今回で5回目となるこの会議には、人身売買の問題を扱う警察関係者、研究者、政治家、被害者に司牧的支援を行なう教会関係者たちが参加し、世界各地に様々な形ではびこる人身売買と奴隷化の現状と対策について話し合った。
教皇は出席者への言葉で「この会議で明らかにされたように、現代の新しい奴隷制度は、私たちの社会の最も豊かな内部にまで広がっていることに驚かざるを得ません」と話され、「お前の兄弟はどこにいるのか」(創世記4章9節参照)という神のカインに対する叫びは、「特に性的取引や、弱い立場の人々や子どもたちへの搾取を蔓延させる社会の中の様々な形の『共犯性』を真剣に糾明するように、私たちに求めているのです」と訴えた。
人身売買との闘いは犯罪組織を壊す目標をもって行なわれるが、教皇は「そのためにはより多くの分野の人々が協力し合い、『コミュニケーションの技術や手段の責任ある使用』や『利益よりも人間を優先する経済倫理の研究』が必要です」と具体的な努力を求められ、最後に、今回の会議が「人身売買の被害者の社会復帰と尊厳の回復に役立つ」ものとなるように希望するとともに、「苦しむ人にいつくしみの香油をもたらすあらゆる努力は、社会全体の再生と刷新に必要な一歩」とし、人身売買撲滅などのための参加者たちの取り組みに感謝された。
(バチカン放送の日本語版をもとに「カトリック・あい」が編集しました)