・バチカンの女性誌が司祭による修道女性的虐待を糾弾(Tablet)

(2019.2.1 The TABLET  Rose Gamble)

 「もしも、カトリック教会がこのスキャンダルに目をつぶり続けるなら、教会における女性抑圧の状況は変わらないだろう」ー司祭による修道女に対する性的虐待とその結果生じた彼女たちの堕胎、あるいは父親の認知がないままの出産の悲劇-を糾弾する記事が、1日発行のバチカンの女性誌”Women Church World”(教皇庁の準機関紙「オッセルヴァトーレ・ロマーノ」の姉妹誌)2月号に掲載された。

 同誌のルセッタ・スカラフィア編集長は、「修道女たちは何年もの間、報復を恐れて被害を報告して来なかった。今月号はこの問題について、断固とした姿勢で取り組みました」と説明した。

 特集記事は、教皇フランシスコが性的虐待について理解を持ってくれたことは、修道女たちに対する性的虐待がどのようになされたのかを理解する「いくらかの助けになり得る」とし、「権力、聖職者主義を挙げるならば、修道女たちに対する虐待は別の側面を帯び、最終的に、それが何なのか認識されるだろう-それは、個人的な親密な関係に反することになる権力のなせる業である」と述べている。

 また、アフリカにおける修道女たちに対する司祭たちの性的虐待に関する報告は1990年代にバチカンに届けられたが、何も変わることはなかった。だが現在では、#Metoo(SNSを使った性的虐待被害者のの告白・告発)の運動活発化と、未成年に対する性的虐待の表面化を背景に、女性たちが被害を公に糾弾する動きが始まっている。

 「教会が、こうしたスキャンダルに目をつぶり続けるなら、女性に対する性的虐待が妊娠・出産を招くことで事態はさらに深刻なものとなり、強制的な堕胎、司祭に認知されない子供たちが生まれる事態を招く―教会における女性の抑圧の状態が変わることはないだろう」とスカラフィア編集長は書いている。

 昨年11月、修道女たちの世界組織が声明を発表し、カトリック教会における性的虐待を巡る「沈黙と秘匿の文化」を糾弾した。世界の50万人を超す修道女たちを代表する国際女子修道会総長連盟は、虐待を働いた司祭たちの名前こそ挙げなかったものの、不平等な力関係のもとでなされ、被害者の尊厳を踏みにじる虐待の形として、性的虐待、言葉による虐待、感情による虐待などを挙げ、「今日の教会と共同体社会に蔓延する虐待の様式」と呼んで弾劾。さらに、「私たちは、しばしば組織の評判の”保護”を装い、あるいは”自分たちの文化の一部”と銘打って、沈黙と秘匿の文化を支える人々を強く非難します」としていた。

 また昨年9月には、インドの修道女たちが公に抗議行動をして、世界にマスコミに取り上げられた-ある司教が二年間にわたって13回も修道女をレイプしたとして、逮捕を求め、ケララ州高等裁判所まで行進したのだ。被害に遭った修道女は一昨年、教会に訴えたが、何の対応もされなかった。彼女は、昨年7月に地元警察に被害を届け出たが、警察も70日も何も行動を起こさず、修道女たちによるインド初の抗議行動となった。抗議に参加した修道女の1人は「警察は圧力を受けるので、行動を起こすことに乗り気でなかった。教会と警察は共に、私たちを失望させました」と語っていた。

 ”Women Church World”は、イタリア語、フランス語、スペイン語で発行されており、これまでも、修道女たちが枢機卿や司教たちの召し使いのように扱われ、炊事や洗濯をほとんど無償でさせられている、とする批判する記事を掲載していた。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

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2019年2月6日