・「若者シノドス」閉幕一週間たっても最終文書はイタリア語のまま‐に批判の声

(2018.11.7 「カトリック・あい」)

「若者シノドス」は世界中から集まった司教、一般信徒代表などによる1か月にわたる議論を経て10月28日に閉幕したが、一週間以上たった11月7日現在になっても、その成果を世界中の司教、司祭、信徒に知らせるはずの最終文書がイタリア語の原文のまま、主要外国語に翻訳されたものが発表されていない。

カトリック教会は半世紀前の第二バチカン公会議で、これまで「公用語」として全世界の教会の典礼などに使われていた「ラテン語」を改め、各国、各地域の言語を使用するようにしたが、今回のシノドスでは、小会議こそ英語、ドイツ語、フランス語など主要言語別に議論が行われたが、全体会議はイタリア語で、最終日前日に配られた最終文書原案はイタリア語、それがパラグラフごとに司会者が読み上げる時に主要言語による同時通訳がされたにとどまった。

結果、パラグラフごとに3分の2以上の賛成をもって、採択された正式の最終文書もイタリア語のみ。主要言語の翻訳版が同時に出されることはなく、採択後の記者会見で、バチカン広報から翻訳版の発表期日について具体的な説明はされないまま、現在(7日)に至っている。

 これについては、関係者から疑問や批判が上がっており、有力カトリック・ニュースサイトの「Lacroix International」も、2日付けで、この問題を取り上げ、「1か月にわたるシノドスで最大のスキャンダルは、ローマを本拠とする組織者たちによる、この会議の主要文書類‐採決に付された最終文書を含めて‐の翻訳版の提供の拒否、ないしは、そうすることへの関心の完全な欠如だった」と批判した。

 さらに、「すべては、何の断りもなく、イタリア語で書かれ、配布された」「これまで、シノドスの全ての文書はイタリア語版が出来てから24時間以内に世界の主要言語に翻訳され、世界中から会議に参加した人々は、これをもとに自信をもって討議に参加し、最終文書原案に対して責任をもって賛否を表明することができた」「だが、今回はそうでなかった。採決のために世界から集まった司教たちに配布された60ページの最終文書はイタリア語版のみだった。パラグラフごとの採決の際に、ヘッドフォンから主要言語の同時通訳が流されたのみ(注:印刷された活字として目を通すことはできなかった)」と、最終文書採決に至る過程の問題点を指摘。

 イタリア人でない何人かの司教たちが、会議の場でシノドス事務局長のロレンツォ・バルディッセーリ枢機卿に大々的に抗議したが、「枢機卿は気色ばんでこう言ったという。『あなた方がそれ(注:イタリア語)を好まないなら、次の会議はラテン語だけになるでしょう!』と」「はっきりさせよう。教皇庁は”石器時代”にとどまり、すべての業務はイタリア語でやる、と言い張り続けているのだ-『結局のところ、それが地元の言葉だから』と。だが、シノドスの組織者たちがそうすることは正しいことではない」とシノドス事務局の対応を非難。

 そして、「バルディッセーリ枢機卿は『シノドス制度が不正に操作されている』という陰謀説を”裏付け”る材料を、教皇の敵対勢力に提供するだけだ。今後開かれるシノドスでこのような過ちを繰り返してはならない」と訴えている。

 

 

 

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2018年11月7日