使徒憲章「真理の喜び」発表「効果的な福音宣教にカトリック大学改革が急務」

 この使徒憲章は「真理の喜びは、すべての人の心を、神の光と出会い、そこに住み、それをすべての人と分かち合うまでは平安を得られないものとする、胸を焦がすほどの願望を伝える」という言葉で始まり、カトリック大学と教会系の学部の改革を通して、カトリック研究の刷新を推進することを目的としている。

 教皇は序文で「真理とは抽象的な概念ではなく、それはイエス、命であり、人々の光である神のみことばです」「教会はイエスによって、絶えず、常に新しい情熱をもって、この喜びを証しし、その使命を告げるよう促されています」と述べ、「人間、社会・環境の危機等に特徴づけられた社会・文化の世界規模の変化」を背景に、教会に関する学究の叡智と勇気ある刷新を行なうことは、使徒的勧告「(家庭のおける)福音の喜び」でも指摘した「新しい時代における、より効果的な福音宣教のために急務となっています」と強調している。

 また、教会を「すべての神の民が参加する‶外に向かう〟宣教的なものに変容させる」ために、大学が単に「司祭や修道者や信徒に育成の場とプロセスを提供する場」であるだけでなく、「イエス・キリストの出来事から現実を読み取るための一種の文化的実験室」となることを希望されている。

 このことを「パラダイムの根本的な転換」「勇気ある文化的な革命」と呼ばれた教皇は、カトリック系の大学・学部の世界ネットワークが「イエス・キリストの福音、常に新しい場面、提案に開かれた教会の生きた伝統のパン種、塩、光となって決定的貢献をもたらす」ように願われた。

 さらに教皇は「人生・世界・人間をより良く理解するための真の聖書解釈が今日必要とされています」とし、総括的なものではなく、霊的探究の環境、理性と信仰に基づく確信の伴う研究を求められた。また、「哲学と神学は『開かれた精神』と『ひざまずく態度』をもってのみ、豊かな実りをもたらす」と述べ、「完結した思想に自己満足を得る神学者は、凡庸」であり、「良い神学者・哲学者は、開かれた考え、すなわち、いつも未完の神と真理に開かれた常に発展する思考を持っている」としている。

 教皇は「外へと向かう宣教的な教会を目指す上での学問の刷新と貢献のために必要な基礎」として、まず「イエスの常に新しく、魅力的な福音が教会生活、 人類の中でより具現化していくこと」を観想し、「隣人の聖なる偉大さを見つめ、すべての人間の中に神の発見を可能とする普遍的兄弟愛を知ること」を挙げている。そのうえで、真の出会いの文化として「信者はもとより信者でない人も含めた、あらゆる分野との対話」を提案、「知識のための一致という原則のもと、大学や学科を超えた叡智と創造性ある研究」を希望されている。

 最後に「世界中の様々な教育機関がネットワークの構築を通して、教会系の研究を育て、推進していくことが急務」とし、「キリスト教神学と文化は、最前線で危険にさらされながらも忠実に生きた時に、宣教の使命に値するものとなります」と強調、カトリック系大学と学部も「今日の大きな文化的・霊的・教育的挑戦の中で、再生の長いプロセスを必要とするでしょう」と記している。

(バチカン放送日本語版を基に「カトリック・あい」が編集しました)

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2018年1月30日