・装備不足”で最前線に出された医師、看護婦に、当局が”かん口令”(BW)

(2020.4.1 Bitter Winter 沈心然記者)

 命をかけて新型コロナウイルスの感染者を治療している中国の医師と看護師など医療スタッフが、中国政府の宣伝にまで参加するよう強要されている。ウイルス感染が始まってから、中国当局は検閲と遮断を通じて不都合な情報の拡散を防いできた。

 だが、明らかな事実は、新型ウイルスの危険性を警告する内部告発者などが取り締りを受ける一方で、様々な宣伝・隠ぺい工作で真相を隠した中国の政策のために、全世界が危険に陥っていることだ。情報だけでも適時に中国内外の医療関係者と共有されたなら、中国を含む世界の数多くの人命を救うことができたはずなのに。

 最前線で新型ウイルスの感染と戦い、今も戦っている医師と看護師など医療関係者。彼らや家族たちから、新型ウイルス感染の実態を隠そうとする当局の宣伝に自分たちがどのように利用されているのかについて、BitterWinterには大量の情報が寄せられている。

*共産党と口裏を合わせる

 「武漢市に派遣された当時、全ての医療スタッフは、『党の指示に従い、情報を漏洩しない』ことを誓う秘密の誓約書に署名しなければなりませんでした」- 北京の病院の勤務医である妻が武漢に派遣された、という男性が語った。彼女は、同僚が「武漢市のある病院で、1日に100人を超える人が死亡して死化粧(しにげしょう)が施された」と話しているのを偶然、耳にしたが、中国のマスコミの報道に、そのような話が全く出てこなかった、という。

 また他の北京の病院の医療スタッフによれば、病院の全職員が「政府の許可なしには、どんなインタビューにも応じない、伝染病に関する情報は口外しない」とする誓約書に署名させられた。「例えば、病院で新型ウイルスの感染者が10人が確認されても、”官営”の”報道機関が『2件』と言えば、私たちも『感染事例は2件』と語らねばなりません。中国共産党と口裏を合わせて、同じ内容を言わなければならないのです」とBitterWinter に話した。

 さらに、「共産党は、真実が知らされたら、自分たちのイメージが打撃を受けると恐れているのです。党が公表しない情報は、流布できません。事実をそのまま話したら、いつどのように処罰を受けるかもしれないのです」と付け加えた。

 中国南東部の浙江省の商業の中心地で、湖北省以外で新型ウイルスの感染が最もひどかった温州市の医療スタッフも、同様に、沈黙を強要された。その一人は語った。「1月末に病院長から、『これからは外部の取材に絶対応じないように』と言われました」「多くの同僚が、いかなる情報も口外しない、という誓約書にも強制的に署名させられた。当局は、社会不安が引き起こされるのを恐れているようです。武漢市に派遣された医師と看護師は、全員が署名しなければならなかった、ということです」。

*当局への信頼は底を突いている

 2月18日に中国共産党政治法律委員会は、新型ウイルスに関する情宣活動の指針を発表した。「恐れ抱かず、私欲なしに献身する」という新型ウイルスの感染との戦いの最前線の労働者の話を通じて、「勤勉と誠実を一層、奨励し、士気を高め、社会の前向きな活力を高揚させる」とする一方、「涙がこぼれるように人間的な話を入れた、より暖かくて肯定的な便りを伝える」ことに努める、という内容だった。

 この指針発表を受けて、中国の官製報道機関は、「武漢市の勤務を志願した共産党党員の医療スタッフ」の現地からの便りを絶えず報道し始めた。BitterWinterの取材に応じた人々は「そのような報道は常に不正確で、共産党のイメージ維持のために操作されたりもしている」と指摘する。

 「『武漢市の勤務を志願するという共産党員』に関する報道が、いつも事実であるというわけではない。武漢市での勤務が『くじ引き』で決められる事例も多いのです」と温州市のある病院医療スタッフが説明した。「上司の命令なので、誰がが武漢市に行かなければなりませんよ。自ら志願する人は少数に過ぎません」「当局が外に言っている話とは違い、感染防護服が不足しているにもかかわらず、派遣命令が下ります。拒否も出来ません。拒否すれば、それが記録に残され、将来、良い働き口を得るのが難しくなる」。

 中国南東部の江西省九江市の医療スタッフによれば、彼らは休憩を取りに家に戻ることもできず、適切な防護服も無しで仕事をせねばならない、という。

  (写真は防護服の代わりに「雨具」を着て、病院の受け継に座る看護師)

 新型ウイルスと死闘する医師と看護師は、当局ー正しい情報を意図的に隠し、偽ニュースだけを撒き散らすーに対する信頼を、もはや失っているようだ。

 温州市の他の医療スタッフによると、感染防護服が不足しており、使い捨てのはずのものを繰り返し消毒して使用しなければならない。

 「そのような”防護服”に何の効果があるというのでしょう… 武漢市で働いているかなりの数の医師と看護師には、春節も、食事として提供されたのはラーメンと卵パンだけでした。ある病院長は『それでも自分たちには食べ物もある』と言い、報道では『全ての病院に防護服と食べ物が充分』と伝えられていました。情報が遮断されることを目の当たりにして、どうすれば安心して仕事ができますか?」。

(BitterWinter韓国語版より・翻訳「カトリック・あい」高橋哲夫)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日5言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。

 編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2020年4月2日

・ウイルス感染拡大の原因は-コウモリ、ゼンザンコウ、それともCCP(中国共産党)?(BW)

 科学者は依然としてコロナウイルスの起源について議論しているが、重要な点を見逃してはならない。中国共産党の嘘と対応の遅れが世界に流行を封じ込めることを妨げているということだ。

 中国政府から教育部直属重点大学に指定されている華南理工大学(広東省広州市)の2人の研究者が国際学術データベースResearch Gateに掲載した論文-掲載されて数日後に抹消されたーを紹介した17日付けの記事で述べたように、BitterWinterの私たちは科学者ではなく、研究の信頼性を評価する方法を持たない。だが、この研究者は優れた科学者であり、国際的な学術出版物に12を超える論文を掲載した実績を持つ。

 この論文は、新型コロナウイルスの感染源がコウモリだ、としたが、武漢市内あるいは周辺に野生のコウモリはいない。しかたがって、そのコウモリは、武漢市内と郊外にあり、活動が秘密にされている二つの研究所のうちの一つ、あるいは両方に由来する可能性が高い、と判断される。

 著名な科学雑誌「ネイチャー」は17日付けで、クリスチャン・G・アンダーセン博士、アンドリュー・ランボー博士、W・イアン・リプキン博士、エドワード・C・ホームズ博士、ロバート博士が執筆した新型コロナウイルスに関する記事を発表した。 彼らは、ウイルスが「実験室の操作によって生れた」ことは「ありそうもない」とし、コウモリあるいはセンザンコウという哺乳類を介してヒトに伝染した可能性が高い、と述べた。

 中国関係者からの情報提供を無しとないと思われる、ある国際的なメディアは、新型コロナウイルスの”実験室起源説”をフェイク・ニュースとして、これを”暴く”記事を素早く流した。確かに、このメディアは、”米国の研究所起源説”を主張する中国製のフェイク・ニュースも暴いた。

 「ネイチャー」の記事は、先の華南理工大学の研究者たちがResearch Gateに論文を載せる前に書かれた可能性が高いが、この二つの見解は矛盾しない。華南理工大学の研究者の論文は、新型コロナウイルスが中国の研究所で「意図的に作られた」とは主張したのではなく、武漢地域で活動している二つの研究所の一つ、あるいは両方で感染したコウモリの可能性を示唆しているからだ。

 一方、フランス・ソルボンヌ大学の系統分類学・進化および多様性研究所のアレクサンドル・ハッサニン教授は20日、新型コロナウイルス肺炎を引き起こしているウイルスは「2つの異なるウイルスの組み換えの結果生まれた可能性がある」という見解を明らかにした。「一つは(コウモリ由来とされている)RaTG13に近似しており、もう一つは、哺乳綱鱗甲目のゼンザンコウに由来する可能性が高いものだ。言い換えれば、二つの既存のウイルスの『キメラ(注:同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や、そのような状態の個体のこと。嵌合体あるいは異質同体ともいう)』だ」。

 RaTG13はベータ・コロナウイルス、すなわち、アルファ、ベータ、デルタ、ガンマの四つのコロナウイルスの1つで、コウモリの遺伝子を(アルファ・コロナウイルスのように)起源としている。 ハッサニンは「ベータ・コロナウイルスは、主にコウモリから発見されているが、ヒトからも見つかっている。たとえば、中国の雲南省で収集されたコウモリから取り出されたRaTG13は、最近、現在のコロナウイルスと非常によく似ている、と言われており、実際、ゲノム配列が96%一致しています」としているが、これは、華南工科大学の2人が論文で報告したものだ。

 今週号の「ネイチャー」誌に掲載された新型コロナウイルスに関する二つの記事は、感染者から検出されたウイルスのゲノム配列が、ナカキクガシラ・コウモリから最初に発見された Bat CoV ZC45コロナウイルスと96%または89%一致したことを明らかにしている。 華南工科大学のこの研究者は、最近発行された「ネイチャー」誌の二つうちの2月3日付けに掲載された記事は中国の彼の同僚たちの共同研究結果、もう一つの記事も同日付けで、やはり同僚たちの別の共同研究を基にしたものだ、と指摘している。

「ネイチャー」誌は、新型コロナウイルスに関して他にもいくつかの論文を掲載しており、新たなデータが利用可能になると、それをさらに更新している。これは、科学が経験的に、試行錯誤によって発展していくからだ。

 科学者が注目する2つの重要なポイントは、(1)2つの異なるウイルスの組み換えの経路と(2)人間に感染させた中間宿主ーだ。ハッサニン博士によると、2つのウイルス(それぞれコウモリとセンザンコウによって伝達される)の組み換えの仕組みはコロナウイルスですでに説明されていた。「重要なのは、組み換えの結果、新しいウイルスが新しい宿主種に感染する可能性があること。また、組み換えが起こる条件は、2つの異なるウイルスが同じ生物に同時に感染することです」。

 彼によれば、問題は「どの生物で組み換えが起こったのか。コウモリ、センザンコウ、あるいは他の動物か。そして、どのような環境の下で、このような組み換えが起きたのか」だが、これらは、ほとんど解明されていない。

 注目すべき彼の記事にある他の箇所には、「今、我々が対処せねばならない新型コロナウイルスは『以前から存在している二つの間にあるキメラ』だ」とある。筆者の私はvirus学者でも、医者でもない。ただのジャーナリストだが、知っているのは、キメラが複数の異なるDNAをもつ細胞で構成される生きた個体で、その名の由来がギリシャ、エトルリア、ローマの神話に出てくる伝説の怪物に由来している、ということだ。

 2000年に初上映された米国のアクション映画「ミッション・インポッシブル 2」では、「キメラ」はあらゆるものを破壊できる恐ろしいウイルスの名前だが、幸いなことに”いい奴”たちがそれをやっつけるのに成功する、という筋書きになっていた。そして、Research Gateに掲載され、”何者か”によって消されてしまった華南理工大学の二人の研究者の論文で使われていたのは「キメラ・ウイルス」だった。

 「ネイチャー」誌の記事は、この「キメラ」が自然の組み合わせの産物だ、ということを示唆するものとなっている。先の二人の研究者は、そのように見ることも可能だ、としているが、恐らく、武漢の実情を考慮に入れないとした場合に、そう言える、ということだろう。

 疑問は解けていない-華南理工大学の二人の研究者が指摘した「武漢にある二つの研究所」が具体的に何の研究をしているのか?中国共産党(CCP)は新型コロナウイルスの発生源に関する重要な事実を隠ぺいしたのか?中国は宣伝工作で、新型ウイルス危機解決の立役者としてCCPを持ち上げようと試みた。だが、実際には、CCPが問題を隠蔽しようとし、対応が遅れさせた張本人なのだ。

 コラムニスト、ジョシ・ロジンが米国の有力日刊紙「ワシントンポスト」に新型コロナウイルスについて書いているように、私たちは、このウイルスを「中国ウイルス」ではなく「CCPウイルス」と呼ぶべきだ。そして彼はこう述べているー「そう呼ぶ方がずっと正確だ。気分を害するのは、そう呼ばれるに値する人々だけである」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日5言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2020年3月24日

・「今こそ、祈りと心配りを」-聖週間を前に菊地・東京大司教呼びかけ

(2020.3.24 カトリック・あい)

 カトリック教会では4月5日から聖週間を迎えるが、カトリック東京教区の菊地大司教が23日、「聖週間を迎えるにあたって」と題するメッセージを教区の聖職者、信徒に対して出された。

 全文以下の通り。

聖週間を迎えるにあたって

                     カトリック東京教区の皆様  カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

   新型コロナウイルスによる感染は世界的レベルで拡大し、毎日のニュースにおいて国内外における感染者と死者の増加が報道されない日はありません。

   亡くなられた方々の安息を祈ると共に、感染された方々、現在治療を受けられている方々の一日も早い回復をお祈りいたします。同時に、対策や治療のために日夜努力されている研究者、医療関係者の方々の超人的な働きには感謝の言葉しかありません。この方々の健康のためにお祈りいたします。

   世界的なレベルで感染が拡大する中、世界各国は鎖国のような状況に陥っていますが、このような時だからこそ、政治のリーダーたちが互いの相違を乗り越えて、信頼の内に協力しあう世界の実現を願っています。また政治のリーダーにあっては、すべてのいのちを守ることを優先され、様々な側面から忘れ去られる人のないように、対策を進められることを願っています。

   そして宗教に生きる私たちは、祈りの持つ力への信頼を失わず、それぞれの場にいながらも、信仰に結ばれながら、祈り続けたいと思います。

  私たちは,これまでにない厳しい挑戦を受け続けながら四旬節を過ごしております。感染症の拡大が要因とはいえ、四旬節中にミサにあずかることなく,また御聖体を受けることなく過ごすような事態となってしまったことは、非常に残念ですし心苦しく思っています。

  もちろん、ミサがないことで教会共同体が崩壊してしまったわけではありません。私たちは信仰によって互いに結ばれているのだ、という意識を,この危機に直面する中で改めて心に刻んでいただければと思います。祈りの内に結ばれて、キリストの体をともに作り上げる兄弟姉妹として信仰の内に連帯しながら、この暗闇の中で、命の源であるキリストの光を輝かせましょう。弟子たちを派遣する主が約束されたように、主は世の終わりまで、いつも共にいてくださいます。(マタイ福音書28章20節)

 この挑戦は,私たちに、生活において信仰を意識する機会を与えています。私たちはこの困難な時期を、信仰を見つめ直したり、聖体や聖体祭儀の意味について改めて学んだり、霊的聖体拝領に与ったりと、普段はあまり気に留めていない信仰生活を、見直す機会ともしたいと思います。

  私たちは、一人で信仰を生きているのではなく、キリストの体である共同体のきずなの内に結ばれています。今こそ、そのきずなが必要です。共同体にあって私たちは、すべての命を守るようにと呼ばれています。自分のいのちを守るためだけではなく、互いの命を守るために、今こそ、思いやりの心遣いが求められています。様々な立場で感染症と闘っている専門家、病気と闘っている患者、社会的状況や経済的状況によって命の危機に直面している人々。すべての命が守られるように、今こそ、私たちの祈りと心配りが必要です。

 

  東京教区ではこれまで二度にわたる注意喚起を発出し、感染予防を訴えてきました。

  また、2月13日の香港教区での公開ミサ中止を受けて信徒の医療専門家と話し合い、2月24日の厚生労働省の専門家会議の見解に基づいて、一回目の公開ミサの中止を決定いたしました。さらに3月9日の司祭評議会での話し合いと、同日の厚生労働省専門家会議の見解に基づいて、公開ミサ中止延長を決定いたしました。

  今回の感染症にあっては、感染者の多くが無症状なままで回復していると報告されています。しかし大きな問題は、その感染者の多くが、無症状なまま感染源となり得ることにあります。

  厚生労働省の専門家会議は、感染が拡大しやすい環境として次のように指摘します。
「これまで集団感染が確認された場に共通するのは、①換気の悪い密閉空間であった、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという 3 つの条件が同時に重なった場です」

  これまでのインフルエンザ流行対策などでは、熱があったり体調を崩している人が家で療養してくだされば、健康な信徒が教会に集まることには問題がないのですが、今回は、自覚症状がないとしても実は感染している人が存在する可能性があり、その方から、特に高齢で持病のある方に感染した場合、重篤な症状を引き起こす可能性があります。

  従って、公開のミサを自粛する一番の理由は、自分が感染しないようにするためではなく、意識しないまま感染源となり、他の方を危険にさらす可能性を避けるためです。

 間もなく聖週間が始まるのを前にして,政府の専門家会議の見解に基づいて東京教区の対応を別途発表いたしました.

 

   私たちはいま、体験したことのない聖週間と復活祭を迎えようとしています。聖週間の毎日を、どうか大切にしてください。聖週間の聖書朗読を必ずお読みください。祈りを共にしてください。苦難に打ち勝ち復活の栄光に達した主の力に、私たちをゆだねましょう。信仰を生きる意味を改めて見つめ直しながら、一日も早い事態の終息を、慈しみ深い神である御父に祈りましょう。

  聖なる神の御母よ、
あなたの保護のもと私たちは身を寄せます。
試練の中で祈る私たちを見捨てないでください。
栄光ある、祝福された乙女よ、
私たちをあらゆる危険から守ってください。 (教皇フランシスコの祈りより)

(表記は、当用漢字表記に直させていただきました)

2020年3月24日

・新型ウイルスでミサに与れないローマの人々の過ごし方

(2020.3.14 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)

With no Mass, Catholics in Rome turn to other forms of prayerA woman wearing a mask poses for photos at the bottom of the Spanish Steps, in Rome, Thursday, March 5, 2020. (Credit: Andrew Medichini/AP.)

ローマ発ーイタリア政府と教会当局の両方が新型コロナウイルスの感染拡大を止めようと国内の規制を強化している。そうした中で永遠の都に住むカトリック教徒はソファに座っているだけでなく、インターネットでミサの動画配信を受け、祈りの時間にあてるなど、様々な工夫をしている。

*自宅での祈り、聖書、ロザリオ…

 ローマに住む弁護士のピエトロ氏は、教会の閉鎖など頻繁に打ち出される措置について、「最近の突然の教会閉鎖には、とくにコメントするつもりはありません。家で聖書を読んだり、ロザリオを唱えることもできますし」と言い、「皆で集まって祈る、ということはできませんが、自宅にいて、家族とのつながりを強めることができる。教会のミサに出ることができないのは辛いが、犠牲を払わねばならない時は払います」と語った。

 イタリアの司教団は3月8日に、聖週間の直前の4月3日まで、すべての公開ミサを中止すると発表した。この決定は、国内の全部の学校、大学、博物館、劇場など、そしてニューススタンドやタバコの販売所、食料品店、薬局を除くすべての店舗の閉鎖など、イタリア政府による一連の予防措置に沿って行われた。

 バチカン市国も、教皇フランシスコによる日曜正午の祈りと説教、と毎週水曜の一般謁見の一般観客を含むすべての行事を4月3日まで中止した。居宅であるサンタ・マリア館での教皇のミサは初の試みとして、毎日動画配信されている。

 さらに、12日に、ローマ教区管理者のアンジェロ・ド・ドナティス枢機卿が市内の全教会の閉鎖を4月3日まで行うと発表したが、教皇は翌日の朝のミサで、こうした思い切った措置が「必ずしも良いとは限らない」と語り、司祭たちが信徒を孤独にしない方法を見つけることができるように祈られた。

 そして、教区慈善活動室を主管するコンラート・クライェフスキ枢機卿は13日、ローマ教区の決定に公然と”反抗”し、市内にある彼の名義教会、サンタ・マリア・インマコラータを祈りと崇拝のために開き、「家はいつも子供たちの為に開かれていなければならない」と主張。ド・ドナティス枢機卿も13日朝の教皇のミサの直後に、全教会の閉鎖という前日の決定を撤回する旨の声明を出し、「本日朝、教皇とお会いした結果」と説明した。

*”バーチャル・ミサ”に与る

 Crux は、ローマ在住の数人のカトリック信徒に教会のついての規制についての意見とミサに参加することが選択肢に入らなくなった日曜の過ごし方について聞いた。ほとんどの人が、規制措置を、積極でないにしても受け入れ、”バーチャル・ミサ”への積極的な参加の姿勢をもっているようだった。

 法医学の特別研修中の医師で、生命倫理の博士号を持っているバーバラ・コルサーノ氏は、医師でカトリック教徒である者として「教会の閉鎖に賛成です。感染リスクが最も高い脆弱な人やお年寄りの健康を守ることが最優先ですから」と語った。

 そして、医療面から見て、多くの人がいる場所に出て行くことを制限することは妥当な措置であり、それは、新型コロナウイルスが罹患率も含めて、「まだ良く知られていない感染症」であるためだ、と説明。

 精神面から見ると、毎日、テレビでミサの動画を見ることは「教会が共にあり続け、自分の信仰を育てる貴重な機会」になり、「四旬節を普通とは違うやり方で体験するーイエスの荒れ野での40日に自分の手で触れるーことができるでしょう」と語り、彼女の小教区共同体は毎朝、その日の聖書の朗読箇所についての省察を信徒たちに伝えている、と具体的な対応についても説明した。

 ロザリオが唱えられ、ミサが教皇によるものだけでなく、あらゆる場所で動画中継されることで、「教会の閉鎖は、信仰を閉じることや教会であることを止めることを意味しなくなります… それは、教会を発見し、最も傷つきやすい人々の世話をするための、通常とは異なる別の方法なのです」とコルサーノ氏は前向きに対応しようとしている。

*家族で祈る機会に、オンラインでミサ動画配信する教会が広がっている

 夫と2人の娘の4人でローマに住んでいる米国人、アン・ヘリング夫人は、これからの3週間、「私たち家族で祈りを続け、ローマの米国人のための聖パトリック教会の”バーチャル・ミサ”に参列する計画だ」という。教会から送信されるメールを自宅のパソコンにアップロードすることで、毎日ミサに与ることができる。日曜のミサにはミュージシャンの協力で聖歌の演奏も付いている、という。

 教会からのメールは、「目標は、私たちがとてもお会いしたいと思う、あなた方全員とのつながりを維持することです」と述べ、「気を強く持ち、元気でいてください。あなた方全員の為に、私たちはロウソクを灯しています」と教区民を激励している。

 他でも、イタリア人も外国人も、同様にオンラインでミサに参加し、”霊的聖体拝領”をすることを計画している。

 ローマに本拠を置き、カトリックの旅行会社を経営するマウンテン・ブトラック氏は、いったん閉じられた教会が祈りのために再び開かれたことに満足してとおり、ミサに与れない問題はあるが、「他の色々なやり方で、与ることができます」と言う。「教皇が、ミサを動画配信してくれています。史上初めてのことですが、誰でも、教皇のミサに与れるのです。他の教会も同じようなことをしています」と言う。彼が知っている多くの小教区では、伝統的なラテン語のミサも含めて、教区民のためのミサの動画配信を始めている。

 「実際に教会でミサに与ることに取って代わるものではありませんが、それでもミサに与る機会を与えてくれているのです」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年3月14日

・13日で教皇就任から7年-タグレ枢機卿がフランシスコを語る

Tagle Luis AntonioCardinal Luis Antonio Tagle, Prefect of the Congregation for the Evangelization of Peoples, with Pope Francis 

(2020.3.12 VaticanNews Alessandro Gisotti)

  フランシスコが教皇に選出されて13日で7年が経った。 教皇と親交があり、今月、バチカンの福音宣教省長官に就任したルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(前マニラ大司教)がインタビューに応じ、教皇フランシスコがこれまで7年を”包みを解かれた”神からの贈り物、と評価して次のように語った。 インタビューの一問一答は次の通り。

*教皇に選ばれた時、歓声の中で静かに頭を下げられた

アレッサンドロ・ジソッティ(VN):フランシスコが教皇に選出されてから7年が経ちました。あなたの教皇に関して個人的に心に残ることは何でしょう。

タグレ枢機卿:私は2012年11月24日に前教皇のベネディクト16世に最期に枢機卿にしていただいた6人の1人。3か月後に、前教皇が退任され、教皇選挙に参加することになりました。フランシスコを選出した2013年3月13日には多くの思い出がありますが、ここでは、そのうち2つを共有したいと思います。

 一つは、教皇に選ばれた時の、ベルゴリオ枢機卿の振る舞いです。教皇選出に必要な投票数を得た時、枢機卿たちは一斉に歓声を上げ、拍手しましたが、ご本人は、ただ、頭を下げて座っておられたのです。その姿を見て、それまで熱狂していた私の心は静まりました。静かに頭を下げている新教皇の姿に、神の神秘的なご意思に従う、あるいは膝をかがめることの重さを感じたのでした。また、腰をかがめて祈る-教会の真の羊飼いである神への信頼の姿勢を感じました。

 もう一つは、聖ペトロ広場に集まった群衆に挨拶される教皇フランシスコとご一緒した際、新しく教皇に選ばれたどの方も、教皇職を務める年月をとおして神が”ゆっくりと包みを解いていく贈り物”、あるいは民の前に神が果たされる約束だということに、気づいたことです。 2013年3月13日に教皇フランシスコという”贈り物”をいただいたことを神に感謝した時、これからの年月に教会と世界とともに分かち合う”贈り物”と約束を知って、心高ぶりました。

*教皇から自己の限界と協力者の必要を知ることを学んだ

VN:教皇フランシスコは、個人的に、そしてマニラという大きな司教区の司牧者としてのあなたに、何をもたらしましたか?

枢機卿:過去7年間、教皇フランシスコから受けた教えと振る舞いの豊かさのほかに、彼の模範が、とくにマニラ教区の司牧者としての私に、彼が模範を示すことで与えてくれた数々の教訓に、深い喜びを感じています。その教訓とは、大勢の中で、個々の人々に注意を払うこと、大きな教会の組織あるいは”官僚組織”の中にあっても個人的なつながりを持ち続けること、”超人”的な期待を持たれる中で自己の限界と協力者の必要を知ること、そして、自分が救世主ではなく、奉仕者だということを知ることーです。

 

*言葉の中に「神の親しさと思いやり」が見える

VN: あなたは教皇フランシスコと数多くお会いになっています。教皇の人柄、証しの言動で、最も感動したのは?

枢機卿:教皇になられる前のベルゴリオ枢機卿とは、2005年から2008年までシノドス(世界代表司教会議)事務局の常任委員会でご一緒しました。彼が教皇職に、私が知っている「質素で、ユーモアにあふれた、優れた観察力のある性格」をそのまま持ち込まれたことに、感動しています。教皇フランシスコとなられた彼と会うたびに、最初に私になさる質問は、その日の仕事のことではなく、「ご両親は元気ですか?」です。

 彼のことを、多くの人は「現代の歴史と人類を動かし、その進路を作る人物の中で、最も影響力のある1人」と考えていますが、私には、彼の中に、そして彼との会話の中に、神の親しさと思いやりの”実例”が見えます。そして、そのような”実例”を示すことで、教皇は歴史を動かし、作ることができるのです。

 

*「見捨てられた人」に持つべき特別の愛は、教皇の”発明”ではない

VN:教皇は、社会から見捨てられた人を第一になさいます-病気の人、貧しい人、移住する人です。今問題になっている新型コロナウイスに感染した人たちもそうです。それでも、このように”最も小さい人々”を最優先するやり方に難しさを感じる人もいます。あなたはどう考えますか?

枢機卿:私は誰も、特にあなたが言われた「見捨てられた人を最優先するやり方に、難しさを感じる人」を裁こうとは思いません。ただ、自分自身も含めて、どの人にも気付いてほしいのは「社会から見捨てられた人々に、キリスト教徒が持たねばならない特別の愛は、教皇フランシスコの”発明”ではない」ということです。

 聖書、初期教会からの慣行、教会の社会教説、殉教者と聖人たちの証し、そして何世紀にもわたって続けられてきた貧しい人、社会から疎んじられた人に対する教会の働きが、コーラスとシンフォニーを作り出します。それを聴き、自分の声と自分が持っている”楽器”-人格、時、才能、宝物-を使って、それに加わるように、私たちは招かれています。

 助けを必要とする人、貧しい人と、もっと個人的に接し、出会うことを、私は提案します。そして、私たちは、そのような出会いが自分の心を乱し、貧しい人々の中でイエスが自分に語りかけるのを聴けるように祈ることを覚悟せねばなりません。

 

*教皇の宣教の基本、「外に出て行く教会」は教会の存在理由そのもの

VN:教皇にとって、宣教の告知は基本的なものです。「外に出ていく教会」を具体的にどう考えますか?また、福音宣教省の長官としてのあなたの新たな役割の中で、どのような励ましを受けていますか?

枢機卿:「外に出て行く教会」とは、教皇フランシスコによれば、「言葉と行いで福音をもたらすために、男の人、女の人のところに、この世界で実際に起きていることの中に出て行く教会」です。宣教、あるいは福音化は、教会の存在理由なのです。

 しかし、忘れてならないのは、教皇フランシスコが、欠かすことの出来ないものとして次のように強調されていることです-宣教は、「イエスとの深い出会い」「イエスが私たちを愛し救ってくださるという信仰体験と確信」「福音だけがもたらすことのできる喜びに満たされた心」「人々と分かち合うために聖霊によって動かされた心」をもとにしたものでなければならない、「私たちの喜びが満ち溢れるようになるため」(ヨハネの手紙1・1章4節)に。

 イエスと聖霊の助けなしには、宣教は前に進みません。人間的なプロジェクト、社会的あるいは市民的なプログラムとなり、それ自体は良いものかも知れませんが、「宣教」という言葉の真の意味において、キリスト教徒あるいは教会の宣教にはならないでしょう。真のキリスト教宣教には真の証人が必要です。私たちは、単なる仕事人ではなく、本物の宣教師を必要としています。福音宣教省で、このような方向を推し進めていくことを願っています。

VN:最後の質問です。この記念の日に、あなたは教皇に何を望まれますか?

枢機卿:7年前にペトロの座に呼ばれた時の神の賜物と約束をいつも悟り、教会と人類に明示し続けるように、望みます。多くの人々の祈りと愛に元気づけられますように。そして、私は言いたいと思います。「教皇さま、いつまでも元気で、喜びにあふれていたください!」と。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2020年3月13日

(解説)3月13日は日本のカトリック教会の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」だが…

(2020.3.13 カトリック・あい)

 13日に日本のカトリック教会は「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を迎えた。だが、中央協議会のホームページを見ると、1月31日に同協議会子供と女性の権利擁護のためのデスクがまとめ、その後2月28日に修正した国内各教区の行事予定のみ。主催者であるはずの司教団のメッセージもない。

 教皇フランシスコの全世界の司教団に「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けることを求める通達を受けて、日本の司教団として「四旬節第2金曜日」をこの日と定め、2017年から開始して、今年は4回目だ。新型コロナウイルスの感染拡大で主な教区での公開ミサや大勢が参加する行事は中止を余儀なくされているのはやむを得ないとしても、それに代わる祈りや反省などを呼びかける手だけはいくらもあるはずだ。

 世界の教会のこの問題での取り組みの遅れを強く懸念した教皇フランシスコは昨年2月に、全世界の司教協議会会長による会議を招集、会議の結果をもとに、各司教協議会に対して「聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範」の策定・実施を求める自発教令を出さた。

 これを受けて米国など主要国の司教協議会で新規範の決定するなど、新たな具体的取り組みを始めているが、日本の司教団は、ホームページによると「2002年に日本カトリック司教団として、2012年にデスクとして調査を行っております。しかし、それぞれの調査の目的が異なっていたことから、より正確な調査(現状把握)が必要」として、昨年6月から10月にかけ、司教団として、全教区と全修道会、宣教会に対して再調査を実施し、さらに追加調査をしたはずだった。

 だが、教皇訪日を目前にした昨年11月15日付けの司教協議会の説明で、「教皇訪日に際して、公表の予定はあるかというお問合せが寄せられています。上記のとおり、現在調査を継続しているところですので、教皇訪日に際しての発表は予定しておりません」とわざわざ断ったうえで、「報告できる段階になり次第、カトリック中央協議会のウェブサイトで公表する予定です」としていた。しかし、それから4か月を経過した今も、報告の絶好のタイミングであるはずの13日の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を迎えた段階でも、何の音さたもない。

 この時の説明では「現在では、全ての教区に対応委員会が設置され、複数の教区にて、相談窓口などのホットラインが設置されています。日本カトリック司教協議会は、今後も様々な課題に対して、一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進していく所存です」とも述べていたが、本当に「一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進」しているのか、全く見えてこない。

 そもそも、調査は、昨年5月の司教協議会の定例常任委員会で「児童性虐待に対応するために過去の事例と現在の状況についてのアンケート」として、各教区司教に送付し、昨年6月30日までに回答をもらうことを決めていたものだ。それが、”再調査”が10月まで、さらに追加調査… というわけだ。

 昨年2月の全世界司教協議会会長会議に日本の代表として出席した高見三明・司教協議会会長(長崎大司教)は、帰国2か月後の昨年4月に東京で開かれた「施設内虐待を許さない会」主催の「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」と題する集会に参加。その席で、有力月刊誌「文芸春秋」の昨年3月号の調査報道記事「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」で実名を明らかにしていた性的虐待被害者の男性に面前で謝罪するとともに、国内の実態調査を全国16の司教区で開始することを決めたことを明らかにしていた。

 高見会長は当時、「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」とも語っていたが、それから一年近く経った今も、国内の一般信徒を含む関係者に、そのような決意を示し、協力を求めるようなメッセージは届いていない。

 さらに、教皇フランシスコの訪日前日の11月22日には、時事通信が「長崎大司教区で、女性信徒が性被害訴え。神父処分も公表せず」と伝えた。「長崎県のカトリック信徒の女性が『神父に体を触られるなど猥褻な行為をされた』などと性的被害を訴えていることが関係者への取材で分かった。長崎大司教区は問題の神父の聖職を停止したが、教区の信徒たちに処分を公表せず、不在の理由を『病気療養中』とだけ説明しいる」とし、「女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、長期の入院を余儀なくされた。神父は面会した教区幹部に『女性や教会に大変な迷惑を掛けた』と話したが、時事通信の取材には『何も申し上げられない』と答えたという」としていた。”当然”のことながら、この問題への見解、対応もいまだに公にはなされていない。

 昨年秋、「カトリック・あい」で次のように書いた。その時の思いは、残念ながら、今も変わらない。

 教皇が全世界の司教協議会に求めている性的虐待・隠ぺい防止の新規範を日本がまとめるのはいつのことになるのだろうか。

 対応の遅さの背景には、関係者の「事を荒立て、余計な不安と動揺を信徒に与えたくない」という”隠蔽”体質と、「日本社会では欧米のように同性の幼児や少年に対する性的虐待は極めてまれ。教会内部ではほとんどあり得ない」という安易な思いがあるように感じる。

 では、同性の幼児や少年に対する性的虐待でなければ、それ以外の性的な不適切行為には目をつぶってもいいのか。そうではないはずだ。聖職者の独身制は教会法にも規定されており、その「独身制」は単に結婚しなければいい、というものではなく、貞潔を守らねばならないことを意味する、厳しいものだ。そのような”聖職者”が信徒の教会への信頼を損なう例は、日本でも少なくないと思われる。

 実際に筆者が確認している限りでも、そのような”聖職者”が二人いる。そのうちの一人は、神学校に在籍中に不適切行為を繰り返し、何度か警告を受けても辞めることがなかったため、所属の東京教区から絶縁されたものの、他教区の司教から「俺のところに来い。面倒を見てあげる」と言われて(本人から直接筆者が聞いた)その教区に移り、叙階に至ったものの、またしても、不適切行為を繰り返したが、その司教は某大司教に昇格、転出し、後任司教が頭を抱えている、と聞いている。

 教皇の強い思いをしっかりと受け止め、すみやかに真摯な対応を取ることが望まれる。

(「カトリック・あい」南條俊二)

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(参考)2020年度 性虐待被害者のための祈りと償いの日 関連行事  宗教法人カトリック中央協議会 子供と女性の権利擁護のためのデスク

                    (中央協議会ホームページ 投稿日 : 2020年1月31日 

2020年度の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」は、2020年3月13日(金)です。それにともない、各教区では以下の行事が開催されます:

■札幌教区 (3月13日以下のミサは中止となりました)
ミサ 3月13日(金)18:30より、北一条教会(札幌教区カテドラル)にて勝谷司教司式によるミサ 特別電話相談 3月10日から15日まで、毎日12:00から20:00の間、電話相談を受け付ける

■仙台教区 3月15日(日) 松木町教会(福島県)にてミサ

■新潟教区 3月13日(金) 各小教区、修道院でのミサ、また祈りの集いを実施

■さいたま教区(3月14日まで公開ミサは中止となりました) 3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日) 主日のミサに共同祈願で祈る

■東京教区(3月14日まで公開ミサは中止となりました)事前に大司教よりのメッセージの発表を行う。3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日)晩の祈り、聖体礼拝(可能ならばミサ)を菊地大司教が行う

■大阪教区 (以下は延期となりました)3月14日(土) 13:00より サクラファミリアにて「性虐待被害者のための祈りとつぐないの日にむけて おはなしとミサ」お話し:竹之下雅代さん(ウィメンズカウンセリング京都)ミサ: 主司式 前田万葉大司教

■広島教区 3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日) 主日のミサに共同祈願で祈る

■長崎教区 3月13日(金) 12:45より 26聖人記念聖堂にて 「性虐待被害者のための祈りと償いの日」の集い in 長崎 ご挨拶:髙見三明大司教  講話ならびにミサ主司式 森 一弘 司教(東京大司教区名誉司教)

■大分教区 (以下は延期となりました)
3月8日(日)15:00より、大分教会(大分教区カテドラル)にて、集いを実施 浜口司教、ウェイン司教(子どもと女性の権利擁護のためのデスク担当司教)による司式。セクシャルハラスメント防止と対応宣言の発表を同時に行う。

2020年3月13日

・”ウイルス報道”の民間ジャーナリストが抑圧され、消息を絶っている(BW)

(2020.3.3 Bitter Winter

Li Zehua (left), Fan Bin, and Chen Qiushi disappeared after they have been arrestod for reporting about the coronavirus outbreak. (Screenshots from the vloggers’ Youtube channels).新型コロナウイルスの感染拡大について報道して逮捕され、幾へ不明の方斌、陳秋実、そしてリー・ゼフアの各氏

  中国政府・共産党が管理し、巧妙に仕組まれたプロパガンダの道具になっている”公式メディア”に失望し、中国国内で起きている真実を調べ、報道しようとする”非公式”ジャーナリストが増えているが、彼らは深刻な危険にさらされている。

 武漢が発生源となった新型コロナウイルスの感染拡大の実情を報道していた方斌、陳秋実、そしてリー・ゼフアの三氏が最近、相次いて当局に逮捕された後、消息を絶った。

 政府・共産党は、自己のイメージを害する恐れのある情報が国外に流出するのを防ごうと、市民ジャーナリストが投稿するソー

A “notice to citizens,” asking them to snitch on “spies.”

シャルメディアの情報を検閲する取り組みを強化しており、勇気ある報道を続けようとする人々が監視され、抑圧され、跡形もなく消される人も出ているのだ。

 中国の宗教的迫害について報道を続けているBitterWinterの支援・協力者も同様の危険に直面している。 2018年夏にBitterWinterが中国共産党から「海外の敵対的ウェブサイト」に特定されて以来、少なくとも45人の記者、特派員、寄稿者が「国家秘密漏えい」または「外国勢力の国内浸透への関与」の罪で逮捕された。

 逮捕された記者の一人は、尋問官から「国家に関する否定的な情報を外国に送る者は裏切り者… 資料の収集と報告は国家権力の転覆を狙うスパイ行為だ」と言われたという。

 「中国の真実を調査し、報告するのは、大きなリスクを伴います」と湖北省のBitterWinterの記者は説明する。当局は住民に、「スパイ」について報告することを要求している。そして中国の”対スパイ法”には「スパイ行為をしている人物を知っていて、関連の証拠提供を拒否する者は刑事責任を負う」と規定している、と言う。

 「住民がどうやって”スパイ”を摘発できるでしょう… 共産党の狙いは、公にしたくない情報を共有している人々の逮捕です。そういう情報を彼らは『国家機密』と呼び、海外に伝える者に『スパイ』のラベルを貼るのです」。

 先月24日、浙江省の寧波中級人民法院は、香港のCauseway Bay Booksのオーナーの1人である桂海に「海外への不法な情報提供」をしたとして、10年の懲役刑を言い渡した。これより前、昨年7月には、地方政府の不正行為と残虐行為を20年近く暴露し、人権サイト「64tianwang.com」を設立した黄芪氏は、「違法に国家の秘密を外国企業に提供」したとして、12年の刑を宣告されている。

 国際女性メディア財団から「勇気賞」を二度授与されている女性ジャーナリスト、高瑜女史は2015年に、北京市第三中级人民法院から「西洋の自由主義思想に反対するキャンペーンの開始に関する文書を漏らした国家機密漏洩罪」で懲役7年の刑を言い渡されている。

”スパイ活動”について”報告”を求める当局の告示

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日6言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2020年3月7日

・シリア、イエメン…紛争地に「食料」という希望~緊急支援へ協力を!

イエメン北東部ハッジャの病院で出会った父子。瞳の先に映る風景に思いを馳せてください。©WFP/Marco Frattini

*満たされない空腹。それは、今日生きのびることさえむずかしい場所

 紛争が、人びとの日常から奪ったもの。それは、ふるさとや家、家族との温かな団欒、生活の糧であった畑や仕事だけではありません。長引く暴力は、止まらない負の連鎖を招き、人びとは、今日の食事を手にいれることさえ困難な窮状に、もう何年も立たされ続けています。
シリアで出会ったある父親は言います。「世界中から忘れ去られるのが一番怖いのです」。皆さまの思いとともに私たちが届ける食料は必ず、彼らのひと筋の光となります。

*生きるために、空腹を満たす。そこから必ずつながる明日を信じて

シリアの中でも、支援の届きにくいリュクバン集落で国連WFPから配布された5人分の食料を持ち帰る母娘。©WFP/Marwa Awad

*飢餓人口の6割が、実は「紛争」の影響下に。

 2005 年から10 年間、着実に減り続けていた飢餓人口が、2016 年に一転して8 億2100万人に増加。その主な原因の一つが、多発化する紛争です。長期にわたる武力衝突は、農地を破壊するだけでなく国の経済やインフラなどの社会基盤をことごとく疲弊させることで、さらに深刻な食料難を生んでいます。

 最も支援の急を要するのがレベル3の国々です。

 国連WFPでは緊急食料支援が必要な国の中でも、最も急を要し、大規模で複雑な段階をレベル3と定義しています。特に世界最悪の人道危機といわれるイエメンでは国民の7割近くが飢餓に苦しんでおり、シリアでは約260万人が命を脅かされる状況下で緊急食料支援を待っています。

*現在、シリアで極度の貧困状態に苦しんでいる人びと…10人に8人

 2011年のシリア危機から約9年。終わりの見えない紛争から国外への避難者は約500万人にのぼり、残された人びとは度重なる暴力の中、過酷な生活を強いられています。

空爆下の東グータで、少年たちは何度も「ここから連れ出して!」と訴えた。©WFP/Marwa Awad

*あらゆる手段を使って、包囲下の最前線へ食料を。

 2018 年4月15日、6 年にわたる反政府勢力の支配から解放された東グータ。国連WFPは、その直前も緊迫した包囲下にあった東グータで緊急食料支援を行っていました。

 空爆の音が次第に近づいてくると、トラックから荷下ろしをする人びとに緊張が走り、口々に「急げ!」「食料を運ぶペースを上げろ!」と叫び声が上がります。極限状態の中、わずかな配給で命をつないでいた住民たちに、何としても食料を届ける必要がありました。

 国連WFPは、2011年のシリア危機以来、食料を必要とする何百万人もの人びとに支援を続けてきました。

 現在もシリア国内で毎月約4,600 台を超えるトラックを使い、14 州すべての約900の配給ポイントで、400万人以上に緊急食料支援を行なっています。

 また人道的ニーズが非常に高いにもかかわらず、空爆などの影響で立ち入りができない地域に関しては、人道支援輸送のリーダーとして他の支援団体と連携や、空中からの食料投下など、あらゆる手段を駆使。シリアの北部と南部の反体制派が支配する地域にも、ヨルダンやトルコからの国境を越えた輸送を行っています。しかし、目の前に切実に助けを必要とする人びとがいる一方で、資金難から支援食料のカロリーを減らさざるを得ない、苦しい状況が続いています。いま、皆さまのお力が必要です。

*イエメンで食料支援を必要としている人びと…人口3050万人のうち2010万人

 2015年から続く紛争により、泥沼化する武力衝突は、インフラの破壊や経済の破綻を招き、いまや世界最悪の人道危機となっています。人びとは空前の飢餓状況にあり、国内避難民は330万人にも及びます。

国連WFP が支援する病院で、慢性栄養不良の治療を受ける1歳8ヵ月の男の子。©WFP/Mohammad Nasher

*「忘れ去られた紛争地」の飢餓から、母子を救え!

 国連WFPの活動の中でも、最大級の緊急食料支援が続いているイエメン。紛争が長期化し、混迷を深める中で、国民の7 割近くが毎日飢えに苦しむ危機的状況にあります。なかでも5歳未満の子どもと、母親の栄養状態は深刻で、300万人以上が栄養不良の改善、または治療を必要としています。

 「この病院で毎日、2〜3人の子どもが命を引き取ります。紛争が始まって以来、あらゆる栄養不良の症状が見られるようになりました。彼らは非常に貧しい地域から来ていて、母親がお米の白いゆで汁をミルク代わりに赤ちゃんに与えているのを何度も目にしました。でんぷん質の水に必要な栄養はありません。でも深刻なインフレもありミルクは非常に高価で、お母さんも栄養不良なことから母乳が出ないのです」。自身も母親であるアル・サバイン病院の小児科長、ナグラ医師は悲痛な面持ちで語ります。

 2019 年、国連WFPは支援をさらに拡大。現在、22 州で毎月約1200万人に食料支援を行なっています。しかし、空港及び港の封鎖や、食料や物資を運ぶための道路の寸断など、アクセスは一筋縄ではいきません。また紛争報道の減少も、長く苦しい生活を続けるイエメンの人びとへの関心を低下させています。国連WFPは引き続き全力で支援を行っていきます。

<2020年春・レベル3緊急支援> こちらからご寄付をお願いします

 あなたのご支援で、紛争地の人びとに「食料」を!絶望の淵に立たされた一人でも多くの命を救うために、国連WFPの緊急食料支援へのお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

2020年3月5日

・聖堂から締め出されカトリック信徒は外で祈るしかない-中国政府・共産党の”統制”が止まらない(BW)

(2020.3.1 BitterWinter

   【 全ての信徒を統制下に置くために、中国政府・共産党は、「中国愛国天主協会(CPCA)」への加盟を拒む全ての教会を閉鎖しつつある】

 1月16日までに、福建省南東部の寧徳市が管理する「郡レベルの都市」福安で、10以上のカトリック教会が閉鎖された。中国政府・共産党の統制下にある「中国愛国天主協会」(CPCA)への登録を拒否したからだ。福建省の省都福州の大司教区の一部である明洞教区に属し、過去1年間で多数の教会が閉鎖されるか、破壊されている。

 一昨年9月にバチカンが中国政府と、国内の司教任命に関する暫定合意をした後、CPCAへの登録を拒否するカトリックの良心的反対者が置かれる状況は中国全土で悪化し続けている。そうした中で、明洞教区の5つの教会は、「標準以下の防火対策しかとっていない」という理由で閉鎖された。福建省の福安市にある郭西仁司教の居宅も同様の理由で、当局によって水と電力の供給が断たれ、司教は家を明け渡して退去するように命じられた。

The notice to shut down the bishop’s residence was issued on January 15, while the one on the closure of a Catholic church in Fu’an’s Saiqi town – on December 27, 2019.【司教の居宅を閉鎖する通知は1月15日に出され、福安市の一つの教会は昨年12月27日に閉鎖通知が出された】

福安市の赛琪町にある教会も水と電気の供給が断たれたが、信徒たちは政府・党から派遣された司祭の受け入れを拒否。信徒たちは1月19日の早朝、冷たい風が吹きつける中を懐中電灯をつけて聖堂の外に集まり、皆で聖書を朗読した。

The notice to shut down the Buxia Church was issued on December 20, after which, the church’s gate was locked.【赛琪町の教会には、昨年12月20日に閉鎖が通知された後、聖堂の入り口に当局がカギをかけた】下=【ビデオ:信徒たちは1月19日の早朝、祈るために教会の外に集まった】

 聖堂が閉鎖れた赛琪の別のカトリック教会では、司祭が1月13日に信徒の家でミサを捧げた。司祭は信徒たちが当局とのトラブルに巻き込まれないように、自分だけでミサの準備をし、ミサを捧げた家とは別の信徒の家に身を寄せた。

 この教会のある信徒はBitterWinterに対して、「司祭には可能な限り、信徒たちのために奉仕を続ける用意があります。それが、政府・党が管理するCPCAへの参加を拒否する司祭たちの生き方なのです。こうなったのは、全て当局のせいです」と訴えた。 2019年11月、福安の別のカトリック教会では、当局が聖堂を閉鎖した後、「ルルドの聖域」にちなんで命名された「ルルドの庭」の文字を削除し、中国共産党のスローガンである「初心を忘れるな。(党の)使命に忠実であれ」とした。

The notice on shutting down the Huanghouli Catholic Church in Fu’an.【福安市のカトリック教会に対する聖堂閉鎖の通告文書】

 「文化大革命の時のように、政府は今や信仰に関連するすべてを取り壊しています」と現地のシスターは語った。聖堂は閉鎖されたが、一部の高齢の信徒は、聖書を使って祈るために、聖堂の外に集まり続けている。彼らのうちの一人は 「司祭は、私たちの教会がCPCAに参加することを承諾する書類に署名してはいけません。彼がそうするなら、”裏切り者”になります」と述べた。

 昨年の10月下旬、地元当局は「違法な建築物」という理由をつけて、福建省の閩東Mindong教区にある女子修道院の建物を解体した。屋根が取り払われ、窓と床が破壊され、水と電力の供給が断たれた。「当局は狡猾です。国際社会から批判されるのを恐れて、迫害を『違法な建物の破壊』に偽装し、宗教的迫害と誰も思わないようにしようとしたのです」とある真とは訴えた。

 河北省北部の当局関係者によると、当局はCPCAへの登録を拒否する礼拝所の取締りを強化している。これらの教会の司祭は宗教活動を行うことができず、”反抗的”な教会は閉鎖される運命にある。

 昨年6月、河北省の保定市が管理する郡レベルの安国市当局は、強制的に南間カトリック教会を封鎖した。信徒は屋外でのみ集会を持つことを認められた。同じ頃、保定の太和村と正定教区の東趙村にあるCPCAに加盟しないカトリック教会からすべての宗教関係の品が持ち去られた。

Churchgoers continue gathering outside the church.
【聖堂から締め出された信徒たちは、門の外で集まり、祈りを続けている】
Statues, the altar, and other religious objects have been removed from a Catholic church in Dongzhao village.

【東趙村のカトリック教会から彫像、祭壇、その他の宗教的な品々が取り払われた】

 「中国共産党の方針は、中国のカトリック教会を”中国化”することです」と、閩教区のある司祭は「苦い冬」と語った。「教会を封鎖することは、その方法の1つにすぎません。 共産党は、CPCAへの加盟を拒否するすべての司祭を追い出し、加盟した人だけが教会で公のミサを捧げることができるようにするのを目指しています。CPCAに加盟した教会、司祭は、『共産党と政府が善良』であり、誰もが『共産党の指示に従うべきである』という”教え”、つまり」『キリストの追随であるはずの者』が『党の追随者』になる教えを広めるだけです」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日6言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2020年3月2日

・「具体的措置はさらに続く」-バチカンの「未成年者保護」の権威が”サミット”後を語る

【2020.2.20 VaticanNews )

 「未成年者の保護に関する全世界司教協議会会長会議(サミット)」が、教皇フランシスコの招集で開かれて1年。バチカンの「未成年者保護のための委員会」のメンバーで、教皇庁立グレゴリアン大学の児童保護センター長のハンス・ゾルナー師が20日、VaticanNews のインタビューに応じ、過去一年間に未成年虐待防止に関して取られた措置などについて次のように語った。

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問:1年前、未成年者の保護に関するサミットがバチカンで開かれました。会議の前後に、どのような具体的な決定、行動がされ、カトリック教会のこの問題への対応は変わったのか。

ゾルナー:まず第一に、教会の法令に多くの変更がありました。そのほとんどは、「You are the Light of the World(あなた方は世界の光)」というタイトルがついて新しい法規によるものです。昨年6月から、世界のすべての教区は、虐待を報告し、介入と予防を行うための事務局を設けることが義務付けられました。すべての司祭、修道者は、教会当局に虐待の事例を報告する義務があり、聖職者による未成年性的虐待を司教あるいは修道会や他の教会組織の指導者が報告を怠ったり、隠ぺいした場合に説明責任を果たすようにするシステムも、初めて出来ました。

 続いて、昨年に12月に教皇が決められた3つの措置です。それは、①未成年性的虐待の対象年齢の14歳から18歳への引き上げ②未成年性的虐待に関する「教皇機密」の撤廃③司教、修道会管区長による政治的理由による対応回避の禁止ー検察当局との協力を回避するために取られていた関係文書の機密扱いは取り払われました。

 そして三つ目。一般信徒の教会法専門家が教会法的な手続きに、少なくとも一定程度、関係している範囲で変更が加えられました。

 また、この問題への取り組み姿勢に変化が起きています。昨年2月のサミットで、司教や他の教会指導者が子どもの保護について話し、聖職者による性的虐待の被害者も出席して、彼らの身に起きたことを証言してくれました。会議の参加者はその勇気に深い感銘を受け、被害者と顔を合わせて涙を流しました。

 世界中の司教協議会関係者と話しをした私の経験から、会長たちが自分の国の司教協議会に戻って、サミットでのそうした経験を共有してくれているのを知っています。サミットの結果、世界中の沢山の地域で、この問題への取り組み、若者たちや成人の弱者たちが教会でもっと安全でいられるようにするための課題について、従来よりも深く認識し、前向きに取り組もうとする意欲が生まれています。

問:カトリック教会は、このサミットの最中とサミット後に示された参加者たちの勇気と会議の透明性に対して多くの賞賛を受けているが、一方で、「勇気と透明性がもっと必要だった」と批判する声もある。こうした批判にどう応えますか。

ゾルナー:教皇のこの問題に対処しようとされる強い意志を受けて、サミットが昨年2月24日に閉幕した後、6月1日に包括的な法規を施行しました。このような具体的な取り組みの速さは、従来のバチカンの意思決定と実行のテンポに比べると、異例です。教皇ご自身も努力を続けられています。彼が止まることはありません。

 サミットが閉幕した翌月の3月に、まず、バチカン市国に新しい法律が出来、6月に世界の全教会に適用する法規が作られました。そして12月に、先に申し上げた3つの措置が取られました。教皇が絶えず、前に進まれているのを、私は目の当たりにしており、これは止めることのできない取り組みだと思います。さらに、もっと多くの措置をとることになるでしょう。

 でも、それはすべて同時に起こるわけではありません。同時に、教皇と彼の周りの多くの人々、そして世界の各現場レベルで責任を負う教会の多くの人々理解が深まっていることを感じています。これは過ぎ去ってしまうものではなく、メディアによる一つの攻撃対象に過ぎないものではない、ということです。しかし、取り組みを続けること、子供たちと脆弱な人々の安全を確保しなければならないーという私たちの言葉の一貫性を高めていくことが、本当に必要です。

 同時に、新しい法規を実施し、より安全な社会全体に貢献していくためには、よりよい理解が求められます。

問:現在、修道女に対する性的虐待の問題も起きています。この問題については?まず、すべきことは何でしょうか。

ゾルナー:私たちが学ぶ必要がある最も重要なことは-多くの人が学んだことだと思いますが-被害に遭われた方の声に耳を傾けることです。「聴く」ということは、一緒に座って、その人が訴えようとしていることをあらゆる方法で、すべての怒り、苦味、怒り、そして悲しみを共有すること、を意味します。これは、被害者が、自分たちが語っている相手-教会の責任ある立場にある人々、司教、修道会の管区長、そして、話を聴き、共感してもらいたいと彼女たちが思う全ての人-が本当に聴いてくれている、と実感するために重要なことです。

 二つ目に、そのような経験から、私たちが学ぶことです-特定の教区あるいは管区で責任を持つ者は誰であろうと、出来ることを行い、そうして全体の構造、組織的な側面、システムの側面が、人々が安全だと感じるだけでなく、十分に安全が保障され、私たちが人間関係の動きを本当に理解するのを助けることを、です。

 ただし、この場合、修道女と司教、修道会管区長、あるいは司祭-修道会司祭あるいは教区司祭-の間に、依存の関係があり、維持する必要のある境界線があります。認識する必要があるのは、この種の安全性と専門的な基準は-英語圏で呼ばれているように-よりよく教えられ、理解されるだけでなく、確実に実行されねばならない、ということです。また、違反した場合には、他の違反と同様に罰せられることになります。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2020年2月24日