・教皇フランシスコは2019年も多忙な日程(VaticanNews)

(2018.1.2 VaticanNews Devin Watkins)

 教皇フランシスコの日程は、聖職者による未成年性的虐待への対応を話し合う2月のサミット、10月のアマゾン地域シノドス、外国訪問が、アラブ首長国連邦(UAE)、パナマ、モロッコ、ブルガリア、マケドニアなど、そして、バチカン改革の継続…と、2019年も多忙な一年となりそうだ。

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*外交団との年頭会見でー国際社会へのメッセージ

 教皇の主な公式行事は、駐バチカン外交団との恒例の年頭会見。国際社会に対する強力なメッセージを発する機会として使われることが多い。昨年は国連人権宣言70周年に合わせて、3000年期の現在も多くの人権、とくに生存の権利が侵されていることへの、世界の人々の認識を新たにする契機とする希望を込めた。

*パナマに全世界の若者たちが集まるWYD

 2019年の教皇外国訪問は、1月の23日から28日まで、パナマで開く第34回ワールド・ユース・デイ(WYD)への出席で始まる。昨年11月に出されたビデオ・メッセージで教皇は、若者たちに、長椅子から立ち上がり、夢、理想、そして勇気を通して、この世界を良くする働きをするように、と呼びかけている。

*アラブ首長国連邦訪問ー異宗教対話と連帯の推進

 2月は教皇にとって、特別に多忙な月となりそうだ。3日から5日まで、フランシスコは歴代の教皇として、初めて、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問する。訪問の最大のテーマは、異宗教間対話と異なる信仰を持つ人々との連帯だ。UAEの指導者たちは、2019年を、宗教原理主義に束縛されない文化の推進という目標を掲げる「寛容の年」とすると言明している。

*枢機卿会議と教皇庁組織改革

 2月18日から20日にかけて、第28回枢機卿会議がバチカンで開かれる。焦点は教皇庁の組織改革だ。新提案は昨年末に教皇に出されているが、その狙いは、バチカンの管理・運営体が福音宣教する教会の求めにもっと的確に対応できるようにすることだ。

*性的虐待問題で2月に全世界司教協議会会長会議

 2019年の教皇の予定の中で恐らく最も注目されているのが、2月21日から24日までバチカンで開かれる会議だ。未成年や弱い成人に対する虐待をいかに防ぐかを議論するため、教皇は全世界の各国司教協議会会長との話し合いを持つ。会議は、教会の構成員の中の人々によってなされた性的虐待にとどまらず、力と心の虐待に対する戦いにおいて、極めて重要なものとなることが定められている。昨年末の教皇庁職員に対する恒例の講話で、教皇は、真実と正義を進むことに、いかなる言い訳も容認されない、と語られている。 

*モロッコ訪問ーイスラム教との相互理解と対話

 3月30、31両日、聖ヨハネ・パウロ二世教皇の訪問から33年ぶりに、モロッコを訪問される。彼の業績を受け継ぎ、キリスト教とイスラム教の相互理解と宗教間対話を進める考えだ。

*ブルガリア、マケドニア訪問-ギリシャ正教との信仰一致の推進

 4月に外国訪問を一休みした後、5月5日から7日にかけて、教皇はブルガリアとマケドニアを訪問する。ブルガリで、首都・ソフィアとラコウスキを訪れた後、マケドニアの首都で、マザーテレサの生地であるスコピエに回る。バルカン半島で正教徒が多数を占めるこの二つの国で、カトリック教徒は少数派であることから、信仰一致の推進が教皇の訪問の主な狙いだ。

*日本訪問を希望-四百有余年前の少年遣欧使節も想起

 まだ公式決定ではないが、教皇フランシスコは日本からのバチカン訪問団に対して、2019年に日本を訪問する希望を表明されている。訪問団との会見で、教皇は、1585年に少年遣欧使節がイエズス会宣教師たちと共に教皇グレゴリオ13世の表敬のためにローマに到着したことを思い起こされた。

*そして、アマゾン地域シノドスへ参加-環境保護などがテーマに

 年の後半、アマゾン地域の問題のため司教たちが集まる地域シノドスに参加する。「アマゾン-教会のため、かけがえのない環境のために新たな道」がテーマとなるが、環境に限らず、多くのテーマが、7つの司教協議会と九つの国の会議の関心を引くことだろう。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年1月4日