・”サミット”二日目-「虐待根絶へ、全信徒による、あらゆるレベル、地域の教会刷新を」とキュピック枢機卿

(2019.2.22 Vatican News Linda Bordoni)

 ”サミット”二日目の22日は「Accountability(説明責任)」が主題となり、3人が基調報告を行ったが、その中で米シカゴ大司教のブレーズ・キュピック枢機卿は「Synodality-共に責任を負う」をテーマに報告した。

 今回の会議で強調されているcollegiality(注:司教たちの協働制)の下での現在の取り組みに関連して、枢機卿は、司教たちは synodality(シノドス様式)の観点から課題について考えねばならず、「特に、全教会と共に、説明責任を果たすことへの構造的、法的、制度的な側面」から考えることが必要、とし、この場合のsynodalityの意味するところは、「カトリック教会すべてに識別と刷新を浸透させるための、小教区、司教区、全国的、地域的な教会組織などあらゆるレベルで洗礼を受けた者すべての参加」だと強調した。

 これが、今この時点で、カトリック教会にとって重要であり、「それが、教会、そして広く社会の若者たちを守る任務を満たすために欠かすことのできない、真実、改悛、諸文化の刷新を呼び起こすもととなるでしょう」と語った。

 そして、単に政策を変えるだけでは「協働制の最も素晴らしい行為の成果としても、十分ではありません」と述べ、教会全体を通しての男女の変革、5大陸全ての教会文化の変革の必要を指摘し、「あらゆるレベルでの識別、変革、刷新に根差したシノドス的な ビジョンだけが、神の私たちへの恩寵に応える形で、最も傷つきやすい人々を守る、教会の幅広い活動を可能とするのです」と訴えた。さらに、構造的、法的、制度的な刷新の必要性を含むいくつかの点について言及し、一般信徒の役割、他の人の声を聴き、寄り添うことの必要性について語るとともに、愛情深い母としての教会の役割を強調した。

 また、親と子供の「聖なる絆」を、教会とその羊たちの絆と比べ、「母親たち、父親たちは私たちに責任をとるように求めています-それは、司教、高位の聖職者である私たちが未成年者に対する性的虐待の実態と被害に、しばしば盲目である、ということを知らないからです。彼らは、今、私たちの教会で追求すべき二重の現実-教会における聖職者による性的虐待を根絶しようとする終わることの無い努力と、しばしばそのような虐待を育てた聖職者文化の否定-を目の当たりにしているのです」と自らを含めた司教たちの責任の重さを指摘した。

 枢機卿は、今後取り組むべき仕事についても言及し、制度的、法的な説明責任の仕組みの在り方について「司教たちによる捜査の基準の設定」「(被害の)申し立ての報告」「具体的な手順」の三つを提起した。

 最後に、枢機卿は「懸案として残っている問題は、司教、あるいは自発教令“Sacramentorum sanctitatis tutela” と “Come una madre amorevole”で定義された高位聖職者の地位はく奪を正当化することのできる『重大な理由』がある場合の訴訟手続きの明確化」であるとし、性的虐待に関する教会の規律の制度的実態に新しい魂を吹き込むために、司教たちが説明責任を果たすための、しっかりとした法令と制度の確立に取り組むよう、参加司教たちに強く求めた。

(枢機卿の基調報告の全文はwww.pbc2019.orgに)

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2019年2月23日