・教皇、若者テーマのシノドス受けた使徒的勧告「Christus vivit( カトリック・あい仮訳:キリストは生きておられる)」発表

(2019.4.2 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、昨年の若者をテーマとしたシノドスの成果をふまえた使徒的勧告「クリストゥス・ヴィヴィト」を発表された。典礼暦で「神のお告げ」を祝った3月25日、イタリア中部ロレートを訪問下際、聖母巡礼聖堂に保存される「サンタ・カーサ」(ナザレのマリアの家族が暮らし、マリアがそこで受胎告知を受けたと伝えられる家)の祭壇でミサを司式した後、「使徒的勧告」に署名された。

勧告の正式タイトルは「教皇フランシスコの若者たちとすべての神の民への使徒的勧告・クリストゥス・ヴィヴィト」。「クリストゥス・ヴィヴィト」は、序文の書き出しの言葉「キリストは生きておられます」から採られている。原文はスペイン語、全9章、299節からなる。

書き出しで教皇はこのように記される。

「キリストは生きておられます。キリストはわたしたちの希望、この世界で最も美しい若さです。キリストが触れるすべてのものは、若返り、新たにされ、いのちにあふれます。ですから、わたしは一人ひとりの若いキリスト者にこの最初の言葉を向けたいのです。キリストは生きておられ、あなたが生きることを望まれる、と!」

各章のポイントは以下の通り。

第1章「神のみことばは若者について何を言っているか?」では、教皇は旧約と新約聖書の記述を豊富に引用しつつ、神が若者をどのように見ておられるかを考察。イエスは大人が自分より若い人たちを軽視することを好まれず、「あなたがたの中で一番偉い人は、一番若い者のようになりなさい」(参照:ルカ 22,26)と言ったことを思い起こす一方で、「若い人たち、長老に従いなさい」(1ペトロ5,5)と、聖書が年長者への尊重を説いていることも指摘されている。

第2章「イエス・キリストは常に若い」において、教皇はイエスご自身も青年時代を過ごされたことに注目。若きイエスと家族や人々との関係を考えることが、青少年司牧に役立つと助言している。また、教皇は、「教会の若さ」にも触れ、教会が過去に留まることなく、自由であることを願われている。

第3章「あなたがたは、神の現在である」で、教皇は、若者たちは未来だけでなく、まさに今現在を生きていることを強調。それにえに、若者たちに耳を傾け、若者たちが置かれた様々な状況を知ることが大切と述べている。

第4章「すべての若者への偉大な知らせ」では、教皇は、何にもまして大切な3つの偉大な真理を若者に告げることを望まれている。その真理とは、1.「神はあなたを愛しておられる」、2.「キリストはあなたを救う」、3「キリストは生きておられる!」である。

第5章「青年期の道のり」では、福音に照らされた若者たちがどのように青年期を過ごすべきかを考える。教皇は、青年時代が、選択期間として中断された時間になってはならないと述べ、人生をただ眺めていないで、不安や恐れに負けず、「生きる」ようにと招いている。そして、成長するために常にイエスとつながり、他の人に自分を開くようにと勧めている。

第6章「ルーツをもった若者」で、教皇は、「ある時、若木が希望の象徴のように伸びているのを見たが、嵐の後に見ると、倒れて枯れていた。それはよく根を張っていなかったからである」と述べ、ルーツを持たずして未来はありえず、世代間の断絶は世界によい結果をもたらさないという確信を表している。

第7章「若者の司牧」において、社会・文化的な変化に絶えずさらされ、時に青年たちの不安に回答を与えられない青年司牧を見つめた教皇は、若者たち自身がその主役となり、司牧者らの指導のもとに、創造的で大胆な新しい道を切り開いていくことを望まれた。また、カトリックの教育者たちに対し、若者たちの自由を尊重しながら寄り添い、裁くのでなく、耳を傾けることが大切と述べている。

第8章「召命」で、教皇は、神が一人ひとりに望まれる素晴らしい計画に触れ、特に基本として、家庭と仕事の形成を挙げ、結婚し、家庭を持つことを恐れないよう励ましている。同時に、教皇は、神に奉献する生き方をも示し、神の呼びかけを知り、それに従うことは、あなたの人生を満ち満てるものにするだろうと述べている。

最終章である、第9章「識別」では、教皇は、自分の召命を発見するために必要な、孤独と沈黙に触れている。教皇は若者たちの召命への歩みを助ける者に要求されることとして、注意深く耳を傾ける力、誘惑と恵み、真理と偽りの違いを見極める力、本当に相手がないたいもの、到達したいものを知る力を挙げられた。

(編集「カトリック・あい」)

  ⇒英語の勧告要約版、公式発表の英語版全文は「特集」に

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年4月3日