・シノドス第一週、「討議要綱」第一部終える-「若者への理解と共感」を確認

(2018.10.9 バチカン放送)

 3日からバチカンで開催中の「若者、信仰そして召命の識別」をテーマとする「世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会」は9日、開会から7日目を迎え、「討議要綱」の第一部を終えた。

 シノドスの一週間目は、教皇の開会の言葉に続き、全体会議、そしてグループごとの小会議を通して、討議要綱の第1部「認める:現実に耳を傾ける教会」を討議してきた。小会議は、言語別に、英語4、フランス語3、ドイツ語1、スペイン語2、イタリア語3、ポルトガル語1の、計14グループに分かれて行われた。

 9日午前に行われた、第5回目の全体会議では、討議要綱の第1部の締めくくりとして、これまでの小会議での話し合いの内容がテーマとなり、特に若者への理解と共感、偏見のない対話の姿勢、信頼性のある教会の必要が強調された。

 司教たちは「若者たちは現実世界の『震度計』だ」とし、若者たちの存在をより高く評価し、教会活動への一層の参加を促し、その取り組みの成果を実際の生活や活動に生かすことが大切、との意見が目立った。そして、「若者たちを責任ある主役としてきちんとした過程のなかで育てることで、彼らの同世代への福音宣教が可能になる」との指摘もあった。

 また、小会議では「若者とデジタル文化」「教会の未成年虐待問題への対応」「移民問題」「堅固で統合的な教育の必要性」「家庭司牧の強化」「学び舎としての教会」などについて意見が出たほか、シノドスを通し若者に対するメッセージを発信することが提案された。

(編集「カトリック・あい」)

聴くこと、変わること、そして女性の役割-シノドス第一週の印象と第二週以降は(VaticanNews)

(2018.10.9 VaticanNews Russell Pollitt, SJ)

 9日のシノドス事務局の定例記者会見で、聴くこと、変わること、そして女性の役割も、現在開かれている「若者シノドス」のテーマになっている、と説明された。会見したインドのオズワルド・グラシアス枢機卿は、これまで一週間の議論から受けた印象として、「若者たちは、自分たちのことを真剣に受け止め、聴き、貢献することを認め、そして自分たちを信じてほしいと希望していることが分かった」と語った。

*話を聴く

 「聴くことは、今回のシノドスを進めるカギとなるものです」とフランスのシスター・ナタリー・ベクアルは言う。今回のシノドスの第一週は、若者たちの置かれた社会的状況を聴くことだったが、また、神が今、どのように働いておられるかを聴くことでもあった。グラシアス枢機卿は「司教たちは、シノドスの準備の段階で聴くことを始めました」と語った。第一週で、シノドスの運営委員会は、事前に贈った質問状の返事を10万件以上も受け取った。

 カナダのジェラール・シプリアン・ラクロア枢機卿は、全体会議と使用言語別に開かれた小会議で、若者たちがどのように考えを分かち合ったか、を説明した。彼は「とても力強い意見の交換がされました」と述べ、そして、まず話を聴き、沈黙の時間を置く、という、分かち合いの進め方が、参加者に聴いたことを理解する時間を持たせる、という意味で、役に立っている、と評価した。

*シノドスは第一週の「聴く」から第二週は「分析」に

 グラシアス枢機卿は、自分がとても心打たれたのは、若者たちが、世界中の教会に対して、ミサ聖祭がよりよくなされるのを確実にする強い呼びかけを、分かち合ったこと、感想を語り、さらに、シノドスの「第一部」が数多くの社会学的なデータをもとに議論を集中させたこと、今週行われる「第二部」では、そのデータを分析し、「第三部」で適切な司牧上の対応と進め方について目を向ける、というこれからの議論の進め方を示した。

  カトリック教会内部の動揺が今シノドスにも避けて通れない問題とされているが、それにもかかわらず、若者たちは教会に関心を持ち活動している、とマダガスカルのデジレ・ツアラハザナ枢機卿は、一週間の会議の感想を述べた。

*「転換」する教会へ

 マダガスカルの教会は、生活と信仰は切り離せないもの、教会全体が転換するようにとの真の呼びかけであることを分かって欲しいと、信徒たちに求めている、といい、自分の国では極度の貧困と失業がいかに人々を腐敗させているかを説明したうえで、若者たちがそれに侵され、壊死のような状態になっている、と現状を訴えた。そして、絶望的になった彼らは卒業証書や仕事を金で買っている。不正が不安を引き起こし、生活と信仰を切り離さないなら、極度の貧困という現在の状況の中で、自分を見失ってしまうのです、と自国の若者たちの状況に理解と助けを求めた。

 ラクロア枢機卿は、洗礼を受けたすべての人の転換の呼びかけを強調した。そしてその一環として、教会がすべての神の民に対して、よりよい手立てを提供する必要があり、情緒と性欲の分野で、司祭と修道者に特に求められること、と述べた。グラシアス枢機卿は、若者たちは、司教たちと同じように信頼できる教会を必要としているとし、こう語った-「過去に失敗があったなら、正さねばなりません」。

 *女性の役割の向上

 教会における女性の問題が改めて言及された。グラシアス枢機卿は「教会における女性の役割について、教皇フランシスコは、形だけの”地位向上”ではなく、責任のある、政策決定に関わるポストに就くことを望んでおられるのです」と語り、シスター・ベルアルも「若者たちから、女性の問題が強く出されたことに、感動しました。なぜなら、彼らは男女の関係が変化した世界に住んでいるからです」とし、また女性の問題は多くの司教たちが取り上げ、教会における女性の役割の責任の問題は聴いてもらえた、と思う、と述べた。シノドス参加者たちは、男女がともに歩む、全てを包む教会として生きようと努めている、と付け加えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年10月10日