・シノドス第二週始まる:「教会は “google”の神に零落されてはならない」

(2018.10.10 VaticanNews Russell Pollitt, SJ

 「若者シノドス」は2週目に入り、10日の全体会議の議論は、討議要綱の第2部に移り、若者たちが自分たちの信仰を生きようとしている今日の社会的な文脈に焦点が当てられた。

 バチカンの広報部門のパオロ・ルッフィーニ長官は同日の記者会見で、全体会議で出されたさまざまな発言について概要を説明。また、注目された初出席の中国の司教2人について、シノドス招待前に決まっていた予定があるため、最後まで参加しないことを明らかにした。

 10日の全体会議では、特に付き添うこと、人間形成、召命、新たな「全体主義」(若者たちを”植民地化”し、自由を奪う動き)、そして、若者たちが善なるものを識別するのを助ける場をどのようにして作るか、などが議論になった。また、ルッフィーニ長官は、デジタル社会の問題に関連して「教会は”google”の神に零落されてはならない」、結婚に関連して「教会は結婚で若者たちに”付き添う”ことに失敗している、結婚は儀式に落ちぶれるべきでない」などの意見が出された、と説明した。

*変わる社会の現実と若者たち

 メキシコのカルロス・アギア・レテス枢機卿は「社会の構造に合わせようと苦闘しているのは若者たちです」としたうえで、「私たちは社会が”複雑骨折”している時代に生きているーそれは、教会が、若者たちを助けことができるように、自らを合わせねばならないこと、を意味しています。第二バチカン公会議が示した共通のビジョンは、私たちが安定と前に進む道を作るのを助けることができるのです」と主張した。

 ルクセンブルクのジャン・クロード・オロリッシュ大司教(注・イエズス会士、前上智大学副学長)は「世界は今、文明の深遠な変化を経験しています」とし、若者たちと連携し、司教館で共に生活する中で、彼らが異なる生活をしていることを知った-「多くの若者は本をまったく読まず、 Netflix(インターネットのビデオやゲームの配給サイト)を見て、話題にしています」と自身の体験を語った。そして、「識別」は白黒についてではなく、「様々に異なる色と現実の影を知ること」であり、対立する意見についてではなく、「人の声を聴き、神が私たちにどうすることを望んでおられるかを感じ、知る能力」だとした。「これが、シノドスの全てなのです」。

*新たな「全体主義」、そしてポピュリズムの台頭

 レテス枢機卿は「全体主義」の問題に触れ、「全体主義は常に特に政治、経済の面で社会にとっての誘惑になります。様々なタイプの全体主義について、今回の会議で言及されました」と述べ、ある種のイデオロギーを生むように操作するウエブ上の匿名性の問題についても語った。

 オロリッシュ大司教はまた、「欧州におけるポピュリズムの台頭に懸念を抱いている」と述べ、ポピュリズムが欧州の分解を引き起こす可能性があり、これまで安定していた欧州大陸を危険に陥れつつある、と指摘。さらに、シノドスでは政治の問題に直接触れないが、もしも社会から取り残された人々に焦点を絞るのであれば、我々はポピュリズムの台頭を避けるために働かねばなりません。今回のシノドスはポピュリズムの良い解毒剤になります」と訴えた。

*喜ばしい協力

 米国から一般信徒の聴講者として参加したブリアナ・レジーナ・サンチャゴは、記者会見で「若者たちは、グループ討論で事前に予想されたよりもずっと多くの意見を述べ、コメントを求められました」と言い、「シノドスに参加できてどれほど素晴らしいか、言葉で表現できません。一緒に参加した若者たちからマイナスの経験をした、という話も聞いていません。自由な対話ができ、目を見張るような、内容豊かで、世代間の話もできました」と喜びを述べた。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

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2018年10月11日