・バチカンが前駐米大使の”告発文書”に対し公式見解へ-枢機卿顧問会議(Tablet)

Vatican prepares to respond to Viganò

The Council of Cardinals, often referred to as the C9, at a meeting earlier this year
Photo: CNS/L’Osservatore Romano

(2018.9.10 Tablet Christopher Lamb)

 バチカンの前駐米大使が「教皇フランシスコが、司祭や神学生への性的虐待で訴えられている米国のセオドール・マカリック大司教の問題を知っていながら隠ぺいした」とする告発文書を発表してバチカンを揺るがしているが、バチカンはこの問題に対する公式見解を、近く公表することになった。

 9人の枢機卿による教皇顧問会議 (C9)が10日から3日間の日程で開かれているが、10日の声明で、「ここ数週間議論になっている問題について、聖座が『必要な説明』をしようとしていると、顧問会議は認識している」ことを明らかにした。

 顧問会議はまた、この声明で、前駐米大使のカルロ・マリア・ビガーノ大司教が強行に辞任を迫る告発文書を明らかにした後も、教皇と「完全な連帯」を保っている、と言明した。

 前駐米大使は告発文書で、教皇フランシスコは前任のベネディクト16世がマカリックに課した制裁措置を知っていた、と聞いている、と主張している。

 だが、バチカン内部からの教皇に対する予期せぬ攻撃、となったこの文書は、カトリック教会内部の「同性愛者ネットワーク」についての指摘で脚色されており、教皇フランシスコ支持派に対する数多くの言いがかりの一つも含まれている。加えて、マカリックに対する制裁措置は実行されておらず、前駐米大使もこれが公のものでなかったことを認めた。

 先日のアイルランドでの家庭大会出席からの帰りの機上会見で、この問題について意見を切られた教皇は「ひと言」も言わない、と答えらえたが、聖座から制度上の対応の可能性については否定しなかった。

 前駐米大使は告発文書で、バチカンは(教皇フランシスコの就任前の)2000年にマカリックについての訴えを知っていたが、翌年にマカリックをワシントン大司教と枢機卿に任命し、2009年にワシントン大司教を退任するまで、教会内部で影の実力者として力をふるわせた、と批判している。

 なお、10日にC9から出された声明は、また、顧問会議が教皇に対して、顧問会議の「役割、仕組み、構成」について再検討するよう求めたことも明らかにした。これは、顧問会議の9人の枢機卿のうち5人が75歳の”定年”に達し、あるいは超えているためだ。マカリック大司教も枢機卿として、C9のメンバーだったが、今夏に、性的虐待で訴えられたのを受け、枢機卿のタイトルを剥奪され、メンバーから除外されている。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年9月12日