・チリ司教協議会が性的虐待問題に具体策―教皇、早期実施指示

(2018.8.8 「カトリック・あい」)7日付けのVaticanNewsなどが伝えたところによると、聖職者による児童性的虐待とその組織的ともいえる隠ぺい問題で大揺れのチリで、司教協議会が3日まで特別総会を開き、具体的な対応策を決議。教皇フランシスコは5付けで同協議会あてに短い書簡を送り、特別総会の決議に従って具体的な対応を急ぐよう、強く促された。

 チリ司教協議会は、特別総会閉会後に決議について声明を発表し、「司牧者としての自分たちの義務をおろそかにし、司祭や修道者によって犯された重大な罪と不正の犠牲者に、耳を傾け、彼らを信じ、寄り添い、ケアをすることができなかった」こと、また「性的搾取や権力の乱用の犠牲者の苦しみを前に、迅速に対応できないことがしばしばあった」ことを謙虚に反省し、「何よりもまず犠牲者らに赦しを乞う」と謝罪を表明。

 さらに「自分たちの過ちと怠慢が人々の苦しみと疑念を生み、教会の交わりを損ね、回心と希望を妨げたこと」を反省し、「真理と、正義、犠牲者への償いのために努力する」とともに、罪を犯した者が処罰から逃れることができないように①法的な時効の研究②未成年虐待問題との闘いのためのガイドライン策定③警察当局との完全な協力④未成年虐待を犯した聖職者の名を刑法・教会法における判決結果と合わせて公表⑤虐待の犠牲者たちへの直接的ケアと再発防止策の強化-などを約束している。

 チリ司教協議会の発表によると、教皇は書簡で、決議の内容を注意深く読み、その考察と識別の作業と、未成年虐待問題に取り組むための決断に心を打たれた、としたうえで、「このような現実的かつ具体的な対策は、問題に対処する動きを全面的に助けるでしょう」と婉曲的な表現で、具体的かつ厳正な対応を急ぐように求めた。

 チリのカトリック教会は、聖職者による児童の性的虐待を長期間にわたって事実上見過ごし、隠ぺいした問題で、教会内外から厳しく責任を追及されている。司教団は、ようやく4月に会議を開いて具体的な検討を始め、5月中旬には教皇からバチカンに召喚されて、具体的報告を求められるとともに、司教全員が辞表を教皇に提出。教皇は、これまでにこの問題の中心となって来た司教二名の辞表を受理し、事実上更迭処分にしている。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年8月8日