki)

   聖職者による性的虐待を隠蔽したとして訴えられ、無罪判決を受けたフランスのフィリップ・バーバラン枢機卿(69)が6日、リヨン大司教の辞表を教皇フランシスコに受理された。

枢機卿は、聖職者のよる幼児性愛行為を隠蔽したとして、昨年3月にリヨン裁判所から6か月の執行猶予付きの有罪判決を受け、その時点で教皇にリヨン大司教を辞任することを申し出ていた。枢機卿は無罪を主張して控訴し、控訴審で1月30日に無罪判決を受けていた。

枢機卿のリヨン大司教辞任を受けてフランスの司教協議会は会長声明を発表し、リヨン大司教区のためにフランス全土の信徒の親愛の祈りを捧げることを誓い、「過去数ヶ月の裁判の後に、リヨン大教区は真理と和解に努め、純粋な心でその使命を追求する努力を新たにするでしょう」と述べた。また、枢機卿がこれまで教会のために行った全てのことに感謝する一方で、「これまで(注:聖職者による性的虐待に対して)とられた処置が、被害者を癒すこと」を希望するとともに、被害者たちの受けた苦しみに対する「深い悲しみ」を改めて表明した。

一方、リヨン大司教の後任が決まるまでの教区管理者に任命されたミシェル・デュボスト師は、教区のウエブサイトで、教区の司祭、信徒たちに、「大司教区の新たなページが開かれようとしています。それは非常に豊かな時に満たされ、私たちはそれらに感謝しなければなりません…数週間以内に、私たちは新しい大司教を迎えます。新大司教の就任は、一致における刷新の機会となるでしょう」と訴えた。

バーバラン枢機卿は1950年10月17日にモロッコのラバトで生まれ、1977年12月17日に司祭叙階。1998年11月22日に、ムーラン司教に就任し、2002年7月16日に教皇ヨハネ・パウロ二世からリヨンの大司教に任命され、翌年10月21日に枢機卿に昇格していた。

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 隠ぺい疑惑の対象となったのは、教区司祭だったベルナール・プレイナが1970年代から1980年代にかけて自身が指導者と務めていたボーイスカウトの隊員に対して性的虐待をした犯罪。プレイナ自身はその行為を認めたが、虐待の被害者たちはバーバラン元大司教と教区当局が、長期にわたったその行為を隠蔽した、として訴えていた。これに対して、バーバランは控訴審で「案件の処理は、バチカンの指示に従って行った」と主張していた。

 なお、AP通信が6日伝えたところによると、プレイナの裁判はリヨンで続けられており、今年初めの被告人尋問で彼は「性的虐待した少年たちの正確な人数は思い出せない」が、少なくとも75人に対して性的虐待を働いた、と述べ、「自分の上司だった司教たちは、自分の少年たちへの性的嗜好を知っていたが、誰も止めたり、忠告しなかった」とも語った。

 被害者の親たちがリヨン大司教区事務局にプレイナの犯罪行為を訴えたのは今から40年前だったが、プレイナが聖職をはく奪されたのは昨年7月だった。

 枢機卿が無罪になったとはいえ、これほど長い間、犯罪を放置し、結果として続けさせていたことへの、歴代のリヨン大司教、今日事務局関係者の同義的な問題が消えることはないだろう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年3月7日