・教皇が来年末にも広島・長崎訪問の意向ーだが慎重な判断が必要

(2018.12.20 カトリック・あい)

  教皇フランシスコは現地時間17日、前田万葉・枢機卿・大阪大司教、高見三明・長崎大司教と会見した際、来年末にも被爆地の広島、長崎を訪問する意向を示した。

 テレビ長崎などが伝えたもので、前田枢機卿らが、被爆地の広島と長崎、それに東日本大震災の被災地・福島の訪問を要請したのに対して、教皇は「2019年の終わりごろ、被爆地を訪れたい」と述べたという。訪問の時期は外務省なども入って、調整中だが、長崎県内の関係者によると、11月ごろが濃厚だという。実現すれば聖ヨハネ・パウロ二世が1981年2月に訪問以来、教皇として38年ぶりの訪日、被爆地訪問となる。

 ただ、教皇の外国訪問に関しては、韓国の文大統領がこのほどバチカンで教皇を会見した際、米国との間で暗礁に乗り上げつつある核廃棄問題の打開を狙って、北朝鮮訪問を求めたと伝えられている。中国も、バチカンとの司教承認に関する暫定合意を受ける形での教皇訪中を実現し、米中関係険悪化の中でバチカンを”味方”に引き入れようとの思惑が出てきている、との観測もある。

 このような複雑、深刻な東アジアの国際情勢と関係国の思惑が”教皇訪問”に、単なる”善意”では済まない、微妙な影を投げているのは否定できない。バチカンに慎重かつ賢明な判断が求められる。

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2018年12月20日