・シノドス第二週:女性、迫害、忘れられた人々、回勅「フマネヴィテ」

(2018.10.12 Vatican News  Russell Pollitt, SJ)

 シノドス第二週目の12日の定例記者会見によると、同日の全体会議では、女性の役割、迫害、忘れられた人々、回勅「フマネヴィテ」など広範囲に議論が及んだ。

 米国のロバート・バロン司教とオランダのヨハネス・デ・ヨング司教は、議論が開放的な雰囲気の中で行われている、議論の主役は若者たちがなっており、司教たちも彼らに耳を傾けている、と感想を述べた。

 バチカン広報部門のパオロ・ルッフィーニ長官は、同日の全体会議で話し合われたことの要約を説明し、召命の識別にとどまらず全生活を通しての若者のケア、迫害されているキリスト教徒、女性の役割、聖職者による虐待、信徒との意思疎通、教育における教会の過ち、移民、世代間対話、生きた共同社会の活動についての新たな方法-時間的な制約があるにしても若者たちが彼らの求める”寄り添い”を見出せるように助けることのできる方法-の可能性、ミサ典礼が”文化遺物”に矮小化されないために、どのようにすべきか、などに議論された、とした。

*女性の役割

 この会見で、韓国のシスター・ミナ・クォンは、女性の役割の向上について強調し、「聖職者の下で働く女性は男性と同じ敬意をもって処遇され、女子修道者と一般信徒はこれまでよりも、『若者とともに旅をする役割』を担う必要があります」と述べ、「女子修道者は、聖職者の下で心理療法的なケアの仕事から除外されるなど、平等な責任と決定権が与えられていません」と現状を説明した。

 バロン、デ・ヨング両司教は「シノドスでは、女性に議決権与えられていないが、その意見は、シノドスの最終的な文書に反映されるでしょう」と述べ、シスター・クォンは「若者は不平等や排除に敏感で、協力と平等を望んでいます」と追加した。

*迫害と移民

 バロン司教は、キリスト教徒が迫害されているイラクの状況について「声をあげている人々に耳を傾けることは、助けになります」「信仰のために命を失っている人々がいることを理解する助けになります」と語り、ヨング司教は、イラクについて聞く時、「イラクのキリスト教徒のために自分は何をしているか」と自問せざるを得なくなる、と反省したうえで、『シノドスではグローバルな連帯についての疑問を検証する場でもある」と述べた。また同司教は、移民の問題にも触れ、「欧州諸国は移民の流入に不満を持っている。だが大局的な視点も必要」とし、ルッフィーニ長官は「移民は(欧州)大陸と(アフリカ)大陸の間の問題であるだけではなく、大陸そのものにとっての問題でもある」と指摘した。
った。

*精神的に渇望する若者、忘れられた人々

 バロン司教は「心を打たれた問題は、若者が精神的な指導を渇望していること」とし、「彼らは父であり母である教会を求めています。多くの若者の背景には不安定な家庭があり、導かれ、育てられ、教育される必要があります」と語り、また、重要な課題は「忘れられた人々―教会からの連絡もなく、宗教的な基盤もたない人々―にどのようにして手を差しのべるか」であり、教会はその手段を見つけねばならない」「ソーシャルメディアがその新しい手段になりうる」と語った。

*回勅「フマネヴィテ」

 また、バロン司教はシノドスでフマネヴィテ(人間の命)が今シノドスで議論されているか、との記者団の問いに、「直接的な議論はないが、明らかに問題として浮上しています」とし、「今の時期にパウロ6世が列聖されるのは”預言的な動き”。シノドスの文書を読めば、列聖が包括的に新しい意味をもたらし、彼が予測したことが預言的であったことが分かります。全体会議と小グループで結婚と家庭生活についてかなりの議論がされたが、これはフマネヴィテの預言的な本質を称える瞬間でもありました」と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」田中典子・南條俊二)

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2018年10月14日