☩「平和への努力を、まず自分の社会・共同体から始めよう」-教皇、アブダビで18万人参加のミサ

(2019.2.5 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、アラブ首長国連邦訪問の最終日となった5日、首都アブダビの複合競技施設ザイード・スポーツ・シティでミサを捧げられた。。

 ミサには、アラブ首長国連邦とその周辺国からカトリック信者、競技場の内外合わせて約18万人が参加。ラテン典礼で捧げられたミサには、東方カトリック教会の豊かな典礼様式も反映し、カルデア、コプト、メルキト・ギリシャ、マロン、シリア・カトリック、シリア・マラバル、シリア・マランカラなど様々な典礼の信者たちも加わった。また4千人のイスラム教徒と、寛容担当省の大臣も参列した。

 教皇はミサの説教で、イエスの「山上の説教」における「真福八端」(マタイ福音書5章1-12a節)を取り上げられ、「イエスが『幸いな人々とは、金持ちでも、権力者でも、成功者でもない』と教えておられるように、ここでは一般に考えられていることが否定されています」とされたうえで、「イエスにとって『幸いな人々』とは、貧しく、柔和で、人から良く見られなくても、義を貫き、迫害される人々なのです」と強調された。

 また、イエスはご自身の行いを通して「『偉大な者』とは、所有する者ではなく、与える者であることを教えられました」、そして「キリスト者に要求されるのは、偉大な事業や功績を成し遂げることではありません。『真福八端』を、生きるための地図としながら、清い心をもって、人々に慈しみ深く、試練の時も神と一致しながら、私たちの人生という、ただ一つの作品を実現させることです」と説かれた。

 そして、「『キリスト者』とは、平和の実現のために招かれた者」とされ、「その平和への努力を、まず、自分の置かれた社会・共同体で始めるように」と求められた。

 さらに、キリスト教徒の移民たちの苦しみや未来に対する不安に思いを向けた教皇は、「困難や孤独に苦しむ時も、神は隣を歩いておられ、新しい道を開いてくださいます。それは、神は新しいことを得意とされる方であり、砂漠にさえも道を開かれたからなのです」と祖国を遠く離れて暮らす信者たちを励まされた。

 教皇はこのミサでアラブ首長国連邦の訪問を終えられ、5日正午過ぎ、イタリア時間同日夕、ローマに戻られた。

 イスラム教徒が大多数を占めるアラビア半島を、歴代のローマ教皇として初めて訪問され、そこでミサを司式されたのは歴史的なこととあり、少数派であるカトリック信者たちの喜びは非常に大きかった。アラブ首長国連邦内のカトリック信者は、人口の約10%と見られ、その多くが、インド、フィリピンなどのアジア諸国、また他地域から職を求めて移り住んでいる人々だ。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年2月6日