ローマ発―聖職者による性的虐待問題が教皇フランシスコに降りかかり、一部に開催延期の声も出ていた「若者、信仰と召命の識別」をテーマとするシノドス(全世界代表司教会議)が、予定通り10月3日から28日までバチカンで開かれることになった。15日、バチカンから同シノドスの出席者リストが公式発表され、予定通りの実施が確認されたものだ。
出席者は約300人で、全世界から各国の司教協議会あるいは教皇自身が指名した枢機卿、司教、司祭、一般信徒から成る。具体的には、2015年の前回シノドス閉幕時に選ばれていた15人のシノドス組織運営委員会メンバー、各国司教協議会指名の151人、それに教皇指名の39人に、バチカンの諸官庁のトップ、監査役、東方教会代表、修道会会長連盟が指名した代表者たちが出席する。
教皇が指名した高位聖職者たちの顔ぶれは、社会問題と欧米以外の途上国地域に対する教皇の関心を示すだけでなく、教皇の盟友が目立っている。具体的に名を挙げれば、独ミュンヘン大司教でドイツ司教協議会長のラインハルト・マルクス枢機卿、米シカゴ大司教のブレーズ・キューピッチ枢機卿、米ニューアーク大司教のジョセフ・トービン枢機卿、ローマ司教代理のアンジェロ・デ・ドナティス枢機卿で、マルクス枢機卿以外の全員が教皇フランシスコによって枢機卿に任命されでおり、彼ら全員が教皇の腹心の友、と見られている。
高位聖職者以外の教皇指名者で注目されるのは、イエズス会が発行し、世界最古の定期刊行物とされているLa Civilta’ Cattolica誌編集長のアントニオ・スパダロ神父、バチカンの人間開発のための部署で移民・難民部門担当の副長官を務めるマイケル・ツァーニィ―神父の2人で、いずれも教皇フランシスコと直接にやりとりする関係を持っている。
このほかの注目人物は、カナダ・ケベック大司教のジェラルド・シプリアン・ラクロア枢機卿、バチカン市国行政長官のジュゼッペ・べルテロ枢機卿、バチカン生命アカデミー総裁で新設のヨハネ・パウロ2世・結婚・家庭科学研究所所長のビンセンゾ・パグリア大司教、伊ボロニアのマッテオ・マリア・ズッピ大司教、ミラノのマリオ・エンリコ・デルピーニ大司教、そして、豪メルボルンのピーター・アンドリュー・コメンソリ大司教だ。
教皇指名の出席者には、その多くが教皇フランシスコから任命され、信徒の少ない教区や教会が困難な状況に置かれている教区のトップもいる。教皇は昨年、ミャンマーを訪問され、数少ない信徒を励まされ、ロヒンギアの難民ともお会いになったが、同国のチャールズ・ボー枢機卿を始め、中央アフリカ共和国のドウドンヌ・ザパラインガ枢機卿、メキシコ市のアギア・レテス枢機卿、エルサレム使徒的管理者のピエバティスタ・ピッザバーラ大司教、コンゴ民主共和国のフリドリン・アンボンゴ・ベスング大司教、パキスタン・カラチ大司教のジョセフ・カウツ枢機卿たちだ。
そのほか、欧米から離れた地域からは、ウルグアイのダニエル・フェルナンド・スターラ・ベルハウエト枢機卿、ケープ・ベルデのアーリンド・ゴメス・フルタド枢機卿、パプアニューギニアのジョン・リバット枢機卿、ラオスの教皇代理のルイマリー・リン・マンカネコウン枢機卿、マダガスカルのデジレ・ツアラハンザ枢機卿、アンゴラのガブリエル・ムビリンギ=ルバンゴ大司教が出席する。同じく出席予定者のパナマのホセ・ルイス・ラクンザ・マソトロホアン枢機卿は、来年1月のワールド・ユース・デイの準備で重要な役割を果たしているが、総じて、意外な人物は出席リストにあまりみられない。
そうした中で、意外な出席者は、ローマの聖ヨハネ大聖堂の音楽監督でローマ教区聖歌隊の指揮者であるマルコ・フリシナ師だ。彼は、教皇の祈りのいくつかに曲をつけ、ローマで高い名声を挙げている人物だ。