(解説)バチカン財務事務局の新長官が成果を上げるために、教皇の強力な支持が必要(CRUX)

(2019.11.15 Crux 

 バチカンの財務事務局長官にゲレーロ師が就任する人事が発表された時、おそらくローマ中に「ええ!何だって?」という声が聞こえたことだろう。

 このスペイン生まれのイエズス会士は、バチカンの”古参兵”ではない、ローマ滞在わずか2年。ローマと周辺のイエズス会の諸機関を管理・監督するのが現在の仕事で、その前はモザンビークで会の活動をしていた。

 マスコミ関係者の間では、未成年者性的虐待で有罪判決を受け辞任したジョージ・ペル前長官の後任として、現在、財務事務局で管理・警備の責任者を務めているクローディア・チョッカ女史が有力視されており、ゲレーロ長官は意外な人事と受け止められた。

 新長官が新年1月に正式にポストに就く財務事務局は今、混乱の中にある。ペル枢機卿が故郷オーストラリアの裁判所に喚問されて帰国、未成年者性的虐待の容疑を不服として法廷闘争を始めて以来、この2年間、長官ポストは空席のまま、となっていた。(枢機卿は、地方裁判所で有罪判決を受け、高等裁判所に控訴するも、棄却。さらに、最高裁判所に上訴している。)

 だが、ペル枢機卿が財務事務局を去る以前から、彼の権限は狭められ、バチカンの省庁の財務を透明化し、歳出を合理化するという彼の努力は実っていない、というのが、バチカンの観測筋の見立てだった。2017年には、バチカンの初代財務・会計検査官だったリベロ・ミローネが上司である高位聖職者のやり取りをスパイしたと訴えられ、解雇された。ミローネはその後、「バチカンの”古参警備員”が財政改革の影響を受けないようにとの保身から、私を追放したのだ」と主張している。

 さらに今年秋になって、バチカンを揺るがす金融がらみの一連のスキャンダルが起きた。

 バチカンの憲兵隊が10月、最有力官庁である国務省の事務所を強制捜査。英紙フィナンシャルタイムズによると、捜査は、ロンドンでの2億ドルにのぼる不動産投資に関連していた。イタリアの週刊ニュースレター「エスプレッソ」は、5人の事務所職員のバチカン市国内への立ち入りが禁止された、というメモを憲兵隊から入手、報道したことで、憲兵隊のドメニコ・ジアーニ長官が辞任した。ロンドンの不動産投資に関わる契約は、当時の教皇の「代理」つまり”参謀長“だったジョヴァンニ・ベッキユ大司教が監督していた。大司教は、その後、枢機卿に昇進し、列聖省の長官になっている。

 バチカンは、聖職者による未成年者性的虐待が世界中で次々と発覚し、対応が遅々として進まない中で、信徒からの献金が減少し、財政赤字が拡大する、という深刻な財政問題を抱えている。

 要するに、長官指名を喜んでいる状況ではない、ということだ。問題は、ゲレーロ新長官が、どれほどしっかりと、このポストを問題解決に使うことができるか、である。

 ペル前長官は、バチカンで働いた経験はなかったが、”バチカン政治”を知らないわけではなかった。枢機卿として毎年、数回はローマに滞在し、経済諮問委員会の委員も務めていた。さらに重要なのは、ペルは教皇の諮問機関である枢機卿顧問会議の9人いたメンバーの1人だったことだ。だが、これだけの背景を持ちながら、彼が課題としていた財務・金融改革は進まなかった。多くの不動産を管理するバチカンの”中央銀行”、APSAの規模縮小は果たせず、世界的に著名な会計事務所PricewaterhouseCoopersによるバチカン財務の外部監査も取り消された。

 ・・・・・・・

 イエズス会のアルトゥーロ・ソーサ総長の養成で、ゲレーロ師は司教にもされないことが公表されている。これは、バチカンの省庁トップには派手な肩書は必要とされない、という好ましい前例になるかも知れないが、実際のところ、カトリック教会は位階社会であり、ローマでは、司教は”10セントで1ダース手に入る”という軽いポストだ。バチカンでは省庁の次官さ英紙、大司教の肩書を持っている。

 このことは、特に財務事務局の場合、問題となる可能性がある。長期にわたって長官が空席だったことで、他の省庁は財務事務局の指示を無視している、という噂が多く流されていた。そうした中で、「(注:司教でも、大司教でも、まして枢機卿でもない)ただの司祭」が長官に就任する、との決定は、この局が恒久的に縮小されることを意味し、浪費癖のあるバチカンの役人たちにとって恐れる必要がない存在、と受け取られる可能性がある。

 だから、ゲレーロ新長官が、任務を果たせるようになるためには、教皇の接見録に頻繁にその名前が記載されることも含めて、教皇が支持しているという強力な印が必要だ。さらに重要なのは、このスペイン人のイエズス会士が”勝利”を必要としていることである。

 仮に財務事務局が透明性と説明責任を他のバチカン省庁に強く働きかけ、特に、バチカンの省庁の中で最強力と見なされている国務省に対してその権威を発揮することができれば、従来以上の力をもつ権力と認められるようになるだろう。

 その手始めとして、ロンドンの不動産取引問題は格好の事案になるかも知れない。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年11月16日

・教皇、カトリック教会のカテキズムへの「環境の罪」の明記を言明(Crux)

(2019.11.15 Crux  Inés San Martín

「刑事裁判と企業ビジネス」をテーマに国際刑事司法協会の会議がローマで開かれたが、教皇フランシスコは15日、会議に出席した法律家たちと会見し、「カトリック教会のカテキズム―要約(コンペンディウム)」に「環境への罪」を明記する考えを明らかにした。

 この中で教皇は「カトリック教会のカテキズムに、環境への罪、つまり私たちの共通の家に対する罪、を明示せねばなりません。それは義務だからです」と述べた。教皇のこの言葉は、アマゾン地域の環境の脅威を主要テーマの一つとした地域シノドス(代表司教会議)の結果を受けたものと思われる。

 さらに教皇は「浪費の文化は、繁栄した社会で広く見られる他の現象と相まって、嫌悪の文化に退化していく深刻な傾向を示しています… このような時代に、ナチズムに典型的な象徴と行動が再びみられるようになっていることは、偶然ではない。それは、ユダヤ人、ジプシー、同性愛者への迫害により、浪費と嫌悪の文化という、あってはならない見本を表徴しているのです」 と述べた。

 そして、最近耳にした何人かの政治家の言葉から、ヒトラーのエンゼルと連想した、と語り、「私たちは、このような退化に妥協しないように、市民社会と教会の両方の場で、警戒を怠らないようにする必要があります」と強調。

 また、教皇は、「偶像崇拝の市場」-絶対的な支配者となった「神格化された市場」がもたらす利益に対して、個々の人々を無防備にさせる市場ーを批判。「他の考慮すべき事柄から切り離された利益最大化の原則は、現在、社会的、経済的負担に苦しめられている人々を激しく痛めつける『排除のモデル』につながり、将来の世代は環境コストを支払うことを強制されることになります」とフランシスは述べた。

 そのうえで、「今日、法律家たちが第一に自問すべきは、このような現象に対して、自分たちの知識で何ができるか、ということです。こうした現象は、民主主義のシステムと人類の発展そのものを危険にさらします… 具体的に言えば、すべての刑事弁護士の現在の課題は、懲罰的な非合理性を封じ込めることです」と語り、大量投獄、刑務所における受刑者の過密、拷問、治安部隊による虐待、社会的な抗議活動の犯罪扱い、予防拘禁の乱用、そして、最も基本的な刑法上の手続きの無視などを実例として挙げた。

 教皇はまた、最も強力な犯罪、特に企業の大規模な犯罪に対する「注意の不足、欠如」を批判し、これらが飢餓、貧困、強制移住、治療可能な疾病による死、環境災害、原住民殺害などをもたらす時、「人道に対する犯罪」である、と指摘した。(注:ニュルンベルク裁判の基本法である国際軍事裁判所憲章で初めて規定され、1998年の国際刑事裁判所ローマ規程において「人道に対する犯罪」として定義された。現在ではジェノサイド戦争犯罪とともに「国際法上の犯罪」を構成する)。

 続けて教皇は、国際金融資本を取り上げ、「財産だけでなく人や環境に対する重大な犯罪の端緒となり、そうした犯罪は『組織犯罪』です」と述べ、国々が抱える過大な債務、地球の天然資源の略奪などについても、国際金融資本に責任がある、とした。

 先日開かれたアマゾン地域シノドスで、参加司教たちは「環境に対する罪」を非難したが、教皇は、これを企業が責任を負わねばならない「ecocide(環境虐殺)」であり、法律家たちは、このような罪が罰せらずに済むことがないようにせねばなりません、と努力を求めた。

 さらに、ecocideは「空気、土壌、水資源の大量汚染、動植物の大規模な破壊、自然災害を引き起こしたり、生態系を破壊したりする、あらゆる行為」を意味すると述べ、「特定の地域の生態系の喪失、破壊を、平和に対する犯罪の (注:侵略、大量虐殺、人道に対する罪、戦争犯罪と並ぶ)五番目の罪とすることを、国際社会が確認すべきです」と言明した。

 また教皇は、現在いくつかの国で、有罪判決を受けた受刑者の数よりも多い、裁判なしに投獄されている人々が収容されている”予防刑務所”が悪用されている問題を取り上げ、「これは、『疑わしきは罰せず』の原則を破る行為です」と強く批判。

 彼はまた、義務遂行のための合法的な手段と主張することで治安部隊の犯罪を正当化するのに当局が使う「暴力に対する非自発的な動機」についても非難し、法律家たちはこうした「懲罰的な煽動」-しばしば人種差別主義者により、社会の片隅に置かれた人々を狙った行為-が暴力や一方的な武力行使を促進しないように働くことが強く求められている、と述べた。

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(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年11月16日

・ペル枢機卿辞任後空席のバチカン財務事務局長官にイエズス会士のゲレーロ・アルヴェス神父

フアン・アントニオ・ゲレーロ・アルヴェス神父

 ゲレーロ師は1959年、スペイン生まれの60歳。1979年にイエズス会に入会。1992年に司祭叙階。2017年からイエズス会の総長顧問の1人となっている。

 財務事務局長官は、近年問題となっているバチカンの財務・金融部門の抜本改革に取り組むことを期待されたポストだったが、初代長官で前任のジョージ・ペル枢機卿は故郷のオーストラリアで未成年性的虐待で起訴され、有罪判決を受けた後、現在、同国最高裁に上訴中。同枢機卿が長官を今年2月に辞任して以来、空席となっていた。

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以下はCruxの記事.

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年11月15日

・地下教会弾圧、ウイグル人イスラム教徒迫害… 教皇は対中政策を見直すか-機上会見に注目(LaCroix)

(2019.11.12 LaCroix  Michael Sainsbury)

  バチカンは中国政府と同国内のカトリック司教任命について昨年9月に暫定合意したが、中国当局はその後、プロテスタントも含めたキリスト教徒とイスラム教徒への弾圧を、習近平主席の「宗教の中国化」方針の下で、一層強めており、バチカンは、暫定合意を見直す必要に迫られている、と言える。

 教皇は19日から26日にかけてタイと日本を訪問するが、この問題は、恒例の機上会見で最大のテーマとなるだろう。記者団から、この問題について質問が出ない、ということは考えられず、過去の実績から、教皇もお答えになる、とみられる。アジア、特に中国本土、香港、そして台湾の信徒たちは、教皇が今回の旅行中に明確な姿勢を打ち出すことを希望している。

 バチカンと中国政府との合意に向けた交渉は、これまで何年にもわたって続けられ、バチカンは、積極的な歩み寄りを見せた。具体的には、中国共産党統一戦線工作部の管理・監督下にある中国天主愛国協会(CCPA)と中国カトリック司教会議が一方的に認め、教皇が否認していた”司教”7人を、教皇が昨年9月の暫定合意で、司教として任命したのだ。

 だが、中国側は、同工作部の管理・監督に従わず、CCPAにも加盟しないいわゆる”地下教会”に属し、教皇が任命していた約30人の司教のうち、わずか2人を今年8月に公認し、その後の追加公認をしていない。

 我々の得た情報では、バチカンの交渉担当者が、バチカンが認めた教区と中国が認めた教区の統合を含めた細部の詰めに懸命に取り組んできたということだ。これは、司教任命にも影響する。バチカンによる中国への教区設置は、1940年代に中国共産党が国民党との戦いに勝ち、政権を樹立する以前のことだ。それ以来、何億人もの人々が関係する大規模な人口移動が起きており、バチカンにとって、中国が決めた教区との統合は容易だろう。

 こうした教区の問題や司教の任命はそれほど難しいことではないが、それよりはるかに困難なのは、これまで続いてきた中国当局の管理・監督下にあるCCPA系教会と”地下教会”の分立の解消だ。

 教皇は両教会の一致を推奨する一方で、地下教会の司教、司祭のCCPAへの加盟の諾否についての判断は、各自の良心に委ねる、との方針も示している。各種の報道では、聖職者たちが良心の判断によって地下教会にとどまることを決断した、と伝えられており、地下教会の聖職者をCCPAに取り込み、”地下教会”をなくす、という、中国側の思惑通りには、ことが進んでいない。

 昨年9月の暫定合意以来、中国政府・共産党と各地方政府、特に、首都・北京を囲む形で、キリスト教徒が最も多く居住する河北省政府は、習近平主席が主導する「宗教の中国化」を熱心に進めている。

 宗教の国有化は、英国女王・エリザベス二世を頂く英国国教会の前例があるが、今や政府・党の統制・管理下にあるキリスト教会には中国旗が掲げられ、その下には毛沢東と習近平の顔写真が置かれている。このような教会の姿が、霊的生活と国家を明確に分けて考える地下教会の聖職者、信徒たちが、地下教会にとどまることを選択した理由であり、(注:事態を楽観視し、”教会一致”を推奨してきた)バチカン内部に大きなとまどいをもたらしている。

 中国政府・共産党はまた、様々な規制を実施しており、特に、財産法の厳格適用や、未成年の信徒たちのミサ典礼、夏季学校、そのたの教会活動への参加禁止などの措置を取っている。これは教会の負委員宣教活動の核心に弾丸を打ち込むようなもの、将来の信徒、教会指導者を縮減するのが狙いだ。

 教会の壁に独裁者の写真が飾られる程度のことで心配になるなら、このような未成年者の教会活動を禁止する脅しを目の当たりにすれば、バチカンの人々は怒り狂っていいはずだ。特に貧しい地域の教区に複数の規制を課し、法律の枠にはめることを狙っている。

 何人かの司祭は投獄されているとみられている。当局は、政府・党にとって問題人物とされた司祭を定期的に拘束したり、宗教的な儀式に参加できないような措置を続けている。聖書やキリスト教関係の図書はインターネットで購入できないようにされている。

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 中国政府・共産党は、バチカンと司教任命について合意することで、国内に1000万人から1200万人いるとされるカトリック教徒に強力な統制をかけることを狙っていた。CCPA加盟の教会と地下教会の信徒の数は、正確には把握できていないが、大まかに言って、半々とされている。

 また、中国政府・共産党は、これを足掛かりに、欧州で唯一の台湾政府承認国であるバチカンが、中国承認に乗り換えることを期待していた。だが、中国の専制独裁指導者を背景にした香港政府と市民とな激しい対立が、台湾の人々にも強い警戒心をもたらし、台湾と中国本土の”統一”は中国政府・共産党の大いなる願望にとどまっている。

 こうした中でバチカンが、台湾の”羊の群れ”を捨て、中国政府・共産党の願望を満たすことに手を貸すような、国際的に不名誉な行為をするとは、考え難い。

 加えて、新疆ウイグル自治区でのウイグル人イスラム教徒に対する中国政府・共産党の扱いには、言いようのない恐ろしさがある。100万とも200万ともいわれる人々が捕まえられ、信仰を捨てさせるために強制収容所に入れられている。最近の報道では、収容所内で150人が死亡した、と言われている。実際の人数はもっと多いに違いない。組織的な拷問や強姦がされていることも報告されているが、その数字は分からない。このことで、習近平は、アドルフ・ヒトラー、ユセフ・スターリンとともに、強制収容所による大領虐殺のクラブの特別会員に名を連ねることになった。

 このようなウイグル人イスラム教徒に対する扱いと同様の措置が、”勅令”に従わないキリスト教徒に対してとられることは、今のところ、可能性の範囲を越えていない。だが、この問題について、教皇フランシスコと、北京との交渉の企画者であるピエトロ・パロリン国務長官は、全てのキリスト教徒の良心にもとずいて、バチカンと中国の関係をさらに前に進めることができるかどうか、真剣に思いめぐらす必要がある。

 恐らくは、この問題についての彼らの類まれな洞察が、あと一週間か何日かのうちに示されることになるだろう。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

2019年11月14日

・バチカン”金融スキャンダル”で新たな局面-教皇側近は総反撃に(Crux)

2019.10.22 Crux  Editor John L. Allen Jr.)Facing fresh charges of financial scandal, all the pope’s men strike back

Cardinal Oscar Andres Rodriguez Maradiaga, right, makes space for Pope Francis under his umbrella as they leave at the end of a morning session of the Synod of bishops at the Vatican, Thursday, Oct. 11, 2018. (Credit: AP Photo/Alessandra Tarantino.)

 ローマ発 -今から十年前の2009年、当時のイタリア司教団の新聞の編集局長、ディノ・ボッフォをめぐって、同性愛の不正行為が騒ぎとなり、誰が彼を嵌めたかについて憶測が飛び交った。多くの人が、バチカンの国務長官、憲兵隊長官、バチカンの新聞編集局長が関与しているという観測をした。それに対して、バチカンは最終的に反論を出すまで18日間も沈黙を続けた。しかも、その反論について、イタリアのある日刊紙が「バチカンはすべてを否定する…誰もそれを信じない」という見出しで報じていた。

 ローマでの21日の動きから判断すると、教皇の側近全員が「歴史を繰り返させない」という決意を固めているようだ。バチカンをめぐる金融スキャンダルについての記事を掲載したイタリアで最も広く読まれている週刊誌が20日に、21日に同スキャンダルに関する新刊本が相次いで発行されるに至って、有力な教皇側近の2人が反撃した。

 「起こっていることは、私たちの信用を落とすための計略そのものと思われる」と、枢機卿顧問会議のメンバーで教皇の最側近の1人、オスカル・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿が、イタリア最大の日刊紙、La Repubblicaへのインタビューで語った。

 「彼らは教皇職に打撃を与えたいのです。最初、彼らは小児性愛者の集まりとして教会を非難したが、今は、経済的な無軌道ぶりを取り上げようとしているが、そんなことは無い」と断言した。

 6月に(注:バチカンの不動産とソブリン債投資を管理する)聖座財産管理局(APSA)の局長に任命され、教皇の信任あついヌンツィオ・ガランティーノ司教は、イタリア司教団の新聞Avvenireとのインタビューで、バチカンの会計には「”ひび割れ”や債務不履行などはありません」とし、「問題の本の試し刷りを読みましたが、スキャンダラスな書きっぷりは本としてはいいのでしょうが、教会のような複雑かつまとまった組織を描くにしてはお粗末です。”秘密”とか”正道を踏み外した”とかいう表現には合わない」と批判した。

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 バチカンの財務・金融をめぐる記事は、イタリアのジャーナリスト、エミリアーノ・フィッティパルディとジャンルイージ・ヌッツィによるもので、バチカンの内部調査のメモを含む漏洩文書に基づいていると言われている。 2人は、「Vatileaks II」として知られる2015年のバチカンの機密財務情報のすっぱ抜きで、バチカンの検察官から告発されたが、最終的には「管轄違い」ということで立ち消えになった。

 フィッティパルディが20日付けのイタリアの有力週刊誌 L’Espressoに載せた記事によれば、バチカンの国務省が、世界の教会から集められ教皇の慈善事業支援にあてられる「聖ペトロ使徒座への献金」から、2億ドルを引き出し、ロンドンの高級住宅街チェルシーにある有名デパート・ハロッズ所有の倉庫群の一部を高級マンションへの転用目的で購入し、さらにバチカンの「宗教事業協会」(通称「バチカン銀行」)に残りを購入するために1億5,000万ドルの融資を求めた。バチカン銀行は、金融取引に関して新しく定められた規則に従って、バチカンの司法当局にこの件を報告した、司法当局が調査を始めている。

 これに対して、マラディアガ枢機卿は「慈善活動のための資金が流用された」との報道を否定し、「『聖ペトロ使徒座への献金』が金融目的に使われることは無いし、私はそのようなことは聞いたことがない」と言明した。また、現在バチカンで教皇も参加して開かれているアマゾン地域シノドスの時期に、この報道がなされたのは「偶然ではない… 地域シノドスで扱われている重要議題のほかに、この問題を載せようとしたものと考えざるを得ない」と批判した。

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 一方、ヌッツィが21日に出版した単行本「 Final Judgment」は、バチカン財政の問題を取り上げ、「バチカンは収入の減少で財政危機に直面しており、債務不履行に陥るリスクの水準に達している」としたうえで、「バチカンの真の財政状況を明確に把握できない原因の一つは、聖座財産管理局(APSA)に秘密の口座が存在し、無名の個人の債権を隠していることだ」と指摘した。

 これに対し、ガランティーノAPSA局長は「書かれていることは全て偽、ないしは誇張されている」と反論。「APSAには、秘密あるいは暗号コード化された口座はない。反論の証拠がある」と述べ、「APSAには、聖座、関連団体、バチカン市国政府以外に、個人やは法人の口座はない」と否定した。

 そして、現在、歳出について見直しを進めていることを認めたうえで、「人件費と材料の調達を抑えるために歳出を見直す必要があり、現在、細心の注意と注意を払ってそれに取り組んでいるが、いわゆる”債務不履行”の恐れはない」と言明。「私たちが話しているのは、歳出を抑えねばならない、ということを自覚する必要がある状況についてです… 良い家庭やまじめに国で起きるのと同じことです」と語った。

 ガランティーノ局長はまた、財政金融の論争と情報漏出は、教皇と彼が進める教皇庁改革をめぐる内部抗争の産物、との見方を否定。「『教皇の教皇庁への対応に反対』というのは、使い古されたジャーナリスティックな決まり文句だ」とし、「私たちは皆、収支の均衡を図り続けている。私たちは教皇の意向を正確に、それだけを目的にやっている…そうしたことを語る以外の現在の状況についての記事は、まったくの創作、「ダヴィンチコード」(注:米国の人気作家、ダン・ブラウンがカトリックを題材に書いた長編推理小説)を想起させます」と批判している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年10月23日

・バチカン銀行頭取が「諸改革でバチカン銀行は完全に刷新、問題は皆無」と言明

 

A file photo of the Vatican BankA file photo of the Vatican Bank  (© Vatican Media)

(2019.10.10 VaticanNews )

  イタリアの日刊経済紙 “Il Sole 24 Ore”が、バチカン銀行のジャン・バプティステ・ドービル・ド・フランス頭取の大型インタビュー記事を掲載した。ド・フランス氏は2014年7月に頭取に就任以来、同行を国際的な規範・慣行に倣った機関とするように、との教皇フランシスコの指示にに従って、枢機卿委員会の監督の下に、同行の改革を進めてきたが、マスコミのインタビューを受けたのは初めて。

 インタビューで、頭取はまず、バチカンの検察当局の捜査によってバチカン国務省の職員4人と金融・財政情報管理局の局長に職務停止の措置がとられたことについて「捜査は内部の緊張の結果ではなく、単に、法律を適用した公務員の行動であり、日常的な活動で見つかった不具合を報告する義務に則ったもの」であり、「金融・財政情報管理局を相手にしたものでも、まして国務省を相手取ったものでもない」と言明。さらに「誰も、どの部署も告発されているわけではない」と述べた。

 さらに、検察当局への通報は、制度を守るために、名称不明の人に対してなされたもので、当局は現在、捜査中であり、「当然のこととして採らねばならないは、『推定無罪』が常に適用される、ということだ」と語った。

 バチカン銀行の欧州単一通貨への加盟については、「数年前に比べて、バチカン銀行は完全に刷新され、企業統治、内部管理についての専門知識・技能や、取引相手への対応も十分。これまでの結果は満足すべきであり、現在目指しているのは、これまでしてきたことを、特に顧客の利益のために、継続、洗練し、完全にすること。改革は、常に改善しているもので、継続されている。透明で適法な方向は決して放棄されることは無い。顧客は私たちの仕事で十分に守られている。

 また、バチカン銀行の使命についての問いに対しては、「世界中の教会への奉仕であることに変わりはない。今日、バチカン銀行は一つの本部、100名あまりの職員で、世界112か国に対応し、その中には地勢的に難しい場所、信頼がおける満足のいく金融サービスを受けられない所もある。そうした領域で活動するのがバチカン銀行の使命だ」と答えた。

 また頭取は、バチカン銀行の現在の正式名称IOR(宗教事業協会)を変えるつもりはない、とし、バチカンの各部署が自分たちの預金の管理をIORに任せることができるのは、第一に、「我々がカトリックの信仰とカトリック教会の社会教説の規範を大切にしているから」、第二に、「我々が挙げた収益は教皇の司牧活動に回されている。バチカンのある部署、あるいはある顧客がIORと仕事をした時、教皇の仕事に直接、具体的な財政貢献をし、一般の銀行に特徴的な経済的動機で動いていないからだ」と説明。

 最後に頭取は、バチカン銀行のサービスの質、極めて低いコスト、資金運用にあたっての倫理的規範に言及し、「これらは、倫理的、カトリック的規範に最大限遵守することを保証するために、これまで以上に精緻で完全なものだ」と言明した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年10月12日

・「Compassionをもってキリストを証しするように」-教皇、枢機卿たちに求める

(2019.10.5 VaticanNews)

 教皇フランシスコは5日、の公開枢機卿会議での新枢機卿の叙任にあっての説教で、神のCompassion(強い共感)』を認識することの重要性を強調された。

 説教で、教皇はまず、「Compassion(魂を揺さぶるような強い共感)』は福音書のキーワード。それは、神の心の中に常に刻まれています」とされた。

*イエスの compassionは揺らぐことがない

 そして、苦しんでいる人たちにイエスが示されたcompassionの例を挙げ、「福音書のそうした箇所を読めば読むほど、私たちはもっと深く考えます… 主のcompassionが、時折の、散発的な感情ではなく、常に変わることのない、揺らぐことのないものであり、主の心の姿勢そのものであることを、もっと実感するようになります」と語られた。

 

* compassionは神の心に刻まれている

 教皇は「イエスは、神の意志を、罪の苦しみにさいなまれた男女を清めることで具現化されました。彼はそうした人々に差し出された神の手、私たちの病んだ肉体に触れ、深い割れ目で引き裂かれた所に橋を架けることで,業を成し遂げられます」、さらに「イエスは、見捨てられ、希望を失った人々を探しに外に出ます」と述べ、このようなcompassionは神の中に常に存在し、「父親としての神の心に刻まれているのです」と強調。

*だが人がcompassionを欠くことは頻繁にある 続けて、教皇は「ご自分の民に対する神の愛はcompassionで満たされているが、悲しいことに、人がcompassionを欠くことは頻繁にあります」とされた。そして、イエスの弟子たちもよく compassionを欠くことがあり、イエスの話を聴きに集まった人々がお腹をすかせた時、弟子たちは彼らに「食べ物の心配は自分でするように」と言ったが、「このような態度は、私たちの間で普通にあることです… 常に正当化されます… 時として、それは法文化され、『制度的な無視』を生み… compassionを欠いた制度を作り出します」と警告された。

*枢機卿たちに問う-自分がcompassionの対象だと意識しているか? そして教皇は、集まった枢機卿たちと新たに枢機卿となる人たちに向かって、「神のcompassionの対象、常に神の慈しみに導かれ伴われる対象となっていることを意識していますか?」「私たちは、神が私たちに感じておられるcompassionをはっきりと認識していますか?」と尋ねられ、「もしも、神のcompassionの対象に自分がなっている、と感じないなら、神の愛を分かることはできません」と言明。「もし感じないなら、どのようにすれば、それを分かち合い、証人となり、他の人々に贈ることができるのでしょう?」と改めて問いかけられた。

*compassionを示せないなら、枢機卿の職務に忠実であることはできない

 さらに、教皇は、私たち自身の職務に忠実である能力はcompassionの認識に依拠しており、「あなた方の式服の真紅の色が示すように、枢機卿として自分の血を流す準備が出来ていることは、自分にcompassionが示されている認識、自分もcompassionを示す能力に、それが依拠しているなら、保証されます。そうでないなら、職務に忠実であることはできません」と枢機卿、新枢機卿たちに注意を促された。 そして、「聖職者たちの間の、忠誠を欠いた多くの行為は、compassionを示されない感覚の欠如から生まれます… そして、視線を避ける習性、無関心の習性によって生まれます」とも警告された。

*compassionate の心を持つ恵みを祈る

 最後に教皇は、compassionの心を持つ恵みを求める次の祈りで、説教を締めくくられたー「私たちを励ましてくださる方、私たちを選び、聖別し、あなたの救いの福音を全ての人にもたらすように派遣された方の証人となりますように」。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年10月6日

・教皇、公開枢機卿会議でオロリッシュ大司教など13人を新枢機卿に叙任

 教皇フランシスコが5日、バチカンで公開枢機卿会議を開き、13人の新枢機卿を叙任された。

 枢機卿に叙任されたのは、コンクラーベ(教皇選挙)の投票権を持つ80歳未満の枢機卿10名、および、投票権を持たない80歳以上の枢機卿3名の、合計13名。この結果、枢機卿会のメンバーは128名の有権枢機卿と、97名の非有権枢機卿、合わせて225名となった。

 この日叙任された枢機卿の出身大陸・国による内訳は、ヨーロッパ7名(スペイン、ポルトガル、ルクセンブルグ、イタリア、チェコ(旧チェコスロバキア)、英国、リトアニア)、アフリカ3名(コンゴ民主共和国(旧ザイール)、モロッコ、アンゴラ)、中米2名(キューバ、グアテマラ)、アジア1名(インドネシア)。新枢機卿の一人、ルクセンブルグ大司教のジャン・クロード・オロリッシュ枢機卿(イエズス会)は、日本での長い宣教経験を持ち、上智大学で副学長などを務めていた。

 新しく枢機卿に任命された人々は以下の通り。(発表順・敬称略、現職タイトル、出生年、出身国)

[80歳未満の有権枢機卿]

・ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット(教皇庁諸宗教対話評議会議長、1952年、スペイン)

・ジョゼ・トレンティーノ・デメンドンサ(バチカン図書館・機密文書館館長、1965年、ポルトガル)

・イグナチウス・スハルヨ・ハルジョアトモジョ(ジャカルタ大司教、1950年、インドネシア)

・ホァン・デ・ラ・カリダ・ガルシア・ロドリゲス(サン・クリストバル・デ・ラ・ハバナ大司教、1948年、キューバ)

・フリドリン・アンボンゴ・ベスング(キンサシャ大司教、1960年、コンゴ民主共和国(旧ザイール))

・ジャン・クロード・オロリッシュ(ルクセンブルク大司教、1958年、ルクセンブルク)

・アルバロ・レオネル・ラマッツィーニ・イメリ(ウエウエテナンゴ司教、1947年、グアテマラ)

・マテオ・ズッピ(ボローニャ大司教、1955年、イタリア)

・クリストバル・ロペス・ロメロ(ラバト(モロッコ)大司教、1952年、スペイン)

・マイケル・チェルニー(教皇庁人間開発のための部署・移住者部門次官補、1946年、チェコ(旧チェコスロバキア))

[80歳以上の枢機卿]

・マイケル・ルイス・フィッツジェラルド(ネプテ名誉名義大司教、1937年、英国)

・シジタス・タンケビチウス(ビリニュス名誉大司教、1938年、リトアニア)

・エウジェニオ・ダル・コルソ(ベンゲラ(アンゴラ)名誉司教、1939年、イタリア)

(編集「カトリック・あい」)

2019年10月6日

・教皇、”反マフィアの闘士”の元検事をバチカン市国の裁判所長官に任命(La Croix)

(2019.10.4 LaCroix Rome Nicolas Senèze)

  バチカン国務省の不祥事発覚で、徹底解明へ素早い対応―  教皇フランシスコが3日、ローマの前検事で組織犯罪追求のプロ、ジュゼッペ・ピグナトーネ氏をバチカン市国裁判所長官に任命した。

 氏は、イタリア・マフィアの頭目たちを歴史的な刑事訴追に追い込んだ実績を持つ。人事は、バチカンで発覚した国務省がからむ横領事件が発覚したのを受け、教皇が毅然とした対応をとることを示すものだ。

 ピグナトーネ氏は70歳、マフィアとの司法による戦いを45年続けてきた。シチリア出身でパレルモ大学卒業。1974年に弁護士となり、1977年からシチリアで検察庁に入った。仲間の検事二人と共に秘密結社犯罪集団の「コーサ・ノストラ」と前パレルモ市長でシシリーの首長も努めた腐敗政治家を逮捕、起訴に持ち込んで名を挙げた。マフィアからの脅迫もしばしば受け、庁舎の自室を狙った襲撃を受ける危険もあった。

 2012年にローマの検察官となり、企業汚職や資金洗浄などの企業犯罪の摘発。首都マフィア摘発チームと連携してローマ市の上級幹部とマフィアの癒着を暴いた。今年5月、定年を迎え、検察官としてのキャリアを終えていた。

 地元紙によると、これまでもバチカン入りは検討されていたが、教皇の判断で任命が早まった、という。バチカンの国務省と金融情報管理室で9月30日にバチカン司法当局が開始した捜査と関連した人事で、この案件が、ピグナトーネ氏の初仕事となる。

 バチカンの司法当局はこれまで軽犯罪以外の貧弱な対応能力で批判されてきたことから、今回の”難問”を前にして、熟練の検察キャリアの登場に大きな期待が寄せられている。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

 

 

2019年10月5日

・バチカン警察が教皇庁の国務省を家宅捜査(La Croix)

(2019.10.3 LaCroix Rome VaticanCity  Nicolas Senèze)

*教皇フランシスコが疑惑解明へ徹底捜査を要請

 バチカン警察は1日、教皇庁の国務省総務局および金融情報室の家宅捜査を実施した。捜査は、今夏の初めに宗教事業協会(通称”バチカン銀行”)と監査役室から出された告発を受けたもので、バチカン市国の検察官の許可の下に行われ、国務省幹部にも通告された。

 バチカン広報の発表では、今回の捜査は「過去になされた金融業務」に関するもの、とだけしか説明がされていない。

 これに関して、2日付けの週刊紙 L’Espressoは、今回の家宅捜査はロンドンでの不動産取引疑惑に関連して行われた、とし、聖座の主要な資金源の一つである the Saint-Pierre Penceの管理運営も問題にされており、それが、教皇フランシスコの徹底捜査による疑惑解明要請、という速やかな対応がなされた理由だ、と報道した。

*金融情報室長ら国務省の職員数人のバチカン立ち入りを禁止

 また同紙は、バチカン市国の憲兵隊が、国務省のトマソ・ディ・ルーザ金融情報室長と職員数人のバチカン内への立ち入りを禁じた書類をスクープした。幹部の中には、アンジェロ・ベッキウ枢機卿が国務長官代理だった時に秘書を務めたマウロ・カリーノ師も含まれている。

 同師はこの夏、国務省と聖座のメディア部門のやり取りを監視し、公文書類の管理をする権限を持つ情報・文書管理室の室長に任命されていた。この人事は、昨年夏に教皇フランシスコを非難、辞任を求めて問題になったマリア・ビガーノ前駐米大使(大司教)の甥にあたるカルロ・マリア・ポルバーニ師の後任のポストにあった。ポバーニ師は、バチカンを批判する爆弾情報を持っていると公言し、教皇庁の文化評議会の次官を解任されていた。

 

*国務省内の頻繁な人事発令…

 教皇庁国務省の総務局はカトリック教会で現在起きている問題すべてについてに責任を持つ部署で、教皇の公設秘書を出し、教皇庁の業務を調整・統括する。国務長官の指揮のもとに局長代理を務めるのは昨年8月に任命されたエドガー・ペーニャ・パラ大司教で、この何週間かの間に、長年同じポストを務め、前の局長代理と親しかった何人かの上級幹部を退任させる人事を行っていた。情報・文書管理室の人事異動に加えて、総務監査室についても、室長のパオロ・ボルジア師が先日、コートジボアール大使となり、教皇によって司教に叙階されている。

 その他の人事では、職員が捜査対象になっている国務省の行政管理室にも新室長が選任されており、重要な外交官ポストでも大規模な異動が進められている。

 聖座の財政・金融関係の諸部門では、性的虐待で有罪判決が出たジョージ・ペル枢機卿の後任の財務事務局長官など、いくつかの人事異動の発令が棚上げされている。財務事務局長官には同事務局のクラウディア・チオッカ規制・管理部長の名が挙がっているが、彼女は以前、国務省で歳出管理の業務についていた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2019年10月5日