・エクアドルの大司教が既婚男性の司祭叙階を支持-アマゾン地域シノドスを前に(Crux)

(2019.9.16 Crux Rome Bureau Chief Inés San Martín )

Amazon archbishop backs ordination of married priests

Archbishop Rafael Cob of the Diocese of Puyo in Ecuador. (Credit: Crux/Ines San Martin.)

 キト(エクアドル)発=10月6日から27日にかけてローマでアマゾン地域の9か国の司教たちが集まって地域シノドスが開かれるが、エクアドルのラファエル・コブ大司教が14日、Cruxを含めた報道機関との会見で、この会議に関連して、同地域の司祭に既婚男性を叙階する考えを支持し、遠隔地の共同体に奉仕するためのviri probati(相応しい男性)の叙階試行に賛成する立場を明確にした。

 記者団は、このシノドスに協力する地域の教会のネットワークREPAMが企画したアマゾン地域取材旅行の一環として、エクアドルを訪れている。

 大司教は、カトリック教会の将来について、「教皇フランシスコのような預言者が今もおられることを、私たちは神に感謝しなければなりません」と述べ、同教皇によって開催される今回のアマゾン・シノドスが「歴史的なものになる」としたうえで、この会議の主要議題の一つは「アマゾン地域における教会の可能性」-“clerical institution” から “ministerial one”への”移行””も含むーだと指摘した。

 そして、「私たちは、洗礼で与えられたキリスト教徒-一つの体、一つの家族から、一般信徒、修道者、そして司祭-の使命から、出発せねばなりません」と語り、この”移行”は、司教に会えるのは年2回というような遠隔地にある共同体で秘跡を授けることのできるviri probatiの叙階を認めることも含むことになる、としたうえで、「これは決して新しいことではありません。キリスト教会はそれが始まった時から、していたのです」と強調した。

 ローマ・ラテン典礼における司祭の独身は、4世紀の二ケア公会議以前は義務ではなかった。同公会議では、教会は独身制を、司祭たちがその使命をよりよく果たすうえで”都合がいいこと”と判断したが、大司教は、「その決定は、(独身制の)他に選択肢がないことを意味しませんでした」「viri probatiは、アマゾン地域における極めて具体的な問題に応えるものであり、通常の司祭独身制に疑問を呈することは意味しません」と説明した。

 大司教はまた、「アマゾン地域は大きな地政学的な課題を提起しています」と述べ、また司祭職の候補者たちの不足も司祭の独身制の規範維持の問題と関係しており、それは先住民の人々には理解されないことではない、とする一方、遠隔地に赴く意欲のある司祭は大幅に減っている、と述べた。

 また、「既婚者の司祭叙階が教会内に分裂を生まないのか」との問いには、「私が心にかけているのは、アマゾンで教会が活動にどのようにしたら最善の対応ができるか、ということです」と答えた。

 さらに大司教は、教会できる女性が幅広い役割を果たすことへの強い希望を示し、アマゾン地域で、女性たちが「何十年にもわたって『福音宣教の前衛となってきた』ことを強調。「聖体祭儀や言葉の祭儀はこれまで男性の独占場とされてきましたが、今日、『聖体祭儀の卓越した司式者』となっている女性がいます… どうして、女性たちを”普通”の存在にしないのでしょうか?」と、逆に問いかけた。

 大司教によれば、カトリック教会は、教会法によって「制度的な裏付け」をせずに、女性たちに仕事を任せ続けることはできない。別の例として、女性たちが、本来は司祭の仕事とされていた「小教区管理者」として働いていることを挙げた。

 また今回のアマゾン地域シノドスについて、この地域の福音宣教を向けなおすという意味で重要だが、「教皇フランシスコが環境回勅”Laudato si”で指摘された”統合的なエコロジー”の視点が重要である」とし、気候変動への取り組みで、「教皇は、人類は力を合わせることの必要性を理解しておられます」と述べた。

 今回の地域シノドスがローマで開かれることの意義について大司教は「アマゾン地域だけでなく、世界の教会全体のために開かれるもの。アマゾン地域の熱帯雨林、カトリックの存在は『地球を評価する基準』となるものです」「今回の会議は、究極的には”命”と統合的なエコロジーに関する議論の場、「私たちが考え始めようとしているのは、いま求められている軌道修正、司牧と文化的変容」にタイミングよく対応する場、です」と強調。

 「アマゾン地域に入り、そこに住む人々を見る時、その豊かさ、生を理解する哲学、そして一番大事にしていること、私たちが学ぶことはとても多い」と語った。

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(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2019年9月16日

・【解説】ペル枢機卿裁判-唯一の強壮剤は「残酷な現実を受け入れる」こと(La Croix)

(2019.8.26 La Croix マイケル·ケリー=イエズス会士)

 ジョージ・ペル枢機卿の刑事有罪判決を取り消す取り組みに関する8月21日のビクトリア州控訴裁判所の判決は国際的な嵐を巻き起こしたが、そのほとんどは甚だしく無知であった。

 オーストラリアのペル氏の忠実な弁解者たち(数は少ないが非常に騒々しい)は、その有罪判決に反発していたか、またはメルボルンのピーター・コメンソリ大司教のように、「自分たちの友人がそのような罪を犯せることを信じない」と公言していた。

 国際的には、一部のバランスの取れた反応もあれば、Cruxローマのジョン・アレン氏のような誇張された反応もある。アレン氏はオーストラリアからの根拠はほとんどあるいは全くないのに、「ペル氏の昔からの友人たちと敵たちを含め、かなり広範囲にわたるカトリックの意見は、彼が有罪判決を受けた容疑自体は非常に信じ難いことだ」と指摘した。

 そのような見解は多くの現実に折り合いをつける必要がある。私を最もがっかりさせたのは、控訴裁判所の決定が発表された後、どれほど否定されているかということだ。

 私自身の見方は簡単だ。判決の遅れが長ければ長いほど、ペル氏の控訴が棄却されるに違いないと確信した。もしも控訴裁判所が控訴を支持し、彼が無実であると判断した場合、彼を釈放すべきだと考えた場合、なぜ彼を約3ヶ月間も刑務所に入れ続けたのだろうか。

 要するに、ペル氏は陪審員によって全員一致で有罪判決を受けたということだ。 これが私たちの法制度が提供できる最高のものであることを受け入れるか、または陪審員による裁判制度を投げ出す。 後者はまず起こり得ないだろう。

*私たちの不利な立場

 控訴裁判所は有罪判決を受けた人を再審しない。控訴裁判所の唯一の趣意は、有罪判決を無効にする法律違反の争点があるかどうか、または裁判で提出された証拠に基づいて陪審員の決定は「安全でない」または「不当」であるかどうかを確認することだ。3人とも法律に違反していないことを判明し、2人は「安全でない」評価を支持するような証拠を見つけなかった。

 その過程について非常に有能な法学教授の意見をここで参照できる。

 不思議なことに、多くの人々はその事実を否定している。 ジョージ・ペル氏は有罪判決を受けた犯罪者だ。

 他の多くの人と同じように、彼が有罪判決を受けたとき、私も驚いた。私は彼のことを35年間も知っていたが、彼の誠実さや動機について、高く評価したことはなかった。それでも私でさえ、彼の堕落がそれほどまでにひどいものだとは思わなかった。

 しかし、私はその判決に激怒したすべてのコメンテーターと同じように、ペル氏が有罪判決を受けた証言を聞いていない。裁判官、陪審員、弁護士たちのみが聞いていたのだ。

 ペル師のことをどう思おうとも、私たちは彼の有罪または無罪を評価する上で不利な立場にあり、「慎重な沈黙」を保つことが最善なのだ。

 多くの人々の否定的な反応は、数年前にシドニーのすぐ北にあるメイトランドニューキャッスル教区の司教から接触された経験を思い出させる。ニューカッスルの教区会議で講演をするように頼まれたが、その教区は聖職者のセックススキャンダルの拠点であり、司教からは「我々はここからどこへ向かうのか?」と話すように頼まれた。

 何を話せばいいのか分からなかったので、エリザベス・クブラー・ロスの有名な著書 『死ぬ瞬間』に書かれた5つの段階を参考した。最初の段階、つまり「否定」を克服する唯一の方法は、これらのことを行う人は犯罪者であることを受け入れる、と話した。すると、ある司祭が立って「なぜあなたは私の友だちを犯罪者と呼ぶのか」と質問したので、私はこう答えた。「ええ、あなたがそれを受け入れられないという事実は、否定についての私の論点を立証しているのです」。

*権力の濫用と嘘と隠蔽

 児童虐待は権力の乱用によって起きており、私が個人的に知っている限り、枢機卿は破壊的な方法で自身の権力を使うことのできる人物なのだ。また、枢機卿は真実をもてあそぶことができる人物だ、と私の個人的経験から証言できる。

 児童虐待とは何か? 権力の乱用と嘘と隠蔽でその暴露を避けることだ。昨年12月に判決が出され、今年2月に公表された枢機卿の有罪判決で、私はショックを受けたが、それほど驚いていなかった。人は驚くことなくショックを受けることができる。 しかし、私が驚かなかったのは、確率の収束だけに基づいていた。確率の収束は合理的な疑問を超えるものではない。それは刑事裁判での有罪判決が必要とされるものだ。陪審員が証拠と証言に基づいた結論は、合理的な疑いを超えたものでなければならないのだ。

 ペル枢機卿の支持者によるもう一つの不満は、彼がただ一人の告発者の証言で有罪判決を受けた、ということだ。だが、検察側は、ほぼすべての強姦犯罪の有罪判決はただ一人の告発者によって示された証拠と主張に基づいている、と反論するだろう。

 

*残酷な真実

 それが、どこのコメンテーターでもぶつかる問題だ。陪審員、弁護士、裁判官以外の誰も、被害者から有罪の証拠を見聞きしたことがない。

 裁判官、陪審員、弁護人、これらの人たちだけが証拠を見聞きしたのはなぜだろう。理由は2つある。主に被害者のプライバシーを保護するためだけでなく、証拠が提出された時点で、ペル枢機卿はさらなる告発に直面する可能性が高く、あまりにも多くの証拠を明らかにすることで、彼のその他の事項に関する公正な裁判を損なう恐れがあると、検察がそう判断した。

 私たち観察者にとって、この過程の結果は簡単だ。上訴することのできる陪審員制度を受け入れるか(この場合、控訴は失敗した)、または陪審員制度を捨てるか、ということだ

 一人のオーストラリアの司祭として、私はこの事件が信者たちに及ぼす後遺症を強く懸念している。私ができる最善の助けは「信者たちが現実を受け入れることを助ける」ということだ、との結論に達した。司祭たちにとって、それは人々が死にかけている時に起こること。人々が自分のしたことに対する罪悪感に襲われた時に起こること。人間関係が終わった時、人々が落胆した時に起こること。

 唯一の強壮剤は「残酷な現実を受け入れる」ことだ。

(翻訳「カトリック・あい」ガブリエル・タン)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2019年8月29日

・性的虐待で無実を主張し続けるペル枢機卿の控訴を豪州裁判所が棄却・バチカンは‥(Crux)

Vatican says it respects Pell verdict, but acknowledges his plea of innocence

Cardinal George Pell is pictured during the extraordinary Synod of Bishops on the family at the Vatican in this Oct. 16, 2014, file photo. An Australian appeals court Aug. 21, 2019, upheld the conviction of Pell on five counts of sexually assaulting two choirboys more than two decades ago. (Credit: Paul Haring/CNS.)

(2019.8.21 Crux Senior Correspondent Elise Harris)

 ローマ発-教皇側近のジョージ・ペル枢機卿が母国オーストラリアの裁判所から未成年性的虐待で有罪判決を受けたことを不服として、控訴していたのに対し、ビクトリア州の控訴審は21日、これを棄却する判断をくだした。だが、バチカンは21日、この件について、同国司法当局の判断は尊重するとしつつ、枢機卿が裁判を通じて一貫して無罪の立場を続けていることを確認。ペル枢機卿は依然、無罪を主張しており、枢機卿の弁護団は、判断を不服として、さらに上級審へ上告する方針を示している。

 枢機卿が罪を問われているのは、二十年以上前に母国の教会の聖歌隊の少年二人に対して性的虐待を働いたというもの。今年3月、懲役6年の有罪判決を言い渡されたが、枢機卿は無罪を主張し、即時、控訴していた。

 バチカンは21日に出した声明で、オーストラリアの司法制度への敬意を強調し、聖座は「枢機卿の判決に対する不服申し立てを却下した裁判所の判断を認めている」とする一方、枢機卿はこれまで一貫して判決の理由とされる容疑を否認していることを指摘、「聖座は、枢機卿が無実を主張し続けていること、そして上級裁判所に上告する権利があることを思い起こしている」と述べた。そして、聖職者による性的虐待の犠牲者に深く同情していることを明確にし、虐待を働いた聖職者たちを、教会のしかるべき担当の手で追及することを改めて確認した。

 ペル枢機卿に有罪判決が出た今春、バチカンで聖職者による性的虐待問題を扱う教理省が、教会法の立場から枢機卿に対する調査を開始していた。有罪と判断されれば、司祭としての資格がはく奪されることになるが、調査結果は、枢機卿の上告に対する上級裁判所の判断が出るまで明らかにされないだろう。バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は21日、教理省は今後のオーストラリアでの裁判の結果を待っている、と説明するとともに、今春の一審の判決の後、バチカンは枢機卿に対して公務停止の措置をとり、未成年者との接触も禁じており、それは現在も継続されていることを確認した。

 一方、ペル枢機卿の代理人を務めるカトリナ・リー氏は21日の声明で「枢機卿は、有罪判決を支持する控訴審の判断に失望している」としたうえ、枢機卿の弁護団は上級裁判所に上告するため、まず、今回の控訴審の判断の内容を詳細に検討する、と語り、「控訴棄却の決定は、賛成2、反対1と判断が分かれ、枢機卿は無実だという立場を崩していない」とし、支持者たちへの感謝を述べた。

 また、オーストリア司教協議会も声明を発表し、「全ての国民は法の下に平等であり、今回の裁判所の判断を受け入れる」と述べ、「ペル枢機卿の裁判の長期化は特に、聖職者による性的虐待の被害者にとって辛いものになっている」として彼らへの同情を示し、「枢機卿の控訴に対する判断は、多くの人を苦しめるだろう」とし、「私たちは被害を受けた方々を慰めるために出来るだけのことをし、カトリックの諸施設が全ての人、特に子供たちや傷つきやすい成人にとって最も安全なものとなるよう努める」と言明した。

 (以下、原文のまま)

Archbishop Anthony Fisher of Sydney, where Pell served as archbishop from 2001-2013, said the split decision on Pell’s appeal is consistent with differing results of Pell’s two trials, the first of which closed with a hung jury leaning toward Pell’s innocence, and the second of which resulted in his unanimous guilty conviction.

Fisher urged all parties “to maintain calm and civility” in what has been an intense high-profile case.

Noting that Pell has “strenuously maintained his innocence” throughout proceedings, Fisher said Pell’s status within the Catholic Church is up to the Vatican to decide and voiced his belief that “the Holy See may well wait until the appeal process has been exhausted” in order to make a decision in this regard.

He apologized to victims of clerical sexual abuse, who were “harmed by people you should have been able to trust,” but he acknowledged that there are many people in the Catholic community “who will find it difficult to come to terms with this judgment, especially those who know the Cardinal and will struggle to reconcile this outcome with the man they know.”

As the world waits to hear if Pell’s legal process will continue, Fisher said he will be available to provide “pastoral support” to any who wish to speak with him “who may have found their faith tested.”

Archbishop Peter Comensoli of Melbourne, where Pell served as archbishop from 1996 until 2001, issued his own statement saying he “respectfully” accepts the court’s decision, and encouraged others to do the same.

“That there have been two trials, and now today’s decision in the Court of Appeal, the complexity of the search for the truth in this matter has tested many, and may very well continue to do so,” he said, sending his thoughts and prayers to the alleged victim who came forward.

Voicing his willingness to meet with and provide pastoral support to the victim, Comensoli said he will also ensure that Pell is provided “pastoral and spiritual support while he serves the remainder of his sentence, according to the teaching and example of Jesus to visit those in prison.”

Noting that the process has been both “damaging and distressing” for many people, Comensoli emphasized his closeness to Catholics in Melbourne and reiterated his commitment to supporting abuse survivors in their path toward healing.

Follow Elise Harris on Twitter: @eharris_it

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年8月28日

・ラ米の司教団、アマゾン森林火災の拡大阻止に国際社会の連帯と協力訴え

ブラジル・ロンドニア州・ポルトベリョでの森林火災 2019年8月22日

ブラジル・ロンドニア州・ポルトベリョでの森林火災 2019年8月22日  (ANSA)

 世界の原生林の3分の1を占め「地球の肺」とも言われるアマゾン熱帯雨林が続発する火災で過去最悪の危機に陥り、開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも対応が議論されているが、カトリックもラテンアメリカ・カリブ司教協議会が23日、声明を発表、事態を憂慮するとともに、危機回避に向けた国際社会の連帯を訴えた。

 ブラジルの国立宇宙研究所の衛星が収集したデータでは、今年初めから8月にかけて見られた森林火災の数はおよそ75.000件にのぼり、2018年の同時期と比較し、85%以上増加している。ラテンアメリカ・カリブ司教協議会は声明で、現在のアマゾン地域の森林火災はもとより、アラスカ、グリーンランド、シベリア、カナリア諸島などで相次ぐ森林火災の悲劇に、重大な憂慮を表明。

 「今秋、バチカンで開かれるアマゾン地域をテーマとしたシノドスを前にした希望も、この災害によって心が曇る思いだ」としたうえで、直接被害を受けているアマゾン地域の先住民たちに深い同情と連帯を示すとともに、破壊を一刻も早く食い止めるよう、国際社会の連帯と協力を訴えた。

 今回の森林火災の拡大、長期化の背景には、アマゾン地域の開発を重視し、一方で環境保護を軽視するボルソナロ大統領の政策があり、乾期に当たり、農地や鉱山を開くため人為的に起こされた疑いがあるものも多い、との見方もある。だが、大統領は当初「私や政府への反発を招こうとするNGO関係者の仕業とみられる」と主張。火災は政府の支援打ち切りで資金難に陥るNGOによる「放火」と決め付け、予算不足などを理由に対応に後ろ向きな姿勢を見せた。しかし、かねて同氏の環境保護軽視に不信感を抱いていた欧州諸国は厳しく反応し、一気に国際問題に発展した。

 開催中の先進7カ国首脳会議G7サミット)の議長国であるフランスのマクロン大統領は、アマゾンの火災を議題にする方針を表明。欧州連合(EU)内では、6月に妥結した南米南部共同市場(メルコスル)との自由貿易協定(FTA)の批准阻止や、ブラジル産品の禁輸を求める声まで上がり始めている。

 予想外の展開に、ボルソナロ大統領は23日、火災の背景に「異常な乾燥」があると方向転換。「国民には生活向上の機会を与えなければならないが、環境への犯罪は許されない」として、軍を投入して消火と焼き畑などの防止に当たると宣言したが、広大なアマゾンで軍に消火活動をさせても、効果があるかは不明。鎮火に国際社会の人的・物的支援が求められる事態となっている。

2019年8月25日

・国連が宗教への暴力排除を訴え-「宗教・信条を根拠にした暴力の犠牲者追悼の日」に(VaticanNews)

(2019.8.23 VaticanNews Robin Gomes)

 国連総会は今年5月に、8月22日を、世界で続いている宗教・信条を根拠にした暴力の犠牲者追悼の日、とする決議をしていたが、22日はその初めての日となり、国連は宗教団体に対する迫害を終わらせることを強く訴えた。

 国連のアントニオ・グティエレス事務総長は22日に発表した声明で、「犠牲者追悼の日に当たり、宗教と信条を根拠にした暴力の犠牲者たちに揺るぐことのない支援を確認します。そして、そのような暴力を阻止することに全力を挙げ、この問題に責任を持つ人々が説明責任を果たすことを強く求めることで、支援の姿勢を明確にします」と述べ、追悼の日は「犠牲者たちへの支援を確認する機会ともなる」とその意義を強調した。

 さらに、事務総長は、「ユダヤ人たちはシナゴーグで殺害され、墓石はナチの印で汚された。イスラム教徒たちはモスクの中で射殺され、施設は破壊された。キリスト教徒たちは祈りの最中に殺され、教会は燃やされた」と実例を挙げ、「ニュージーランド、スリランカ、そして米国などで起きた多くの襲撃は、信仰の場を標的にして行われています。シリアから中央アフリカ共和国に至る世界中でいくつもの争いが続く中で、彼らの信仰ゆえに、共同体全体が襲撃されています」と指摘。「世界は、反ユダヤ主義、反イスラム主義的運動やキリスト教徒やその他の宗教団体の迫害、あらゆる形の人種差別主義、外国人排斥、差別、暴力行為の煽動を廃絶することに努めねばなりません」と訴えた。

 また、「世界の主要宗教は、人類共通の精神をもって、忍耐と平和的共存を支持しています… 私たちは、錯誤と悪意によって宗教に誤解を生じさせ、対立に火を注ぎ、恐怖と嫌悪を広げる人々に抵抗し、拒絶せねばなりません」としたうえで、「(注:諸宗教の)多様性の中に豊かさと力強さがある。それは脅威ではない」と強調した。

 そして、宗教と信条に基礎を置く暴力の脅威の打ち勝つ最善の方法は、「善意の声を一致させ、嫌悪のメッセージには平和のメッセージで対抗し、多様性を包含し、人権を守ること」と述べ、人間家族の一員として、全ての人が相互理解を育てていくように強く求めて、「私たち全員に、互いを見つめ、相違を尊重し、平和的な共存を作り出していく責任があります」と力説した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年8月25日

・米国で”時限立法効果”で聖職者性的虐待の被害訴えが急増-司教も3人(Crux)

(2019.8.16 Crux Christopher White)

 ニューヨーク-”時限立法効果”で聖職者による性的虐待に関する訴状が大量の提出され、その中で新たに米国のカトリック高位聖職者3名について性的虐待被害の訴えが明らかになった。

 裁判所のスポークスマンによると、時限立法のChild Victim’s Act(児童被害者法)が施行された14日、裁判所の業務終了時間までに、被害者からの訴訟申請が427件出された。同法は、教会やその他の団体を相手取った性的虐待被害の訴状を来年の8月までの期限付きで受け付けるもの。受付の総件数は1000件を超えるとみている、という。

 同日提出された訴訟申請の中で、高位聖職者に関するものの一件は、ハワード・フバード名誉司教が1990年代に未成年者を性的虐待したという訴え。フバードは37年間、アルバニー教区長を務め、2014年に退任。今年80歳になる司教が訴訟の内容を否定する一方、同教区は14日、声明を出し「きわめて辛いこと… 誰もが思うように、フバード名誉司教が無実であると確信することが重要であり、この問題に関する全ての事実が明らかになり、解決するまで、いかなる判断も控える」とし、今回の行為は、5月に教皇フランシスコが出された、司教に関わる虐待問題への対応に関する指針に従ったもの、と説明。「教区長のシャーフェンバーガー司教は、上司に当たるニューヨーク首都大司教のティモシー・ドーラン枢機卿と駐米バチカン大使に、この件を通知し、ドーラン枢機卿からは捜査当局に全面的に協力するよう指示を受けた」と経過を述べた。

 また、サウス・カロライナ州のチャールストン教区長のロバート・グリエルモン司教は、40年前にニューヨークのアミティビル教会で性的虐待を受けたとする被害者が出した訴訟申請に名前が出た。

 司教は訴訟内容を否定し、顧問弁護士から手紙で「原告は、金銭的な解決を目当てに訴状を書いたことを認めた」と知らせてきている、と語った。同教区の司教総代理のリチャード・D・ハリス、D・アンソニー・ドローズ両神父も声明を出し、「グリエルモン司教は、過去十年以上にわたって、私たちの教区の信頼される指導者であり、彼の誠実と無実を心から信じている」と彼を擁護している。

 これに対して、ワイオミング州シャイアン教区のジョセフ・ハート元司教は性的虐待で刑事責任を問われることになりそうだ。

 彼はバチカンの懲罰手続きの対象にもされようとしており、教区長を務めていた1976年から2001年の間に行ったとされる性的虐待について当局の捜査再開の対象となっている。司教になる前、20年にわたって教区司祭を務めたカンサスシティ-セント・ジョセフ教区はすでに、ハートが少なくとも10人に対して性的虐待を働いたする件について被害弁済をしている。当局の捜査でハートが起訴されれば、米国のカトリック司教で性的虐待によって刑事訴追される初のケースとなるはずだ。

 ニューヨークの8つの教区について大量の性的虐待案件が持ち込まれる中で、教会幹部たちはまた、被害者たちが「独立和解・賠償プログラム(IRCP)」活用するのを推進している。IRCPは、任意団体で、時によっては厳密な証拠がなくても案件を採り上げ、速やかに裁判外の解決を図るのが狙いで、これまでにニューヨーク大司教区だけでも、性的虐待の被害者と認められた335人に6600万ドル(約70億円)の賠償金が支払われている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年8月17日

・今度は高名なイエズス会士-チリでまた性的虐待が明るみに(Crux)

(2019.8.15 Crux

 教皇フランシスコは昨年、チリで明るみになった聖職者による性的虐待についてそれまでの容疑者の司祭や司教団をかばう立場を180度改め、厳正な捜査にもとづいて、何人かの司教の辞任を認めていた。そして現地の教会に、”誤った情報”をもとに犯した過ちを謝罪し、チリで最も影響力のある二人の司祭、フェルナンド・カラディマとクリスチャン・プレチトの司祭としての資格をはく奪した。

 この二人は、その犯罪行為が明確になった際に、性的虐待で訴えられ、名誉を失っていた。カラディマは2011年に、司祭としての公けの活動をバチカンから禁止され、プレチトは、理由を説明されることなく、当時のサンチャゴ大司教のリカルド・エザッテイ枢機卿から5年間の司祭としての活動停止を言い渡されたものの、新たな疑惑が表面化するまで、活動が認められていた。カラディマは、チリのエリートたちと親密な関係を持つ、卓越した霊的指導者とされ、プレチトはチリの軍事政権の時代に人権を守る運動の活動家だった。

 ところが、最近になって、首都サンチャゴの近代史において最も影響力をもった三人目のカトリック司祭が、名誉ある地位から滑り落ちたーイエズス会のレナト・ポブレテ神父である。彼は2010年に亡くなり、最も貧しい人々とともに働いた人物とされ、同じイエズス会士の聖アルベルト・ウルタード(チリの社会運動家)の後継者と多くの人から見なされていた。

 ポブレテは現在、22人の女性に性的虐待を働き、そのうちの少なくとも一人は妊娠させられ、何度も堕胎を強要されたとして訴えられている。女性たちのうち4人は未成年で、うち一人は、性的虐待をされていた女性の娘で、3歳の時から虐待されていた。

 こうした情報はイエズス会のチリ管区の命令で行われた捜査の報告書の中身としてもたらされたもので、今月初めに、訴えを受けて捜査をしていたワルド・ボウン弁護士が集めた資料の一部として明るみになった。

 チリの日刊紙La Tercera がその報告書のコピーを入手し、イエズス会自身がまだ公表していない多くの重要な点を報道し、同修道会の情報公開への熱意について、多くの一般信徒たちが疑問を抱くようになっている。報道によると、問題の報告書は「少なくとも15人のイエズス会士がポブレテの性的虐待行為を知っていた」と指摘している。

 ボウン弁護士も「イエズス会の”文化”-”誇り”と”組織決定に関する強力な階層的服従”を含めた-が、問題の底にある」ことが分かった、と語る。「彼らにとって不快な情報は、組織に対する脅威であり、ポブレテに関するニュースとうわさに関しては、自分たちの組織の評判を守り、自分たちの尊厳が崩されないように、無視しようとした」と彼は報告書の中で述べている。

 ポブレテによる性的虐待行為は、彼が司祭に叙階された直後の1956年から始まり、最後に行為が確認されたのは、2008年、82歳の時のものだという。最年少の犠牲者は3歳、最年長は44歳で、子を持つ母親も、その娘を犠牲になっている。同じ家族の姉妹たちにも手を出し、少なくとも一人の修道女も性的虐待をされた。犠牲者全員が、十分な教育を受けていないか、経済的に恵まれない女性たちだった。うち6人は長期間にわたって虐待をされ続け、他の26人-うち何人かは既に亡くなっており、生存していても証言を拒む人もいた-は被害を受けた可能性がある女性として確認された

    La Terceraの報道によると、ボウン弁護士は、ポブレテに大衆が抱くイメージは”建物の外観のようだという-この人物が普段は、「予想できないような乱暴な性的な接し方」で犠牲者を襲う際の暴力の激しさを覆い隠していたからだ。

 チリの市民社会が、性的虐待の広がりを把握しようと懸命になっているのに対して、イエズス会士のホアン・ベイティア神父はCooperativaに「新聞が報告書を手に入れたことは容認できない」とし、検察当局が報告書をリークしたのだと決めつけ、「そのようなことをする人間はイエズス会内部にはいない」と述べたうえ、「イエズス会が検察官に何か言うとすれば、検察当局は市民に対してさらなる保証を与えるべきだ、ということだろう… 検察当局は今日、”スイスチーズ”よりも穴だらけだ」と激しく非難した。

 イエズス会士たちがポブレテの犯罪行為を隠蔽した、との指摘に対して、ベイティア神父は「裁判所が判断すべきことだ」とし、肯定も否定もしなかった。

 また、チリ南部の湖水地方の港町、モントでは、ある司祭が、性的虐待についての信頼すべき訴えを受けて調査をしている教皇任命の教区管理者を「四件の重大な傷害罪」で告訴した。告訴状で、ルイス・ディオニシオ・アロ神父は「社会的、宗教的、職業的な文脈で、未成年に対する性的虐待と関係のあるスキャンダルがなされ、私の名誉、名前だけでなく、小教区の信徒たちの共同体を深く傷つけている」と訴え、教区管理者であるリカルド・モラーレス・ガリンド神父について懲役3年の実刑と罰金を科すように求めている。

 これに対して、モラーレス神父はマスコミあてに声明を出し、「正義が行われねばならない」とし、本人を傷つける意図はなかったと言明。大司教区は、司教協議会が決めた指針-司祭に対する捜査を開始した時には、市民社会に知らせる、という決まりーに従って対応した、と述べた。モラーレス神父は昨年6月、プエルト・モンテ教区長のクリスチャン・カロ大司教が定年で退任した後、教皇から同教区の管理者に任命されていた。カロは長年、聖職者による性的虐待を隠蔽したとして訴えられていた。

 モラーレス神父のプエルト・モンテでの教区管理者として仕事は容易でない。彼は、就任早々、8件の性的虐待ないし財務管理の問題で少なくとも5人の教区司祭のついての調査に手を付けていた。教区基金の不正運用と麻薬横流しで二人の神父について調べを始めた直後の昨年12月、モラーレス神父は一般信徒のあるグループに襲撃された。今年2月、調査対象の神父のうちの一人が自殺を図った。

 教皇フランシスコは昨年からこれまでにチリの司教のうち9人の辞表を受理しているが、後任の司教として任命したのは一人で、他は教区管理者を当てている。今年初め、首都サンチャゴに二人の補佐司教を任命したが、そのうちの一人は聖職者による性的虐待の被害者と面接した際、不用意な発言をして怒りを買い、叙階前にポストを降りざるを得なかった。

 チリのカトリック大学とカラディマの犠牲者で存命中の3人が運営している信用基金は14日、公式の声明を出し、性的虐待の捜査と早期介入のセンター開設を発表した。開設に参加するのは、ホアン・カルロス・クルス、ジェームス・ハミルトン、ホセ・アンドレス・ムリリョで、3人はカラディマの性的虐待の犠牲者。昨年、教皇に謁見している。

 ハミルトンはEl Mercurioに、「教会の信用を立て直す必要があります。ただ批判するだけで一生を送ることはできません。完全な不信をもっては、過ちを一般化できない」「大事なのは、堅固で専門分野を超えた知識を持つこと、虐待の7割か8割を占める家庭、そして会社や団体、宗教組織において起きる性的虐待への償いと防止に向けて踏み出すことです」と語っている。また彼は「基金は性的虐待の犠牲者を支援しているが、センターは社会的、政治的な変化を起こすのを助けるようにしたい。なぜなら、権力の乱用と狂信的な態度に『時代遅れの理解』をいまだに持っている人たちがおり、それを改めさせるには、しっかりした科学的な知識が必要だからです」と抱負を語った。

 教皇フランシスコは、このセンター開設の発表に、ビデオ・メッセージを送り、「あらゆる種類の、子供の心を打ち砕くような虐待、巧みな操作」を防ぐ努力を続ける彼らに感謝を表明した。

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(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

2019年8月16日

・ノートルダム大聖堂火災で鉛400トンが漏出-復興に環境汚染、住民健康被害の影(Crux)


( 2019.8.8 Crux National Correspondent Christopher White

 大聖堂の大火災後に出てきた大きな問題の一つが、15時間にわたる火災で焼け落ちた尖塔と屋根に使われていた有毒な鉛を含んだ煙が大気などに大量に拡散し環境汚染していること、汚染した瓦礫をいかに処理するかである。

 今週初め、パリの保健当局が発表したところによると、鎮火後の健康被害の可能性について広報したのを受けて、申告のあった児童1名の健康状態を経過観察している。火災によって、大聖堂からは400トンを超える鉛が大気中に漏出したとされており、同日までに、近隣の学校の200名近くの児童生徒が検査を受けており、原因が大聖堂火災にあるのかどうかはまだ不明としているものの、6人の児童の体から、血液1リットル当たり25から50マイクログラムの鉛が検出、50マイクログラムを超える鉛が検出された児童もいる。

 火災があった4月15日以来、大聖堂の側になる二つの幼稚園と小学校は、鉛による環境汚染の有無を調査する当局の判断で結果が出るまで閉鎖、他の近隣地域には洗浄措置が行われている。当局は、あくまで万が一に備えての対応としている。

 こうした事態への対応として、大聖堂全体を覆いで封じ込めるべきだ、との意見も出ていたが、市当局は今週初め、その提案を却下した。”美観”ではなく”物理的”な理由からだという。

 封じ込めを支持する地元の労働組合の申し入れに対して、パリのエマヌエル・グレゴワール副市長は6日、フランスのテレビ局の取材に「提案に反対ではないが、実現可能がどうかの問題があります。灰燼の大気への放出を止めるために大聖堂全体を”封印”するのは、技術的にも、財政的にも極めて複雑な判断が必要になる」と説明した。

 米国の疾病管理センターは「特に6歳以下の幼児は鉛の毒性に侵される危険が高い。鉛汚染した手で口やその他の部位をさわるからです」とし、鉛を含んだ塗料の破片、粉塵、土壌などから、(注:ガンの発生や生殖器官、消化器、腎臓、心血管に疾患などの)被害を受ける可能性がある、と警告している。

 世界保健機関は「身体に安全だとされる鉛被害の程度というものは分かっていない」という。フランスのある環境保護団体は先月、「人命を危険にさらし、迅速な対応を取ってこなかった」として、パリ市当局を訴えた。

 復興事業について、マクロン大統領に判断の権限があるが、新法に基づいて設置される委員会が大きな影響力を持つことになる。委員会のメンバーには大聖堂の上位聖職者や司教代理が、パリ大司教の推薦で選ばれることになっている。

 マクロン大統領は、大聖堂の復興はパリ市が主宰する2024年のオリンピックをまでに完了する、と言明しているが、事業を担当する専門家は、完全復興までにはもっと時間が必要だろう、としている。

 世界から集まっている復興支援金は、現時点で個人、企業、団体から9億ドルの確約が寄せられている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年8月9日

・ボスニア・ヘルツェゴビナで5万人以上が参加して30回目の若者フェスティバル

 ボスニア・ヘルツェゴビナ南部メジュゴリェで世界各国から5万人以上が参加して、 “Follow me”をテーマにした第30回若者フェスティバルが1日、ローマ司教代理のアンジェロ・デ・ドナティス枢機卿による開会ミサで始まった。

 フェスティバルは6日間にわたって行われ、6日の閉幕ミサはバチカン新福音化推進協議会のサルバドーレ・フィジケッラ大司教が司式する予定だ。

 1日の開会ミサの説教で、デ・ドナティス枢機卿はまず、「主が私たちに耐えることなく注いでくださる恩寵」に驚きを表し、「すべてが、恩寵です」と述べ、イエスが「私に付いてきなさい」と言われた時、彼の言葉を聴くために、「聖霊が私たちの心を開き、神の知恵で満たしてくれる」必要がある、と指摘し「今日の福音は、私たちに神との新しい契約の筆記者-福音書によれば”賢者”を提示しています」とし、その賢者から引き出すことのできる「三つのしるし」について語った。

 そして、「天の王国は、私たちが聞いている通り、魚を獲る網に似ています… 網は、できるだけたくさんの魚を獲るために海に投げ込まれます」。漁師は、食料とするために良い魚をより分け、悪い魚は捨ててしまうが、「どのキリスト教徒も、『良い漁師』と同じように、心の中の海を見張り、聖なる考えを釣り上げ、価値のない、有毒な考えを捨てるのです」と述べ、「福音書は、キリストの考えを喜んで受け入れるために私たちの考えを純化するように、私たちに求めています。福音の心は、自由な精神を求めているのです」と強調した。

 枢機卿はさらに、二つ目のしるしについて、「イエスは審判について話します… この審判は『真実の喜ばしい光』であり、『暴君の審判』ではありません」としたうえで、「最後の審判」は、信じる人々すべてにとって「神の愛の勝利」であり、キリストを否定する人にとって、善に満たされたこの光は「実をつけずに過ごした人生の事実に光を当てる」ものとなる、と言明。「私たちは、速やかに真実の地平に自分自身を置くことによって、神の真の審判を期待して待たねばなりません」と説いた。

 最後に、三つ目のしるしについて、枢機卿は「今日の福音は、王国の筆記者が、彼の心の宝物から『古く、そして、新しいもの』を引き出すキリスト教徒だ、と説明しています」と述べ、古いものと新しいものの関係を理解するために、素晴らしい表現を使うことができるとして、「旧約は新約を準備する」が、新約は、旧約に触れた場合に限って、理解することができ、「古いものと新しいものは、互いに門戸を開くために、互いを必要としているのです」と語った。

 そして、次のように締めくくった。「本物のキリスト教徒は、伝統主義者でも、進歩主義者でもありません… 本物のキリスト教徒は、”ホームメードのパン”のおいしさを保ち続けています。よい匂いがし、食欲をそそります。なぜなら、昔からのレシピで粉をこね、焼き上げるからです」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年8月4日

・使徒的勧告「Christus vivit」テーマに、神学者と若者たちの初の全米会合(Crux)

(2019.7.30 Crux   Christopher White)

 ニューヨーク発-教皇フランシスコが今春出された使徒的勧告 「Christus vivit(キリストは生きておられる)」をテーマにした神学者と若者たち100人以上による初の全米会合が、31日からオハイオ州のフランシスコ会のスチューベンビル大学で開かれる。

 全米司教協議会で若者司牧を担当するポール・ジャルゼンボウスキーは、「National Dialogue(全米対話)」とされるこの活動が教皇フランシスコの歩みに付き従い、「一致と若者たちとのつながりを深める方向に全米のカトリック教会を突き動かす機会」となることを期待している。

 会合を前に、Cruxのインタビューに応じたジャルゼンボウスキーは、今回の会合が、(注:使徒的勧告のもとになった)昨秋の若者シノドス(世界代表司教会議)を基礎に置き、聖職者による性的虐待スキャンダルが影を落とす中にあっても、米国の教会が(注:シノドスと使徒的勧告が提示している)課題について前向きに進むことを、いかに確信しているかについて、次のように語った。

・・・・・・・・・・・・・・

Crux: まず初めに、「National Dialogue 」の発足とこれまでの経過についてお願いします。

ポール:「National Dialogue」は、今の社会、教会、そしてとくに若者たちの中にある分裂、解離、そして無関心の風潮に対処するために始まりました。具体的には、近隣社会と教会で起きている現実を憂慮する信徒と教会のリーダーたちの問題意識が基になっています。数年前になって、彼らの声が国レベルの教会のリーダーの耳に届き、この運動が始まりました。

 そして、若者たちの問題を担当する全国組織がこれを取り上げ、全米司教協議会(USCCB)が賛同し、さらに、教皇フランシスコが、同様の問題意識から昨年秋に若者シノドス(世界代表司教会議)を招集され、この運動も世界的な関心をもたれるようになりました。「National Dialogue」が若者シノドス、USCCBのスペイン系米国人の会議とも理想を共有でき、聖霊の働きを実感しています。

 「National Dialogue」は現在、三つの分野で運動を展開しています。教皇フランシスコが使徒的勧告” Evangelii Gaudium(福音の喜び)”で示された一致、連携、動員の分野で現実に対応していこうとしています。このプロジェクトは、2017年7月のUSCCBのカトリック指導者会議で開始され、ネットワークによる情報収集、各地ごとの対話、聴き取り、それをもとにした実施計画の提示を進めています。プロジェクトは来年まで続けられることになっていますが、具体的な運動はそれ以前から始まることになるでしょう。

 最終的な狙いは、各地のカトリック教会共同体にインパクトを与えること-協力体制を育て、若者たちの現実にもっと意識して目を向け、触れ合い、そして声を聴くこと、そして、若者たち、学生たち、あらゆる文化的背景を持つ家族をもつ全ての青年たちの共同体を作り、司牧し、宣教意識を高めることに投資することです。それが現場の小教区と使徒職の会で進められるようになれば、運動は成功したことになるでしょう。

C: 今回の会議で若者たちと神学者たちの対話をどのように進め、その成果を今後の運動につなげていこうと考えていますか?

ポ:今回の” Voice + Vision会議”は、司牧指導者、神学者、そして若者たちの対話の機会を提供します。基調報告や意見交換もいくつか予定していますが、最終的な狙いは、行動計画の策定を始めることにあります。会議が終わった後、神学者と学者たちは指導者たちが司牧をもっと効果的に行えるような訓練の方法についてさらに突っ込んだ検討をすることになるでしょう。一方で、司牧者たちと若者たちは、計画の実行とあらゆるレベルの教会指導者たちを動かすことに力を注ぐことになります。National Dialogueのコア・チームは両方のグループを一貫して支援していきます。

 教皇フランシスコは、今春出された若者に関する使徒的勧告”Christus Vivit(キリストは生きておられる)”でこのように言われました。「これまで到達しなかったところに着くためには、それを待つ忍耐が必要です(229項)」と。言葉を換えれば、理想を現実にするには、時間、努力、そして協力が要る、一晩では出来ない、ということ。だが、共通の目標をもって共に働くことで、大きな前進が得られるのです。

C: ”Christus Vivit”とそのもとになった昨年秋の若者シノドスに、聖職者による性的虐待スキャンダルが暗い影を投げかけました。どのようにこの問題を乗り越え、この使徒的勧告と教皇の若者と共に歩もう、という呼びかけに実際に応えようと考えていますか?

ポ:教会は、若者たちと出会い、共に歩き、集うための、従来以上に前向きで、安全、かつ健全な模範となるよう求められています。従来以上に、癒しと説明責任を果たすことが求められています。National Dialogueは、私たちが直面している現実を無視して動くことは考えていない、若者たちともっと一致し、つながるように教会を動かそうとしているのです。

 私たちは、傷を治し、健全、安全、そして革新的な場ー若者たちがキリストと教会共同体を出会い、癒され、刷新され、福音に光の下で世界を変容させる使命を帯びた使徒となれる場ーを作ることに気を配る必要があります。それが、” Evangelii Gaudium ”and ”Christus Vivit”の二つの使徒的勧告が強く求めていることです。そのために、私たちは、世代、文化、聖職者の違いを超えた協力と支援をする必要があります。

C: あなたは6月にローマで開かれた若者フォーラムに米国の若者代表を連れて参加されました。フォーラムは昨秋の若者シノドスを受けたものでもありましたが、このフォーラムの狙いとあなたにとっての成果はどのようなものでしたか。

ポ:教皇は” Christus Vivit ”で、若者たちに一歩前進し、宣教の使徒となるように説かれました。そして、今回のフォーラムは、 Christus Vivit ”をどのように受け止め、若者たちと若者の心を持った者たちが共に、第一歩を踏み出すか、を問いかける機会でした。また、 synodal process(協働のプロセス)を成し遂げる機会でもありました。世界規模の synodality(協働性)ーシノドスは事前に準備協議をし、事後にそれを検討する会議を持ちましたーに範をとったものです。

 昨秋の若者シノドスは”山の頂上”での会議でしたが、その成果は”谷”、つまり世界中の現地の教会共同体で、実行される必要があります。

 若者シノドスの重要な収穫の一つは、教会が地球的で、多文化にわたるものだある、ということであり、私自身、アフリカ、アジア、欧州、オセアニア、ラテン・アメリカの生きた現実についての話を聴いて驚くことが多かったのです。そして、米国では、多文化の面で、移民が集まった国家として、”世界の”小宇宙”版を体験しているのだ、と感じました。

 6月の若者フォーラムや世界青年の日を含むその他の” Christus Vivit”と関連した国際的な集まりには、参加者たちの中に平和、愛、共感がありました。それらは、分担された現代社会でしばしば失われている者です。このような精神を、私たちは自分の属する地元のカトリック教会共同体だけでなく、近隣の共同体、そして日々の生活に、生かすことができるでしょうか?おそらく、これが、若者に焦点を当てたシノドスと全国対話の叡智ですー私たちが互いの相違を超え、互いの中にあるキリストを見るのを、若者たちが助けることができる、ということです。

 もう一つのシノドスの収穫は、若者たち、とくに成人した若者たちが担うように求められている指導力と提唱力の重要性の認識です。若者たちは、主役の座を将来受け継ぐ”次の世代”であるだけでなく、教皇が言っておられるように、「神の今」である、まさに今、私たちの教会で指導的な役割に足を踏み入れることができる存在なのです。そして、”若者たち”は成人を含むことを覚えておくことも重要です。バチカンがローマに集めた若者たちは18歳から30歳でした。つまり、若い成人ー学生、社会人、軍人であり、独身者、既婚者、聖職者になろうとする者です。米国の多くの教会では、こうした若い成人にわずかばかりの役割しか与えていないことがよくあります。これは変えていく必要がある。私たちの運動が先導することを願っています。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2019年7月31日