・シリアでアルメニア人司祭と父親が殺害ー「イスラム国」が犯行声明

(2019.11.12 Vatican News Linda Bordoni)

 シリア北東部で11日、自動車で移動中のアルメニア人のカトリック司祭とその父親が、武装勢力「イスラム国」(直後に犯行声明を出した)の一団に射殺された。教皇フランシスコは12日、ツィートを通して、二人とその遺族、シリアの全てのキリスト教徒のために祈られ、二人の葬儀に集ったアルメニア・カトリック教会共同体の人々に心から寄り添うことを表明された。

犠牲となったのは、ホブセプ・ベドヤン神父とその父、アブラハムさん。一緒に乗っていたアルハセケの町から来たファディ・サノ助祭も重傷を負った。ベドヤン神父は、トルコ国境に近い、クルド人が多数を占めるカミシリの町のアルメニア・カトリック教会共同体の主任司祭。父のアブラハムさんは、襲撃を受けたデイ・アルゾール県の長を務めており、三人で同県のある教会の修復作業の視察に向かう途中だった。

東部シリアのクルド人支配地域は、ユーフラテス河東岸の石油埋蔵地帯であるこの地域から撤退を決めている米軍の監視下にあるが、3人が襲撃された11日には、やはりカミシリの別々の場所で爆破事件があり、少なくとも6人が死亡、22人が負傷したと伝えられている。

 シリアのアルメニア・カトリックの信徒は同国では少数派だが1742年に公認されてから3世紀近い歴史を持ち、信徒数は約60万人。共同体はローマ教皇と完全なつながりを持つ、自主的な部分教会を形成している。シリアには、アレッポ北西部を中心に10万人以上のアルメニア人が住んでいたが、シリア内戦で、多くがアルメニアなどに避難している。

 イスラム国を名乗る武装勢力はキリスト教徒迫害を続けており、以前、イラクとシリアのかなりの地域を支配していた時には、何千ものキリスト教徒を故郷から追い出している。

 シリア内戦が始まって以来、多くの司祭たちが、この地域で殺害されたり、行方不明になっている。殺害された中には、2015年にホムスで射殺されたオランダ人イエズス会士、フラン・バンデルルート神父、2013年に「イスラム国」を名乗る武装集団に斬首されたフランシスコ会士、フランソワ・ミュラ神父がいる。

 誘拐され、いまだに消息がつかめない司祭には、2013年にラッカで行方不明になったイエズス会士、パオロ・ダログリオ神父、同町の北西部で誘拐されたブロス・ヤジギ、ヨハンナ・イブラヒムの二人の東方教会司教、アレッポのアルメニア・カトリック教会のミシェル・カイヤル神父、東方教会のマヘル・マフズ神父がいる。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2019年11月13日

・(解説)既婚者の司祭叙階、女性助祭、アマゾン典礼-教皇に課題残したアマゾン地域シノドス(CRUX)

(2019.10.26 Crux  Editor John L. Allen Jr.)

 ローマ発 -大きな関心を呼んだアマゾン地域シノドスが閉幕したが、このシノドスでは、アマゾン地域の慢性的な司祭不足の解決策として、「既婚者の司祭叙階」を認めるか否かをめぐって様々な意見が飛び交った。

 同様に、教会における女性の役割の重要性を認める手段として「女性助祭」を認めること、原住民の人々の文化を尊重するために特別な「アマゾン方式のミサ典礼」を作ることについても、議論があった。この三つについては、熱烈に支持する意見が出る一方で、抵抗もあり、今回のシノドスの重要性を象徴するものとなった。

 シノドスの結果をこれらの問題をどのように扱ったかで測るとすれば、主な結論は、教皇フランシスコの”皿”にすさまじく沢山残された、と言わざるを得ない。

 26日に発表されたシノドス最終文書の採決では、大部分がアマゾン地域の9つの国の代表で占められた会議参加司教184人全員が、この三つの課題-既婚者の司祭叙階、女性助祭、アマゾン典礼ーの全てについて十分な”注意”を払うことを条件に、”慎重な賛成”を表明した。

 三つの中には実にあっけない結末を迎えたものもあった。なぜなら、教皇自身が、教会内部の議論に焦点を絞ることの誤りを指摘し、強調されるべきはアマゾン自身の運命であると主張することで、シノドスを終わらせようとしたからである。

 既婚男性の司祭叙階については、シノドスは反対意見を付けて、ゴーサインを出した。最終文書は「私たちは、叙階を認める基準と規定を定めることを提案する… キリスト教共同体の活動を支えるための、司祭の適性を持ち、教会共同体で尊敬されている男性で、終身助祭として立派に働いること、司祭職について十分な教育を受けていること、法的にかなった、しっかりした家庭をもっていることだ」と述べている。

 ただし、補足として、この内容の採決では、128人が賛成、41人が反対を表明した―ことを付け加えた。これは項目ごとの採決で、最も多くの反対票だ。また、この項目の最後の行に、重要な一文、「この問題について、出席した司教たちの中には、(注:アマゾン地域に限らず)世界全体に適用することを支持する意見があった」が入れられている。

 おそらく、これは、今回のシノドスに出席しなかった司教たちも含めて出された「ローマ・カトリック教会全体(23ある東方教会を除いて)の規範とすることは、特定の地域に限定したシノドスでは決められない」という意見を反映したものだ。

 また、司祭叙階の対象を既婚者に広げることに反対した1人の司教は、反対意見は全世界の教会でみればもっと多い、との判断からこの一文の追加に賛成したものと思われる。

 

*女性の終身助祭

 一般的にシノドスの最終文書の項目別の採決では、反対票は一桁にとどまるものだが、「女性助祭」の導入も、「既婚者の司祭叙階」に次いで多い反対票が出た。

 最終文書は「多くの話し合いの中で、女性の終身助祭の導入が提案された」とし、今回のシノドスに至る2年間で集められた意見も反映した、としている。

 そして、「そのような理由から、今回のシノドスの重要なテーマとなったが… すでに教皇は2016年に『女性助祭についての研究委員会』を発足させており、女性の助祭叙階はカトリック教会のこれまでの何世紀かの実態と今日的な意味を基礎に置いて、部分的な結論に達した」とし、「それゆえ、私たちは、我々の経験と考察を同委員会と共有することを希望する」と述べた。

 だから、司教たちの何人かが懸念していたように、この表現は、女性の助祭叙階をズバリ認めたものでは、確かにない。

 

*アマゾン典礼

 アマゾン典礼についても、シノドスは必然的に課題として取り上げた。アマゾン地域の教会の「新たな有機体」-地域の協働的な構造の一種-が既に求められており、最終文書は、原住民の人々の慣習に従ってアマゾン典礼について熟考する「有力な研究委員会と対話の場を創設」の創設を提唱した。

 最終文書は「(注:このような過程を経て)カトリック教会に既に存在する複数の典礼に追加され、福音宣教の働きを豊かにし、適切な文化の中で信仰を表現するための幅を与え、教会の普遍性が示す地方分権化と共同性を示すことが可能となる… そして、人々が自分たちの領域と水域を大切に守る仕方とともに、ミサ典礼を豊かなものとする方法を研究し、提示することができるだろう」としている。

 そのような言葉は、アマゾン典礼の最終的な考えに明確な賛意を示すものである一方で、結局のところ、求めているのは、そうした考えを研究する機関の設置であり、この言葉は、賛否についての判断を出していないことを意味している。それでも、29人が反対票を投じている。

 これより前の項目で、アマゾン典礼の考え方と23の東方教会の典礼を比較することについては、27人の司教が”ノー”としている。

 従って、今シノドスで最も議論を呼んだ三つの問題に関しての結論は、さらに徹底した研究をすること、あるいは、教皇に対して肯定的な勧告を重要な留保条件付きで行うことだ。つまり、アマゾン地域シノドスは、教皇に対して、この地域の高位聖職者たちの考えをエックス線を通して集めた結果を提供する、諮問会議的な機能を果たしたのである。

 これまでと同様、最終判断は教皇に委ねられることになる。そして、教皇が何を選ぼうと、今回のシノドスから、決断へ完全にまっすぐな線を描くことは難しいだろう。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年10月30日

・アマゾン地域シノドス最終文書発表-既婚者の司祭叙階を提言、女性の終身助祭も検討を

(2019.10.27 バチカン放送)

 「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」が26日午後開いた最後の全体会議で、最終文書を採択した。会議後発表された最終文書は序章、5章からなる本文、終わりの言葉から成り、章立てと主な内容は以下の通り。

*本文の章立て

第1章「アマゾン:傾聴から統合的回心へ」
第2章「司牧的回心の新たな歩み」
第3章「文化的回心の新たな歩み」
第4章「エコロジー的回心の新たな歩み」
第5章「シノドス的回心の新たな歩み」

*本文の主な内容

第1章「アマゾン:傾聴から統合的回心へ」

・アッシジの聖フランシスコの生き方に倣う、率直で簡素な生活を通した「真の統合的回心」によって、神が創造された「共通の家」との調和を持った関係を築くよう促し、こうした回心は「アマゾンのすべての人々の心の中に入るための、外に向かう教会をもたらすだろう」としている。

・同時に、アマゾンの調和をゆがめ、生活を脅かす、多くの苦しみに触れ、具体的に、天然資源の私有化、搾取的な生産モデル、全域の約17%に及ぶ森林破壊、産業公害、気候変動、麻薬売買、人身取引、不法な武力集団、そして強制移住や難民も含む広範な現象としての移民問題などが挙げている。

・移民問題に関しては、国から国へ人の移動、あるいは森林地域から都会への人の移動のいずれの場合にも、「移民たちに対する教会の司牧の強化」を期待した。

第2章「司牧的回心の新たな歩み」

・教会の福音宣教のあり方を取り上げ、「サマリア人」のように「すべての人々との出会いへ向かう教会」、「マグダラのマリア」のように「愛され、和解し、キリストの復活を喜びをもって告げる教会」、マリアのように「子らを信仰に導き、生み出し、人々の文化の中で奉仕する教会」を希望した。

・アマゾン地域における福音宣教のために命を捧げた多くの宣教師たちの犠牲を想起する一方で、福音宣教がしばしば時代の権力と共存しながら行われた過去を振り返り、現代の教会が「新しい植民地主義的な権力と距離を置き、アマゾンの人々の声に耳を傾け、透明性を持った活動を進める」必要を指摘した。

・さらに、他のキリスト教会との間、あるいは異宗教との間での対話の重要性を指摘し、原住民の人々、青年、移民、家庭を対象とした司牧を、緊急に取り組むべき課題とした。

第3章「文化的回心の新たな歩み」

教会が人々と出会い、相手から学ぶためには、非キリスト教文化の受容が重要、とし、「アマゾン地域の人々の思いやり、連帯、共同体精神、被造物に対する見方などから、他大陸の人々は多くを学ぶことができる」と述べた。

・「土地を守ることは、生活を守ること」であり、命、人権の保護は福音に根差した原則である。教会は、司牧活動を通し、また各国政府への人権保護の働きかけを通して、アマゾン地域の人々を守るよう呼びかけた。

・原住民の人々の独自性や文化を尊重した宣教や神学のあり方、アマゾン地域の教会メディア網の形成なども提案した。

第4章「エコロジー的回心の新たな歩み」

・アマゾン地域の前例を見ない社会・環境危機に対し、すべての要因を関連付けて考察する「統合的なエコロジー」の視点を持つことを、同地域の未来を救うための唯一の道として提示。

・教会は「神の御業を保護するために、アマゾンの共同体と同盟し共に歩むべきである」とし、「共通の家」である地球を守るための役割、役務を定めること、「エコロジー的な罪」を、神と隣人、共同体と環境に対する一つの「怠り」として定義すること、などが提言されている。

・さらに、アマゾンにおける「エコロジー的負債」を補填するための国際基金の創設などのアイデアも記された。

第5章「シノドス的回心の新たな歩み」

・全ての教会関係者に、「聖職者至上主義や押し付け的な態度を超え、対話と傾聴、霊的な識別の文化を強化することで、司牧問題の挑戦に応える」ように促し、シノドス性、すなわち「皆で共に歩む」態度を、第2バチカン公会議の精神を受け継ぎ、特に男女の信徒の参加、共同責任性、皆が負う任務などに、以下のように言及している。

【信徒の役割と奉献生活】

・教会生活と福音宣教に関する事柄をめぐり、信徒の参加は、男女平等の役割に留意し、業務の担当を特定の人物が独占することのないように、「持ち回り制」にすることを勧めている。

・「司教は、司祭不在において、共同体のメンバーの中から、司祭的性格を伴うことのない一人の人物を、司牧的な世話を行うために、期間を限定して委任することができる」よう提案しており、この場合、責任は司祭が負うことを明記している。

・同時に、原住民の人々の修道者への召命推進、奉献生活についても、貧しい人々や疎外された人々のもとを巡回するなど、アマゾンに密接したあり方を提唱している。

【女性の積極的貢献】

・教会における女性の存在の重要性を強調。アマゾン地域の古くからの叡智は、大地を「母」なるものとして表現し、先住民族の社会では、女性を「人間性の推進において生き生きとした責任ある存在」としている、と指摘。「女性の声に耳を傾け、助言を求め、女性が様々な決定に参加し、教会の司牧や管理上の必要に応じた指導的役割を果たしすことで、教会のシノドス的歩みに女性が貢献することを希望した。

・「女性のための終身助祭」の制定も、今回のシノドスで多く議論され、シノドスに参加した司教たちは、教皇フランシスコが2016年に設立された「女性助祭をめぐる研究委員会」における検討に期待を表明した。

【終身助祭】

・終身助祭の育成と役割の推進は、シノドスで緊急の課題として取り上げられた。

・助祭は「司教の権限のもとに共同体に奉仕し、特に今日、統合的エコロジー、人間の発展、社会司牧、貧しく弱い立場の人々の支援を促進する」ように求められており、そのためにも助祭には、学究と司牧経験を積んだ生涯養成が必要とされ、そこに助祭候補の妻と子も参加することも考えられる。

・助祭の養成課程には、教会一致に向けた対話および諸宗教との対話、異文化受容、アマゾンの教会史、愛情と性、先住民の宇宙観、統合的エコロジーが、テーマとして取り入れられる必要がある、とした。

司祭養成】

・助祭の養成と同様に、司祭養成においても、福音を生き、教会法の知識を持つ、イエスの憐みに倣う司牧者の育成と並行し、そこに、統合的エコロジー、創造の神学、先住民の神学、エコロジー的霊性、アマゾンの教会史、アマゾンの人間学・文化学の課程を取り入れることが推奨された。

【ミサへの参加と司祭叙階】

・ミサへの参加は、キリスト教共同体にとって中心的な活動だ。だが、アマゾン地域の教会共同体は、信徒たちがミサに与るために極めて大きな困難を抱えており、司祭がミサを司式、あるいは赦しの秘跡、塗油の秘跡を授けるために、一つの共同体を訪れるのは、数カ月や数年に一度という地域もある。

・こうした事態に対して、教会共同体への奉仕にすべてを捧げる司祭の独身性を神の賜物として高い価値を持つことを確認し、独身性を生きる司祭たちの召し出しを願う一方で、司祭の独身性は「司祭自体の本質からは要求されていない」もの、と指摘。アマゾン地域の広大さと聖職者の少なさを考慮し、「終身助祭としての豊かな経験を持ち、司祭になるための相応の養成を受けた者が、正当に形成された安定した家庭を保ちつつ、アマゾンの最も遠隔な地域において、御言葉を伝え、秘跡を行うことを通して、キリスト教共同体の生活を維持することができるよう、共同体で認められたふさわしい男性を司祭に叙階するための規則と処置を、担当当局が制定すること」を提言している。

・なお、この提言については、シノドスに出席した複数の司教から、この課題は「特定地域に限定されない、普遍的なテーマである」との意見が出された、と付記した。

【シノドス後の地域教会組織とアマゾン地域の大学】

・アマゾン地域の各教区の広大な管轄領域の縮小・見直し、同一地域の教会のグループ化、遠隔地の宣教を支える基金の創設、新たな地域教会組織を創設することを提案した。

・原住民の人々の伝統の尊重し、聖書に基づき、異文化受容や異文化対話について研究する「アマゾン地域のカトリック大学の創立」の考えも示された。

【アマゾンの典礼】

・アマゾン地域の人々の世界観、伝統やシンボル、原始典礼などの要素に配慮した典礼を求める声に応え、アマゾン地域のための典礼を研究する委員会の設立、そうした典礼を、現在23の様式があるカトリックの典礼に加えることが提案された。

・キリスト教信仰の異文化受容を促進するために、聖書や典礼書をいくつかの地域の言語に翻訳するための委員会の設立や、音楽や歌を通して典礼を豊かにすることが提言された。

・最後に、アマゾンにおいて様々な名のもとに崇敬されている、アマゾンの母、おとめマリアの保護を祈っている。

2019年10月28日

・シノドス:小グループ別討議報告:教会、信徒と女性の役割、召命と既婚者叙階、難民、若者、環境…

Synod HallSynod Hall 

(2019.10.17 VaticanNews ) アマゾン地域シノドスは17日午後、教皇フランシスコと117人の司教が参加して13回目の全体会議を開き、言語別小グループから前日までの討議結果の報告を受けた。 今回のシノドスは、アマゾン地域と全教会への、神学的、司牧的視点から、私たちの共通の家を守り育てるという避けがたい仕事のための聖霊の賜物である。それは Kairos-時の恵み、アマゾン地域の人々と教会の和解のために好ましい機会ーこれが、17日午後にされた小グループによる報告を一致させる共通の糸だった。

*世界全体のシノドス平安

 全ての小グループは報告で、「アマゾン地域で新たなシノドスの道が育つこと」「バチカンで開かれたこの集まりが、真の外に顔を向けた教会の宣教への強い熱意を込めた新たな始まりとなること」への希望が表明された。アマゾン地域の人々の「よき暮らし」が、山上の垂訓の経験と結びつき、神の御言葉の照らされて完全に実現することも、希望された。また、さまざまなグループから、以下のような数多くの多様な具体的提案がなされた-それは、地域シノドスだけでなく、世界シノドスに関わるもの、アマゾン地域から発し、世界全体に影響を与えるものだ。

 

*貧しい人々のための、あらゆる形の暴力に反対する教会

 教会にとって欠かすことのできないことは、人々と地球の叫びを聴くこと。そして、黙っていないで、貧しい人々の側に立って、「暴力に反対」ということだ。 アマゾン地域で、その叫びはさまざまな顔を持っているー過密な刑務所での暴力、性的な虐待と搾取、原住民の人々への人権侵害、自分の土地を守ろうとする人々の殺害、麻薬取引と麻薬ビジネス、若者人口の抹殺、人身売買、女性殺害と”男”文化、大量虐殺、生物資源の略奪、民族文化の抹殺-文化と精神を殺すゆえに、これら全てと戦わねばならない。 組織的な採掘業者の違法行為と森林破壊は有罪であることが明白だ。発言者の中には、最も弱い人々の虐待と自然の破壊の関連を指摘する声もあった。緊急事態を迎えているとされた多くの事柄の中で、気候変動による危機がとくに重視された。

*人権に関する国際的な教会の”観測所”の提案

 その命で最も高い代価を払わされているのは原住民の人々だ。彼らは自分の土地で助けられも、守られもしない。こうした認識から、複数の小グループから提起されたのは、人権に関する国際的な”観測所”だ。人々と自然を守ることは教会の、司牧的な活動の”特権”と確信しているからだ。 小教区は子供たち、青少年、傷つきやすい人々の安全な空間を作らねばならない、との指摘もあった。受胎した時から自然の死に至るまで全期間にわたる生存の権利が改めて確認された。

*教会はNGOではない、必要な”教会一致”のための対話

 小グループから出された指摘の一つが、当局によってしばしば犯罪と見なされる人権保護運動家の活動に寄り添う仕事が、教会にある、だが、同時にNGOに類似した行為は避けねばならない、ということだった。NGO に類似した行為のリスクは、純粋に儀式的な役割を果たすリスクとともに、宗教的な行為や告解に霊的渇きの答えを求めようとする信徒たちを失う原因となるからだ。 複数の小グループからは、教会一致と異宗教間対話の対話推進にもっと力を入れるようにとの提案と、RELEP(ラテンアメリカ・ペンテコステ研究ネットワーク)とカトリックの神学者の間で、アマゾンとローマに二つのセンターを設けることの提案が出された。

*教会の管理・運営、一般信徒の役割、”世俗主義”の拒否

 聖職者中心主義を避けること、そのために、一般信徒の役割を高めねばならないことも、指摘された。大部分の小グループは、「ministerial Church」-一般信徒の共同責任と関与が共にある教会-の意味について理解を深めることを強調した。「スペイン語A」のグループは、「一般信徒の聖職化」を避けつつ、男女信徒が公平な形で教会の運営に関与することを提起した。

*女性の役割と助祭職

 女性の役割については、それを認識するだけでなく、責任の重い役割、指導的役割に関する提案もあり、アマゾンの教会の具体的な活動において、女性の存在の高い価値があることも指摘された。例えば、仕事場において、女性の権利を尊重する保証とあらゆる既成概念の払しょくが求められた。 また、大部分の小グループは、第二バチカン公会議の視点から、女性の助祭職について、アマゾン地域では多くの教会の活動が女性によってすでに担われていることを念頭にして、考えることに注意を払うよう、要請した。だたし、複数の発言者から、この問題は、別の司教たちの会議で扱うこと、その場合、おそらく女性たちにも投票権が与えられるであろう、との指摘もあった。

*司祭職と既婚者の叙階

 既婚者の叙階については、臨時の世界シノドスで扱うことが提案された。この問題についての見解は、グループによって異なり、聖職者の独身制は、原住民の人々の教会共同体に与えられた贈り物であり、問題にならない、との指摘があった。 「イタリア語A」のグループは、独身制の価値が弱められたり、既婚者の司祭叙階制が導入されることで、最も遠く離れた共同体での典礼奉仕で普遍教会の宣教の推進力を失うことへの懸念を示した。

 大部分の小グループー主としてスペイン語、ポルトガル語のグループーは、目指すべきは”訪問”する教会よりも”存在”する教会であり、既婚者に司祭職を与える方法を支持した。その場合、良い評判を得ていること、原住民の人々の共同体から選ばれることが好ましいこと、特定の条件を満たしていることが必要、との指摘もされた。さらに、そのようにして司祭となった人々が、「第二類,あるいは第三類」の司祭と見なされてはならず、真の司祭としての使命を果たす必要があるということも、強調された。

 アマゾン地域においては、現在、多くの人々が一年に一度か二度しか秘跡を受けることができない、という現実を忘れてはならず、聖体拝領だけでなく、神の御言葉が信徒たちの霊的成長をもたらすのだ、という認識を、現地の共同体で高めることが求められていることが、指摘された。

*召命の危機と司祭の養成

 アマゾン地域の広域性と司祭不足に対処する一環として、福音宣教の持続可能性のための地域基金の創設の可能性を検討することが提案された。

 これに加えて、「イタリア語A」グループからは「第二バチカン公会議とその後の教導職によって表明された司祭の独身制を、何らかの形で克服する提案に至った原因について、熟慮されていない」との表明があった。 同時に、司祭とキリストに倣わせることを目的として進行中の新たな教会運営のあり方に希望が表明されるとともに、北半球で司祭職を行っている宣教師たちをアマゾン地域に送ることを強く求める意見も出た。

 召命の危機に直面する中で、複数の小グループは、アマゾン地域の修道士の大幅な減少を指摘するとともに、修道生活の刷新-CLAR(ラテンアメリカ修道会連合)が注力している-が新たな情熱をもって、特に観想生活に関してなされることに希望を示した。 一般信徒の育成にも焦点が当てられ、それは欠かせないことであり、教義面だけでなく、教会の社会規範に基礎を置き、「復活された方」との出会いの経験に導くような福音的なものでなければならない、との指摘もされた。

 また、司祭の育成を、学問的だけでなく、アマゾン地域で「前を向き、苦しむ人々、刑務所や病院にいる人々とともに歩む教会」を実地に経験をさせる形で、強化することも提起された。現地で神学を学び、深めるような原住民の人々の神学校も創設も提案された。

*異文化間対話と非キリスト文化からの影響

 小グループはまた、原住民の人々の顔を持った神学と司牧について考慮を求めている。異文化間の対話と文化受容は、相反するものとして理解されるべきではない、教会の任務は、アマゾンの人々のための決定を下したり、征服者の立場をとったりすることではなく、共に歩み、対話し耳を傾ける共同体的な視点をもつことが必要、との意見も出た。

 具体的には、「アマゾンの儀式」を導入する提案が示された。これは、この地域のカトリック教会の並外れた豊かさの霊的、神学的、神学的、典礼的、そして、規律の面での成長をもたらす。小グループの報告の一つは、「アマゾンの教会の典礼では、ローマ典礼との実質的な整合性を保ちつつ、現地文化のシンボルと動作が重んじられている。教会は、信仰に影響を与えない限り、硬直的にローマ典礼を守ることを望まない」との見方を表明した。

 聖書の知識を高めること、そのために、現地語への翻訳に力を入れることも提案された。ラテンアメリカ教会協議会とリンクし、カリタスが主宰するアマゾン地域の教会ネットワークや地域各国の司教協議会とも連携する「汎アマゾン教会協議会」の創設も提案された。

 また小グループ報告の一つは、「アマゾンの宇宙観」に言及。「テクノロジーに支配され、『金銭崇拝』に傾いた西欧世界に対して、教えることが沢山ある。アマゾン地域の人々は自分たちの聖なる土地について考えている-生物群系、生物多様性、そして土地の権利の持つ精神的価値を思い返すことが奨励される必要がある。一方で、人々の持つ文化を尊重しつつ、福音と死に打ち勝ったキリストの勝利を宣言することが、アマゾン地域の人々の宇宙観を理解し、受け入れるために欠かせない要素だと考えねばならない」としている。

*宣教と殉教 

 宣教師は、植民地主義者的な考え方を捨て、民族に対する先入観を克服し、人々の慣習、儀式、信仰を尊重することが、求められている。複数の小グループは、人々が信仰を表現する仕方は正当に評価され、側に付いて促進されるべきだ、とした。また、ラテンアメリカ教会協議会、各教区の正義と平和委員会、その他の活動組織と連携して、汎アマゾン社会司牧”観測所”を創設することも提案された。

 アマゾンの教会の歴史に光と影があることを認識しなければならない、原住民の人々を「司牧ケアの受け身的な受け手」とみなす教会と、「アマゾンの人々と共に、アマゾンを救う」という原則に従って「原住民の人々を、信仰の体験の主役」として扱う教会を分けて考える必要がある、また、アマゾン地域で福音の愛のためにいのちを捧げた多くの宣教師と殉教者によって示された輝かしい模範を大事にすることも重要だ、との意見もあった。

 スペイン語のAグループは、アマゾン地域で殉教した人々の列福を推進することを提案した。

*移民・難民、若者たち、そして都市部の問題

 また、小グループの報告では、自分の意志で孤立状態にある人々を忘れてはならない、と指摘し、巡回宣教師チームが彼らに対応することが求められた。移民・難民問題に関連しては、特に若者たちの問題を考える必要があること、アマゾン地域の人口の八割が住む都市部では、文化的アイデンティティの喪失、社会的な排除、崩壊、家庭崩壊や不安定化など負の現象が起きており、都市の中心部での福音宣教が緊急の課題になっているが、一方で、都市のスラム街や都市郊外地域、農村部も忘れずに、司牧活動を現場の状況に合わせていかねばならないこと、若者司牧について早急に刷新する必要があること、教育の分野では、教育面では、教会に、複数言語による異文化間教育の推進、原住民の人々のためのアマゾンの科学と異文化間の高等教育に特化した大学ネットワークの同盟を支援することが、教会に求められていること、なども指摘された。

*被造物の保護と環境問題

 環境の分野についても、小グループで討議され、被造物は神の傑作であり、すべての被造物は関連を持っていることを再確認した。

 「真の環境的な回心は、家庭で始まり、個人的な回心を通して、イエスとの出会いを通してなされる」との確信を前提に、気温の上昇やCO2排出との戦いなど、最も実際的な問題に対処することが重要であること、私有化されたり汚染されたして共同体社会全体が生命の危険にさらされないように、人権ー落ち着いた生活と水のように貴重な財産などーを保護すること、アマゾンのビジョンに従って、自然の秘蜜と神聖さを知ることにつながる道を通し、持続可能なプロジェクトの開発と共に、医療に役立つ植物の価値も強調されるべきこと、も強調された。

 また、小グループの一つからは、農業技術の訓練校で植林プロジェクトを進めることも提案された。

 *環境的な罪と連帯の経済の推進

 以上に関連して、二つの提案がされた-教会協議会の指針に欠かすことのできない環境を取り入れること、道徳神学に告解の秘跡の手順の改定を通して”共通の家”への敬意と環境的な罪を取り入れること、である。また、討議に参加した司教の中から、人類は法の主題として自然を認識する方向に進んでおり、「功利主義的な人間中心のビジョンは時代遅れとなり、人は、人類そのものを危険にさらす無限の搾取に自然の資源をさらすことができなくなっている」と見方が表明された。

 また、「ポルトガル語A」グループからは、経済連帯のモデルの推進と私たちの”共通の家”をケアするための体制の確立が、相互関係の中で地球上の生命に関する緊急の一連の措置として求められている、との主張があった。

*アマゾン地域シノドスとコミュニケーション

 最後に、多くの小グループからの報告では、メディアについても多く触れられ、カトリックのコミュニケーション・ネットワークには、アマゾン地域を主たる関心事とし、良いニュースを広め、母なる地球に対するあらゆる種類の攻撃を非難し、真実を伝えるよう、強く求められた。また、この今回の地域シノドスの成果を広めるために、ウェブ・ラジオ、ウェブ・テレビ、ラジオ通信のためのソーシャルネットワークの活用も提案された。

「アマゾン河」の力強さを持つ今回の地域シノドスの流れは、福音宣教のの新たな道を共に歩んだ経験から、多くの賜物と会議場での司教たちの発言を反映したアイデアであふれており、必須の環境学が生まれる可能性を生んでいる、と結論した。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年10月19日

・アマゾン地域シノドス8日目:地域の人々と地球の”叫び”を聴き、行動することが必要

(2019.10.15 VaticanNews )

 アマゾン地域シノドスは15日午後、最終回となる12回目の全体会議を教皇出席のものとに開いた。会議には173人の司教が参加。16日朝からは言語グループ別の会議を再開し、作業結果は17日午後の全体集会に報告される予定だ。

 アマゾン地域の人々は、自分たちと結びついた教会を望んでいる。会議出席者たちは、教会が彼らが十字架にかけられていることを忘れてー無関心、不作為の罪を犯すことになるー哀れな人々のことを話すことはできない、と反省した。

 -教会は、福音を出発点として、人々と地球の叫びを聴くように求められている。これが、良きサマリア人に倣い、殉教の可能性を恐れない宣教師、最も小さきものを守る者となる唯一の道。参加者の一人が大胆に述べたように「死のために生きるよりも、命のために戦って死ぬ方がよい」。シノドスは、機能的解決策にとどまるのではなく、聖霊が豊かに注がれるような場を残すべきだ、との意見を考慮に入れつつ、討議を続けた。

*虐待を放置せず、人々が共同責任を感じられるようにする

 アマゾンの脆弱な地域の人々は、しばしば「自分たちが見捨てられている」と考えている。例えば、ストリートチルドレン。教会は、彼らが自尊心を高めるのを助け、犠牲者になるのを防ぐように求められている。このような悲劇は、結局のところ、根本的な問題が解決されていないことから生じている。この地域自体が、間違いなく虐待の被害者となっている。必要なのは、人々自身が自分の運命の構築に共同責任を感じられるようにすること。信徒たちは、自分の権利を取り戻し、神が約束された王国に向かって旅を続け、率直に、希望をもって生きる義務を引き受ける最前線に立つ必要がある。

*被造物を守り育てる科学の基本的な役割-教会法に「環境規定」を

 人々と地球の両方からの助けを求める叫びは、すべての人を巻き込む。信徒たちは、すべての被造物の価値を認識すよう求められている。私たちの”共通の家”を守り育てることは、キリスト教徒の召命に根ざしている。

 行動することは、個人、地域社会、そして世界にとって必須だ。無関心でいることはできない。全ての世代の将来が危機に瀕している。アマゾン地域を人為的な破壊から守ることは、全人類に関わる責任だ。会議では、気候変動に地球規模で対応するために、国際レベルで科学者や学者が教皇庁科学アカデミーの協力体制を作ることが提言された。また、教育分野で、私たちの”共通の家”を守り育てることに、一般の人々を認識を高めるため、もっと多くのことをする必要が表明された。環境に関する信徒の義務についての規定(環境規定)を教会法に入れることも提起された。

*環境的回心のために

 教会の魅力は、キリストとその福音への環境的な、協働で完全な回心への呼びかけを想定して、歩みを深めることにある。地球家族として共に歩むことは、「アマゾン地域は、特定の国々にも、国々を統治する者にも属さない」との考えを基にした、広がりを持った招きだ。地域の国々は管理者であり、自らの行為に説明責任を負っている。 信徒-独身あるいは既婚の-が自力で作った日々の賜物を通して、”秘跡”としての教会は、アマゾン地域に作られ、キリストの存在を宣言する。それが必要なことは、共同体社会の生きた経験と既に受けている賜物によって挑戦を受けることを受け入れる霊性と秘跡神学のために述べられている。この点で、地域教会のレベルで取り組みを調整する努力が行われていることは励みになる。

 

*諸関係の対称性-相違を超えた”we”の構築が急がれている

 聖霊に触発された異文化間の対話の重要性も指摘された。その際に求められるのは、「関係の対称性」を手にするために、出しゃばったり、独り占めにするような習慣を手放すことだ。謙遜は「自分たちには”共通の家”を守り育てる共同責任がある」という共通の確信を基礎にした対話に、必要な態度である。単独ではできないことも、協力すれば可能になる。私たち一人一人が異なっているゆえに、一人一人が一緒になった”we”を、急いで構築する必要がある。また、理論を実践でテストできる異文化間対話の積極的な推進体制を作ることが奨励される。

*司祭不在の教会共同体の問題

 アマゾン地域の深刻な司祭不足の問題も改めて話し合われた。この地域では、司祭の訪問が年に1回か2回しかない教会共同体が全体の7割を占めると推定されている。復活祭、聖霊降臨祭、生誕祭など、信徒生活の中心となる行事に、秘跡も、神の言葉も、祝いの祭儀を受けることができず、中には、他宗派の祭儀に参加を余儀なくされ、「羊飼いのいない羊」のような状態に置かれている信徒もいる。

 普遍教会は、このような状況に無関心することはできない。聖霊の声に心を開く、勇気ある選択がなされる必要がある。これに関して、「刈り取りのために働き手を送られる収穫の主」に祈ることの重要性、神の民の司牧が「主の第一の関心」であることを司教の1人が指摘した。だから、私たちは神に問題解決を願わねばならない。

 

*福音宣教への情熱が薄れている

 福音宣教への熱意が、中心部から遠く離れた地域で薄らいでいる問題も取り上げられた。特に一部の地域では、持続することが不可能な大規模な鉱物資源の採掘事業が、疾病の拡大、麻薬取引、人々の自信の喪失などを引き起こしている。国際社会は、こうした事業への投資がされないよう強く働きかける必要がある。アマゾン地域は宣教師を必要としている。現地の人々が信じることのできるのは彼らだけだからだ。

 イエスに触発された宣教師の巡回チームのことが取り上げられた。彼らは、休むことなく、留まるところもなく、村々を巡った。”動き続ける”教会の模範だ-宣教司牧を後にすることは、創造的な行為よりも過去を大事にすることを意味する。そうしたやり方はもはや通用しない。新たな取り組みが強く求められている。周りの世界が先に進む中で、私たちは”役に立たない”ではいられない。福音は語るべき何かを、常に持っている。それはまた、「環境的な回心」の一部をなしている。宣教の新しい形に心を開くことは、女性と若い人々の取り込みを意味する。

*地域から引き裂かれた都市の移住者、そして食糧問題への貢献

 男女の日々の活動に協働性と団体性をもって従事することが、教会に求められている。改めて、移住者ー根を抜かれ、都市に植え付けられた人々ーの問題が、会議の関心となった。

 諸都市で、彼らは、それまで住んでいた地域とは対照的な、政治的、社会的、経済的、空虚で、絶望的ともいえる個人主義と向き合うことを強要されている。そこに福音を存在させるのは義務であり、そうすることで、都市は宣教と聖別の場となる。

 原住民の人々を主役と考える文脈の中で、宣教司牧を勧めることが必要だ。聖書に語られているように特定の人々と土地の結びつきの強さを知ることは、彼らが自分の土地から引き裂かれることの重さを理解する助けとなる。自分の領域を守ることは、アマゾン地域の(森林など)生物群系とそこに暮らす人々の生き方にとって、極めて重要だ。その意味で、原住民の人々の「妥協することのない防御」は推奨される。これには、彼ら自身の文化、自身の神学、自身の宗教に対する権利が含まれる-それは、全人類のために守られるべき財産だ。

 この会議では、最後に食料の問題が取り上げられた。アマゾン地域は、その淡水とともに、世界の飢えの削減に貢献することができる。世界の淡水の26㌫はこの地域からきているという事実から、出席者の一人が、持続可能なプロジェクトを奨励すべきだと、主張した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年10月17日

・シノドス7日目:協働性の視点から「聖職」を見直す-女性の役割、既婚者叙階、若者司牧、情報伝達…

(2019.10.14 VaticanNews )

 アマゾン地域シノドスは14日開いた10回目の全体会議で、教皇フランシスコ出席のもとに、177人の司教と専門家、招待者などが参加して討議を続けた。

 教会がよりよく神の言葉によって形作られるように、synodality(協働性)の視点から聖職を考え直すことは、アマゾン地域における教会の課題の一つと見なされた。この会議で、何人かがこの点を強調する見方を示した。

*神の言葉

 神の言葉は行動的で、慈しみ深い存在-教育的で預言的、造形的で遂行的。不可欠な生態学の課題を補強し、社会的、経済的、文化的、そして政治的な発展の手段、新たな人間主義となりうる。

 女性も含む「御言葉の新たな聖職者」たちが、現代の諸課題への新たな対応を提供するために必要だ。だから教会は、アマゾン地域のそれぞれの場で福音を宣言する仕方を知るような、よく準備された信徒の育成に、投資せなばならない。約束された信徒に十分な教育を施すことは、原住民の人々の宗教生活と聖職者への召命を進めるための基本だ。

*一般信徒と女性の役割

 このような意見もあったー一般信徒の賜物は、教会でもっとよく表明され、評価される必要がある。そうした信徒のおかげで、教会は「外に向かって動く、世俗主義から距離を置く教会」であることを明らかにしている。

 また、ある出席者から、「 viri probati (既婚者の叙階の意味)」と「女性に聖職者の門戸を開くこと」の是非についての議論は世界の教会全体に影響を与えるため、シノドスの通常総会で扱われるべき、との指摘がある一方、女性を「司祭叙階しない奉仕としての聖職者」に含め、そうすることで、アマゾン地域全域における女性の尊厳と平等を保証する必要性を説く意見も出た。そうした聖職者には、例えば、御言葉の祭儀を行うこと、社会的な慈善の性格を持つ事業を主導することなどができるようにする、との案も示された。

*既婚者の叙階について

 他の発言者からは、既婚者の司祭叙階の前に、既婚者の助祭を考える必要がある、既婚者の司祭叙階は終身助祭から昇格するようにすればいい、あるいは、「終身助祭」は、既婚者を将来、司祭叙階の対象に含める可能性を試すよい「実験室」になる、との指摘もあった。

*小児性愛、幼児誘拐、臓器売買、人身売買

 アマゾン地域の未成年者と弱い立場にある大人への配慮に関しては、小児性愛や他の性的虐待に対して厳しい批判は、教会が注意を怠ることなく、勇気を持って対処するように求めている、との見方が示され、最大の課題は、こうした犯罪行為を断固防ぐことができるように、透明性と責任体制を確保することだ、との指摘があった。

 若者たちが性的に搾取されている問題も、改めて言及された。また出席者の一人は、幼児誘拐の犯罪網が複数存在し、臓器売買の犠牲者を生んでいる、と報告した。ある統計によると、2018年にブラジルだけで6万2000件、アマゾン地域で最多に数えられる性的暴行がされている。

 そして、これらの忌まわしい犯罪の根底には深刻な経済的な格差と中央政府、地方政府当局の対応能力の欠如があり、対応強化を訴える声が司教協議会や修道会からあがっている。

 未成年者と女性を主たる対象とする人身売買に対する戦いは、この会議で注目され、犠牲者たちが世界のほとんどの非人間化した地域で発生していることを思い起こし、バチカンの人間開発に関する部署を通して、世界の大規模な民間組織が人身売買に対する国際的な政策に対応するように求めること、こうした犯罪を扱う特別な司牧委員会を設けることが提案された。

*召命と若者のための司牧

 また他の発言者からは、福音宣教の仕事から除外することのできない召命のための司牧の重要性が指摘された。さらに、すべての福音宣教には、キリストへの個人的な出会いの呼びかけと同時に、キリストとの個人的な出会いを勧める青少年宣教を伴う必要が強調された。会議出席者たちは、キリストに従うことを望む若者は、聖なる献身的な人生の証しを通し、適切な養成によって支えられる必要があることを確認した。このために、司祭たちはアマゾン地域の特定のニーズを完全に理解する必要があり、若者たちの養成は過度に”学術的”に行うのではなく、”宣教師の精神”と”牧者の心”をもって行うことが求められる、ともされた。

*水資源の保護のためにも「生態学的な回心」が必要

 生態学ー特に、主要な資源であり、生命の源である水を大切にし、保護することに関する-の専門知識を持つカテキスタの養成が改めて強調された。この重要性は、司教以外の複数の出席者からも繰り返された。水に関連した疾病で毎日何千人もの子供が死亡するという統計が示され、教皇フランシスコの「次の世界大戦は水と結びついたものとなる」との言葉を引用した。私たちの共通の家を保護する必要性については、世界的に認識されており、人々の”創造と和解”が急務となっている。  「生態学的な回心」は、技術的側面に傾いた現代のライフスタイルを変える倫理的側面に注目することでもある、との指摘もあった。

*情報伝達の課題

 午前中の9回目の全体会議の議題となった情報伝達の問題が、午後の会議でも取り上げられた。アマゾン地域の人々を支援するためには、マスメディアを通じて、あらゆる文化やあらゆる言語でコミュニケーションをとれるようにする必要が確認され、教会が運営するメディアは、原住民の人々の意志疎通の仲立ちとなることで、現地の知見を統合する場所となる必要がある、との意見も出た。

 また多くの司教たちは、教育や社会開発を目的とした他の小さなプロジェクトによっても実行できる原住民の人々を保護、支援する対策についても取り上げた。彼らはしばしば社会から疎外されていることから「無能」と見なされるべきではなく、力を与えられ、耳を傾けられ、理解され、歓迎されなければならない。そのために、正義と平和委員会の間の協力強化と人権を促進も提案された。

*会議の終わりに

 会議の終わりに、教皇フランシスコ教皇は午後の会議に出たさまざまなテーマを振り返り、最も印象に残ったいくつかの事柄を強調された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年10月15日

・シノドス6日目:教会の使命の中心にあるキリスト-既婚者の司祭叙階、女性の役割、”環境的回心”

 

Pope Francis with a group of women religious and laywomen attending the SynodPope Francis with a group of women religious and laywomen attending the Synod 

(2019.10.12 VaticanNews)

 アマゾン地域シノドスは12日の土曜日、最初の週の討議を終えた。

 同日午後の8回目の全体会議の主要テーマの一つは、教会の使命の中心を占めるキリストの存在だった。

*福音が十分に伝えられていない-チームでの対応の必要

 会議出席者の一人が「どれほど多くの人が福音を知っているでしょうか?」と問いかけ、さらに、”良き知らせ”はアマゾン地域だけでなく、全世界に知らせるべきものだ、ことを確認した。福音宣教は単独で行ってはならず、チームとして行う必要性が提起され、こうしたチームは、この地域が抱える多様な司牧上の課題に十分に対応し、宣教の喜びを証しすることを可能にする、との期待が表明された。

*改めて「既婚男性の司祭叙階の是非」を議論

 この日の会議でも、あらためて、「viri probati(既婚男性)」の司祭叙階の是非をめぐる問題が、複数の参加者から提起された。何人かが「照明の不足はアマゾン地域に特異な現状ではない…そうであるなら、なぜ、この地域だけを特別扱いするのか?」という疑問を投げかけ、この問題を今後開かれるシノドスの議題にする、という提案も出た。

 一方で、「原住民の人々の中には、独身だからという理由で司祭を歓迎するケースもある」という意見や、「今日の世界は、司祭の独身制を『快楽主義と世俗主義の文化の圧力によって破壊すべき最後の砦』とみている… だから、司祭の独身制が持つ価値について注意深く考える必要がある」との意見もあった。

 また、他の複数の出席者は「司祭職の新しいモデルに関する議論は避けることができず、望ましいもの」としたうえで、「司祭を他の教区や地方に送り出すことが奨励されるなら、信仰が証明された賢明な(注:既婚の)男性を叙階することもまた、推奨される必要がある… このような考え方は教会の共同体を傷つけることも、司祭の独身制を覆すことにもならない。それよりも、この考え方は、『地域をちょっと訪問するのでなく、そこにとどまる』司祭職を実現する決定的な第一歩となるかも知れない」と述べた。

 さらに、「このような対応は、召命の不足を解決する方策として進めるのではなく、教会が、真のアマゾン地域のアイデンティティを持てるようにするものだ」「このシノドスは、聖霊を信じて新たな一歩を踏み出すための土台を置けるだろう… 聖霊を信じることは、過ちを犯す恐れに勝るのだ」との考えも、参加者から表明された。

*女性の役割の増大-聖職者主義の解毒剤

 教会における女性の役割も再び、討議のテーマとなった。ここでは、女性たちにもっと司牧上の責任を与えること、効果的な参加、さらに教会の政策決定のレベルにまで女性の関与を求める意見が出された。アマゾン地域で女性の助祭制度を明確に認めるように、との要求も出た。

 現在のキリスト教共同体の活動で、女性は、カテキスタや修道会総長だけでなく、新たな任務を引き受けることのできる人として既に大きな役割を果たしている。和解の契約への署名をもとに、「女性の教会活動への関与は、世俗的でない教会のための基礎を置くことになりうる… 聖職者主義は今だに教会に存在し、教会の奉仕、友愛、連帯の妨げとなっている」との指摘もされた。

*聖霊を聴く-「環境破壊の流れを変えねば」と現地の人々が訴え

 シノドスは、聖霊をいつも聴くために存在する。”聴く”という態度は、私たちの星を脅かす環境破壊に対抗するために必要な「環境的な回心」を導き、励ますものとして、参加者から提起された。

 会議参加者たちは、創造主がアマゾン地域を私たちの管理に委ねられていることを思い起こした。「この地域は、地球上で最も美しく、生命維持に必要な”庭”だが、残念なことに我々は、この”地上の天国”を”地獄”ー原住民の人々から、彼らのかけがえのない歴史的財産を奪う”荒れ狂う炎”-に変えるリスクを冒している」「共に歩むことは、”母なる大地”の声を聴き、”資源搾取による民族殺戮の裏にある暴力”の存在を認識するようになることを意味する」などの警告も出た。アマゾン原住民の諸団体からは「これ以上の大きな危険に落ち込まないように、現在の潮流を変えねばならない」とのアピールが出された。

 

*私たちは互いに、そして大地に結び付けられている-”環境的回心”を求める

 「私たちは皆、互いに結び付けられている。”良く生きること”は、”満足度の高い豊かな暮らし”というよりも、”私たちが互いに、そして大地に結び付けられている”ことを意味する」との主張も出た。

 社会的な条件の不均衡につながる人の存在の分裂は、否定、断罪されねばならない。グローバリゼーションは、私たちの生活に否定することのできな便益をもたらしてはいるが、それはまた”野蛮な資本主義”と消費者主義の極めて有害な形を生み出す物質主義への扉を開いてしまった。先進国は安価な産品を求め、それを生産する原住民の人々はしばしば、血で対価を払っている。-このような現実から、質素な生活、正義と平和の名において公正貿易を含めた”環境的な回心”の実現を求めるアピールが出された。

*”原住民の人々の顔”をもった教会へ、新たな地域的枠組みを

 この会議では、アマゾンで生きる主権を持つ原住民の人々の苦しみを常に頭に入れておくように、との要請が再度なされた。

 この地域の文化と伝統の中に神の言葉の種を見つけることは、「キリストがまだ福音を聞いたことのない人々の中に、すでに生きておられる」のを確認するのことを意味する。「福音は一つの文化の独占物ではない。これが、原住民の人々とアマゾン地域の教会の存在を尊重した対応の仕方だ」と出席者の一人が発言した。

 そして一つの提案として「シノドスの準備過程で作られたネットワークの前向きな経験と今シノドスの開催中に受けた聖霊のインスピレーションによって出来た勢いを持続させる『新たなアマゾン地域の枠組み』の形成」が出された。

*アマゾン地域での宗教的生活の賜物

 また、この会議では、宗教的生活を通して自身の人生を神にささげ、教会が”原住民の人々の顔”をもつのを助けた原住民の人の価値のある模範についても、耳を傾けた。

 修道士と修道女は、人々の権利のために、共に戦っている。また、自分自身の成長の中で、自身の伝統的な遺産をキリスト教徒としての霊性をつなぐことに努めるように求められているのを感じ、そうした努力をする中で、人類と自然をともに守るのに欠かすことのできない環境面での対応に寄与することを願っている、との希望が表明された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年10月15日

・アマゾン・シノドス3日目:「麻薬取引汚染」「環境的回心」はじめ幅広い議論

(2019.10.10 VaticanNews )

 アマゾン地域シノドスは9日午後、教皇臨席の下に6回目の全体会議を開き、この地域の深刻な問題になっている麻薬取引汚染などを中心に議論した。

 この地域のある一帯では、コカインの原料であるコカの栽培面積が1万2000ヘクタールから2万3000ヘクタールに増え、犯罪の多発と森林地帯の砂漠化をもたらし、公に認めた野焼きと水力発電所建設工事が何百万ヘクタールもの森林を破壊し、いくつかの地域の環境に深刻な影響を及ぼし、生態系を変えている。

 会議では、このような現状から、「環境的な回心」を訴える必要が改めて確認され、教会は、国際的な諸機関が取り組むべき課題として、生態系の保護をとりあげるよう、預言を持って語られねばならない、との意見が出された。

*文化受容と福音宣教

 会議に出席した司教たちからは、また、イエスのなさったことに倣い、現地文化の受容と福音宣教の均衡を図る必要が提起された。そして、ご自身の愛を顕現するために、み言葉は人の形をとられたことから、Incarnation (注:神がイエスとなってこの世に来られたこと)そのものが”文化受容”のもっとも偉大なしるしであり、宣教師たちがアマゾン地域でしたように、教会は、人々の日々の暮らしの中に、自らを顕現するように求められている、との意見があった。

*宣教の協働性

 またある司教は、アマゾン地域はこの地域に住む人々のために、また教会のために、永続的な宣教の協働性の実習場となるべきだ、と述べ、また、我々の共通の家を世話するために、異文化理解、諸文化と原住民の人々の高揚を強調する意見も出た。

*司祭召命の問題と既婚男性叙階の可能性

 福音宣教のテーマはこの会議でも取り上げられ、司祭と修道者の召命の問題が議論された。複数の司教たちは”viri probati”(注:直訳は”ふさわしい男性”、つまり既婚男性の司祭叙階の意味)の可能性について言及。この問題について「叙階の可能性が、別の大陸に、あるいは別の教区に宣教に行こうとする司祭たちの意欲をそぐかもしれない」、あるいは、「司祭は、『特定の共同体』ではなく、『教会』に属し、『いかなる共同体』に奉仕することもできる」「必要とされる司祭はそれほど多くない。必要なのは一般信徒の助祭だ」との指摘もあった。

 また、司祭育成を改善する必要性と、一般信徒の責任について重きを置くことが求められている、ことも強調された。

*民衆信仰

 さらに福音宣教の無理できない側面として、民衆信心があり、民衆信心はアマゾン地域の人々の基本的な特徴の一つ、イエス・キリストを映す宝として大切にされる必要がある、との指摘がされ、「民衆信心の明示は、教会で受け入れられ、推奨され、強められる傾向にある」との見方も示された。

*創造の神学

人類に向けた神の言葉が住まわれる「創造神学」についても討議された。この神学を基礎に、司教たちは、創造を忘れることは創造者を忘れることを意味することから、創造神学と実証科学の代表者たちの間の対話の重要性に言及した。また、アマゾン地域の原住民の人々の権利を守ることの重要性も指摘され、彼らとの対話は、価値ある話し相手、自己決定能力を備えた価値ある対話者として大切にする助けになる、との見方が示された。

*教会と社会における女性の役割

 この全体会議には司教たち以外に、監査人、司教以外の代表者、そして特別招待者も出席した。彼らが特に指摘したのは、女性の役割の推進、家庭、社会、教会における女性の指導的役割に価値を置くことの重要性だった。

 女性たちは、日々の生活の守護者、宣教者、希望を作る人、神の心地よいそよ風、教会の持つ母の顔-女性たちのアマゾン地域での福音の言明の仕方ー静かだが深くこの地域の社会に浸透するーを認識することの重要性も指摘された。ジェンダーの協働性が教会で強化されている、との見方も出た。

*諸宗教間対話とキリスト教一致のための対話

 信頼醸成目的とし、互いの違いを機会とみなす、諸宗教間対話の重要性も議題となり、それは、「宗教的植民地化」とは全く異なるもので、相手の意見を熱心に聴き、違いを認識すること、が指摘された。

 キリスト教会一致のための対話については、しばしば暴力の犠牲になっている原住民の人々の権利を守ること、略奪的な鉱物採掘や有毒な植物栽培で破壊されるアマゾンの人々の土地を守ること、を目的とする共通の対応の重要性が強調された。

 また、福音を共同で証しすることは、そうした犯罪行為との戦う手法となり得る、キリスト教徒は、アマゾン地域とそこに住む人々が体験している暴力と不正を目の前にして、沈黙しているべきではない、この地域の最も辺境のちで、神を愛を表明することは、創造の素晴らしさに対するあらゆる形の圧迫を弾劾することを意味する、との意見も出された。

*アマゾン地域は、誰にとっても”本物”の場所

 アマゾン地域は、現在の私たち全員が影響する地球的課題の多くが提起されている”本物”の場所だ、との指摘も出た。アマゾン地域の人々の苦しみは、人の命が単なる商品とされ、不平等を拡大させる”帝国主義的”なライフスタイルから生まれている、だが、物事が相互につながっており、地球規模の協力は可能だし、緊急に進めねばならない、ということを私たちが理解するのを、原住民の人々が助けてくれることができる、との発言もあった。

*教皇の模範

会議参加者の意見表面に先立って、教皇フランシスコは、今回のこれまでの議論でご自分が最も感銘したことについて語られた。教皇は、この日が「Yom Kippurの日(注:贖罪の日、レビ記16章に規定されるユダヤ教の祭日でユダヤ教における最大の休日の1つ)であることから、一日の業の初めに「ユダヤ教徒の兄弟たち」のために祈られ、一日の終わりに、ドイツ東部ザクセン=アンハルト州ハレで9日起きたシシノガーグ(ユダヤ教礼拝所)襲撃事件で犠牲となった人々のために祈りを捧げられた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年10月12日

・シノドス二日目:アマゾン地域の人々への人権侵害に立ち向かい、「環境的回心」を

(2019.10.8 Vatican News

 アマゾン地域シノドスは8日、実質討議二日目に入り、午後の四回目の全体会議には教皇フランシスコと182人の司教が参加した。 同会議での討議の主題は「アマゾン地域の原住民の人々に対する組織的な権利侵害とそれによる地域全体の生命に対する危機」だった。

 

*無関心の態度を捨て、責任を引き受ける

 討議で強く指摘されたのは、教会がその道徳的、霊的な権威をもって、常に生命を守り、命を脅かす数多くの死の仕組みを弾劾すべきだ、ということだった。私たちが”見物人”として現実を見てしまう個人主義と無関心を否定し、人間の尊厳を優先する責任と欠くことのできない環境を中心に置く「環境的回心」の必要性が強調された。

*人権侵害に立ち向かうよう国際社会に求める

 司教たちはまた、国際社会全体に対して、罪のない人々の血が流されることへの無関心を捨て、アマゾン地域の環境破壊を真剣に受け止めるよう強く求めた。そして、原住民の人々、自然保護区の監視員たち、キリストの十字架によって福音伝道をする人々を気候変動と戦う盟友と見なければならない、とした。また、この問題で、原住民の代表から、対話の中で力を合わせる必要が強調されたー「友情は敬意を払い、守り、世話をすることです」。また、多くの教会関係者から求められたのは、草の根の社会運動と同盟し、アマゾン地域の人々の世界観に謙虚に耳を傾け、受け入れ、現地の文化が”西洋”の伝統としばしば異なる宗教的儀式の象徴的な意味をもっと深く理解するようになることだった。

*”環境的な罪”をもっと理解するように

 持続的な成長のために必要なのは、社会的に適合し包括的で、科学と伝統的な知識を合わせること、なぜなら、生きた現実であった”博物館”ではない「アマゾン地域の将来」は我々の手に委ねられているからだーという意見も多く出された。また、環境に対する罪の重大さを、神に対する罪、隣人に背き、将来の世代に背くもの、と人々が理解するような「環境的な回心」の必要性も提起された。これは、”環境的な罪”を伝統的な罪の概念に含む神学的な書物を著わし、幅広く流布することも意味している。

*原住民の終身助祭の推進

 一般信徒と聖職者の原住民宣教師の育成に力を合わせることも提起された。使徒職にもっと多くの原住民の人々が関与すること、終身助祭の推進、一般信徒の関与の拡大、聖霊の真の顕現と理解される対応が主張された。また、教会の活動における女性の役割の拡大を求めることも出された。

*司祭の召命について、真剣な反省が必要

 また、会議参加者の何人かから、司祭叙階の条件に関する課題が取り上げられた。その中には、召命を求める祈りーアマゾン地域を偉大な霊的聖域に変容されるように、福音のための新たな働き手を送ってくださるように、と祈ることを強く求める意見や、司祭の不足はアマゾン地域だけの問題ではなく、世界全体問題となっている、との指摘が出された。

 さらに、司祭の召命に関わる現状ー聖性の欠如が福音宣教の証しを、と障害となり、司牧者たちが、キリストのような嗅覚をもたず、導くように求められている羊たちを追い払う結果となっていることーについて真剣に良心を究明すべきだ、との主張があった。

*若者たちと神聖のかぐわしさ

 こうした深刻な意見に対して、1976年にブラジルのマトグロッソ州で殺害されたルドルフ・ランケンベイン神父とシマオ・クリスチノ・コゲ・クズゴズ氏のように、アマゾン地域の殉教者の鑑だ、という指摘も出た。

 複数の発言者は、環境的回心は、何よりも聖性への回心である、とし、聖性は、刷新され、躍動的で、気配りのきいた信徒司牧を求めている若者たちの心を強く惹きつける、と語った。また、多くの司祭たちの善良で聖性に満ちた生き方に着目し、多くのメディアで取り上げられているスキャンダルだけに関心をもつべきではない、との意見や、若者世代を脅かす暴力、麻薬、売春、失業、空虚感などの問題にもかかわらず、多くのカトリックの若者たちは彼らの仲間に前向きの見本を示している、との意見もあった。

 午後の会議では、移民・難民問題が議論の中心となった。この問題はアマゾン地域では多くの側面を持っているが、歓迎し、守り、進め、移り住むことを基礎においた教会の協調行動が常に求められる。

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 この全体会議を主宰された教皇フランシスコは、冒頭の祈りを、ブラジルのベロ・ホリゾンテで8日に亡くなったセラフィム・フェルナンデス・デ・アラウヨ枢機卿のために捧げた。枢機卿は1986年から2004年まで首都大司教を務めていた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年10月9日

・シノドス、実質初日の全体会議討議-気候変動、水質保全、典礼・秘跡の確保

(2019.10.2VaticanNews ) アマゾン地域シノドスは7日、二回目の全体会議を開き、この日のいくつかのトピックについて意見を交換した。また、今シノドスの最終文書起草委員会のメンバーのうち4人を選出した。残りの3人は後日、教皇が指名する。 この日話し合われた主なポイントは次の通り。

*気候変動問題

  気候変動への戦いにおける若者たちの働きの重要性を、最近話題になっているスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんを例にとって考えた。気候変動について、司教たちは、気候は将来の世代のために守り、維持しなければならない共通善であることを確認。化石燃料の使用を止めること、とくに汚染物質の主要排出国である先進工業国はそうすべきだ、という意見で一致した。

*水質保全問題

 関連して、司教たちは、地下水を、多国籍の生産活動から生まれる化学物質による汚染からまもることの重要性を強調した。中でも、強調したのは、工業用原料となる鉱物資源の採掘が原住民の人々に与える影響の問題。水質保全は、彼らの生存の助けとなる、とした。

*典礼に参加する権利の保障

 原住民の人々のミサなど典礼への参加について、司教たちは、教会は真の典礼の精神と調和するものなら、前向きに、あらゆる対応を考える、と述べた。

*秘跡について

 最後に、司教たちは、シノドス作業文書で提示されている課題の一つー司祭の数が決定的に不足している地域で秘跡を信徒たちに授ける方策ーについても、意見を交換した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年10月9日