・シノドス第3週:「”デジタル宣教”が教会に求められている」

(2018.10.17 VaticanNews Russell Pollitt, SJ)

 「若者シノドス」第3週 も半ばの17日のバチカンでの定例記者会見では、会議で繰り返し指摘されているテーマとして、デジタルの世界への教会の対応-”デジタル宣教”の必要が挙げれた。

 会見の冒頭、バチカン広報部門のパオロ・ルッフィーニ長官がこの日の全体会議で話し合われたテーマについて触れ、国々の内外に向けた人々の移動が大きなテーマになった、と述べた。また若者たちが、創造物の管理責任に関心を示したこと、政治の腐敗について否定的な反応をしていること、教会が卓越した場になることを求めていること、なども説明した。他に話されたテーマとして、良心、真実、哀れみ、カトリックの学校や大学における教え方、また、薬物やアルコールの飲用が若者たちをしばしば犯罪に導くことの問題、などを挙げた。

 続いて、この日の説明者として、アイスランドのデイビッド・B・テンサー司教、厳律シトー会のマウロ・G・ルポーリ大修道院長、フランスのテゼ共同体のアロイス院長、改革派教会世界連盟のマルコ・フォルレローネ代表が、発言した。

*デジタルの世界に教会は積極的に対応を 

 4人の発言の前に、ルッフィーニ長官が、デジタルの世界における若者たちの司牧ケアが大きなテーマになったこと、若者たちが慣れ親しんでいるソーシャルメディアの分野で教会がどのように活動できるかに議論が及んだこと、教会は、公式に真剣に、デジタルの世界に”住みたい”と希望していること、などを指摘し、デジタルの世界に合った教会の宣教活動とはどうあるべきか、自由と責任を持った主人公たちをデジタルの世界の中で、教会はどう受け入れるべきか、などを課題としながら、教会は、従来よりもしっかりした形でデジタルの世界に対応することを希望している、と説明した。

 これを受けて、テンサー司教は「カトリック教会は、デジタルの世界に対して極めて積極的な姿勢をとっています」としたうえで、「コンピューターやスマホの功罪について繰り返し議論されているが、これらそのものは”中立的”です。アイスランドでは、デジタルの世界なしでは迷子になってしまう」と語り、スカイプを使ったカテキズムをどのようにしているかを説明。「私はコンピューターの前に座り、若者たちのコンピューターとつないで、話をしています。そして、彼らのスマホに聖書をダウンロードするように勧め、彼らはすぐに見つけることが出来ます。これは堕落ではなく、前向きの進歩です。デジタルの世界は教会を前進させる、良いものです」とプラス面を強調した。

*聴くことと、ものの見方の転換

 アロイス院長は、転換という言葉がしばしば語られているが、ものの見方の転換は進んでおり、「シノドスに参加している司教たちの多くは、若者たちに近づくことを希望しています。このことは教会の仕組みを転換させつつある」と述べた。そして、「”友情”という言葉が繰り返されているが、私は、この言葉の神学的な意味をもっと掘り下げ、イエスを友としてもっと深く見つめたい、と思います」とし、「若者たちも、自分たちの声を聴いてほしいと思っているが、聴いてもらうべき教会に入る扉を、時として見つけることが出来ないでいる」と指摘。一致と連帯としての友情を求める必要があり、「テゼ共同体では、”聴くこと”が基本。教会全体が自由に意見を述べる方法を見つける必要があります」と提言した。

 院長はまた、教会一致の取り組みの重要性についても言及。「シノドスには、教会一致の関係者があまり多く参加していないようです。もう少し多い方がいいでしょう。教会一致に共同で努力することは素晴らしいことです。それが、このシノドスであまり語られないのは残念です」と指摘し、若者たちも、宗派を超えた分かち合いのための場を求めており、「教会はそのような若者たちのために祈るのではなく、彼らと共に祈るべきです」と語った。

*シノドスは建設現場

 ルポーリ大修道院長は「シノドスは建設現場のようなものです」とし、「人生におけるのと同じように理想的な方法は絶対に見つからないが、 基礎から初めて新しい建物全体を作り上げねばならないのです」と述べた。

 テンサー司教は「このシノドスは大きな成功を収めそうです」と述べ、その理由を「良く準備されていたから」として、「情報が世界中から集まり、話し合いはとても建設的に進んでいます。このシノドスは教会が前進するのを確かに助けることになるでしょう」と楽観的な見通しを示した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年10月18日