・「表に出て移民・難民と出会い、知り合い、分かち合おう」タグレ国際カリタス会長が訴え

(2018.12.9 VaticanNews Robin Gomes)

 カトリックの国際援助団体、国際カリタス会長のルイス・タグレ枢機卿が9日、待降節のメッセージを発表。クリスマスを前にした世界の人々が、移民や難民の人々と「旅」を共にし、自分たちの共同体で彼ら共に短い巡礼を計画するなどして”心の地平線”を広げ、それによって、互いに知り合い、希望のきずなを固めるように訴え、「私たちの世界を変える可能性は、どのように旅をするか、どのように出会う人々に対応するか、にあるのです」と強調した。そして、そのための第一歩は、「神が与えられた尊厳を他の人の中に見ること。恐れ、偏見、あるいは嫌悪で顔を背けないこと」と語った。

*イエスは、私たちのものの見方に大変革を起こされた

  国際カリタスは、世界中のカトリック信徒たちに少なくとも一人の移民あるいは難民を知り、彼らの話を聴くように促すことを目的とした「旅を共にしよう」キャンペーンを2017年9月から始めている。世界中を連帯して歩く運動も支援している。

  フィリピン・マニラの大司教でもあるタグレ枢機卿はメッセージの中で、キリストの誕生と死に注意を向け、その誕生の時に移民となっていた聖家族は、「妊婦が必要とする世話ができない」ベツレヘムにとって、「多すぎるひと家族」だった、としたうえで、イエスのそのような蔑まれた環境での出生と屈辱的で苦痛に満ちた死にもかかわらず、その人生の出来事を通して、この慎ましやかな出自の方は、私たちがこの貧しく、軽んじられたご自身の姿をどの様に見るか、権力をどの様に考えるのか、そしてこの世界で、誰が勝者で誰が敗者と見るのか、の判断に「大変革を起こされたのです」と強調。

*聖家族も難民となった

 しかも、キリストの誕生を知らされたのは、無教養で社会から粗末に扱われた羊飼いたちで、金持ちの地主ではなかった。「イエス、マリアとヨゼフ、羊飼いたちと東方の三博士のように、私たちは強さ、忍耐、人間性、知恵、そして勇気が必要な旅に呼ばれています」とした。

 さらに、聖家族が”敗者”のカードを引き、エジプトで難民の一家となったことを指摘し、「イエスは私たちに、”敗者”と見なされる人などいない世界を見る新しい道に目を開くように、求めておられます」と述べ、「私たちの王がお生まれになったのは小さな、汚れた所で、お城の中ではなかった、私たちの社会でも、最も貧しく、最も粗末に扱われている人々が、私たちに希望の、真のメッセージを伝えてくれます」と語った。

 私たちの世界の移民、難民の人々のように、希望はいつも前に進む旅にある。「目を開き、他の人々に手を差し伸べることで、私たちは、自分の心が愛の大きな波によって前に運ばれ、自分の行き先が平和だ、ということを知るでしょう」と付け加えた。

バングラデシュにいるロヒンギアの難民たち

 タグレ枢機卿は、自身が先週、バングラデシュ南東部にあるミャンマー・ロヒンギア回教徒たちの難民キャンプを訪問する”旅を共にする”活動を行った。チッタゴン管区のコックスバザール県のクツパロン難民キャンプからのビデオ放送で、枢機卿は、待降節のあいさつとともに、希望のメッセージを送った。

 難民キャンプは、コックスバザール県に約30ありミャンマーのラカイン県に住んでいたが迫害を受けて、2016年から2017年にかけて隣国バングラデシュに逃げ込んできた人々が大半を占めており、その人数は100万人以上に上っているが、クッパロン・キャンプは最も大きい。教皇フランシスコも一年前にバングラデシュを訪問された際、首都ダッカでロヒンギア難民の代表たちとお会いになっている。

 クッパロン・キャンプを訪問した枢機卿は、現地で活動しているカリタス・バングラデシュのグループは小規模ながら「素晴らしい仕事をしている」と励まし、人々の苦しみの中で「カリタスの人々が、彼らにもたらしている多くの希望を、目の当たりにした」をその活動を讃えた。

 

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2018年12月10日