・1月の「カトリック世界青年の日」大会は「若者シノドス」の”成果”の試金石に(Crux)

(2018.12.12 Crux Faith and Culture Correspondent Claire Giangravè

World Youth Day first testing ground for lessons of synod on young people

Pope Francis passes next to a group of faithful waving Panama flags as he arrives for his weekly general audience in St. Peter’s Square at the Vatican, Wednesday, Nov. 7, 2018. (Credit: AP Photo/Gregorio Borgia.)

 ローマ発ー「移民」「環境」「カトリック教会における女性の役割」が、1月にパナマで行われる「2019・World Youth Day(WYD)」の中心テーマになるとみられる。そしてこの大会は、10月の「若者シノドス(世界代表司教会議)」で示された諸原則にとっての試金石となるだろう。

 開催地パナマのホセ・ドミンゴ・ウロア大司教は12日のローマでの記者会見で、「移民問題が中心テーマの一つになるでしょう」と語り、また若い人々に焦点が合わされるのは当然として、今回のWYDでは特に、教皇フランシスコの環境回勅「Laudato Si」と教理に力点が置かれる、との見通しを示した。

  教会における女性の役割も、中心テーマの一つとなるが、大司教は「それはラテン・アメリカ、とくに中央アメリカで、『女性たちが共にいない教会』は考えられないからです」とし、教会における女性の役割の特別な象徴である「ファティマの聖母像」がポルトガルを初めて離れ、新年1月22日から27日まで大会会場に展示されることを明らかにした。

  「私たちにとって、『女性の役割』は特に重要です」と語る大司教は、世界中の若者が集まる今回のWYD大会は「歴史の中で女性が果たしてきた素晴らしい役割をさらに前進させる大きなチャンスになるでしょう」と強調した。

 大会の組織委員会によると、パナマの今回大会にはすでに155カ国から47000人の若者が参加登録済みで、さらに16万8000人が登録申請中だ。このほかに、大会の準備や運営に携わるボランティアがコロンビア、ブラジル、フランス、コスタリカ、ホンジュラス、ポーランドなど世界中から3万7000人に上る。

 大司教は「教会として、国として、私たちは何千人もの若者が大会に参加するのを歓迎する準備をしています」と述べ、10月の「若者シノドス」を受けて行われる今回の若者自身による大会が、彼らに、改めて「声をあげる」機会を提供することに期待を示した。そして、現在の南北アメリカの社会的、政治的状況からみて、移民問題が大会での議論の焦点になるのは想像に難くないとし、「移民たちの悲しい現実が、教会の中心にあり、ラテンアメリカで特別の関心事です」。

 さらに、大司教は「移民を強制され、多くが麻薬密売業者に苦しめられている若者たちの問題は、多くの人々が直面している沢山の難題の一つでしかありません」とし、「私は、教皇フランシスコがこの集まりに希望をもたらしてくださることを確信しています…。教皇が言及されるとであろうもう一つのテーマは、中央アメリカの若者たちが特に必要としていること、多くの機会の提供です」と教皇に期待を示した。

 大会組織委員会によると、参加を予定する若者たちの中で注目されるのは、中国からの243人、キューバからの450人。ヨルダンとパレスチナ自治区からもイスラム教徒が参加を予定している。ラテンアメリカの先住民も約1000人が参加することになっており、ウロア大司教は、環境問題の”最前線”にあるアマゾン地域の代表司教会議(シノドス)で扱われる話題についても触れる機会となることを示唆した。

 ラテンアメリカ諸国、とくにニカラグアとベネズエラでは、政治的な緊張状態が続いていることも、無視されないだろう。教皇はWYD参加中に、大会に招待された南米数カ国の代表やラテンアメリカ米国聖公会の代表とも会見を予定している。

 大司教は「大きな試練と挑戦に直面している地域の国々は連帯して対応しようとするでしょう。南米の教会は”殉教者の教会”であり、先に列聖されたオスカル・ロメロ師をはじめ多くの人々が、この地域の変革のために命を捧げています」「彼らは、若い人々にとって、明日ではなく、今日、後に続くことができる模範なのです」と強調した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年12月14日