・中国で”地下教会”が破壊に直面、高齢司教は23年も逮捕後、消息不明のまま

Underground China church faces demolition

写真は、当局によって封鎖された江西省・余江教区の受胎告知教会の聖堂玄関(ucanews.com photo)

(2019.5.15 カトリック・あい)

 中国で政府・共産党の統制を拒むカトリックの”地下教会”に対する弾圧が昨年秋のバチカンとの”暫定合意”以降、一段と強まりを見せる中で、政府・党中央の意を戴した地方当局の締め付けが厳しさを増している。

 アジアの有力カトリック系ニュースメディアのucanews.com の13日付け香港発によると、中国南東部・江西省の教区では当局幹部が近日中に”地下教会”を破壊する、と通告を出した。中央政府・共産党が5月1日から宗教活動に対する新たな規制を発動したのを受けたものだ。同省のカトリック余江教区に住む関係者がucanews.comに匿名を条件に語ったところでは、当局幹部はいつ”地下教会”の聖堂を破壊するか具体的な日付は明らかにしなかった。

 破壊に直面している同教区の受胎告知教会は、2012年に開かれた新しい教会で150人の信徒がいる。同教会には昨年8月に公安職員が訪れ、聖堂が破壊されたくないなら、主任司祭に典礼を行う場所を当局に登録し、政府・党に従属する「中国天主愛国協会」に加盟するよう通告していた、という。

 もう一人の教会関係者によると、この教会の入り口は昨年12月のクリスマスの際に当局によって封鎖され、それ以来、ミサができなくなっているが、司祭、信徒たちは、当局の指示に従うよりは聖堂の破壊を選び、神を共産党よりも優先する信仰を貫きたい、と決意し、犯罪的な行為に対して霊的な力をしっかり保てるように、信徒たちは断食を続けている、という。

 また、当局は昨年から、告知教会のそばに埋葬されているコロンバン会の管区長として1930年に入国し、この地で布教したアイルランド人のJere Miah Duttimer神父の墓地を参拝することを禁止している。これは、外国文化・宗教を排除する目的で習近平国家主席が進めようとしている”中国化”の政策を受けたもの、と現地では受け取られているという。

Plea over missing underground Chinese bishop

 

写真は23年も消息不明の河北省・保定教区のSu Zhimin 司教 (ucanews.com photo)

 またucanews.com が8日、香港発で伝えたところによると、中国国内で23年間も行方不明のままになっている河北省・保定教区の Su Zhimin 司教(87)の甥がこのほど、安否も含めて本人の動静を明らかにしてくれるように訴えた。

 彼によると、司教は1996年に、「中国天主愛国協会」への加盟を拒んだため、当局から「反革命分子」の烙印を押されて逮捕され、収監された。司教の家族が2003年に彼が保定市の病院に入院しているのを偶然、目撃したが、それ以来、誰も彼を見た者はいない。

 甥は2015年にバチカンとの交渉に関わっている宗教監督局の幹部と会見した際、「中国とバチカンの関係が改善するまで、司教の釈放を待つように」と言われたが、昨年9月に”暫定合意”がされたにもかかわらず、何も知らされていない。交渉の中でバチカン側は司教の問題を取り上げたことは確認したが、その結果は分からない、という。

 香港のカトリック正義と平和委員会は、中国本土で行方不明になっている聖職者の動静について注視しており、中国政府に対して、Su司教の釈放を繰り返し要求してきた。委員会の Lina Chan 事務局長は「中国とバチカンの交渉担当者は、Su司教や河北省易県の Shi Enxiang司教など消息不明の聖職者を無視できないはずです。この交渉の目的の一つは中国にいる信徒たちが普通の信仰生活を送れるようにすることです。司教たちが消息不明のまま、というのは現状がいかに異常であるか、を示しているのです」。

 Su司教の保定教区では政府・党に忠誠を誓う”地上教会”のトップはAn Shuxin,司教(69)。もともと”地下教会”の補佐司教だったが、2010年に“”地上教会”に鞍替えした。同教区は何年もの間分裂状態となっており、「将来に希望はない。皆が政府の言うことを聞くようになろうとしています。司祭たちもばらばらです。奇跡が起こるのを期待するしかない」とSu司教の甥はucanews.com に語っている。

2019年5月15日

・”地上教会”が新評価制度導入-中国政府・共産党に非協力な司祭を”追い出す”狙い?

(2019.5.1 カトリック・あい)

 昨年9月のバチカンとの司教任命を巡る暫定合意以降、政府・共産党への服従を拒む”地下教会”への圧力が加速する中国で、”地下教会”の司祭追い出しを狙ったと思われる新たな措置が取られることになった。

 アジアの有力カトリック系ニュース・メディアucanews.com が4月30日付け香港発で伝えたところによると、中国で浙江省に次いで多い、30万人のカトリック信徒がいる河南省で、政府・党に従属する中国天主愛国協会(CCPA)とカトリック教会委員会の同省支部が司祭の評価に関する新制度を導入した。

 省内のある司祭がucanews.comに語ったところでは、聖週間に、CCPAから評価を行う旨の通知があり、数日後に WeChat(中国の大手IT企業テンセントが作ったインスタントメッセンジャーアプリ)でこの新制度を知った。評価は、CCPAなど二つの組織から「中国カトリック聖職者証明書」をもつ全司祭を対象に毎年行われ、中国教会への忠誠、愛国、道義、法の順守、教会法の顕示、活動、神学的知識、社会奉仕の各項目についてチェックされる。各項目はそれぞれ項目によって10点から15点を満点とし、合計点が55点以下、あるいは政府・党の宗教活動規制に違反すると、”落第”と判定され、聖職者としての職務の遂行を禁じるなどの措置を受ける、という。

 別のカトリック関係者はucanews.comに、新制度の狙いは政府・党の言うことを聞こうとしない聖職者を追い出すことにあり、「評価の権限は司教に与えられることになるだろう。政府・党による人民の管理手法そっくり。教会の制度ではない」と懸念している。

2019年5月1日

・厳戒体制続き、自爆テロ後最初の日曜日のミサ捧げられずーコロンボ大司教、再建に財政支援要請

(2019.4.29 カトリック・あい)

  復活祭の21日に爆破テロ攻撃を受け多くの死傷者が出た後もテロ再発の危険が続いているスリランカのカトリック教会が復活節第二主日に当たる28日もミサを捧げることができなかった。

 VaticanNewsによると、コロンボ大司教のマルコム・ランジス枢機卿は26日、記者団に対して、教会幹部が「テロ攻撃を仕掛けた者たちがカトリック教会などを主要な攻撃目標としている」とする治安情報を得た、とし、信徒たちに、安全のために自宅に留まるように求めたことを明らかにし、「私たちは悲劇が繰り返されるのを望んでいない」と語った。

 現地の米国大使館は一般人に、週末に祈りの場所に行かないように警告、警備当局はイスラム過激派が現在も国内に幅広く展開している、と見ていることを強調しており、枢機卿の発言をそれに続くもの、という。

 枢機卿はまた、テロ攻撃の被害に遭った人々の生活再建、破壊された教会の再建のために、財政支援を必要としていることを内外に訴えた。テロ攻撃で多くの死傷者を出した二つのカトリック教会の一つ、聖アンソニー教会は26日に記者たちの立ち入りを認めた。

 コロンボ市内では、新たなテロ攻撃の可能性があるとして厳重な警備体制が敷かれている。カトリック教徒だけでなくイスラム教徒にも26日の金曜礼拝は家庭で行うよう、当局が指導したが、大半のモスクは通常通り礼拝をおこなった、という。

 一方、21日のテロ攻撃による死者の数は当初発表359人より縮小され、同国保健省の25日の発表では253人に修正された。数字に大きな差が出た原因について、損傷の激しい遺体があり、死者数の特定が困難を極めている、と説明している。

 

2019年4月29日

・日本カトリック司教協議会の高見会長(長崎大司教)が未成年性的虐待被害者に謝罪、全国調査を約束

(2019.4.25 カトリック・あい)

 クリスチャンプレスhttps://www.christianpress.jp/investigate-sexual-abuse-by-catholic-priests-in-japan/などキリスト教系のニュースサイトがこのほど伝えたところによると、7日に東京・渋谷の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた「施設内虐待を許さない会」主催の「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」と題する集会に、カトリック司教協議会会長の高見三明・長崎大司教が参加。聖職者による性的虐待の被害者に謝罪、国内の実態調査を全国16の司教区で開始することを決めたことを明らかにした。

 司教協議会では、米国などで聖職者による未成年性的虐待問題が噴出し始めた2002年から二度にわたって、被害の実態調査をしているが、被害の報告があったにもかかわらず、教会や修道会での対応などを明らかにしていなかった。

 7日の集会には、「文藝春秋」3月号の広野真嗣氏の調査報道記事「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」で、被害を公にした竹中勝美氏が出席。成人してからも当時の記憶が突然よみがえり、苦しんできた体験を語った。

 高見会長は、竹中氏に「話を聞きたい」と手紙を送り、この集会が開かれることを知って参加。会場で主催者から発言を求められ、「聖職者によって性的虐待を受けた人が勇気を持って語ってくださったことに深い敬意を表したい。私たちが十分なことができず、苦しい思いをさせていることを本当に申し訳ないと思っている」と謝罪。竹中氏が歩み寄って握手をした。

 クリスチャンプレスによると、「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」とする高見会長に対して、竹中氏は「宗教者が弱い者の側に立って率先して虐待に立ち向かってくれるなら、ぜひ協力したい」と答えたという。

2019年4月25日

・日本の司教団も、高見・司教協議会長名でコロンボ大司教にお見舞い状

(2019.4.23 カトリック・あい)

 スリランカの自爆テロの惨事に対して、日本の司教団も高見三明・司教協議会会長の名前で、コロンボ大司教のドン枢機卿に以下の内容のお見舞い状を送った。23日に公表した。

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 スリランカ連続爆発テロに際してのお見舞い状

 コロンボ大司教 アルバート・マルコム・ランジス・パタベンデジ・ドン枢機卿様

親愛なる枢機卿様

 復活の主日の朝起こった、3つのホテルと3つの教会に対する自爆テロ攻撃にあたり、日本のカトリック司教協議会およびカトリック教会を代表して、枢機卿様と貴教区の皆様方に衷心より深くお悔やみを申し上げます。この攻撃によって、聖アントニオ巡礼聖堂、聖セバスチャン教会およびシオン教会が損傷を受け、何よりも数百名の死傷者が出ました。

 わたしは、このような暴力についてテロリストを強く非難します。そして犠牲者が三位一体の愛と平和の交わりの中に迎えられ、傷を負った方々が一刻も早く癒されますよう、復活された主に祈ることをお約束すると同時に、できる限り皆様を援助したいと思っています。

2019年4月22日 日本カトリック司教協議会会長 カトリック長崎大司教 ヨセフ 髙見 三明

2019年4月23日

・復活祭中の爆破テロ-教皇フランシスコ、アジアの司教たちがスリランカに哀悼と連帯表明

(2019.4.22 VaticanNews Robin Gomes)

 復活祭の教会などを襲い大量の死傷者を出したスリランカの自爆テロから一日たった22日、教皇フランシスコは改めてスリランカの人々に寄り添い、連帯していくことを確認した。アジアの教会と他の人々もそろって哀悼と連帯の意を表明している。

 教皇は22日、サンピエトロ広場に集まった大群衆を前にして、被害の中心になったコロンボのマルコム・ランジス枢機卿と教会への強い連帯を表明するとともに、数多くの犠牲者、負傷者のために祈りをささげた。そして、国際社会に対して、スリランカへの救援を強く呼びかけるとともに、この悲劇に関与したテロリストたちとその絶対に正当化することのできない非人間的行為を断罪することをためらうべきではない、と訴えた。

 悲劇が起きた21日は復活祭に当たり、教皇は恒例の全世界への祝福のメッセージを述べた後で、「スリランカのキリスト教共同体、祈りの最中に負傷した人々、そして『このような残酷な暴力』の犠牲となった全ての人々に、心からの慰めと連帯」を表明されていた。

 コロンボ、ネゴンボ、バッティカロアの三市で爆破テロの標的となった教会、ホテルのうち、カトリック教会はコロンボの聖アンソニー教会、ネゴンボの聖セバスチャン教会の二つだった。

 アジア各国のカトリック教会も、スリランカの教会に対して連帯と哀悼を表明する動きが相次いでいる。

 アジア地域の19の司教協議会で構成するアジア司教協議会連盟(FABC)会長のチャールス・ボー枢機卿(ミャンマー)は、コロンボ大司教のマルコム・ランジス枢機卿に書簡を送り、「今回の悲劇に、心底から苦痛の叫びをあげるのをお許しください。私たちが世界中で、死と悪に対する生と善の勝利を祝っている、まさにその日に、罪のない人々の命が奪われたのです」と述べた。300人近い死者と500人の負傷者を出した自爆テロは、スリランカでは2009年の内戦終了後で最大の犠牲者を出した。死傷者の中には外国人も多く含まれている。これまでのところ、犯行声明はどの団体からも出ていない。

 ランジス枢機卿は今回の爆破テロを「野蛮で非人間的」と強く非難するとともに、死傷者の家族たちにも哀悼の意を表明。さらに、医療専門家たちに重傷者の命を取り留め、負傷者の看護に努めるよう求めた。

 ボー枢機卿は「私のささやかな祈りを、非常識極まる暴力の犠牲になった方々のために捧げます。犠牲者の家族や負傷者の介護、心のケアに携わる人々、機関のためにの祈ります」と兄弟愛的な支えの言葉を贈り、「私たちは復活された主イエス、希望と平和の王、の恵みの座を嘆願する必要があります。爆破の惨事で引き起こされた恐怖と猜疑に満ちた動揺を鎮めるのを助けるように、全ての善意の人々を力づけるために」と祈った。そして、アジアの司教たちと信徒たちがスリランカのために祈ることを誓約して書簡を締めくくった。

 スリランカは2000万人の全人口の7割が仏教徒で、ヒンズー教徒が12.6パーセント、イスラム教徒が9.7パーセントを占める。キリスト教徒は150万人で、総人口の6パーセントのカトリックがその大半だ。FABCとは別に、インドのカトリック教会も哀悼の意を表明した。インドカトリック司教協議会会長のオズワルド・グラシアス枢機卿は21日にランジス枢機卿に送った書簡で、インドの教会が「深く悲しみ、強い痛みを感じている」と述べ、「今回の教会爆破による犠牲者の家族と負傷者の方々に祈りを込めた連帯を表明します… 復活の希望の祝祭の日に、スリランカの私たちの兄弟姉妹が、非常識極まる暴力によってひどい打撃を受けられました。復活されたイエスに平和を祈ります」とした。

 同様の哀悼や激励、祈りの表明は、世界中の個人、教会、団体から出されている。その中には、米国、ハンガリー、ドイツの司教協議会、聖地エルサレムのカトリック協議会、カトリック信徒の団体、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領、国際慈善団体の “Aid to the Church in Need”、そしてキリスト教各派の連合体である世界教会協議会、が含まれている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2019年4月22日

・スリランカで復活祭ミサの教会やホテル自爆テロ、日本人含む359人死亡-教皇が哀悼の意

(2019.4.25 カトリック・あい 更新)

 21日午後、スリランカ最大の都市、コロンボなど3都市で、2つのカトリック教会と1つの福音派教会、3つの高級ホテルなど8か所が襲われた自爆テロの犠牲者は、復活祭のミサにあずかっていたカトリック信徒など、スリランカのウィジェワルダナ国防担当相が24日明らかにしたところによると、359人に達した。

 自爆犯は男8人と女1人で、イスラム過激派組織「イスラム国」から資金援助を受けていた可能性があり、「イスラム国」の関与を捜査していく考えという。

 河野外相は22日朝、死者に日本人1人が含まれていることを明らかにした。500人(うち日本人4人)が負傷している。

 シリセナ大統領は、国民に平静を保つよう呼びかけるとともに、国内全域に戒厳令を敷き、治安部隊を展開して、これ以上の被害が出ないように警戒を強めている。

 犯行声明はまだどこからも出ていないが、捜査当局は国内のイスラム系過激派組織「ナショナル・タウフィート・ジャマアット(NTJ)」が関与した自爆テロ、との見方を示しており、犯行に関わったとされる40人以上を拘束して調べている。

(2019.4.21 VaticanNews Devin Watkins)

 教皇フランシスコは21日正午の復活祭メッセージと祝福の中で、スリランカでカトリック教会などが爆破され、市民や外国人に多くの死傷者が出ていることを取り上げられ、深い哀悼の意を表明された。

 教皇は「復活祭の祈り集っていた(スリランカの)教会共同体の皆さんに、そして、このような「残酷な暴力」の犠牲になった全ての方々に、心から寄り添い、深い哀悼の意を表明します」と語られ、教会とホテルを狙った複数の攻撃は「深い嘆きと悲しみをもたらしました」と強く批判。

 そして、「このような悲劇の犠牲になられたすべての方々を主にお委ねします」「けがをされた方々、そしてこの悲劇的な出来事にようって苦しまれている方々全てのためにお祈りいたします」と述べられた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年4月21日

・”地下教会”の司祭、聖週間の始まり「主の受難の日」に逮捕

(2019.4.16 カトリック・あい)

Underground priest in China arrested as Holy Week begins

 

A file image of Father Peter Zhang Guangjun of Xuanhua Diocese. Father Zhang was pulled out from his car by government officials after Palm Sunday Mass and is now being held by the state. (ucanews.com photo)

 昨年9月のバチカンとの司教承認に関する暫定合意後、中国当局は、政府・共産党の統制に従わない”地下教会”に対する締め付けを強めているが、今度は、カトリック教会最大の年間行事、聖週間の始まりの日、「主の受難の日」に、ミサを終えたばかりの司祭が当局によって強制的に連れ去られた。

 有力カトリック・ニュースサイトのucanews.comが16日付け香港発で伝えたもので、逮捕されたのは中国北部、河北省の宣化教区のペトロ張廣鈞神父。14日のミサの直後に外出のため自家用車に乗ったところを、当局によって強制的に引きずり出され、連行されたという。

 現地の関係者が ucanews.comに語ったところによると、逮捕されている最中に彼から電話があり、「複数の私服の男が車に近づき、張神父に車の窓を開けるよう求めた。悪い予感がしたので、私に電話で知らせてきたのです」という。また逮捕の瞬間を目の当たりにした別の関係者は、張神父は車から蹴り出された、としている。

 同教区では最近一か月の間に”地下教会”のカトリック司祭が2人逮捕されており、張神父で逮捕者は3人。16日現在も監禁されているが、逮捕理由は明らかにされていない、という。 現地のカトリック信徒たちは張神父が逮捕された翌日15日、宣化市役所の庁舎前に集まって、張神父の無事と早期解放を求める祈りをささげた。

 また、当局に解放のための話し合いに応じるよう求めた。それより前に、張神父の妹を含めた5人が監禁中の彼との面会を許されたが、別の関係者が ucanews.comに語ったところによれば、神父は「これはキリストを証しするために起きたことです」と語り、彼らを慰めた、という。先に逮捕された2人の司祭はまだ監禁されたまま。また、先に、教区長、教区長総代理としての権限を当局からはく奪された高位聖職者二人は小教区での司祭としての活動に限って認められている、という。

 

2019年4月17日

・中国で「暫定合意」後初の司教選出ー合意前に教皇が認めた人事の追認?(ucanews)

China holds first bishop elections since Vatican deal

Father Stephen Xu Hongwei, 44, was elected as coadjutor bishop of Hanzhong on April 11. (ucanews.com photo)

(2019.4.12 カトリック・あい)

 中国で昨年9月のバチカンとの司教任命に関する暫定合意以来、初めてのカトリック司教選挙が行われた。アジア地域のカトリック系有力ニュース・メディアucanews.com が12日付け香港発で伝えたもので、それによると、陝西省の漢中教区で補佐司教、内モンゴル自治区の済寧教区で司教がそれぞれ選出された。

 ただし、今回の場合は、今回選出された2人が司教になることを、暫定合意以前に、教皇が認めており、候補者が1人だけだったこともあって、関係者の間には「単なる形だけのもの」との見方がある。

 漢中教区では11日にステファン・徐宏偉神父(44)が補佐司教に選出された。投票には教区長の司教を含む教区の司祭の大半が参加したが、1人の司祭は教区外にいて投票に参加せず、2人は政府当局に投票を止められた、という。

 現地の信徒の1人はucanews.comの取材に応じ、「当局は事前に投票者に対して『候補者は独りだけだ。徐神父に投票せねばならない。さもなければ、教区での宣教活動は禁止される』と関係者に通告してきた」と語り、投票所には100人の警官と政府職員がいた、といい、「この選挙には圧力がかけられていました。当局がおぜん立てをし、聖職者たちを投票所のあるホテルまで付き添い、投票が終わるまで厳重に監視」していた。

 この選挙の実施に当たっては、西安教区長のAnthony Dang Mingyan 司教が実行委員長を務め、政府公認の中国天主愛国協会(CCPA)と中国カトリック司教協議会の報道官である Yang Yuも参加した。別の現地の信徒はucanews.comに、徐神父は昨年9月の暫定合意前に教皇から補佐司教に任命されており、今回の選挙は形式的なものだった、と説明した。

 徐・補佐司教はローマで神学の修士号を取得、カナダで司祭として活動した経歴を持つ。漢中教区には9000人のカトリック信徒がおり、聖職者は司教1人、司祭24人、修道女が8人いる。

 また、済寧教区で9日に 司教に選ばれたのは 、司教総代理のAnthony Yao Shun神父。現地教会関係者によると、選挙に当たっての候補者はこちらも1人で、実行委員長は内モンゴル自治区のフフホト教区長でCCPA副会長の Paul Meng Qinglu司教が務めた。関係者がucanews.comに語ったところによると、投票はホテルの会議場で教会関係者のみによって行われ、宗教活動の監視・監督にあたる中国共産党統一戦線工作部の部員は結果が出るまで外に待機していた、という。

 同教区の教区長の ポストは、Liu Shigong司教が2017年に90歳で亡くなった後、空席となっており、7万人の信徒、31人の司祭、12人の修道女を擁する教区には早期の教区長千人が求められていた。 Yao 神父は50歳台、米国で典礼学で修士号を取得、関係者によると、やはり暫定合意よりも何年か前に教皇から任命を受けていた、という。

 CCPA副会長のMeng司教は、先の暫定合意で、司教の選任に当たっては、中国の教会が候補者をバチカンに提案し、バチカンはこれを受けて一か月の検討をしたうえで、承認する、という形をとることになった、と報道陣に説明したが、現地教会関係者はucanews.comに、多くの司教候補はすでにバチカンの承認を得ており、選挙は無意味だ、このような手続きは暫定合意以前から存在している、と反論している。

2019年4月15日

・東京カトリック神学院の再出発ー4月から東京と福岡に神学院

(2019年4月10日 (水) 菊地東京大司教の日記より)

Newtyosem1903

 4月3日は11時から、東京カトリック神学院の開校ミサでした。「開校」と言っても、神学院は以前からそこにありましたし、建物もそのままです。

 もともと1929年に「東京公教大神学校」この地に創立されており、それが1947年に「東京カトリック神学院」となって、この上石神井の地にありました。九州の福岡には、1948年に創立された「福岡サン・スルピス大神学院」がありました。長年にわたり二つの神学校を持つことへの負担について、また日本全体の福音宣教と司牧というビジョンに基づいて話し合いを進めた司教団は、教皇庁福音宣教省の認可(2008年11月18日付)を得てこの二つを合同し、それぞれを「二つのキャンパスとする一つの神学院」として、2009年4月1日に「日本カトリック神学院」が開校しました。

 合同したことは良かったのですが、同時に問題も見えてきました。これについて、詳しい解説が中央協のホームページにありますが(こちらのリンク)、問題となった部分を引用します。

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『一つの神学院に二つのキャンパスという体制は、東西間に見えない壁があった日本の教会の交わりのために、また、交流が少なかった二つの神学院の伝統や教育法の融合のために有意義でしたが、一つの神学校とは言え、遠距離間に二つのキャンパスがあることで、予想以上に問題が生じました。

 たとえば、

 ・神学生が6年のうち2回キャンパスを移動するので、養成者と神学生との関わりが希薄化し、また、霊的同伴が一貫してできない。また、すべての学年で3学年離れている神学生同士が、6年間を通じて一度も生活を共にすることのない状況になってしまった。

 ・各キャンパスが平均20人以下の人数の場合、各キャンパスでの共同体を構築する能力が低下している。

 ・教員(講師)が遠方から来るため、集中講義が多くなり、教員と学生の負担が大きい。

 ・二つのキャンパスの運営のため経費がかさむ。また、神学生と教師の移動にかかる時間と費用が大きい。

 ・各キャンパスに最低5人の養成者が必要で、全体で10人の養成者の確保が容易ではない。

 そのため、6年経過した2014年4月から、二つのキャンパス制の養成上の弱点を改善するため、二つのキャンパス制を見直し、キャンパスの統合を検討することになりました。そして、ほぼ4年をかけて縷々検討し審議を重ねました。』

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 そういうわけで、このたびあらためて東京と福岡に神学院を持つことになり、東京は、東京教会管区(札幌、仙台、さいたま、新潟、横浜、東京)と大阪教会管区(名古屋、京都、大阪、高松、広島)、福岡は長崎教会管区(福岡、長崎、大分、鹿児島、那覇)の諸教区による、「諸教区共立神学校」として福音宣教省の認可をいただきました。

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 ちょうどバチカンの教皇庁聖職者省が、2016年12月8日に『司祭召命の賜物~司祭養成の為の基本綱要~』と言う指針を新たに示したこともあり、それに沿って日本の司祭養成の綱要も作成されました。今年はまた、司祭養成がこれまでの哲学2年、神学4年の都合6年からから、予科1年が最初に加わり7年と変更になる節目の年でもあります。その意味で、新たな一歩として、神学院は踏み出しました。なお東京教区からは、新たに松戸教会所属の田町さんが予科生として入学しました。

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 開校ミサは、前田枢機卿が司式し、私が、風邪でほとんどかすれた声でしたが、ささやくように、説教をさせていただきました。以下、当日の説教原稿です。

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 「教会は、いままさに危機的な状況に直面しています。残念ながら、教会が聖なる道から離れ、善なる存在とは全く異なる過ちを犯した性虐待の問題が次々と明らかになり、日本でも同様の事例があることも、明らかになっています。

 教会において聖性の模範であるはずの聖職者が、全く反対の行動をとって多くの人の心と体を傷つけ恐怖を与えてきたことを真摯に反省し、私たちは被害を受けられた方々に、また信頼していた存在に裏切られたと感じておられる方々に、心からゆるしを請い、願わなくてはなりません。

 教会が今直面する危機的状況は、偶発的に発生している問題ではなく、長年にわたり悪のささやきに身を任せて積み重なってきた諸々のつまずきが、いまあらわになっているのです。虐待の被害に遭われた多くの方が心に抱いている傷の深さに思いを馳せ、ゆるしを願いながら、その心の傷にいやしがもたらされるように、教会はできる限りの努力を積み重ねる決意を新たにしたいと思います。

 そのような危機的な状況の中で、カトリック教会の司祭養成課程は、ある意味で注目を集めています。教会の内外から、司祭の養成には神学や聖書学の勉強だけではなく、カウンセリングの技能習得が不可欠だとか、性に関する知識を深めるべきだとか、聞こえてくる声には様々なものがあります。それはそうなのかも知れません。

 先ほど朗読された福音には、湖で網を打っていたシモンとシモンの兄弟アンデレに対してイエスが、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われたことが記されていました。

 福音を告げしらせる者になるようにとの呼びかけに応えた二人にとって、それからの3年間ほどに及ぶイエスとの生活は、まさしく神学校での養成の期間だったのかも知れません。イエスと歩みをともにした弟子たちが、イエスの受難と死の時点で完成した福音宣教者となっていたのかと言えば、そうではなかったことを私たちは知っています。弟子たちは復活の出来事を体験し、聖霊を受けて強められ、福音宣教者としての完成を目指して生涯にわたる旅を続けました。

 すなわち養成期間の終了は、その完成を意味していません。神学院の養成課程をすべて無事に終了したからと言って、その時点で私たちは完成した司祭となっているわけではありません。

 司祭の養成は、神学院と名付けられた専門の学校で、ある一定量の知識や技能を身につけることによって完成するものではなく、生涯をかけて完成を目指して歩みを進める旅路であります。確かに、神学院修了時に完成した司祭が輩出されるべきなのだとするならば、あれもこれも神学院の課程に詰め込むべきだという考えは理解できます。でも司祭養成は、生涯をかけての旅路であり、神学院はどちらかと言えばその旅路を歩む術を身につける場であります。どうしたら、道を外れることなく、主にしたがって生きていくことができるのか、その道を見いだす術を身につける場であります。「私に従いなさい」と常に声をかけてくださる主の呼びかけに、耳を傾ける術を身につける場であります。私たちは、常に未熟な存在であることを心にとめて、謙遜のうちに歩みを進める術を身につけておかなくてはなりません。

 昨年の世界召命祈願の日にメッセージの中で、教皇フランシスコは、「わたしたちは天から呼びかけている(神の)そのことばを聞き、識別し、生きなければなりません。そのことばは、わたしたちの能力を活かし、わたしたちをこの世における救いの道具にし、幸福の充満へと導いているのです」と述べられています。すなわち「聞き、識別し、生きる」ことが、召命を全うするために不可欠だと指摘されます。

 その上で、まず聞くことについては、「主のことばと生き方に心の底から耳を傾ける心備えをし、自分の日常生活の隅々にまで注意を払い、さまざまな出来事を信仰のまなざしで読み解くことを学び、聖霊からもたらされる驚きに心を開く必要があります」と言われます。

 また識別については、「わたしたち一人ひとりも霊的な識別、すなわち『人が、神との対話において、聖霊の声に耳を傾けながら、生き方の選択をはじめとする根本的選択を行う過程』を経て初めて、自らの召命を見いだすことができます」と言われます。

 さらに生きることについては、「福音の喜びは、神との出会いと兄弟姉妹との出会いに向けてわたしたちの心を開きます。しかしその喜びは、ぐずぐずと怠けているわたしたちを待ってはくれません。もっとふさわしいときを待っているのだと言い訳をしながら、窓から見ているだけでは、福音の喜びは訪れません。危険をいとわずに今日、選択しなければ、福音の喜びはわたしたちのもとで実現しません。今日こそ召命のときです」と指摘されています。

 私たちは、司祭職の中で使徒であり福音宣教者としての立場を忘れないために、旅路を歩み続けなければ成りませんが、そのときに常に人々の声に耳を傾ける人間であることが必要です。それは、私たちは一人ではなく、いつも人々から支えられているという謙虚さを身につけるためです。神学院の生活が、他者の声に、とりわけ弱い立場にある人の声に耳を傾ける術を身につけるものとなりますように。

 また神学院の生活が、良い指導者に恵まれて、神の御旨を識別する術を身につけるものとなりますように。そして神学院の生活が、自らの弱さを自覚させ、より一層神の助けと聖霊の導きに身をゆだねる謙遜さにおける勇気を身につける場となりますように。

 東京カトリック神学院の新たな出発の上に、聖霊の導きと助けをともに願いましょう」

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(2019.4.12 カトリック・あい)

 今年2月にカトリック中央協議会のホームページに掲載された司教団のこの問題についての説明の中で、菊地大司教の日記に掲載されなかった個所は以下の通りだ。どうして、2神学校体制の問題点を踏まえて「キャンパスの統合」が4年以上の検討されたのに、「統合」とは反対の、このような結果になったのが、上記の引用では、残念ながら全く理解しがたい。理解のため以下に、大司教の日記にある司教団の説明の、上記の引用に続く、後半部分を掲載する。きわめて情けない話だと思うし、ここに日本の司教団が抱える”連帯と協力””sinodality”の問題の本質が隠れているように思われるが、どうだろうか。判断は読者諸兄にお任せしたい。

 「‥‥そのため、6年経過した2014年4月から、二つのキャンパス制の養成上の弱点を改善するため、二つのキャンパス制を見直し、キャンパスの統合を検討することになりました。そして、ほぼ4年をかけて縷々検討し審議を重ねました。検討を進める中で、神学校は1箇所に設置すべきであるとの意見が次第に強くなり、具体的に東京にするか福岡にするか、という議論になりました。しかし、種々の理由により合意に達することができませんでした。

 その主な理由は次の通りです。

  1. 東京教会管区と大阪教会管区の司教団は知的養成を上智大学との提携で行いたい考えであるが、長崎教会管区の司教団は神学院の中で統合的な養成をスルピス会の養成方法に則って行うことを望んでいる。

  2. それぞれの地域に神学校が必要であること。神学校はそれぞれの地域の教会にとっていわば魂の役割をし、召命促進や教会生活の支えになり、無くなれば教会全体にとって大きな損失になる。

4.二つの諸教区共立神学校への移行

 上記3.に挙げた理由により、2017年度第1回臨時司教総会中の「司教のみの会議」(2017年9月28日)で、長崎・福岡・鹿児島・大分教区の司教から、教会法第237条に基づいて、4教区による諸教区共立神学校(Inter-diocesan Seminary)設立の意思が表明されました。この4教区(この時点で那覇教区は態度保留)の申し出をうけて、司教協議会が管轄する全地域のために2009年に設立された「日本カトリック神学院」は、新たに二つの諸教区共立神学校による体制へ移行することとなりました。

 あらためて日本16教区の司教の意向を確認した結果、東京キャンパスに設置される諸教区共立神学校は、東京教会管区の6教区(札幌、仙台、新潟、さいたま、東京、横浜)と、大阪教会管区5教区(名古屋、京都、大阪、広島、高松)によって設立し、福岡キャンパスに設置される諸教区共立神学校は、長崎教会管区5教区(長崎、福岡、大分、鹿児島、那覇)によって設立されることになりました。

5.二つの諸教区共立神学校設立の認可

 2009年の2キャンパス制の日本カトリック神学院の設立は日本カトリック司教協議会によって総会の中で承認されましたので、同じようにあらたに二つの諸教区共立神学校制へ移行することが、2018年度定例司教総会において(2018年2月20日)承認されました。この決定を受けて、教皇庁福音宣教省長官に最終的な認可を申請することになります。

6.共通の養成綱要

 おりしも教皇庁聖職者省が2016年12月8日に出した『司祭召命の賜物~司祭養成の為の基本綱要~』の規定によると、各司教協議会の管轄する地域にある神学校は、この司祭養成のための基本綱要(Ratio Fundamentalis Institutionis Sacerdotalis)を基準にして作成された国ごとの綱要(Ratio Nationalis)によって運営されることを求めています。よって日本の司教団も、日本の教会に見合った司祭養成の綱要を作成し、二つの神学校はその綱要に基づいて、それぞれの地域の状況を考慮に入れながら、具体的に適応していくことになります」。

 

2019年4月12日