・教皇、「若者シノドス」を受けた使徒的勧告「Christus vivit( 仮訳:キリストは生きておられる)」に署名ー要点を説明

(2019.3.25 バチカン放送)

 教皇フランシスコは25日、訪問先のイタリア・ロレートで、昨年10月の”若者シノドス(全世界代表司教会議)での議論をもとにした若者司牧の指針となる使徒的勧告「Christus vivit( クリストゥス・ヴィヴィト=「カトリック・あい」仮訳:キリストは生きておられます)」に署名された。勧告全文は近く発表される予定。

 教皇は同日、バチカンで典礼暦の「神のお告げ」を祝った後、イタリア中部ロレートの聖母巡礼聖堂を訪問された。巡礼聖堂に保存されたマリアが受胎告知を受けたと伝えられる家「サンタ・カーサ」で長い祈りの時を持たれた後、ミサを司式され、終わりに使徒的勧告に署名し、文書を聖母に託された。

 「若者、信仰そして召命の識別」をテーマとしたシノドス第15回通常総会をもとにした使徒的勧告は、スペイン語を原文とし、若者への書簡の形をとっているという。

 教皇が使徒的勧告をバチカンの外で署名した前例としては、聖ヨハネ・パウロ2世がアフリカをテーマとしたシノドスを受け、1995年、アフリカ司牧訪問の際、使徒的勧告「エクレジア・イン・アフリカ」に署名したことがある。ロレートの聖母巡礼聖堂は、聖ヨハネ・パウロ2世やベネディクト16世が若者たちとの集いを開き、巡礼やイベントを通して青少年と強く結ばれた場所でもある。

 今回の若者をテーマとしたシノドスの歩みは、ローマから出発し、パナマでの「ワールドユースデー」を経て、ロレートの聖母の家へと続いたことになる。

(編集「カトリック・あい」

【教皇が説明された使徒的勧告「Christus vivit」のポイント】

 (2019.3.25 VaticanNews  John Waters)

 教皇フランシスコはロレート訪問の間に、使徒的勧告「Christus vivit」のポイントについて説明された。説明によると勧告は「聴くこと」「識別」「決断」の3部構成で、10月の若者シノドスの3段階の過程を踏まえ、聖母マリアへの天使のお告げの物語に関連させたものとなっている。

 教皇はまず、こう語られた。「始まりの時は-『聴くこと』の始まりですが-天使のこの言葉によって告げられますー「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を生む。その子をイエスと名付けなさい」(ルカ福音書1章30‐31節=訳は「聖書協会共同訳」。以下も同じ)。ご自分に付き従うように人々に求められることに主導権をお取りになるのは、いつも神なのです」。

 さらに、説明を続けられ、「若い人々は、神の求めを聴くために、静寂と沈黙の時を見つける必要があります。神の声は騒音と動揺の最中では聞こえません。静寂と沈黙が若い人々が見つけ出すのを助けるのです」。それは「私たちの個人的、社会的人生に神が用意された計画は、表面に留まっていては理解できません。もっと深いところに降りていくことで理解できます。そこには道徳的、霊的な力が働きます。そこに降りて来て、神の働きに波長を合わせるように、マリアが若い人々を促すのです」とマリアの働きを強調。

 次に「識別」について、識別は「『どうして、そんなことがありえましょうか?』(同1章34節)という、マリアの言葉で表されています。マリアは疑いを持ちません-彼女の問いかけは、信仰が欠けているからではなく、神が自分を驚かせることを知りたい、という熱意の表明なのです。彼女には、自分の人生に神の用意された計画で求められていることをすべて理解しよう、様々な面でそれを知ろう、共同作業をもっと責任のある、完全なものにしよう、とする心配りがあります」。

 三つ目の「決断」については、「決断は、一人一人のキリスト教徒の召命を特徴づける第三の段階です。そして、これは、天使に対するマリアの答えによって、はっきりと示されています-『お言葉どおり、この身になりますように』(同38節)。(注:神のキリストにおける)顕現によって実行に移された神の救いの計画、に対する彼女の『イエス』は、彼女の全人生を神に委ねることです。それは、神の御意思に対する完全な信頼と、完全に開かれた心の表明としての『イエス』なのです」と語られた。

 また、教皇は、おとめマリアを「キリストの弟子の模範」と強調し、今日の若い人々は「自分たちの人生に神が用意された計画を探す時に、模範として彼女に倣おうとしています」とされた。そして、マリアが家庭の中で様々な立場-娘、婚約者、花嫁、そして母として-暮らした。だから、すべての若い人々も、人生でどのような役割が与えられるか、神からどのような呼びかけがあるか、に関係なく、「彼女の中に倣うべき模範とインスピレーションを見出すことができるでしょう」と指摘された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2019年3月26日