・性的虐待への対応で起訴されたペル枢機卿裁判で証人尋問始まる(Tablet)

(2018.3.5 Tablet by Mark Brolly) オーストラリア・メルボルンの治安裁判所で公判中のジョージ・ペル枢機卿の弁護人、ロバート・リヒター弁護士は5日の意見陳述で、枢機卿を起訴したビクトリア州警察当局が犯罪を推定する際の「要人を訴追する手続き」を踏んでいない、と申し立てた。

 リヒター弁護士は、警察当局は枢機卿のいくつかの罪状が否定されるような21の証言に関して適正な捜査をしていない、とし、警察当局が証拠として挙げているうちのいくつかは取り下げられるべきだ、と主張した。罪状の詳細については、これまでに明らかにされていない。

 ペル枢機卿は昨年6月にビクトリア州警察から起訴されて以来、バチカンの財務事務局長官のポストを離れているが、起訴されている内容を否定してきた。枢機卿は1996年から2001年までメルボルン大司教を務めた後、2014年に教皇フランシスコがバチカンの財務改革のために新設した財務事務局長官に就任するまで、シドニー大司教を務め、その間の2003年に枢機卿に昇格していた。

 マーク・ギブソン検察官は、枢機卿に対するこれまでの性的犯罪に関する起訴案件のいくつかについて、日付けと用語の修正が必要だ、と述べた。検察側は先週の審問中に起訴案件のうち一件を取り下げている。

 5日、枢機卿がメルボルンの法律関係のビルが立ち並ぶ街区の中心にある治安裁判所に到着すると、テレビ局、新聞などの報道陣や枢機卿支持派、批判派の”出向かえ”を受けた。

 公判では、ベリンダ・ウォリントン治安判事が、証人が遠隔地からビデオで証言するための補助者や介助犬を伴うことを承認。また、原告側が証言する際に、枢機卿の”年齢と健康状態”を考慮して、彼に補助者をつけることも認めた。 ギブソン検察官は冒頭陳述で、起訴内容の詳細を説明することを申し立てたが、ウォリントン判事は内容を承知しているので、その必要はない、との判断を示した。

 証人尋問は、同日の午後2時から、一般の傍聴人やメディアに対して非公開で始められた。ビクトリア州の裁判所は、性的な被害に関する事件を扱う場合に、非公開とすることが慣行となっている。

 同日始まった尋問は、上級審に諮ることが適当とされる十分な証拠があるかどうかを判断するためのもので、予定される四週間のうち、証人尋問の二週間が非公開となる見通し。約50人の証人の出廷が予定されている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 (Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

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2018年3月7日