・シノドス始まる-教皇、開会ミサで司教と若者たちに「ともに夢と希望」と呼びかけ(Crux)

(2018.10.3 CRUX 

 ローマ発-若い人たちと司教たちが、この一か月で、ともに『夢と希望』をいだくことができるように期待する-輝くような10月の空の下で、教皇フランシスコが3日、世界中の司教たちを集め、約一か月にわたるシノドス(全世界代表司教会議)の幕を切って落とした。

 「希望が私たちに挑み、私たちを動かし、そして 『それはいつもこのようになされている』という慣れを打ち砕きます」。教皇は「若者たち、信仰、召命の識別」をテーマとする今回のシノドスに参加した300人を超える代表たちに語りかけた。

 「私たちは知っています。若者たちが、既に成人しあるいは年配となった私たちが夢を見ることが出来るほどに、預言し展望し、そうして私たちが心に抱いている夢と希望を分かち合えるであろうことを」。そして、聖霊に「夢を見、希望を持つ恵みで聖別されたシノドスの司教たちとなる恩寵を与えてくださいますように」と願い、「そうしていただけば、私たちも、預言と展望の恵みで、若者たちを聖別することができるのです」と祈った。

 新たな着想の見本として、そして恐らく、物事が変えられるという証しとして、教皇は、先月末の中国政府との司教任命に関する暫定合意を受けて、シノドスに初参加することになった中国の2人の司教について、特に言及。「聖霊の声に素直に耳を傾ける態度をもって、私たちは世界のすべての地域から集まりました」と述べたうえで、「今日、私たちは中国本土からも2人の司教を迎えました。私たちは彼らを暖かく歓迎します。ペトロの後継者と司教たち全員がともにミサを捧げることは、彼らが参加することができたことへの、目に見えるより大きな感謝となります」とその意義を強調された。

 教皇はミサ中の説教で、シノドス参加者がこれからの数週間を希望をもって進むように激励し、同時に、カトリック教会の若者たちが、そのことを渇望している、と語り、「私たちの地平を広げ、心を大きくし、『麻痺させ、若者たちから切り離し、彼らを荒れた海に晒し、支えられるべき信仰共同体を持たない孤児に、人生の方向と意味についての意識を欠いた孤児』にしている私たちの心の持ちようを変容させることができる」という「希望」を強調。さらに「この同じ『希望』が私たちに、若者たちが晒されている『不安と排除、暴力に満ちた状況』を覆すよう努めることを、私たちに求めているのです」と指摘された。

 さらに、聖職者による性的虐待が引き起こしている危機、LGBT(同性愛者など性的少数者)、女性の指導的役割など、今後一か月の間に確実に協議の対象となる極めて困難な課題を前にして、教皇は出席者たちに気を抜かず、福音を拠り所とするように、強く求めるとともに、「福音と私たちに信を置いてくれている人々への愛が、私たちの地平を広げ、私たちが求められている使命を見失わないようにする気を起こさせます。このようにして、私たちは、私たちすべてに益をもたらす、より大きな善を目指すのです。この気概がなければ、私たちの努力はすべて無駄になるでしょう」と警告した。

 そして、より大きな善を成し遂げるために、シノドス出席者は他者の声を聴く姿勢を持つことから始めねばならない、とし、「真剣に、信心深い心をもって、偏見や条件付けを可能な限りせずに、聴く能力の恵みは、神の民が経験する環境の一部となるように、私たちを助けてくれるでしょう」と語られた。「神に聴くこと、そうして神ととともに、私たちは人々の叫びを聞くとことができる。そうして、私たちは、彼らとともに、神が私たちに求められている熱意を吸い込むことが可能になるのです」、さらに「こうした姿勢は、私たちを、善悪について厳しく狭い考え方やエリート主義に落ち込む誘惑から守り、私たちの民の現実に決して触れることのない抽象的なイデオロギーのおとりに掛かることから守ります」と諭された。

 このような多様な教会の現実は、今回のシノドスで、50人の枢機卿、44人の大司教、101人の司教、37人の補佐司教、23人の専門家、49人の監査役、そして34人の若者代表、さらに14の異なる言語グループによって提起されることになるだろう。

 シノドスは3日からはじまり、28日まで続けられる予定だ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

上記の教皇の説教のバチカン公式発表による英語版全文は以下の通り。

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2018年10月3日