・「虐待犠牲者たちの声を聴き、信じよう」とオーストリア司教協議会会長(Tablet)

(2019.2.15 THE TABLET  Christa Pongratz-Lippitt) 21日からの”性的虐待サミット”を前に、オーストリア司教協議会の会長、クリストフ・ショーンボルン枢機卿が15日、教皇フランシスコにビデオ・メッセージを送り、性的虐待問題を扱う際に最も重要なことは、被害者たちの声に耳を傾け、そして何よりも彼らを信じることです」と訴えた。

 枢機卿は「これまでの30年間、私は多くの性的虐待の被害者たちに語ってきました。そこで私が学んだ最も大切なことは、耳を傾ける、ということです」と述べ、被害者にとって恐怖の敷居は格別に高いものとなっている、としたうえで、彼らが受けた虐待について、語ることができる、と思えるまでに、とても長い時-20年、あるいは30年-を要する、と指摘。「決定的な問題は、私たちが彼らを信じるかどうか、です。虐待被害者は、これまであまりにも多く、”押しのけられ”、信じてもらえない、という経験をしてきたのです」と述べた。

 ビデオ・メッセージを公表した後、枢機卿は記者団に対して、教皇が「被害者たちと会い、彼らの置かれた状況について知る」ように司教たちに強く求めるのは、正しいやり方だ、とし、あらゆる文化的背景をもってサミットに参加する司教たちが性的虐待について開かれた姿勢を持たねばならない、と強調。「もしも文化を変えることに心を開くなら、それは被害者たちに堂々と語るようにと励まし、加害者に警告し、司教たちの責任-別の方向を見たり、揉み消したりしないこと-を自覚させることになります」と語った。

 さらに、枢機卿は、「沈黙の掟」がいまだに世界に蔓延していることを慨嘆する一方で、聖職者による性的虐待の問題が世界的な問題とされるようになってきたことを評価。「#Metoo運動」がその保証となっている、として、「それがどれほど辛いことであっても、それはチャンスであり、文化の大きな変化につながること」への期待を表明した。

 また、枢機卿が若い時に子供たちを鞭で打つような教育が行われていたことを取り上げ、「そうした事に関する限りは、社会は変わった。しかし、性的虐待と権威の濫用に関しては、変化は始まったばかりです。その変化は、社会全体に影響を及ぼす文化的な変革であり、好ましいことです」と強調した。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年2月20日