・シノドス第3週:「多くの挑戦を受けている今こそ、宣教のあり方刷新の機会だ」

(2018.10.15 Vatican News Russell Pollitt, SJ

 「若者シノドス」が第三週に入った15日、定例記者会見でイエズス会、フランシスコ会、ドミニコ会の3修道会総長、一般信徒の4人が、協議の内容や自身の感想などについて語った。

 

*「裁かない、差別しない、キリストの言葉を反映して」若者たちの教会への希望

 チリから参加したシルビア・テレサ・レタマレス氏は、シノドスに行くことを聞いた若者がたくさん自分のところに来てーそのうちの多くがカトリック信徒でなかったがー、シノドスに持って行ってほしい、と伝言を頼まれたとしたうえで、「全ての人に開かれた多様な文化の教会になって」「裁く教会にならないで」「皆がくつろげるような教会が欲しい」「イエス・キリストのメッセージを反映した教会になって」などが彼らの希望だった、と説明した。

 また、「教会は、少数者、とくに性的志向が違う人や貧しい人を差別すべきでない」という声もあったと言い、具体的に同性愛について「彼らは同性愛者も他の人たちの同じ権利を持つべきだ、確信しており、教会で信仰生活をしたい、と希望しています」として、「教会の第一の任務は愛です。同性愛者たちも、私たちがともにいる必要のある兄弟姉妹として完全に認められねばなりません。このことは、シノドスの会議で議論されました」と語った。

 さらに、彼女は、女性の教会における役割についても述べ、「若者たちは、女性たちが教会でもっと大きな役割、責任を与えられることを希望しています。私たちのチリでも、女性の能力が、一般社会でも、教会でも向上しており、もっと責任を持たせられべきです」と訴えた。

*世俗化、デジタル化などの挑戦を受けている今が、教会の宣教刷新の機会

 イエズス会のアルトゥーロ・ソーサ総長は「世俗化、デジタル化など多くの挑戦を受けている今は、福音を伝えるという教会の宣教のあり方を刷新する機会」とし、「将来が予測しがたくなっている世界の中で若者たちをどのように教育すべきか、という問題も検討する必要があります」と述べた。

 また、我々の時のしるしは、人の移動、そして各国での移民の扱われ方にある、と指摘し、「移民はよりよい暮らしを求めている人々。そして、移民、難民の人々への最近の対応は、私たちがどれほど非人間的になってきたか、を示しています。人々がなぜ自分の国を離れねばならないのか、なぜ国内で大量の移動が起きているのか、を私たちは理解する必要がある。そして、この問題は必然的に、なぜ民主主義が弱体になっているように見え、愛国主義が高まってきているのか、そしてこれがどのように移民問題とつながっているのか、という問いかけになります」と強調した。

 さらに、「彼らは緊急事態の中で助けを受けていますが、どれほど長い間、あるいは人生のほとんどの時間、難民キャンプにいたかを知って、ショックを受けた」として、「難民キャンプで暮らす若い男女に起きていることを想像できますか?」と問いかけた。そして、イエズス会は、デジタル社会の技術を使って難民キャンプで教育を提供しようとしていることを説明した。

*「聴いたこと」は「行動」に移さねばならない

 ドミニコ会のブルーノ・カドーレ総長は、シノドスを通して(一方向の)『聴く』ことから(双方向の)『会話』に変わっていくことを、教会が求めている、と述べ、今回のシノドスは的確で、詳細な議論が行われており、若者たちは教会の内外について意見を聞かれています」とした。

 フランシスコ会のマルコ・タスカ総長は、異なる暮らし方をするという過激な選択をしなければならなかったアッシジの聖フランシスコについて、深く考えている、と言い、「これ(過激な選択をすること)が、教会が今日、示していることです。『聴くこと』がカギになっています」と指摘。そして、ある家庭を訪ねた司教の話を紹介した-その家にいた若者が、司教に「あなたは偽者だ」と言ったので、その司教は彼に「偽者でないように、助けてください」と答えた、という。

 「これが、『聴く』という言葉の意味です-若者たちの言うこと、彼らの生き方、に心を開くこと」と述べ、「シノドスは若者たちとともに教会を作るために、開かれている。シノドスは『聴く』ことから『会話』に移っていく必要があります。そうすることで、教会は進むべき道を見つけることができるでしょう。それは、時として、『薄明り』の中に『夜明け』を見つけるように難しいことですが」と語った。

*第二バチカン公会議が示したモデルを体現化する必要

 また、ソーサ・イエズス会総長は「私見では、第二バチカン公会議は教会のあり方のモデルを示しましたが、実現されませんでした。公会議後、私たちはいくらか前進しましたが、何歩か後退してしまった。そのモデルの核心は、『神の民』が中心にある、ということです。このモデルは、教会の歴史の中で体現される必要があります」と強調した。

 関連して、カドーレ・ドミニコ会総長は「カトリック教会の優れているところは、変化に対して開放的であること、未来志向であることだ」と指摘した。

*シノドス最終文書は、パラグラフごとに採決、3分の2の支持で決定

 なお、この記者会見で、バチカン広報部門のパオロ・ルッフィーニ長官が、今回のシノドスの最終文書の取りまとめ方に関連して説明した。それによると、シノドス最終日の前日、27日に、最終文書原案が、パラグラフごとに投票にかけられ、3分の2の支持を得て決定される、という。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年10月16日