・「10人の司祭のうち3人は司教になることを嫌がる」とバチカン司教省長官(LaCroix)

(2019.12.13 LaCroix  Xavier Le Normand)

 バチカン司教省の長官、マルク・ウエレット枢機卿がスペインのカトリック新聞Vida Nuevaとのインタビューで、司教になることを辞退する司祭の割合が最近10年で3倍になったことを明らかにした。ミトラを着けることは、すべての司祭が望むことではない。それどころか、司教叙階を提示された時、それを辞退する司祭が年々、増えているのだ。

 司教の任命と管理に責任を持つ省のトップであるウエレット枢機卿によると、司教になるように求められた司祭10人のうち3人が拒否する、という。「おそらく、彼らは自分に(注:司教を務める)能力があると思わず、信仰が不足し、人生に困難を感じ、教会を害するリスクを冒さないことを好んでいるためでしょう… (注:断るための)立派な、様々な理由がある」と枢機卿は述べたうえで、「この現象は、信仰の一般的な危機と関係している」と語った。

 司教就任を拒否する司祭が増えてはいるが、世界全体でみると司教の数は毎年、わずかではあるが増えており、現在、世界全体でその数は約5,400人に上る。

 教会の管理・運営は以前よりも公衆の目にさらされる度合いが高くなっており、司教たちは、特に自分の教区の聖職者が犯した性的虐待事件への対応で、教区運営に気を遣うことが多くなっている。彼らの責任は今や、メディアを通じて、法廷に出る前に、民法上も教会法上も、たやすく表ざたにされてしまう。

 バチカンにおいてでさえ、司教になることを望まない司祭がいる。11月に財務事務局長に任命されたフアン・アントニオ・ゲレロ・アルベス神父は、バチカンでの仕事が終わったら速やかに原籍のイエズス会に戻るために、司教の叙階を受け入れようとしないだろう。

 

テルナ

 司教の任命の手順は、教会法で厳しく定められているー新たな司教の任命を希望する国の司教たちは「司教に最も適した司祭」のリストを作成し、現地のバチカン大使に提出し、大使は候補者について調べたうえで、3人の候補者の名前(テルナ)をバチカンに送る。候補者名簿の送付を受けたバチカンの司教省は、点検したうえで、教皇に提案を出し、教皇は「自由」に司教を任命する。

 ただし、この手順は、(注:1801年にフランス皇帝ナポレオン1世と教皇ピオ7世 によって結ばれた)政教条約で現在も規定されているアルザス・モーゼルのように、世界の特定地域によって異なる場合がある。

 加えて、教会法は、司教になるためにいくつかの条件ー高度な堅実な信仰、高い道徳的水準、信心深さ、魂の熱意、知恵、慎重さと人間的な美徳ーを定めている。さらに、「良い評判」があること、年齢は若くても35歳以上であること、司祭に叙階された5年以上が経過していること、そして少なくとも、神学または教会法に関するテーマで学位を持っていること、などである。

 教皇フランシスコは、このような手続きを無効にするかもしれない。ギニアのロバート・サラ枢機卿は、1979年に34歳で司教に叙階された。

*「もっと少ない教師ともっと多い司牧者」

 Vida Nueva紙とのインタビューで、ウエレット枢機卿は「理想的な司教像」を明らかにし、「信仰の真理を強調するだけでは、司教として十分ではありません… 司教は慣れがなく、牧者として優れていることが必要だ」と強調した。そしてまた、「貧しい人々への共感」を持つこと」を求めている。

 さらに、「教皇にとって、貧しい人々は観念ではなく、福音的です」と強調し、「キリスト教共同体は、具体的な慈しみの働きを通して刷新されるものだ」ということを「司祭たち、司教たちが理解していない」ことに遺憾の意を表明した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2019年12月16日