・「米朝合意はとん挫する」が7割超-米朝首脳会談・有識者アンケート(言論NPO)

6月12日、シンガポールで歴史的な米朝会談が行われ、米朝両国は朝鮮半島での永続的かつ安定した平和体制の構築に向けて共同で取り組むこと、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化向けて努力することにコミットするなど、4項目について合意しました。そこで、言論NPOは13日から14日かけて、米朝会談に関する有識者アンケートを実施しました。

調査の概要

これまで言論NPOの活動や議論形成に参加した経験のある有識者3000人を対象に、2018年6月13日から14日かけてアンケートの回答を依頼し、回答のあった285人の回答内容を分析しました。

回答者の属性

米朝会談に関する有識者アン.gif

※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。

今回の米朝会談の成否について、過半数が「どちらともいえない」と回答

まず、今回の米朝会談が、北朝鮮の完全な非核化に向けて成功したかを尋ねたところ、「どちらともいえない」との回答が51.9%と半数を越え、多くの有識者は今回の会談の成否を保留しました。
一方で、「成功した」との回答も29.8%と一定程度存在しています。

【今回の米朝会談の成否】
問1.米朝会談を前にトランプ米大統領は、北朝鮮の完全な非核化に向け「チャンスは1回限りだ」と発言していました。あなたは、朝鮮半島の完全な非核化に向け、今回の米朝会談は成功したと思いますか。【単数回答】

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多くの有識者は何らかの進展を感じつつも、「完全な非核化」に対しては懐疑的

次に、今回の米朝間で署名された合意文書によって、朝鮮半島の完全な非核化の道筋を描けたかとの問いに対しては、「解決の一歩とはなったが、最終的な解決は今後の協議次第で先行きが見えない」(48.4%)との回答が最多となり、「前身はあったが、完全な非核化は未解決のまま」(27.0%)が続き、多くの有識者は何らかの進展を感じつつ、完全な非核化に懐疑的です。
一方で、「完全なる非核化に向けて大きく前進した」との回答は6.3%にとどまりました。

【米朝会談での合意は朝鮮半島の完全な非核化の道筋を描けたか】
問2.今回の合意文書で、米朝両国は朝鮮半島での永続的かつ安定した平和体制の構築に向けて共同で取り組むこと、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化向けて努力することにコミットするなど、4項目について合意しました。あなたは、この合意によって朝鮮半島の完全な非核化の道筋を描けたと思いますか。【単数回答】

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「何らかの理由で今回の合意はとん挫する」との回答が7割を超える

続いて、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長(以下、「委員長」)が、今回の合意を責任を持って実現させることができるかとの問いには、「途中までは動くものの、トランプ米大統領の任期中に解決の目途はつかないと思う」(44.6%)との回答が最多で、「非核化に向けた作業は進むが、途中でうまく行かなくなると思う」(26.7%)と回答が続き、7割を超える人が、今回の合意は何らかの理由でとん挫すると考えている人が圧倒的でした。
「最後まで責任を持って解決のめどをつけると思う」との回答は14.0%にすぎません。

【米朝両首脳は今回の合意を実現させることができるか】
問3.あなたは、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は今回の合意を責任をもって実現させると思いますか。次の中から【1つだけ】選んでください。【単数回答】

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「金正恩委員長がトランプ米大統領よりも有利に交渉を進めた」と考える人が半数

今回の合意交渉では、金正恩委員長の方がトランプ米大統領よりも有利に交渉を進めたと考えている人が50.5%と5割を超え、トランプ米大統領の9.1%を大きく上回りました。
一方で、「どちらも歩み寄り玉虫色の合意」(33.3%)と考える人も3割を超えました。

【米朝両首脳のどちらが交渉を有利に進めたか】
問4.今回の合意交渉で、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長のどちらが交渉を有利に進めたと思いますか。【単数回答】

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北朝鮮の核兵器開発問題について、「解決は困難」が4割、「10年以内に解決するだろう」との楽観的な意見も4割弱

北朝鮮の核兵器開発問題は、最終的に解決するのかと尋ねたところ、4割を超える人が「解決は難しいと思う」(42.8%)と答えました。
一方、「今年中の解決に向けて目途が見える局面になると思う」との回答は6.3%にとどまったものの、2年度、5年後、10年後と10年以内には目途がつくだろうと考えている人は合計で38.6%と4割弱おり、いずれは解決するだろうと考える人も同程度存在しています。

【北朝鮮の核兵器開発問題の解決】
問5.あなたは、北朝鮮の核兵器開発問題は、最終的に解決すると思いますか。【単数回答】

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米朝会談について、「両首脳の評価が上がった」と回答する人が4割に迫る

今回の米朝会談を受けて、トランプ大統領、金正恩委員長の「両者の評価が上がった」と回答した人は39.3%と4割に迫りました。
一方で、「金正恩委員長の評価が上がった」(24.2%)との回答は、「トランプ米大統領の評価は上がった」(3.5%)を大きく上回っており、今回の米朝会談については、全体的に金正恩委員長の評価が上がったとの声が多数となりました。
但し、「はじめから評価していない」(27.7%)も一定数存在し、「両者の評価はむしろ下がった」との回答は3.5%にとどまりました。

【米朝会談後の米朝両首脳の評価】
問6.今回の合意交渉で、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の評価は上がりましたか。【単数回答】

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日本としては「拉致の解決を前提としつつ、日朝国交正常化に向けて動く」との回答が最多

今回の合意文書の実現に向けた日本の取るべき対応としては、「拉致の解決を前提としつつ、日朝国交正常化に向けて動く」(26.7%)が最多となり、「目的実現のために、多国間協議の提案をする」(21.8%)、「完全なる非核化に向けて、米国の強い姿勢をサポートする」(17.2%)が続きました。
一方で、「非核化に向けた費用の負担などの経済面でのバックアップ」については5.3%にとどまりました。

【合意文書の実現に向けた日本の対応】
問7.あなたは、今回の合意文書の実現に向けて、日本はどのような対応を取るべきだと思いますか。【単数回答】

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2018年6月14日

・「世界は”狂った”キリスト教徒を必要としている」とミャンマーのボー枢機卿が訴え(CRUX)

Cardinal Bo: World needs more ‘crazy Christians’

In this file photo, Cardinal Charles Bo of Yangon, Myanmar, attends an Oct. 10, 2017, candlelight interfaith prayer service in Yangon. (Credit: Soe Zeya Tun/Reuters via CNS.)  innovative

  「私たちの世界は『”狂った”キリスト教徒たち』を必要としています」―ミャンマーのヤンゴン大司教、チャールス・ボー枢機卿が10日、シドニーで、教皇認可の慈善団体CatholicMisson主催の「革新的教育のための資金集めの会合」に出席して訴えた。

 そして、集まったオーストラリアの関係者たちに対して、「皆さんは、私たちの貧しい若者たちに尊厳をもたらす困難な運動に協力してくださいました。私たちは遠隔地に学校を開きました。これまで教会が無かったところに教会を建てました。貧しい神学生を教育し、遠隔地に戻しました。あなた方は、”思いやりのパン”を分けてくださったのです」と感謝を述べた。

 枢機卿は十年前、ミャンマーに教員養成センターを開校し、同国の教育を支援してきた。枢機卿をリーダーとするミャンマーの教会は、教育支援を最優先事項とし、良く訓練された教員のいる学校を多数開校させ、既存校の修復なども合わせて進めてきた。「オーストラリアの教会は、質の高い教員の育成を支援し、校舎を建設するのを助けてくださいました。こうして出来た学校群は新たな希望の寺院です」と支援の意義を強調。さらに「ミャンマーの問題の原因は、若者たちに対する機会の欠如に遡ることができます。教会は、教育を通して若者たちの将来が開かれるのを希望しています」と説明した。

ミャンマーでは、アウンサン・スーチー女史が率いる国民民主連盟が地滑り的勝利をおさめた2015年の民主選挙の後、政治・社会危機がますます深刻になっている。国内の少数民族ロヒンギアの人々に対する国軍の掃討作戦によって、これまでに70万人を超える人々が故郷を追われ、隣国バングラデシュに逃げ込んでいる。

「悪魔のようになった人々、型にはまった人々-イエスはその犠牲です。今日、世界中の多くの場所で、特定の文化、地域に属する人々が悪魔のようにされ、暴力的な扱いを受けています⁻これが、今日のカトリック教会共同体に対する挑戦です」と枢機卿は語り、「キリストは、ご自身の家族からさえも、”気が狂っている”と見なされました。世界は”気が狂った”キリスト教徒たちを必要としています。”狂ったキリスト教徒”です」と強調した。さらに、「狂ったキリスト教徒たちはマザー・テレサが好きです―彼女は街に出て、瀕死の人、衰弱している人を集め、ご自分のところで、命を取り戻すように看護しました。しかし、悲しいことに、教皇フランシスコが指摘なさったように、多くの伝統的なキリスト教国は、他の社会を非難し、悪魔化し、非人間的な扱いをしています―そのような現実に、ミャンマーは直面しているのです」と訴えた。

枢機卿はまた、「終結することのない紛争は何百万の人々が国外に出るのを余儀なくし、安全が保障されない移民、難民、そして国内で移住を強制される人々を生んでいる」、そして「私たちの国は” Exodus(出エジプト)”の状態にあります。地上にも地下にも宝の埋まった”約束の地”だった。他者に対する嫌悪と恐怖が、私たちの人々の人生を、終わることのない” Exodus”にしています」と語った。そして、同国に平和がもたらされるのは「心が平和で、批判的な見方をもった認識を受け入れる時のみ」だ、と言い切った。

ボー枢機卿は、この会合で、Catholic Mission とカリタス・オーストラリアの教育支援に感謝を表明し、「教育は、憎しみの闇を払い、私たちの人々に調和と平和をもたらす『丘の上の光』になるでしょう」と期待を示した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2018年6月14日

・フィリピンでまた司祭が殺害される―半年で3人の犠牲者

(2018.6.11 Vatican News  Robin Gomes)

  司祭の殺害が続いているフィリピンのルソン島中部、カバナトゥアンの教会で10日夕、日曜のミサを捧げようとしていたリッチモンド・ニロ神父が射殺された。このわずか数日前にもやはりルソン島のラグナ州で司祭が負傷する事件が起きたばかり。同国のカトリック司教協議会会長、ロムロ・バレス大司教は11日、声明を発表し、「司祭がまた一人、残酷な殺され方をしたことを深く悲しみ、強い衝撃を受けている」としたうえで、「私たちは、今回のきわめて邪悪な行為を強く断罪する」と非難した。

 ニロ神父は司祭叙階17年の教会の中堅で、カバナトゥアン教区のバランガイ・マヤモット教会で夕方のミサを捧げようとした際に、複数の犯人に襲われた。犯人たちは殺害の後、車で逃走した、という。司祭の犠牲者は、昨年12月4日にルソン島中部のヌエバ・エシハ州で射殺されたマルチェリト・パエズ神父、4月29日に同島のカガヤン州で射殺されたマーク・ベンツラ神父に次いで、この半年で3人目。バレス大司教は、警察当局に対して「速やかに捜査を進め、この憎むべき罪を犯した悪人を追い、裁判にかける」ように強く求めた。

 今月に入って、6日には、ラグナ州の観光地、カランバ市の聖ミカエル教会で、レイ・ウルメネタ神父が何者かに狙撃された。元警察付き司祭だった神父は、左背中と左手を撃たれ、近くの病院に搬送されて一命をとりとめた。

 司祭の犠牲者が相次いでいることについて、カバナトゥアン教区のソフロニオ・バンクド司教も、同僚のニロ神父の殺害を強く非難し、「この国における『暴力のエスカレート』と『刑罰逃れの文化』は、身を守るすべのない聖職者にも向けられている」と訴えた。そして、教区の信徒たちに、愛するニロ神父の霊と教会共同体の癒しと安全、そして、聖職者たちのために祈るように求めた。さらに、「司祭も人も、誰一人として、残虐で、無礼な、犯罪逃れの行為で殺されることがあってはならない」「どの司祭も、不完全な存在であっても、教会に与えられた神の賜物であり、『キリストから遣わされた者』として敬意をはらわねばならない」「司祭を殺害することは、どのような動機や理由であろうとも、非キリスト教徒、非人間であるだけでなく、『非フィリピン人』だ」と批判した。

 また、フィリピンの人権団体Karapatanも11日に声明を発表し、カトリック司祭、ジャーナリスト、そして検事に対する襲撃を「フィリピン国民の間に、犯罪逃れの気風が強まっていることの明確なしるし」と強く批判している。今月4日、マドンナ・ジョイ・タンヤグ検事が首都マニラ近郊のケソン市で、刃物で刺し殺された。妊娠中だった。7日にはダバオ・デル・ノルテのパナボ市で、コミュニティ新聞の発行者、デニス・デノラ氏が射殺されている。Karapatanのスポークスウーマン、クリスティーナ・パラバイ女史は「当局が(麻薬犯罪に関係する人間の殺害を進めている最中に)これらの一連の殺人・凶悪犯罪の真相を究明するか、極めて疑わしい」「政府は自分の過失のとがめを受けることを拒んでおり、政府の汚職、残虐、傭兵によって、さらに事態を悪化させている」と政府、捜査当局の対応を非難した。

 こうした批判に応えて、フィリピン国家警察はニロ神父殺害事件捜査のための特別チームを編成。オスカル・アルバヤルデ長官は11日の記者会見で、「全国の地方警察の責任者に、すべての司祭と『協力』するように命じた」とし、各地の教会の司祭たちを訪ね、命の危険に去られているかどうかを聞いて回れ、と指示した、と説明した。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

2018年6月13日

・「真に歴史的、だが、長い道のりの始まり」と米朝首脳会談結果に駐韓バチカン大使コメント

(2018.6.12 Vatican News)

  12日の米朝首脳会談を受けて、バチカン駐韓国大使のアルフレッド・ケレブ大司教がコメントし、会談は「まさに歴史的」だったと歓迎し、今後の朝鮮半島の和平の展望とそれが世界平和に及ぼす影響について、カトリック教会は「希望と確信に満ちている」とするとともに、まだ(具体的な成果を生むための)長い道のりの始まりである、と前途を楽観視する見方に注意を与えた。

  大使は、バチカン・ニュースの取材に対して、赴任先のソウルから語ったもので、韓国の人々と教会は「このまさに歴史的な出来事」を強く待望していた、と語り、米朝の両首脳による会談を「(和平実現に向けた)長く、困難な道の始まりにおいて、重要な1ページを印した」と評価した。

 同時に、大使は「私たちは希望に満ちている。それは、この道の始まりは、とても、前向きで、素晴らしいものだったからだ」とし、(米朝双方が、これまでの)「炎と怒り」に燃え、(北朝鮮による相手を)完全に打ち壊す」ような大げさな物言いから、(この会談で)平和について語る相手をなだめるような姿勢に変わったことに、心を動かされた、と述べた。

 そして、韓国のカトリック教会は、今回の米朝首脳会談など一連の出来事の間、「大きな信頼」をもって過ごし、ソウルのカテドラルでは、これまで毎火曜日に(朝鮮半島の)平和と和解のための特別な祈りを続けてきた、と強調した。そして、韓国の司教団は、17日から25日に「朝鮮半島の平和、和解、一致」のため novena (連続9日間の祈り)とすることを提唱している、と語った。

 また、大使は、この歴史的首脳会談とその結果生まれた和解の雰囲気の中で、カトリック教会は北朝鮮の福音化について祈っている、とし、「教皇は、対話と和解のためのいかなる動きも支持され、この機会を生かして、北朝鮮にイエス・キリストのよき知らせをもたらすことを希望されている」と述べた。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2018年6月13日

・米朝首脳会談を前に緊急日米共同世論調査結果(言論NPO)

非営利シンクタンク言論NPOが第2回日米共同世論調査結果を公表

(2018.6.8 言論NPO ニュース・報道機関向け資料)非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は6月8日、日米両国で実施した共同世論調査の結果を公表した。6月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談を前に、会談に関する見方や北朝鮮の核兵器問題解決の見通し、さらには将来の朝鮮半島の姿などについて日米両国民がどのように考えているのか、を明らかにするのが目的。対象は、日本国民1000人、米国民1215人で、調査は、昨年に続いて2回目で、米国はメリーランド大学が調査を担当し、5月19日から6月5月にかけて実施した。

 調査の主な結果は次の通り。

*米朝首脳会談の見通しは、「進展はあるが非核化への具体的な成果にはつながらない」というのが両国民の見方。ただ、米国民に日本より積極的な期待が多い。

 日本では、「朝鮮半島の非核化に向けて決定的な成果が期待できる」との楽観的な見方は6.2%にとどまり、「進展はあるが、非核化への成果にはつながらない」が52.2%と半数を超えている。米国でも同じ傾向だが、「決定的な成果が期待できる」との回答が21.8%と今回の米朝会談に期待する見方が日本よりも3倍以上になっている。

*核問題の解決に向けた進展は認めるものの、懐疑的な見方がまだ両国民に6割程度ある

 両国民共に解決に向けた前進は認めつつも、最終的な核問題の解決にはまだ懐疑的な見方がそれぞれ多い。日本で最も多いのは「解決に向けて動き出すが、しかし最終的な解決は将来的な課題になる」の36.8%である。さらに、「いくつかの前進はあるが、核問題は未解決のまま」(28.1%)が続いている。
この傾向は、米国でも同様で、「いくつかの前進はあるが、核問題は未解決のまま」との見方が30.4%と最多で、「最終的な解決は将来的な課題になる」(25.7%)が続いている。ただ、日本では、「早期解決に向けて大きく前進する」との見方は2.8%にすぎないが、米国では13.2%と期待する声がその4倍以上になっており、米国の方に多い。

*米朝首脳会談の実現は、北朝鮮が「より譲歩した」との見方が米国民に多い

 次に、米朝首脳会談の実現にあたり、米国と北朝鮮のどちらがより大きな譲歩を行ったと思うかを尋ねた。日本では、「わからない」が34.9%で最も多い。米国では、「北朝鮮」との見方が34.3%で最も多い。米国での調査は、トランプ氏が中止を発言し、北朝鮮側の行動で会談実施に動き出してから、行われており、そのことが影響しているとみられている。ただ、「米国」が22.8%、「双方が同程度の譲歩を行った」が23.6%という意見もで意見が分かれた。

*トランプ氏の交渉合意の理由は、「南北の事前交渉で新しいチャンスが出てきたこと」に3割強の米国民。「北朝鮮の脅威が高まったこと」を選んだのは両国民で1割台に過ぎない

 トランプ大統領が交渉入りに合意した理由については、日本では、「国際的な問題について、トランプ大統領自身が重要な功績をつくりたかったため」が33.7%となり、11月の中間選挙に向けた政治的なアピールの一環にすぎないと見ている人が最も多い。一方、米国では「南北の事前交渉によって、非核化に向けた新しいチャンスが出てきたため」(34.3%)との見方が最も多い。「北朝鮮の核計画の加速で、米国と同盟国に対する脅威が高まったため」を選んだ日本国民は17.7%、米国民は10.1%しかない。

*米朝首脳会談の実現でトランプ大統領の評価が上がったと考える米国人は、日本人の3倍近く

 米朝首脳会談の合意を受けて、トランプ大統領に対する評価が変化したかを尋ねたところ、日本では、「評価が上がった」は13.3%と1割程度である。米国では、34%と日本の3倍近く存在しており、米国では今回の米朝首脳会談の合意で、トランプ大統領の役割を一定程度評価している。

*米国の軍事行動の可能性は、依然両国民に懸念が多いが、米国民には「可能性が低くなった」との見方が3割近い

 日米両国で「可能性は変わらない」が最多となり(日本47.5%、米国38.2%)、日米両国民友、依然として軍事行動の勃発を懸念している。しかし、米国では「可能性は低くなった」が26.8%となり、日本の16%を大きく上回っている。

*北朝鮮の核問題解決の見通しは、日本国民では「解決は難しい」との声が多いが、米国民では解決に向けた期待の声が高まる

 北朝鮮の核兵器開発問題解決の見通しについて尋ねたところ、日本では「解決は難しいと思う」との回答が65.1%と突出して高く、2017年12月に行った調査とそう変化がない。米国では、「解決は難しいと思う」との見方が25.8%で最多となったが、昨年の調査より大幅に減少している。これに対して「5年後には解決すると思う」という見方が、25.4%と、昨年の調査よりも10ポイント近く増加している。

*今回の功績では、米国民は6割がトランプを推すが、日本では「わからない」が最多。習近平も米国民で2割超す

 米国民では「ドナルド・トランプ」を62.9%と6割以上が挙げ、「文在寅」が49.9%で続いている。「金正恩」を推す米国人も27.4%存在している。これに対して日本国民では、「わからない」が32.3%で最も多く、「誰も評価しない」が22.9%あり、5割以上が特定のリーダーを評価できないでいる。米国では「習近平」との回答が22.4%存在し、日本は9.4%にとどまっていることも興味深い。

*現時点では、金正恩氏の平和の意志を、両国民は「信頼できない」

 次に、金正恩氏に朝鮮半島の平和実現に向けた意思があると信頼できるかでは、日本では、「信頼できない(「どちらかといえば」を含む、以下同様)」という回答が66.2%と6割を超えている。米国では、「信頼できない」との回答は72.1%と7割を超えて日本より多く、「信頼できる」は6.6%に過ぎない。

*米朝国交正常化への支持は、両国民共に北朝鮮の完全な非核化の実現が条件

 北朝鮮の完全な非核化を前提に、米国と北朝鮮が国交正常化を行うことの是非について、日米両国民共に、「北朝鮮が完全な非核化が実現した後であれば、賛成する」が(日本52.3%、米国60.8%)で突出しており、「完全な非核化に合意すればその実現前でも賛成する」との回答は日米ともに1割強にとどまっている(日本11.4%、米国13.0%)。

*日本人の3割、米国人の4割が朝鮮半島の非核化の展開の中で、在韓米軍のプレゼンスを下げることを期待

 在韓米軍の今後について、日米両国で、「在韓米軍は現在と同規模で維持すべき」が最も多い(日本36.3%、米国36.2%)。これに「在韓米軍は拡大すべき」(日本2.2%、米国5.2%)を合わせると4割近く(日本38.5%、米国34.4%)が、現状以上の規模を維持すべきと考えている。しかし、「縮小すべき」との見方(日本28.8%、米国31.4%)も両国で3割近く存在し、これに「撤退すべき」(日本4.1%、米国11.3%)を合わせると、日本人の32.9%、米国人の42.7%は在韓米軍のプレゼンスを低減させるべきと考えている。

 朝鮮半島が非核化した後の米韓同盟については、日本で約5割、米国では、なんと7割強の人が現状維持以上を求めていることになる。「同盟は縮小されるべき」(日本15.9%、米国9.9%)、「同盟は廃止すべき」(日本3.1%、米国1.4%)は日米両国民の間で2割に満たない

*北朝鮮問題は日米関係を「より強化した」が両国民で大きく減少し、日米関係には「特に影響はない」が昨年より増加した

 北朝鮮の核脅威が、「日米関係をより強くした」と考える人は、日本では36.4%で、昨年の45.8%からは大きく減少している。「日米関係を逆に弱くした」という見方が昨年の3.8%から7.6%へと倍増している。米国では、「日米関係をより強くした」が30.1%と、昨年の41.2%から11ポイントも減少。「特に影響がない」が、19.4%で、昨年の11.4%から8ポイント増。

*アジアにおける米国の軍事力には「今後も維持すべき」との期待が両国民に最も多い。北東アジアでの日本の軍事拡大に、米国人の6割が賛成しているが、日本人は5割が反対する

 日本では47.5%(昨年41.8%)と半数近くの人が、米国も「現状の軍事力を今後も維持すべき」と考えているが、「今後減少すべき」という回答が昨年の13.2%から19.7%へ増加している。米国では52.4%と半数を超える人が「現状の軍事力を今後も維持すべき」と考えており、昨年の48.5%から増加している。ただ、「今後減少すべき」との回答も昨年の8.8%から18.9%へ10ポイント増えている。

「第2回日米共同世論調査」の対象、実施方法など

日本側の世論調査は、全国の18歳以上の男女を対象に5月19日から6月3日にかけて訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000です。最終学歴は、中学校以下が9.0%、高校卒が44.2%、短大・高専卒が20.3%、大学卒が22.6%、大学院卒が1.5%でした。
米国側の世論調査は、今年の6月1日から5日まで、米調査会社の代表性が担保されたパネルを対象にインターネットで調査を実施し、米国の国勢調査に沿う形でウェイトバック集計を行いました。有効回収標本数は1215です。

【言論NPOとは】

言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして13年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。

また、2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、会議での議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり出しました。

【メリーランド大学クリティカルイシュー世論調査とは】

メリーランド大学クリティカルイシュー世論調査は、政策議論にとって中心的な国内的・国際的な課題についてのアメリカ国民及び中東諸国の国民を対象とした世論調査を2010年より継続的に行っている。目的は、中東地域などに関する外交政策課題、アメリカ国内の人口動態の変化など、政治経済問題に関わる課題を調査し、政策議論の進展に貢献することにある。アンワー・サダット平和開発チェアのシブリー・テルハミ教授がディレクターを、務めている。

2018年6月8日

・中国、5月に拘束した日本人21人を解放-拘束理由は布教活動か

 (2018.6.5 「カトリック・あい」)日中関係筋が明らかにしたとして主要各紙、通信社が報じたところによると、中国各地で先月相次いで当局に拘束された日本人男女21人が、1日までに全員解放され、帰国した。全員がキリスト教系の宗教団体に属しており、中国では認められていない布教活動を行っていたことが拘束の理由とみられている。

 21人は5月5日から15日にかけて、河北省や重慶市など7省・直轄市・自治区で拘束され、このうち5人は5月25日までに解放され、帰国していた。残る16人についても、その後、中国当局から個別に「帰国させる」「帰国した」との通報が日本側にあり、1日までに全員の帰国が確認された、という。

2018年6月5日

・愛国カトリック協会・中国司教協議会が教会”中国化”5か年計画開始(Tablet)

(2018.6.1Tablet  Rose Gamble)

   中国政府・共産党の管理下にあるカトリック愛国協会と中国司教協議会が、「中国におけるカトリック教会の中国化のための発展の5か年計画」を開始した。Asia Newsが伝えた。

 この計画は先週、これら二つの組織によって承認された。教皇に公式に認証されていないこの二つの組織は、中国共産党政府を、宗教分野も含めた中国における最高権威と認めている。ローマに忠誠を誓う非公式の”地下教会”はこの計画の策定には加わっていない。

 中国のカトリック教会も含めた宗教の”中国化”は2015年、習近平・国家主席が、中国共産党中央委員会直属の機関で諸宗教に対する規制・管理の権限をもつ「統一戦線工作部」の会議で実施を宣言していた。”中国化”は宗教的な表現から、”外国の影響”を排除し、中国文化への同化を促進するもの、と言われ、”外国の影響”からの自立とは、教皇の権能を無視し、共産党に従って活動することを意味する。

 5月22日付けで両組織がウエブサイトに載せた発表には5か年計画の詳細は明らかにされていない。Asia Newsによると、あるカトリック関係者は、この運動はバチカンの感情を害するものではなく、バチカンは現在も中国政府と、特に中国における司教任命の権限について交渉を進めている、としている。

 一方で、中華民国のJohn Hung Shan-chuan台北大司教は、5月18日付けのSouth China Morning Post紙で「教皇は私に、自分は交渉のためにカトリック教会の原則を曲げるつもりはない。司教の任命権は教皇になければならない、とお話しになった」と明言し、交渉は最終合意に至っていない、と述べた。交渉が、バチカンと中国政府の外交関係の完全な樹立に繋がれば、中華民国・台湾の独立国としての地位を認めないとする世界の多くの国々に追随することになるに違いない。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2018年6月5日

・教皇、中国のカトリック教会のために祈るよう呼びかけ-世界祈りの日10年

中国・北京の「無原罪の御宿り」のカテドラル大聖堂で祈りをささげる中国の信徒たち(今年1月撮影・ CNS/Roman Pilipey, EPA)

Pope calls for prayers for Catholic Church in China

(2018.5. 24 Tablet James Roberts)

 前教皇ベネディクト16世が24日を「世界が中国の教会の為に祈る日」と定めて10年。教皇フランシスコはその日の前日、23日の一般謁見で、世界の信徒たちに「中国の信徒たちが、教皇と完全な一致のもとに信仰に生きることができるように」と祈ることを求めた。

 教皇は、聖ペトロ広場でのこの一般謁見の終わりに、24日の記念日は「私たちを、中国に住むカトリックの信仰を持つすべての人と霊的につながるように招く日」であるとし、中国の人々が「寛大さと落ち着きをもって信仰生活を送る」ことができるように、「聖ペトロの後継者(教皇)との完全な一致の中で、友愛と調和と一致の具体的な行為の仕方を知る」ことができるように、聖母マリアに祈ることを求めた。

 そして、「中国にいる親愛なる主の使徒たち、世界の教会はあなた方と共に、あなた方のために祈ります。困難の最中にあっても、神のご意志に信頼を置き続けますように」と祈りをささげた。

 中国の教会のために祈る日が定められて10年、バチカンと中国政府の非公式交渉が何か月も続けられている。バチカンは交渉で、教皇に忠誠を誓う”地下教会”と中国政府・共産党の管理下に置かれた”愛国教会”の一致が実現することを希望している。

 現在の交渉の最大のポイントは、中国国内の司教の最終的な任命権をバチカン、中国当局どちらに帰属させるかだが、伝えられるところでは、中国側が候補3人を選び、教皇がその中から一人を司教に決めることで話し合いが進んでいる、と言われている。このような妥協に動きについては、多くの批判の声が世界の教会関係者から出ており、前香港司教の陳日君・枢機卿は、中国側に教会の管理をこれまで以上に委ねることにつながる、と強く反対している。また、これと関連して、”地下教会”の司教二人が、中国側が任命した司教二人にポストを譲るよう求められ、強い反発が起きている、とも伝えられている。

 中国政府・共産党は最近になって、国内で活動するすべての宗教の管理・規制を従来以上に強化する法令を施行し、さらに交渉を巡る環境を混迷させている。

 具体的には今年2月1日以降、中国で活動するすべての宗教は宗教関係取締法によって縛られ、宗教団体の登録、宗教活動の場所の確定などが義務化された。そして、中国政府・国務院の国家宗教事務局に、登録の任免権、祈祷の場所の許認可権などが与えられた。さらに、宗教団体・組織の教職員についても同局に報告することが求められることになった。加えて、同法47条では、宗教に関係する情報サービスのインターネットによる提供も、当局の検閲、許可が必要、と定め、献金の徴収についても規定が設けられた。

 香港中文大学・崇基学院の曾思瀚・神学部長は、信者たちに、新たに導入された規制に対抗するために「自分たちの権利の守り方をもっと知る」ことを強く促している。たとえば、同法57条では、宗教団体・組織が、宗教活動のための献金を国内外で受けることが認められているが、献金の総額が10万元(約1万⁵⁹⁰⁰㌦)を超えた場合、当局の検査、承認を受けることが義務付けられている。。

(注・「カトリック・あい」=習近平・国家主席は昨年10月の”愛国教会”の代表も参加した中国共産党全国代表大会で、圧倒的な支持のもとに確固たる地位を確立、主席が進める宗教とカトリック教会に対する事実上の党による統制を、「中国化」と表現することも支持された。こうした流れの中で、同党の中央統一戦線工作部は3月、宗教監視・監督の任務を、中国政府国務院の国家宗教事務局から移譲されている。権限の委譲は「党指令の執行」という厳格なものだ。)

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

2018年5月26日

・「教皇がロヒンギア和平会議を検討」とミャンマーの枢機卿語る

Myanmar cardinal says Pope Francis considering Rohingya conference

Cardinal Charles Bo in a file photo. (Credit: Andrew Medichini/AP.)

 (2018.5.23 CRUX  Contributor Nirmala Carvalho
ムンバイ(インド)発―教皇フランシスコがミャンマーの「ロヒンギア危機」に対処する会議の開催実現に支援を検討している。同国のカトリック教会指導者、チャールズ・マウン・ボー枢機卿が今月初め、同国司教団を率いてバチカン定例訪問し、教皇と会見した結果を明らかにした。
 ボー枢機卿は2003年からヤンゴン大司教を務めており、2015年に人口5000万人の同国初の枢機卿に選ばれていた。同国では昨年8月以降、2015年の総選挙でノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー女史が主導する民主政権が発足して以来最悪の政治・社会的危機が続いている。その中で、軍主導のロヒンギア地区に住むイスラム系少数民族に対する弾圧により、70万人以上が故郷を捨てることを余儀なくされ、難民となって隣国バングラデシュに逃げ込み、悲惨な生活をおくる事態が深刻化している。
 23日Cruxとの会見に応じたボー枢機卿は、バチカン定例訪問について語る中で、教皇がロヒンギア危機の解決を助けるための和平会議の実現を支援していることを示唆し、「ロヒンギア地区の深刻な状況について、教皇は憂慮されています。人々は国を追われ、ミャンマー、バングラデシュ、インド、インドネシア、そしてマレーシアをさまよっている。その数は全部で約200万人にもなる。どの国も彼らを進んで受け入れようとしません。イスラム系のメディアは強い影響力がある。しかし、彼らを受け入れるかどうか、と問われると、口をつぐんでしまう」と訴えた。
 そして、枢機卿は、教皇との会見で、現状打開のための教会としての取り組みについて、教皇に次のように問いかけたことを明らかにした。「バチカン国務省を通して、悲惨な状況に置かれている人々を支援するための、国連、欧州連合を含めた関係国、関係機関を含めた会合を招集することが可能でしょうか」。そして、「今のところ、誰もがミャンマー政府、軍と仏教徒を非難しているように見えますし、(紛争解決への)支援と提案を考える人は誰もいないのです」と訴えた。枢機卿がCruxに語ったところによれば、教皇は、国務省に、そのような会議の開催が可能かどうか、聞いてみる、と回答されたという。
 教皇はかねてから、ロヒンギアの状況について深く憂慮されており、公の場でたびたび、この問題について言及されている。昨年暮れのミャンマー、バングラデシュ訪問では、バングラデシュ領内で難民生活を送っているロヒンギアの人々の代表とお会いになり、彼らの置かれた悲惨な境遇に深く同情され、「すべての人々、あなた方を迫害している人々、誤ったことをしている人々、そして何よりも、この世界の無関心について、私はあなた方に赦しを乞います」「私たちが求める赦しを与えてくださるように、あなた方の寛大な心に訴えます」と彼らに呼びかけていた。
 ボー枢機卿によると、教皇はミャンマー司教団との会議で、昨年の訪問の際に示してくれた暖かい歓迎と気配りについて感謝を述べたが、枢機卿は「教皇の訪問は、聖霊の働きによるもの」とし、「もともとは、インドが訪問先に予定されていました。しかし、(インド政府から)前向きの反応が得られず、その時、ミャンマー訪問の必要性を直観されたのです。訪問先を変えたことを、教皇は喜んでおられた」という。そして、ミャンマー訪問にあたって、教皇は、軍の指導者や強硬派の仏僧を含めて誰との会見の拒まれなかった。
 また、「我が国の政治状況に関連して、ある司教はミャンマーのために、特にカチン県の紛争について祈るように希望しました」。カチン県はミャンマーの最北部にあり、キリスト教徒が人口の大半を占めているが、武装勢力が過去数十年にわたって、独立を目指す闘争を続けている。今年4月にも、少なくとも7400人が自宅を追われ、5月には国連が、同県で平和を求めるデモ隊が逮捕された問題を取り上げ、政府に警告する報告書を発表している。「教皇は、司教の希望を受け入れ、司教団にご自分に対する提案を文書にしてくれるように求められました」と枢機卿は説明した。さらに、枢機卿はこの会議で、教皇に「ご訪問は、ミャンマー全土に勇気を与えていただきましたが、今なお、教皇の支援と指導を必要としています」と訴え、ミャンマーの指導者たちに「あなた方には、この国の平和に責任があります」とする旨のメッセージを送ってくれるように希望を述べた。
 会議では、また教皇は中国における教会のおかれている状況について言及された。中国はミャンマーと国境を接しており、歴史的にミャンマーに影響力を持っている。「教皇は『いつの日か、中国で、苦しみを受けている兄弟姉妹と会えるように、と祈っています』と話された」という。枢機卿は、カトリック教会と中国の関係を進めるには、バチカン国務省を通した外交、個人的な友好関係、そして文化交流、の三つの道がある、とも述べた。

 最後に、この会議では、教皇の日常生活についても話題になり、ある司教が教皇に一日のスケジュールを聞いたところ、教皇は「ええ!毎時間、私がしていることを教えろ、というのですか?そう、私はとても元気です。夜の10時には電気を消し、朝の4時に起きます。私の歳では(睡眠6時間で)十分。ぐっすり眠り、一日、喜々として働いています。時には、よく眠れないことがありますが、そんな日は、ちょっと元気がありません」とお答えになった。

 別の司教は「教皇が居宅にされているサンタ・マルタの家での毎朝のミサでの説教が素晴らしい、よく、この説教を(自分の説教に)拝借しています」と述べたのに対しては、「霊感を受けたと感じる時に、お説教をします。でも、聖霊が私に働かない時には、黙っています」と答えつつ、「説教の拝借」の告白について「税金をかけますよ!」と冗談を言われた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

2018年5月24日

☩「困難の中でも神を信頼して」教皇、中国の信者たちのために祈る

教皇フランシスコ、5月23日、バチカンでの一般謁見で(バチカン放送)

中国・北京の「無原罪の御宿り」のカテドラル大聖堂で祈りをささげる中国の信徒たち(今年1月撮影・ CNS/Roman Pilipey, EPA)

Pope calls for prayers for Catholic Church in China

(2018.5. 24 Tablet James Roberts)

 前教皇ベネディクト16世が24日を「世界が中国の教会の為に祈る日」と定めて10年。教皇フランシスコはその日の前日、23日の一般謁見で、世界の信徒たちに「中国の信徒たちが、教皇と完全な一致のもとに信仰に生きることができるように」と祈ることを求めた。

 教皇は、聖ペトロ広場でのこの一般謁見の終わりに、24日の記念日は「私たちを、中国に住むカトリックの信仰を持つすべての人と霊的につながるように招く日」であるとし、中国の人々が「寛大さと落ち着きをもって信仰生活を送る」ことができるように、「聖ペトロの後継者(教皇)との完全な一致の中で、友愛と調和と一致の具体的な行為の仕方を知る」ことができるように、聖母マリアに祈ることを求めた。

 そして、「中国にいる親愛なる主の使徒たち、世界の教会はあなた方と共に、あなた方のために祈ります。困難の最中にあっても、神のご意志に信頼を置き続けますように」と祈りをささげた。

 中国の教会のために祈る日が定められて10年、バチカンと中国政府の非公式交渉が何か月も続けられている。バチカンは交渉で、教皇に忠誠を誓う”地下教会”と中国政府・共産党の管理下に置かれた”愛国教会”の一致が実現することを希望している。

 現在の交渉の最大のポイントは、中国国内の司教の最終的な任命権をバチカン、中国当局どちらに帰属させるかだが、伝えられるところでは、中国側が候補3人を選び、教皇がその中から一人を司教に決めることで話し合いが進んでいる、と言われている。このような妥協に動きについては、多くの批判の声が世界の教会関係者から出ており、前香港司教の陳日君・枢機卿は、中国側に教会の管理をこれまで以上に委ねることにつながる、と強く反対している。また、これと関連して、”地下教会”の司教二人が、中国側が任命した司教二人にポストを譲るよう求められ、強い反発が起きている、とも伝えられている。

 中国政府・共産党は最近になって、国内で活動するすべての宗教の管理・規制を従来以上に強化する法令を施行し、さらに交渉を巡る環境を混迷させている。

 具体的には今年2月1日以降、中国で活動するすべての宗教は宗教関係取締法によって縛られ、宗教団体の登録、宗教活動の場所の確定などが義務化された。そして、中国政府・国務院の国家宗教事務局に、登録の任免権、祈祷の場所の許認可権などが与えられた。さらに、宗教団体・組織の教職員についても同局に報告することが求められることになった。加えて、同法47条では、宗教に関係する情報サービスのインターネットによる提供も、当局の検閲、許可が必要、と定め、献金の徴収についても規定が設けられた。

 香港中文大学・崇基学院の曾思瀚・神学部長は、信者たちに、新たに導入された規制に対抗するために「自分たちの権利の守り方をもっと知る」ことを強く促している。たとえば、同法57条では、宗教団体・組織が、宗教活動のための献金を国内外で受けることが認められているが、献金の総額が10万元(約1万⁵⁹⁰⁰㌦)を超えた場合、当局の検査、承認を受けることが義務付けられている。。

(注・「カトリック・あい」=習近平・国家主席は最近、”愛国教会”の代表も参加した中国共産党全国代表大会で圧倒的な支持のもとに確固たる地位を確立、大会は、主席が進める宗教とカトリック教会に対する事実上の党による統制を「中国化」と表現することを支持した。また同党の中央統一戦線工作部は3月、宗教監視・監督の任務を中国政府国務院の国家宗教事務局から移譲されている。権限の委譲は、「党指令の執行」という厳格なものだ。)

 

 

2018年5月24日