・「バチカンはなぜ”地下教会”の司教、司祭の釈放を求めないのか」被害者家族の悲痛な訴え(Tablet)

(2018.10.11 Tablet  Rose Gamble)・・11日付けTabletの「News Briefing: the Church in the World」から一部抜粋

 「中国政府と暫定合意書に署名する前に、バチカンはなぜ、不当に逮捕、拘禁されている”地下教会”の聖職者たちの釈放を求めなかったのでしょうか」ーバチカンが先日、中国政府と同国内の司教任命について暫定合意したが、教皇に忠誠を誓い、中国政府・共産党の支配を受けるのを拒否している”地下教会”に属し、当局によって拘禁されている司祭の家族はと、バチカンの姿勢に強い疑問を表明している。

 中国北部、河北省の”地下教会”保定教区の劉洪剛神父は3年前に当局に逮捕され、消息不明。同じ保定教区では、素志民・司教が20年前に、中国政府・共産党の支配下にある中国天主教愛国協会への参加を拒んだ、として逮捕され、15年前にある病院で一度だけ姿を見せて以来、消息不明のままだ。

 世界的な人権監視団体の調査部門World Watch Monitorによれば、キリスト教徒の人口が多い中国・浙江省の二つの学校で、300人のキリスト教徒の生徒たちが、「宗教に従わない」と文書で誓約するよう求められた。国内の宗教活動を監視・監督する中国共産党は今年2月、厳格な宗教活動規制法を施行し、18歳以下の若者に対して、教会に行くこと、宗教教育を受けることを禁じている。

(翻訳「カトリック・あい」)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

*「カトリック・あい」評論

 中国では宗教活動の監視・監督は、日本の政府に当たる国務院の宗教担当部門が行っていたが、最近、中国共産党の「統一戦線工作部」に移した。同部は、共産党の外にある機関・団体などを共産党の管理・支配下に取り込むことを主たる任務にしている機関で、権限移行以来、国内の宗教活動に対する規制が強まっており、先日、国際的に著名な女優の脱税を理由にした長期拘束も、脱税摘発を含む規制の対象を芸能活動などにも広げていることの表れ、と見る関係者もいる。

 このような動きについて、そして”地下教会”の悲痛な訴えについて、バチカンはどう受け止めているのだろうか。一党独裁政権のもと、日本や欧米の民主主義国とは「人権」「信教の自由」の考え方、優先順位が全く異なるこの国と、安易に妥協を図ることは、それ自体が国際政治に、国際的な人権保護の取り組みに、マイナスの影響を与えうる、との認識を十分にもっているのだろうか。こうした中国の現場の状況が、教皇フランシスコの耳に十分届いているのだろうか。

 先日の合意が、双方の相対的に低い立場の人物が署名した「暫定合意」にとどまり、合意の具体的内容も公表されないままになっていることに、教皇の、バチカンの賢明で慎重な判断が表れている、と思いたい。

 

 

 

 

 

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2018年10月13日

・言論NPO 第14回日中共同世論調査」結果

(2018. 10.9 言論NPO)

調査の概要

日本の言論NPOと中国国際出版集団は、日中の両国民を対象とした共同世論調査を今年9月に実施した。この調査は、最も日中関係が深刻な状況だった2005年から毎年継続的に行われているものであり、今回で14回目となる。調査の目的は、日中両国民の相互理解・相互認識の状況やその変化を継続的に把握することにある。

日本側の世論調査は、全国の18歳以上の男女を対象に9月1日から22日にかけて訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000である。回答者の性別は、男性48.6%、女性51.4%。年齢は、20歳未満が2.5%、20~29歳が11.8%、30~39歳が14.8%、40~49歳が17.4%、50~59歳が14.6%、60歳以上が38.9%。最終学歴は、中学校以下が6.8%、高校卒が48.3%、短大・高専卒が20.8%、大学卒が22%、大学院卒が0.9%である。

これに対して、中国側の世論調査は、北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州の10都市で18歳以上の男女を対象に、8月27日から9月11日にかけて調査員による面接聴取法により実施された。有効回収標本は1548である。回答者の性別は、男性49%、女性51%。年齢は、20歳未満が2.5%、20~29歳が20.9%、30~39歳が21.6%、40~49歳が26.7%、50~59歳が21.3%、60歳以上が6.6%。最終学歴は中学校以下が12%、高校・職業高校卒が32.8%、専門学校卒が31.3%、大学卒が21.9%、ダブルディグリーが0.8%、大学院卒が0.5%である。

なお、この調査と別に、言論NPOと中国国際出版集団は有識者アンケートを世論調査と同じ内容で実施した。専門家や知識層の見方と世論調査結果を比較することで、全体的な日本人や中国人の認識を補完しようと考えたからである。日中両国の有識者の多くは、相手国に関する情報取得を自国のメディアだけに依存しておらず、実際に渡航したり、相手国の友人や知人から直接的な情報を得ているなど、一般世論とは異なる傾向がみられる。

日本ではこれまで言論NPOが行った議論や調査に参加した国内の企業経営者、学者、メディア関係者、公務員など約2000人を対象に9月5日から10月6日にかけて世論調査と同内容のアンケートをメール送付して回答を依頼し、うち404人から回答を得た。回答者の性別は男性86.4%、女性11.6%。年齢は、20歳未満が1%、20~29歳が2.2%、30~39歳が5.2%、40~49歳が11.6%、50~59歳が26%、60歳以上が52.5%。最終学歴は、中学校以下が0%、高校卒が3%、短大・高専卒が2%、大学卒が59.9%、大学院卒が31.4%である。

中国側の有識者調査は、10月9日現在、零点研究コンサルティンググループが調査中である。
※ここでの数値は小数点第二位以下を四捨五入しており、また無回答を除いているため、合計が100%にならない場合がある。


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日中両国民の相手国に対する印象

 中国人の日本に対する印象の改善は進み、日本の印象を「良い」とする人は昨年から11ポイント増加して42.2%となり、2005年の調査開始以降で最も高い数値となった。これに対して、「良くない」が11ポイント減少し、56.1%にまで下がっている。 日本人の中国に対する印象はわずかに改善しているが、中国に「良くない」印象を持っている人は86.3%と依然9割近く、対照的な状況となっている。中国に「良い」印象を持っている人は13.1%にすぎない。

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相手国に対する印象の理由

 日本人が中国に「良い」印象を持つ理由で最も多いのは、「観光客の増加や民間交流により中国人の存在が身近になっているから」だが、昨年からは15ポイント減少している。昨年からの増加が目立ったのは、「中国は国際社会で世界の大国として行動し始めたから」で10.4%から25.2%に増加している。 中国人が日本に「良い」印象を持つ理由は、「日本は経済発展を遂げ、国民の生活水準も高いから」が51.6%で最も多い回答となった。昨年最も多かった「日本人は礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高いから」は61.8%から49.2%に減少したが、依然半数近くがそれを選んでいる。「日本は自然が風光明媚で温泉等の観光地が多いから」も45.3%と根強い。ただ、「日本製品の質が高いから」は44%で昨年の53.5%から減少、「日本の技術は先進的だから」も25%と、昨年の44.9%を大きく下回るなど日本の技術力の高さを好印象の理由とする回答は減少傾向にある。

一方、日本人が中国に「良くない」印象を持つ最も大きな理由は、「尖閣諸島周辺の侵犯」の58.6%である。これに次ぐのは「国際的なルールと異なる行動をするから」の48%で昨年を8ポイントも上回っている。このほか、昨年を上回ったのは「中国の大国的な行動が強引で違和感を覚えるから」の36.6%(昨年34.4%)、「軍事力の増強や不透明さが目に付くから」の33.5%(昨年30.4%)である。

中国人が日本に「良くない」印象を持つ理由は、その多くが昨年より減少している。「歴史をきちんと謝罪し反省していないから」で5割を超え最も多い回答となったが、昨年からは13ポイント減少した。これまで上位にあった「尖閣諸島の国有化」や「日本が米国その他の国と連携して中国を包囲しようとしているから」を理由として挙げる人もそれぞれ12~13ポイント減少している。

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昨年から両国の国民感情は変化したか

 両国国民の相手方への感情が、昨年からどのように変化したのかを尋ねると、日本人は「変化していない」が40.3%と最も多く、「わからない」が37.6%で続いている。 一方、中国人では、「悪化した」が49.7%から26.4%へと23ポイント減少するとともに、「好転した」が20.4%から40%へとほぼ倍増しているなど、改善傾向が顕著である。

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日中関係の現在と将来

 両国民の間に、現状の日中関係に対する判断で改善傾向が顕著となり、いずれも「悪い」が半数を下回った。これは尖閣諸島問題以前の傾向である。特に中国の改善が際立っている。 現在の日中関係を「悪い」と判断している日本人は39%となり、8年ぶりに4割を切る水準となった。中国人では「悪い」という判断が昨年からは19ポイントも減少して45.1%となった。

この一年間の日中関係の変化については、両国民ともに「特に変化していない」が最も多い。ただ、「良くなった」との見方は、日本人では1割程度にとどまっているが、中国人では昨年からほぼ倍増して30.2%と3割を超えている。

今後の日中関係の見通しについても、日本人では「良くなっていく」と見ている人は15.6%と1割台だが、中国人では昨年から10ポイント増加して38.2%と4割近くになるなど、日本人と比較すると楽観的な見通しを持っている。

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日中関係の発展を妨げるもの

 日中関係の発展を妨げるものでは、依然として「領土をめぐる対立」を挙げる人が日中両国で最も多いが、いずれも昨年を下回っている。中国人では、それに続くのは「経済摩擦」、「国民間に信頼関係がないこと」などだが、昨年と比較すると、「政府間に信頼がないこと」を課題に挙げる人は減少し、国民間に信頼がないことを障害と認識する人が昨年よりも増加している。昨年2番目に多かった「日本の歴史認識や歴史教育」を挙げる回答は34.8%から25.2%へと10ポイント減少している。 日本人では、「政府間」や「国民間」に信頼関係がないことを挙げる人がそれぞれ4割近くあり、それぞれ昨年よりも上回っている。

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日中関係向上のために有効なこと

 日本人は、日中関係向上のために有効だと考えているのは、「政府間レベルの関係強化」が39.1%で最も多い。これに「首脳間交流の活発化」を加えると6割が政府レベルでの関係強化を期待している。中国も同じ傾向があり、この2つを加えると57.1%で、特に首脳外交の効果に期待が高まっている。日本ではこれに加えて、「尖閣問題の解決」が28.7%で昨年より増えており、「歴史問題での和解」が25.5%で続いている。中国では、最も多いのは、「歴史問題の和解」の42.8%で昨年よりも増加している。これに対して尖閣問題については30.6%と、昨年よりも11ポイント減少している。民間レベルでの交流を有効だと考えているのはどちらも1割だが、中国で昨年よりも期待が高まっている。

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世界経済の安定した発展と東アジアの平和のため、新たな協力関係を構築すべきか

 日本人の5割、中国人の6割が、世界経済の安定した発展と東アジアの平和を実現するために、日中両国はより強い新たな協力関係を構築すべきだと考えている。ただ、その割合は両国で減少している。

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日中関係の重要性をどう見ているか

 日中関係を「重要」だと考える人は両国で7割を超えている。特に中国でそう思う人が昨年よりも増加し、回復傾向が見える。 「重要」と考える理由では、日本人の5割以上が「アジアの平和と発展には日中両国の共同の協力が必要だから」を選んでいるが、中国ではこれを選択したのは3割程度である。中国人では「隣国同士だから」や「中国の重要な貿易相手だから」と考える人が多い。

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日中関係と対米関係の重要性、親近感

 日中関係と対米関係の重要性を比較すると、日本人、中国人ともに「どちらも同程度に重要」と考える人がそれぞれ半数程度で最も多い。同時に、両国で「対米関係の方が重要」と考える人が減少している。ただ、中国では、「日中関係の方が重要」が昨年よりも増加したのに対して、日本では4.5%程度と低迷している。 また、日中双方に対する親近感と米国に対する親近感を比較すると、日本人では「米国により親近感」を覚える人が46.9%と、昨年よりは減少したがまだ半数近い。中国人では「どちらにも親近感を感じない」という人が半数近い。ただ、米国に対する親近感が減少し、日本に対する親近感が昨年比ではわずかに増加している。

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日中関係と対韓関係の重要性、親近感

 日中関係と対韓関係の重要性を比較すると、両国民ともに「どちらも同程度に重要」が昨年同様半数程度で最も多い。日本人では「日韓」よりも「日中」を重要視する人が多いが、中国人では「中韓」関係を選ぶ人がわずかに回復し、「日中」と「中韓」は20%程度でほぼ同水準である。 親近感の比較では、「どちらにも親近感を感じない」という人が両国民で最も多い。両国ともに、日本や中国よりも「韓国により親近感を感じる」という人が続いており、それぞれ昨年から増加している。

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最も自国との関係が重要な国

 自国の将来を考える上で、世界の中で最も重要な国であると判断したのは、日本人では「アメリカ」が6割近くで突出しているが、昨年からは減少している。中国人では「ロシア」が30.9%で最も多く、「アメリカ」の23.3%を上回り、昨年よりも差を広げている。日本人で「中国」を選んだ人は8.2%と1割に満たないが、中国人で「日本」を選んだ人は昨年の12%から18.2%に増加して2割近くになっている。

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日中平和友好条約に関する評価

 今年は日中平和友好条約締結から40周年にあたる。そこで今回の調査では、この日中平和友好条約に関する設問を加えた。まず、日中平和友好条約の項目の中で、どの項目を今後も発展させるべきかを尋ねた。 これに対し日本人では、第一条第1項の「両国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等、および互恵並びに平和共存の諸原則のもとに、恒久的な平和友好関係を発展させる」という恒久的な平和友好関係の発展を現在も支持する声が51.8%と半数を超えて最も多い。

中国人でもこの項目を選択した回答が64.9%で最も多い。ただ、中国人では、第一条第2項の「全ての紛争を平和的な手段により解決し、武力または武力により威嚇に訴えない」という不戦を求める声が64.2%で並んでおり、さらに第二条の「両国はいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、他のいかなる国または国の集団による試みにも反対する」という反覇権を支持する声も53%と半数を超えている。

日本人では、今後も発展させるべき項目として、この”不戦”条項を選択した回答は38.8%と4割弱、反覇権は19.7%である。
次に、こうした日中平和友好条約の様々な条文の理念は、現在の日中間で実現できていると思うかを尋ねた。

これに対し、日本人では「実現できていない」という評価が、40.4%と4割を超え、「実現できている」という評価は14.8%と1割台にとどまっている。ただ、「わからない」が44.6%ある。中国人でも、「実現できていない」が46.2%で最も多い。ただ、「実現できている」も44.8%と4割を超え、評価が拮抗している。

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改革開放は交流を促進したか

 今年は中国の改革開放政策の実施からも40周年である。そこで、この改革開放政策が日中の政府間関係の友好発展や、経済、文化、民間での交流を促進したと思うかについても質問した。 中国人では、「促進した」という見方が71.4%と7割を超えている。
一方、日本人では、「促進した」(25.2%)と「促進していない」(29.2%)で見方が分かれている。また、「わからない」が42.5%と4割を超えている。

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相手国の社会・政治体制に対する理解

 日本人では中国を依然として「社会主義・共産主義」と見ている人が49.4%と最も多く、これに「全体主義(一党独裁)」が、32.6%と続いている。 中国人では、日本を「資本主義」と認識している人が48.9%と最も多く、これに「覇権主義」の39.5%が続いている。いずれも昨年よりも増えている。「軍国主義」という認識は36%から25.7%へと10ポイント減少し、2005年の調査開始以来初めて2割台となった。日本を「民主主義」の国と考える人は7.6%、「平和主義」は3%しか存在しない。

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相手国の政治家の誰を知っているか

 日本人の中では依然として「毛沢東」が知名度が高く、9割近くが知っているが、「習近平」が8割を超えてそれに並び始めている。「李克強」は1割台にとどまっている。「安倍晋三」を知っている中国人は8割近い。

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相手国への訪問についての認識

 中国へ「行きたい」という日本人は29.2%にすぎず、7割が「行きたくない」と回答しており、この傾向は昨年と比べ変化はない。これに対し、中国人では43.8%の人が日本へ「行きたい」と答えている。 訪問を希望する理由としては、日本人では「歴史・文化遺産への訪問」、中国人では「景勝地や観光地への訪問」など、観光に関するものを挙げる人が最も多いが、中国人では「買い物」を挙げる人も昨年同様半数を超えている。

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民間交流に関する日中両国民の意識

 この一年の日中の民間交流を、中国人は半数が「活発だった」と感じている。日本人は半数が「わからない」と回答している。日中両国ともに「活発ではなかった」と判断している人は減少している。 民間交流が日中関係の発展や改善にとって「重要である」と考える人は、日本人では6割近く、中国人では7割を超えている。ただ、「どちらともいえない」と判断しかねている日本人が3割程度存在している。

民間交流を進めるべき分野としては、日本人では「民間対話」、「留学生の相互受け入れ」、「文化交流」の3つがその順で多い。中国人では「留学生の相互受け入れ」と「メディア間の交流」を選択する人が多い。「民間対話」は2割程度である。

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日中関係と歴史問題の関係

 日本人の6割、中国人の9割が、歴史問題は日中関係において今なお大きな障害だと考えている。ただ、中国側ではその中でも、歴史問題は大きな問題だとしつつも、「ある程度解決」したとの見方を示す人が昨年よりも12ポイント増加している。 解決すべき歴史問題として、日本人では「中国の反日教育や教科書」を問題視する人が6割を超えているが、36.6%が「侵略戦争に対する日本の認識」を選ぶなど、日本自身の問題を選択する人も少なくない。中国人では、日本側の「侵略戦争に対する認識」が62.2%と最も多いが、昨年よりも減少している。特に「謝罪の不足」を問題視する人は26.5%と、昨年の59.9%から大幅に減少している。「戦争賠償、慰安婦、強制労働」を問題視する割合は昨年から変化がない。そして、「日本のメディア報道」を問題視する人が増加している。

日中関係と歴史問題の関係について、日本人では「日中関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」という楽観的な見方と、「日中関係の状況に関わらず、歴史問題を解決することは困難」という悲観的な見方がそれぞれ3割近くで拮抗している。

一方、中国人では「日中関係発展につれ徐々に解決する」という楽観的な見方が昨年から10ポイントも増加し、43.9%と最も多い回答となった。これまで最も多かった「歴史問題が解決しなければ日中関係は発展しない」は43.5%と昨年より7ポイント近く減少した。

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軍事的脅威に関する認識

 自国にとっての軍事的脅威を感じる国が「ある」と感じている人は、日本人では昨年の80.5%から72.4%に減少したが、中国人では59.1%から68.7%へ大幅に増加している。 軍事的脅威を感じている人にその具体的な国を挙げてもらうと、日本人の8割が依然として「北朝鮮」を挙げている。「中国」が57.5%、「ロシア」が34%で続いているが、それぞれ昨年比で12ポイント増加している。これに対し、中国人では「日本」を選択した人が67.6%から79.4%に増加し、8割に迫っている。これに「米国」の67.7%が続いている。「北朝鮮」に脅威を感じるのは8.4%にすぎず、昨年の13.1%から減少した。

日本人が中国に対して軍事的脅威を感じる理由では、「日本の領海侵犯」が67.8%で最も多いが、「尖閣諸島や海洋資源で紛争があること」に加え、「南シナ海での強引な姿勢」を挙げる人も6割近い。中国人が日本に対して軍事的脅威を感じる理由では、「日本は米国と連携し軍事的に中国を包囲しているから」を挙げる人が70.1%で最も多い。

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日中間での領土をめぐる軍事紛争の可能性

 日中間での尖閣諸島をめぐる軍事紛争について、日本人では「起こらないと思う」が33.2%で最も多い。これに対して中国人では「起こると思う」が56.1%と昨年同様に半数を超えている。 日中両国の領土をめぐる対立に関して、日本人では「両国間ですみやかに交渉して平和的解決を目指す」べきと考える人が44.5%で最も多い。中国人では「領土を守るため、中国側の実質的なコントロールを強化すべき」と考える人が61.7%で最も多く、「外交交渉を通じて日本に領土問題の存在を認めさせるべき」が57.9%で続いている。

6月に運用が開始された「海空連絡メカニズム」については、偶発的軍事衝突を避けるためにはこの措置だけで「十分だと思う」と積極的な評価をしている人は中国では50%いるのに対し、日本では3.5%にすぎない。「不十分」だと判断しているのは、日本では36.7%と4割近くいるが、中国でも26%存在する。日本人の6割は「わからない」と回答している。

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北東アジア安全保障の多国間枠組み

 北東アジアの安全保障を議論する多国間枠組みの必要性について、日本人の42.8%と4割、中国人は59.7%と6割近くが「必要である」と考え、いずれも昨年よりも増加している。特に、中国人では11ポイント増加している。 その多国間枠組みの参加国については、日本人では日中韓米が参加すべきと考えている人が7割以上いる。中国人では自国の「中国」以外では、「日米」が参加すべきと考える人が6割を超えており、この数字は昨年よりも15ポイント程度増加している。ロシアが5割台で続いている。

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朝鮮半島非核化に向けた外交努力の評価

 朝鮮半島の完全な非核化に向けた関係各国の様々な外交努力について、中国人の5割は「正しい」と判断しているが、36.6%が「正しいと思うが、不十分である」と感じている。 日本人は「正しいと思うが、不十分である」の40.2%が最も多いが、「外交努力では解決できないと思う」という見方も19%存在する。

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両国の経済関係について

 日本と中国の経済関係について、日本人では昨年と同様に「win-winの関係を築くことは難しい」との見方が多く、その見方がわずかだが増加している。逆に、中国人では「win-winの関係を築くことができる」との見方が6割を超えており、こちらの見方が昨年よりも増えている。 日中の経済・貿易関係の今後については、今後も「増加する」との楽観的な見通しが、日本人では26ポイント、中国人では31ポイントそれぞれ昨年から増加している。

日中経済、貿易関係を発展させるために必要なことについては、日中ともに「政府間関係の改善」が最も多く、これが最優先課題であるという点で両国民の認識は一致している。

日中が今後協力すべき自由貿易や経済連携の枠組みについては、中国人は「日中韓FTA」、「一帯一路」、「TPP11」、「AIIB」、「RCEP」の各選択肢が、この順で3割台後半から4割台で並んでいる。しかし、日本人では「わからない」が70.1%で突出している。

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「グローバル化」の是非

 「グローバル化」を「良いことだと思う」と評価する日本人は昨年から11ポイント増加し、49.9%と半数近くになっており、最も多い。中国人では「良いことだと思う」という人が6割を超えているが、その割合は昨年からはわずかに減少している。「良いことだとは思わない」は、日本では5.6%にすぎないが、中国では20.3%存在し、昨年よりも増加している。

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自由貿易とWTO改革

 日本人の6割超、中国人の8割が世界の自由貿易とWTOなど多国間主義に基づく国際協力は「重要」だと判断している。 現在動き始めているWTO改革については、日本人の4割、中国人では7割超が支持している。ただ、日本人では、その是非を判断できていない人が半数を超えている。

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世界をリードすべき国や地域

 日本人の半数は「アメリカ」がこれからも世界をリードすべきだと考えているが、昨年からはその割合は減少している。中国人の約7割は「中国」が世界をリードすべきと考えている。「アメリカ」を選ぶ中国人も3割いるが、昨年から10ポイント減少し、「ロシア」と同水準となった。

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東アジアが目指すべき価値観として最も重要なもの

 東アジアが目指すべき価値観として、日本人では6割が「平和」、4割近くが「協力発展」を重要であると考えている。中国人でも5割が「平和」と「協力発展」と回答しており、この2つの価値を重視する点で日中両国民の認識は一致している。

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日中は将来、共存・共栄できるのか

 日本人の56.6%、中国人の53.7%と日中両国民の半数超が、日中関係の将来について「平和的な共存・共栄関係を期待するが、実現するかはわからない」と考えている。ただ、中国人の中には日中は「平和的な共存・共栄関係を実現できる」との見方が3割近くある。対立関係が続くと見る人は日本人で12.6%、中国人で9.4%存在するが、昨年よりも減少している。

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両国間やアジアの課題における協力関係の強化

 日中両国やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについて、日本人の63.4%、中国人の70.4%が「賛成」している。特に、中国人では「賛成」が昨年の58.3%から12ポイント増加している。 その協力すべき分野では、日本人の74.6%が「北朝鮮と朝鮮半島の完全な非核化」、62.3%が「大気汚染や水質汚濁などの環境問題」を選んでいる。中国人でも最も多いのは「北朝鮮と朝鮮半島の完全な非核化」の40.4%であり、この点では両国民の認識は一致している。

「北東アジアにおける安定的な平和の構築」での協力を選んだのは、日本人が35.3%、中国人は22.2%である。

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今後10年間のアジアにおける各国の影響力の変化

 今後10年間のアジアにおける「日本」の影響力については、日中両国民共に半数程度が「変わらない」と見ているが、中国人では「増大する」という見方も4割近くあり、日本人(19.2%)よりも日本の将来の影響力を高く見る人が多い。 「中国」の影響力については、日本人の6割、中国人の9割近くが「増大する」と見ている。「米国」の影響力は、両国ともに「増大する」と「変わらない」との見方がそれぞれの国内で拮抗している。「韓国」の影響力は、両国ともに「変わらない」との見方が最も多い。両国民の見方が異なるのは「ロシア」と「インド」の影響力で、日本人は「ロシア」の影響力を「変わらない」とする見方が最も多いが、中国人では半数が「増大する」と見ており、その見方が最も多い。「インド」の影響力については、日本人では「増大する」と「変わらない」が国内で並んでいるが、中国人では「変わらない」が55.9%と半数を超えている。

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日中関係とメディアの評価

 中国人の86.6%が、中国メディアは日中関係の改善や両国民間の相互理解を促進していくことに「貢献している」と考えており、昨年の77.8%から9ポイント増加している。一方、日本メディアが「貢献している」との見方は日本人では30.2%にすぎない。 また、中国メディアの日中関係に関する報道を「客観的で公平」と感じている中国人は80.6%と8割を超える高水準である。これに対して、日本人で日本メディアの日中関係に関する報道を「客観的で公平」と感じている人は16.4%と2割を切っている。「客観的で公平ではない」は30.9%だった。

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ネット世論は民意を反映しているか

 日本人の33.5%は、日中関係に関するインターネット上の世論は民意を「適切に反映していない」と見ており、「適切に反映している」の21.8%を上回っている。ただ、44.4%が「わからない」としている。 これに対し、中国人では、「適切に反映している」という見方が86.9%と9割近くにのぼっている。

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日中両国民の交流の度合い

 日本人で中国への渡航経験が「ある」という人は13.5%となり、この数年大きな変化はない。一方、中国人では、日本への訪問経験が「ある」という人は18.6%となり、7年連続の増加となった。 その渡航理由は両国民ともに「観光」が突出している。渡航時期については、日本人では「11年以上前」が最も多く、現在に近くになるほど少なくなるが、中国人では「最近5年以内」との回答が9割を超えている。

相手国国民に知り合いがいるという人は、日本人では17.4%、中国人では7%にとどまり、昨年から大きな変化はない。

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日中両国民の情報源

 日本人の中国や日中関係に関する情報源として自国「日本のニュースメディア」を選ぶ人は圧倒的で、特に「テレビ」が突出している構造は例年と同様である。 中国人の日本や日中関係に関する情報源も、自国の「中国のニュースメディア」を選ぶ人が9割近い。中国の場合、「中国のテレビドラマや情報番組、映画作品」も半数近くが選んでいるが、昨年からは減少している。また、2割を超える人が「家族や知人・友人、ネット・SNSを通じた会話・情報」を選んでいる。

中国では、自国のニュースメディアの中で、「テレビ」を選んでいる人が6割を超えて最も多い点は日本と同様である。ただ、「携帯機器からのインターネット」が3割近くあり、7.3%にすぎない日本とは異なっている。

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2018年10月12日

・「バチカン・中国暫定合意」は(中国での)「司牧」に必要-と中国人の若い信者(Crux)

Chinese convert says deal with Vatican needed at pastoral level

 Wenxuan Yuan. (Credit: Photo courtesy of Wenxuan Yuan.)

 インタビューに応じたのは北京出身のWenxuan Yuan=元文軒?(27歳)さん。司教任命について中国との合意文書に署名したバチカンの判断は”良い”ものであり、司牧の分野で必要とされたこと、とし、「中国で適用される神学や、7人か、8人の司教の気質がどうだろうと、構いません。それよりも(暫定合意によって中国国内の教会の)司牧に関心があります」と語る。

 「もし、自分のところの司教が非合法なら、自分が受ける秘跡も(不正なものになる)、そこに住むカトリック信徒はカトリックとしての生活が送れません。そして人々は教会を離れることになるでしょう」。彼女は、秘跡を神の恩寵を受ける”流れ”とみており、それが止められれば、”人々を傷つけることになり、私は人々を気にかけているので、それを再開せねばならない、と思います」と言う考えを示した。

(以下翻訳中)

Wenxuan recalled how several years ago a friend in China left the Catholic Church and joined a cult.

This friend was in a “dangerous place,” she said, so she talked to him every day and tried to convince him to go back to Mass and confession. However, the friend realized that his church, which belonged to the government’s Patriotic Association, was “illegal” in the Vatican’s eyes, and because the bishop was excommunicated, “he just couldn’t do it” and refused to return to the faith.

Eventually the man returned to the Catholic Church, but the division between the government-backed Church and that of Rome caused him serious doubt, Wenxuan said.

“That’s why we need legal bishops,” she said.

The agreement between China and the Vatican was signed last month in Beijing, though no specifics were released. On the same day, the Vatican announced it would be lifting the excommunication of seven bishops who had been ordained without the pope’s authority, meaning that for the first time, all bishops in China are now approved by the Holy See. However, the fate of China’s “underground” bishops is still unknown.

Since the Communist takeover of China in 1949, the Catholic Church in the country has been divided between an “official” church that is registered and cooperates with the government’s Patriotic Association, and an “underground” church which resists its control.

Currently a student at Notre Dame University pursuing a doctorate in Biblical studies related to the Old Testament, specifically texts from Assyria and Babylonia, Wenxuan joined a number of her fellow students on a panel discussion in Rome on Thursday organized by the University of Notre Dame’s Center for Ethics and Culture during the October Synod of Bishops on youth.

Crux and the Diocese of Orange helped organize the event.

Wenxuan, a convert to Catholicism, made the decision to get baptized at the age of 14 after she was inspired to read about the Catholic Church following visits to several old churches with her mother, who is a history professor.

Though her family was unreligious, Wenxuan said she and her mother visited different churches, considered historical sites in China, throughout her childhood. After being moved by the beauty of a particular church at the age of five, she kept returning to it and began reading about Catholicism online.

When she converted, Wenxuan said she was not asked to register or sign any official document to demonstrate whether she belonged to a registered, government-backed church. Most Catholics in China, she said, don’t distinguish themselves “in that extreme way.”

Going to Mass, “you won’t tell the difference at all,” she said, noting that even in patriotic churches, “on the pastoral level they are orthodox, you hear good homilies, so it’s the same.”

Though she normally attends a patriotic church when she returns to Beijing, Wenxuan said that when traveling, she will at times go to an “underground” church, which on the outside seems like any other church, “but they just have some problems with the government.”

In terms of the faith life in China, Wenxuan said she has never seen or experienced problems and that the situation is not as strict as western nations frequently depict it.

Generally speaking, “people are not hostile to Christians,” she said. “They don’t know what’s going on. Sometimes they think you’re stupid because you believe in something that just sounds crazy,” such as Catholic teachings on the trinitarian nature of God or Jesus’ resurrection from the dead, “but that’s it.”

“They just don’t like it, but they can still be friends,” she said, adding that she has yet to witness any “hardcore persecution, at least in my own circle in Beijing,” though she admitted that in Beijing people are likely more careful and the situation could be different in more rural areas.

Referring to reports of government vandalism of churches, Wenxuan said she’s heard of it happening, but has never witnessed it directly.

She also referred to a new government crackdown on religion in China reportedly banning anyone under 18 from entering a church or attending parish activities, saying that at least in Beijing, this is not the case.

Though it might be a problem in some specific towns, Wenxuan said that in Beijing, “of course” young people under 18 can attend Mass. At least in her parish, “we have catechism class and summer camps for those kids. It’s normal.”

“Whatever is coming from the government, probably there are more restrictions, but they are not influencing the very basic pastoral level of normal faithful. Their life is the same,” she said.

Noting how two Chinese bishops are attending the Oct. 3-28 Synod of Bishops on young people, faith and vocational discernment currently taking place in Rome, marking the first time Chinese prelates have ever been able to attend, Wenxuan said she thinks their presence is “great,” and a positive sign for the Church in China.

“The Church is one. In China, we always confess that the Church is one, we’ve always been saying this, but it’s still important to make it physically one, so I think it’s good,” she said, adding that in China, and even in patriotic parishes, “people love the pope, love the Vatican.”

“People are crazy with the pope,” she said, adding that since Chinese Catholics are more traditional in their faith and practice, it doesn’t take much for them to be enthusiastic over anything to do with Rome, or with Pope Francis, who she said has a positive.

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2018年10月9日

・さいたま教区の山野内司教叙階式@浦和明の星‐菊地東京大司教の日記より

2018年9月25日 (火)

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9月24日の午前11時から、さいたま市の浦和明の星学園を会場に、マリオ山野内倫昭師の司教叙階式が執り行われました。

 

さいたま教区は、2013年に前任の谷司教が引退され、それ以来5年にわたって空位が続いていました。その間は、岡田大司教が教区管理者を務め、岡田大司教は東京大司教引退後も、そのまま管理者を継続されていました。ですので、これで本当に引退です。

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さいたま教区は、東京教会管区に属していますので、叙階式の司式は、私がさせて頂きました。全国のすべての現役司教と、山野内司教と同じサレジオ会員から、東チモールとパプア・ニューギニアの二人の司教が参加してくださいました。

共同司式してくださった司祭は100名を超えていたと思いますが、正確な数はわかりません。一番下に、当日のビデオをシグニスジャパンが公開していますので、リンクを張っておきますから、是非ご覧ください。なお、説教は岡田大司教です。

 

特にさいたま教区の皆さんには、何年も待ち望んでいた司教の誕生です。心からの喜びにあふれている気持ちが、祭壇まで響いてきました。

山野内司教のモットーは「Unum Corpus In Christo(キリストのうちにあって一つのからだ、一つの心となりますように)」です。この日の閉祭の歌は、これに基づいて作曲された、さいたま教区の塩田泉神父オリジナルでした。

司教叙階式は、全国レベルで見れば結構行われていますが、一つの教区単位で見ると、そう滅多にある儀式ミサではありません。ですから、司教叙階式に精通している人はそれほどおらず、かならず式の最中には、何かのハプニングがあるものです。ビデオをよく見ると、結構ハプニングが写っていますYamanouchi1804が、しかしよく準備された式でした。

また構内の案内など、多くの信徒や修道者の方が協力しながらまとまっている様は、これからのさいたま教区の希望の姿のようにも感じられました。

山野内司教様、おめでとうございます。さいたま教区の皆さん、おめでとうございます。

なお、これで教区管理者の務めから解放された岡田大司教ですが、昨日付で、東京教区の本郷教会に居住し、本郷教会の協力司祭とすることを公示しております。

2018年9月29日

・暴力から逃れて1年 今も変わらないロヒンギャ難民の窮状(国境なき医師団)

(2018年08月23日 国境なき医師団ニュース)

多くのロヒンギャが暮らす難民キャンプで水を運ぶ少女 「もう働けるだけの体力もなく、そうできる状況にもありません。いつも将来への不安でいっぱいです」

8人の子の父親であるアブー・アハメドさんが漏らした。イスラム系少数民族「ロヒンギャ」のアブーさ ん。元々生活していたミャンマーから、バングラデシュに避難した一人だ。

 「頭に浮かぶのは食べ物、衣類、安全、私たちの苦難…。こんな場所に10年もいれば…。いえ1ヵ月だけでも、きっとあなた方にもこの苦しみを理解してもらえるのではないかと思います」アブーさんのように、ここでは多くの人が将来に大きな不安を抱えている。

1年前の2017年8月25日、ミャンマー軍がロヒンギャの人びとを狙って「掃討作戦」を展開。暴力と破壊が広がった。70万人を超えるロヒンギャの人びとがやむなく隣国バングラデシュへ脱出。それ以前からバングラデシュに逃れていた約20万人を加えると、コックスバザール県に身を寄せるロヒンギャ難民は91万9000人 を超えた。

 バングラデシュは、ロヒンギャの人びとを難民として受け入れ、寛容な対応をしてきた。だが、避難から1年たった今も、ロヒンギャの人びとは将来に不安を抱えたままだ。難民であり、ミャンマーに国籍をはく奪された人びとだという事実があるにも関わらず、周辺地域の各受入国は公的・法的身分を一切認めていない。

 ミャンマー政府に対して影響力を持つ各国政府も、しかるべきリーダーシップを発揮せず、ロヒンギャ迫害を終わらせる圧力をかけてこなかった。その結果、こうした国外脱出につながった。

バングラデシュで活動する国境なき医師団(MSF)の活動責任者パヴロ・コロヴォスは、「現状ではロヒンギャの人びとを『ロヒンギャ難民』と呼ぶことすらままならなりません。関係国政府や関係機関は、難民としての法的権利やその他の法的身分を認めていません。ロヒンギャの人びとを大変な窮状に押し込めています」と話す。

一方で国境なき医師団(MSF)は、ロヒンギャ難民に対する医療援助活動を続けてきた。この1年の間に、計19の医療施設などで実施した診療件数は5万6200件にのぼる。

また2017年12月には、バングラデシュ国内の難民キャンプで実施した死亡率の調査で、同年8~9月の1ヵ月間に、ミャンマー西部ラカイン州で少なくとも9000人のロヒンギャが亡くなったと推定した。判明した死亡例では、全体の約7割が暴力によるもので、少なくとも730人を超える子どもを含む6700人が殺害されたとみられる。

 水の入ったバケツを手にテントに戻る少女。雨が降るといつも周囲は水浸しになる。

 診察を始めた当初、治療した患者の症状は、過半数が暴力によるケガだった。しかし日が経つにつれて、難民キャンプの不衛生な環境による健康問題や症状を訴えるようになった。

「下痢症が深刻な症状のひとつ。見過ごせないです」とコロヴォス。「キャンプでは滞在者の最低限度の生活を守るインフラ整備すら整っていません。安心して生活はできません」

難民キャンプでは、最低限度の生活も営めない。いまだに、ビニールシートと竹でできた仮設住宅での生活が続く。これは、ロヒンギャの人びとがキャンプに来た当初に建てたものだ。人びとは、「いずれミャンマーに帰還することになっている」との口実で、長期的かつ充実した援助を得ることができなかった。大半の人びとが、清潔な水、教育や就業の機会、医療に手が届かない。しかも、キャンプに閉じ込められたままだ。

難民キャンプの様子 「この地域はサイクロンとモンスーンがよく来ます。でもロヒンギャの人びとに、丈夫な住まいはありません。安全性の確保が難しいです」とコロヴォスは話す。

MSFのインタビューに応じたある難民も、「雨の時は、仮設住宅に家族全員で座り込むのです。そうすれば、家を吹き飛ばされずに済みますから…」と、つぶやく。

国連が主導している、バングラデシュに対する人道支援のための資金もあるが、これまでに目標額全体の31.7%しか達成できていない。そのうち保健資金はわずか16.9%で、十分に医療援助ができない状況だ。

またロヒンギャの人びとは、予防接種率がとても低い。ミャンマーで長年にわたり、医療を受ける機会から排除されてきたためだ。そのためMSFでは、予防接種も実施しており、コレラやはしかなどの流行の予防、ジフテリアの拡大抑止に貢献している。

ロヒンギャの人びとに対する心のケアも必要だ。ミャンマーでは、難民の多くが凄まじい暴力の現場に直面した。心の問題を抱える人も少なくない。また、性暴力や人権侵害、人種差別などの性別およびジェンダーに基づく暴力(SGBV)による傷のケアも足りない。

さらにロヒンギャの人びとには、法的身分がない。治療が受けづらいだけでなく、司法や法の規定を正式に主張したり、暴力を受けたことによる補償を求めたりすることもできない。

「こうした抑圧は、援助の質を落とし、援助の規模を狭めてしまいます。それだけではなく、ロヒンギャの人びとは、援助に頼りきりになってしまう。ロヒンギャの人びとの、自らの力で尊厳ある未来を作る機会を奪うことにつながります」とコロヴォスは指摘する。

長期化が懸念される避難生活に対応するため、より持続的な解決策を講じなければならない。

「実際、数十年前から、バングラデシュやその他の土地で避難生活を送ってきたロヒンギャの人びとも何十万人といるのです。安全にミャンマーに帰国できるのは、さらに何十年も先のことになるかもしれません。ロヒンギャの人びとの苦難に対応するには、これまでよりも手厚い対策が求められます」とコロヴォス。

最後に、「それと並行して、ミャンマー政府に対し、ロヒンギャの人びとに対する掃討作戦の中止を呼びかけていくことも必要です」 と強調した。

【ロヒンギャ難民緊急援助にご協力を!】

寄付をする ※【支援対象】から「ロヒンギャ難民緊急援助」を選択してください。※国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

 

バングラデシュにたどり着いても、なお過酷な状況にさらされる子どもたち

(UNICEF協会ニュース)

  2017年8月以降にバングラデシュに逃れた人々のうち54%が18歳未満の子どもで、60%が女性(そのうち3%が妊婦、7%が授乳中の女性です)だとされています。急激な難民流入に加えて、以前から避難していたロヒンギャ難民や受け入れ地域の住民など、70万人以上の子どもを含む130万人が今すぐの人道支援を必要としています。

多くの人々が何日もかけて悪路を歩きつづけ、粗末な筏(いかだ)やボートなどで国境を渡ってきています。バングラデシュにたどり着いても彼らの戦いは終わったわけではなく、十分な住居スペースがなく雨風にさらされる人もいれば、トラウマや忘れられない傷を抱えた人、疲弊していたり、病気や飢えに苦しんだり、と多くの人たちがケアを必要としています。

水もトイレも不足する難民キャンプや仮設居住区では、子どもの8割以上が栄養不足の状態にあり、最大で4割の子どもが下痢性疾患に、6割の子どもが呼吸器感染症にかかっています。さらに、3月からはサイクロンによる降雨量が増え、斜面の多いキャンプでの土砂崩れや汚水の氾濫が懸念されています。劣悪な衛生環境のもと、コレラなどの感染症が広がれば、数千人の命が脅かされる恐れがあります 。

ユニセフ、緊急支援を拡大

  ユニセフは子どもたちとその家族への支援活動を拡大しています。しかしながら、バングラデシュではサイクロンの季節が近づくにつれ、人口過密の難民キャンプや仮設居住区に住む52万人以上のロヒンギャの子どもたちの健康や安全がさらに脅かされる危険が差し迫っています。2018年6月までに、ユニセフは30万人以上に安全な飲み水を提供し、33箇所の外来栄養プログラムを通じて8,000人以上の急性栄養不良の子どもを治療し、879,273人にコレラの予防接種を実施しました。また、137,744人の子どもに心理社会サポートを、難民キャンプの867のラーニングセンターで研修を受けた教師2,762人によって4-14歳の91,000人のロヒンギャの子どもに非正規の教育を提供しました。(2018年8月時点)

ユニセフは、2018年、すべての子どもが守られ、権利を享受できるよう、水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護や開発のためのコミュニケーション(C4D)などを通じた行動変容や政府との連携に取り組んでいます。

<水と衛生>ユニセフは2018年、600,000人に安全な水と衛生環境を届け、450,000人に重要な衛生メッセージを届けることを目指しています。
<栄養>ユニセフは2018年、急性栄養不良の5歳未満の子ども24,546人に治療を提供し、63,958人の授乳中の女性へのカウンセリング、生後6-59ヶ月の子ども236,252人へのビタミンAサプリメントの提供を目指しています。
<保健>1歳未満の子ども950,000人に経口コレラワクチン、生後11ヶ月までの子ども98,816人に5種混合ワクチンの接種の提供 3,600人の治療が必要な新生児の治療 5,000人の妊産婦へHIV/エイズの検査とカウンセリングの提供
<教育>4-14歳の202,279人に早期教育を含む非正規/正規教育の提供 15-18歳の77,150人にライフスキル教育、収入能力向上のための技術支援を含む非正規/正規教育の提供
<子どもの保護>10,000人の保護者を伴わない子どもの支援、300,000人の子どもに心理社会的ケアを提供 10,000人にジェンダーに基づく暴力へのケアやサービスを提供

ロヒンギャ難民緊急募金にご協力を

 今回の危機以前から、バングラデシュには多くのロヒンギャ難民が身を寄せています。2016年10月には7万4,000人のロヒンギャ難民が国境を越えてバングラデシュに逃れました。

それ以前より難民登録しているロヒンギャ難民は3万2,000人、さらに難民登録されていないミャンマー出身者は30万人から50万人いると推定されており、甚大な人道危機にあります。

ユニセフは危機の発生以来、現地スタッフを大幅に増員し、予防接種や栄養治療、給水支援、トイレの建設、巡回診療など、持てる力のすべてを投じて子どもたちの命を守り続けています。しかし、慢性的な食料不足や不衛生な生活環境は、確実に子どもたちの体力を奪いつつあり、このままでは年内に数万人の乳幼児が重度栄養不良に陥り、感染症などに命を奪われかねません。

ユニセフは、支援を必要とする72万人の子どもを含む130万人へ緊急支援活動を行うための資金として、1億4,978万米ドル(163億2,602万円※1米ドル=109円で計算)を国際社会に要請しています。しかしながら、一刻を争う現地の状況に対し、必要な活動資金は圧倒的に不足しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ロヒンギャ難民緊急募金にご協力をお願いいたします。

 

ロヒンギア難民の深刻な危機に隣人の助けをもっと

(国連UNHCR(高等弁務官事務所)協会)

 ミャンマーでは軍隊に脅され、家業である農業もできず、移動することも許されなかったモハマド(40歳)は、2017年8月、ミャンマーでの暴力行為から避難するため、15日かけてバングラデシュまで歩いて逃れました。2歳の娘・フォーミナの目は感染症にかかり、ずっと腫れあがったままです。

 ミャンマーのラカイン州北部で起きた暴力行為により、隣国バングラデシュに逃れるロヒンギャ(ミャンマーのイスラム系少数民族)の人々が急増しています。その数は2017年8月25日から推定72万3,000人*にのぼっています。 (* 8月15日現在)また、避難するロヒンギャ難民のうち、55%が18歳未満の子どもです。大半が徒歩でジャングルに隠れながら山や川、海を渡り、人々は水も食糧もなく、体調を崩し弱り切った身体で国境を越えています。水も不足し衛生環境が悪化する中、ジフテリアなど感染症の発生が懸念されています。

「思いをはせてください。栄養失調で苦しむ子どもを前に、なすすべもなくただ涙する母親を」UNHCRバングラデシュ事務所 久保眞治 前代表

 難民が続々と到着し、足の踏み場もないような大混乱の中、「今日助けなければ、明日この人は死んでしまう」という状態の人を最優先に救うため、現場の職員は多くの苦渋の決断を迫られました。難民に涙ながらに懇願されても、すぐに物資を手渡すことができない苦しさ、無力感。それでも、「助かる命を何としても救わなければ」と一歩も引かぬ思いで、UNHCRは全力で難民の保護活動にあたってきたのです。
私が難民支援にあたる上で、一つずっとこだわっていることがあります。それは「難民の目となり、耳となり、声となる」ということです。一番大事なことは「難民の声を届ける」ということだと肝に銘じて、どんな厳しい状況でも、それだけは絶対にやり続けようと思ってきました。

 ロヒンギャ難民は、難民というだけではありません。国籍すら持っていないのです。すべての権利を奪われ、暴力や略奪の犠牲となり、家を追われ、私たちの想像を絶する絶望と悲劇を押しつけられてきたのです。どうぞ、思いをはせてください。冷たい風雨の中、壊れたテントで暮らし続ける家族を。栄養失調で苦しむ子どもを前に、なすすべもなくただ涙する母親を。これほどの苦しみの中で、ロヒンギャの人々はバングラデシュにたどり着き、そして生きていこうとしています。

 UNHCRは現地の協力機関とともに、着の身着のままで逃げ出さざるをえなかった人々のため、必要な物資の供給を行っています。
2017年9月から継続的に空輸等で救援物資の供給を行い、12月までに10万939枚の防水用ビニールシート、19万8,985枚の就寝用マットと19万8,831枚の毛布、3万9,683家族分の調理器具セット、7万9,366枚の蚊帳、7万9,937個の水汲み容器等を供給しました。また、16万1,000人の難民が水へのアクセスが可能となっています。

深刻な資金不足 ロヒンギャの人々への影響は?

 2018年1月現在、ロヒンギャの人々の支援に必要な資金は、62%しか集まっていません。このままでは、以下のような影響が及ぶ恐れがあるのです。

 シェルターの補強をするロヒンギャ難民の一家

●シェルターの改修が間に合わなくなる
サイクロンの季節(雨季)が目前に迫っています。より耐久性のあるシェルターへの変更が緊急に必要です。

●栄養失調の子どもたちへの支援が削減される
資金が不足すれば、難民キャンプでは入手困難な生鮮食品や栄養のある食べ物の提供が難しくなります。また、栄養失調の子どもたちを治療しサポートする栄養改善センターで提供する支援も、削減せざるを得なくなってしまいます。

●「今すぐに保護が必要」な人々への支援が行き渡らなくなる
親のない子どもや負傷者、妊産婦など、すぐに支援が必要な人々を決して取り残さないよう、「プロテクションチーム」が難民キャンプや地域をくまなくまわり、緊急のケースに即座に対応するのがUNHCRの強みです。しかし資金不足により人員を削減せざるを得ず、UNHCRの活動の根幹である、「弱い立場の人々への保護」が手薄になる危険性が大きく増します。

 

【ロヒンギャの人々へ、私たちができること】

 私たちの住むアジアの一角で、今まさにこの悲劇が起きています。ロヒンギャの人々を救うため、ぜひご支援をお願いいたします。これほどの苦しみを、これほどの痛みを、懸命に耐えてきたロヒンギャの人々。どうぞ、彼らの命と希望を、私たちと一緒に支えてください。

 当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります。皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

2018年9月26日

・「司教団は教皇を頭に『愛と平和と一致』の証し人に」-菊地大司教、パリウム授与式で

(2018.9.19「カトリック・あい」)

 菊地功・東京教会管区大司教(東京大司教)はさる6月29日に、世界の教会管区大司教に授けられる教皇の権威の象徴、パリウムを教皇フランシスコから受けていたが、17日、東京カテドラル聖マリア大聖堂で、駐日バチカン大使・チェノットゥ大司教による正式な授与式が、両大司教の共同司式ミサの中で行われた。

1801 パリウムは、管区大司教(メトロポリタン)の教皇との一致のしるしとして授けられるもの。この一年間に管区大司教として任命を受けた大司教は世界に30名で、そのうちの28名が6月29日、教皇ミサに参加し、箱に入れられたパリウムを受けて帰国していた。以前は、教皇が各大司教に渡す習慣になっていたが、教皇フランシスコは、パリウムを「管区共同体の一致と協力の証し」として各カテドラルで、教皇大使から授与することに改め、今回もそれに従ったもの。

 授与式ミサには管区司教団を代表して、さいたまの山野内被選司教が参加し、司祭、信徒も多く参加して祈りを共にした。

 (注・東京教会管区は、札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟の6つの教区から成る。トップは菊地大司教)

*菊地大司教によるパリウムミサの説教は、次の通り。(「司教の日記」より転載)

 さる6月29日、サンピエトロ広場で捧げられたミサの中で、教皇さまはこの一年間に管区大司教として任命された30名の大司教に与えるパリウムを祝福され、ミサの終わりに、当日共同司式に参加した28名の大司教に、パリウムを渡されました。私も当日、その28名の1人として教皇さまのミサで共同司式をし、箱に入ったパリウムをいただいてまいりました。

 その日はペトロ・パウロの祝日でしたが、教皇さまは、ミサの説教で「ペトロの生涯と信仰告白を観想することは、使徒の人生につきまとう誘惑について学ぶことでもあるのです」と話され、「ペトロのように、教会もまた、宣教のつまずきとなる悪のささやきに、常にさらされている」と注意を促されました。

 また「メシアであるキリストの業に参与することは、キリストの栄光、すなわち十字架に参与すること」と強調され、イエス・キリストにおいて「栄光と十字架は常に共にあり、それらは切り離すことができません」と説かれました。神の栄光は常に苦しみとともにあり、苦しみを避けて、安易な道をたどって栄光に達することはあり得ないと説かれました。

 この世において聖なる存在、善なる存在であるはずの教会は、残念ながら時にその道からはずれ、悪のささやきに身をゆだねてしまうことすらあります。

 ちょうど今、米国での聖職者による性的虐待問題の報告書など、教会が聖なる道から離れ、善なる存在とは全く異なる過ちを犯した問題が各国で明らかになっています。教会において、聖性の模範であるはずの聖職者が、全く反対の行動をとって多くの人の心と体を傷つけ恐怖を与えてきたことを、特に私たち聖職者は真摯に反省し、許しを乞い願わねばならない、と思います。

 教会が今直面する危機的状況は、単に偶発的に発生している問題ではなく、結局は、これまでの歴史の積み重ねであり、悪のささやきに身を任せて積み重なった諸々のつまずきが、あらわになっているのだろう、と思います。

 教皇さまを頂点とする教会は、結局のところ、この世における巨大組織体ともなっています。組織が巨大になればなるほど、その随所で権力の乱用と腐敗が生じるのは世の常であります。この世の組織としての教会のあり方をも、私たちは今、真摯に反省し、組織を自己実現のためではなく、「神の国の実現のために資する共同体」へと育てていかなければならない。そういう「とき」に、生きているのだと感じています。

 そして、虐待の被害に遭われた多くの方が心に抱いている傷の深さに思いを馳せ、許しを願いながら、その傷に癒しがもたらされるように、できる限りの努力を積み重ねる決意を新たにしたいと思います。また同時に、各地で露見しているこれらの問題の責任を一身に受け、解決のために尽力されている教皇さまのためにも祈りたいと思います。

 教会は「キリストの光をもってすべての人を照らそうと切に望む存在」であるはずです。

 確かに現代社会の様々な現実を客観的に見るならば、私たちは「輝く光」の中と言うよりも、「暗闇」の中にさまよっている存在だ、と感じることがあります。それは特に、神が賜物として与えられた人間の命、神の似姿として尊厳を与えられた人間の命が、社会の様々な現実の中で危機にさらされていること。その初めから終わりまで、例外なく大切にされ、護られなくてはならない命が、危機にさらされている様々な現実を目の当たりにする時、まさしく私たちは「暗闇の中に生きている」と感じさせられます。

 その暗闇の中で、教会は「キリストの光を輝かせる存在」でなくてはならない。果たして、その役割を真摯に果たしているのだろうか。もし仮に私たちがその光を輝かせていないのであれば、私たちは真摯に自らを省みなくてはなりません。いったい何を恐れて光を輝かせていないのか。どのような困難が、私たちを光り輝く存在から遠いものにしてしまっているか。

 教会は「神との親密な交わりと全人類一致のしるし、道具」であります。確かに現代社会の様々な現実を客観的に見るならば、私たちは一致と言うよりも分裂の中に生きている、と感じることがあります。教皇さまがしばしば指摘されるように、現代社会には排除の論理が横行し、異質な存在を排斥し、時に無視し、自分を中心とした身内だけの一致を護ろうとする傾向が見受けられます。教皇さまは「廃棄の文化」という言葉さえ使われます。弱い立場にある人、助けを必要としている人に手を差し伸べるのではなく、そんな人たちは存在しないものとして、社会の枠から追い出されてしまう、捨てられてしまう…。

 そんな現実の中で、教会は「神との交わりのうちにおける一致を、その存在を通じて明確に示している」のでしょうか。残念ながら、教会の中にでさえ、不和があり、押しつけがあり、横暴があり、排除があり、一致を明確に示しているとは言いがたい現実があることは、否定できません。小教区の中における一致も重要ですし、とりわけ、聖職者の間での不一致は、大きなつまずきとなっています。一致を妨げているものはいったい何でしょうか。自らの欲望を優先させる利己的な思いは、その要因の一つであると感じることがあります。

 教会憲章は、全世界の司教と教皇との交わりを「一致と愛と平和の絆」における交わりである、と指摘します。

 教会が一致を明確に示す存在であるように、その牧者である司教団も、教皇さまを頭として、まさしく「愛と平和と一致」の証し人とならなければ、存在する意味がありません。

 パリウムを教皇さまからいただくことで、私は、ローマの司教との一致をよりいっそう自覚させられます。教皇さまの牧者としての導きに信頼しながら、私自身の言葉と行いが一致と愛と平和の絆の証しとなるように、心がけなくてはならないと思っています。

 教皇さまのためにお祈りいたしましょう。そして教皇さまと一致しながら、使徒団を構成する司教のためにも、どうぞお祈りください。さらには、聖性のうちにキリスト者の模範となるべく努力を続ける司祭・聖職者のためにも、どうぞお祈りください。

 そして私たち一人ひとりの存在が作り上げている教会のために、ともに祈りましょう。教会が、この社会にあって聖なる存在であるように、この社会に善なる道しるべであるように、そしてこの社会に対して一致の証しとなるように、聖霊が力強く導いてくださるように、ともに祈りを捧げたいと思います。

2018年9月19日

・福音宣教省が「新求道共同体の道」神学院の院長、副院長任命

(2018.9.16 「カトリック・あい」)

 バチカンの福音宣教省が、日本の司教団との事前協議なしに「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の司祭を養成する神学院の東京への設置を一方的に通告して関係者の間に物議をかもしているが、同団体に所属する司祭が14日付けの自身のブログで明らかにしたところによると、神学院の名称は「アジアのためのレデンプトーリス・マーテル神学院」で、院長にダビッド・シケル神父、副院長にアンヘル・ルイス神父が任命された、という。設置場所はどこか、すでに開設されたのかなどは、明らかにされていない。

(再録)

 ネオカテクーメナートは1964年にスペイン人信徒、キコ・アルグエイオによって始まった運動。キコは、ジプシーやマドリッドの社会から疎外された人々を対象に、片手にギター、片手に聖書をもって福音宣教を開始。多くの司祭や修道者たちの賛同を得て「共同体」として発展、現在は1万を越える「共同体」が世界各地に存在すると言われる。だが、典礼その他で創始者や共同体の方針、指導を優先する傾向もみられ、英ランカスター教区でそのミサ典礼に規制をかける動きなども出ている。

 ⇒ネオカテクーメナートの特徴とされているのは、小教区の信徒の信仰養成、信仰生活の刷新を基本目的とし、週に二回定期的な集会、聖書の勉強と黙想、分かち合い、土曜日の夜は共同体のための感謝の祭儀(ミサ)を行うこと。聖書解釈には原理主義的な傾きがあり、過度に禁欲的、一般社会から閉鎖的、信徒の義務(たとえば、収入の十分の一の月定献金の義務)に関して厳格、などの指摘もある。個人の内的な改心にアクセントを置くあまり、社会に開かれた実践的信仰に消極的、何事においても創始者や新求道共同体の方針や指導を優先する傾向が強く、地域の教会の宜教司牧の方針に耳を傾け、心を開いて、積極的に協力しようとする姿勢は乏しい、ともいわれる。主任司祭が新求道共同体のメンバーであり、その祭儀を小教区のミサとして位置づける時は、それについていけない一般信徒にとって苦痛となる。それは小教区の分裂をおこす引き金になりうる。事実、典礼がもとで 新求道共同体と主任司祭を含めた小教区共同体と対立してしまったケースは、世界のいくつかの小教区でみられる。

 日本では、ネオカテクーメナートの神学院が高松教区に設立されていたが、小教区に派遣されたネオカテクーメナート共同体の司祭たちが、独自の司牧を展開し、信徒たちの間に深刻な分裂をもたらした結果、日本の司教団が閉鎖を求め、2009年に閉鎖された。

 閉鎖を求めた理由として当時説明されたのは「現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題」「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」「権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」ということだった、と報道されている。

 さらに、日本の司教団は、ネオカテクーメナートの責任者に対し、活動を5年間停止して、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とし、「5年経過した後に、司教側はネオカテクーメナートと問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るな、と言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」としていた。

 だが、このような求めに対して、当事者であるネオカテクーメナートの責任者やバチカンの福音宣教省から、誠意のある説明が日本の司教団にあった、あるいは突っ込んだ話し合いがされた、とは伝えられていない。そうした中での、一方的ともいえる神学院の再設置は、自身がこの共同体のメンバーと言われる、福音宣教省長官の一方的な”強行”と見られてもしかたがない。

 日本の司教団は今年2月、これまで全国一本だった司祭養成の体制を、東京、福岡2キャンパスからなる一つの「日本カトリック神学院」によるものから、「東京、福岡の二つ東京、大阪両教会管区11教区、長崎教会管区5教区)諸教区共立神学校」という別々の二つの司祭養成の体制に変更することを決め、司祭養成は事実上の「分裂」状態になろうとしている。その中での、バチカン福音宣教省直轄の神学院設立という今回の事態で、小さな日本のカトリック教会共同体は、司祭養成という極めて重要な分野で、三つの体制が乱立し、「日本の一つの教会」の理想からかけ離れ、さらなる危機を迎える可能性がある。

2018年9月16日

・北海道胆振東部地震被災への支援について(札幌司教区)

カトリック札幌司教区 信徒、修道者、司祭の皆さまへ 2018 年9 月14 日 カトリック札幌司教区 司教 勝谷 太治

✞主の平安 今回の地震の被害にあわれた方々に心からお悔みを申し上げますとともに、復興に向けて頑張っておられる方々に札幌教区としてできる限り支援していきたいと考えています。

先般、教区事務局長から第一報として教区の支援に関する概要をお知らせしていますが、ここに改めまして第2報として次の通り皆様にお願いいたします。

1. 被災地へのボランティア支援についてこのお知らせと共に札幌教区サポートセンターから発行された別紙、北海道胆振東部地震被災への支援についての「札幌教区ボランティア派遣要綱」をご覧いただき、皆様のご協力をお願いします。

2. 被災地復興支援への支援金のお願い

① カリタスジャパンは今回の地震被害に関する緊急募金は行わずに手持ち金で、被災地全般への支援をしていくことになりました。しかし、教会施設の被災に関しましてはカリタスジャパンの支援対象外となります。従いまして、教会の被災建物や構築物(墓石など含む)の被害に対する支援金を札幌教区独自に募ることが必要となります。度重なるお願いとなりますが、皆様からのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。支援方法等の詳細は、同送の札幌教区サポートセンター発行文書をご覧下さい。

② 災害支援手持ち資金の有効活用について
2011年4月8日付の「東日本大震災について(第3報)」に記載し、4月11日から札幌教区で行うボランティアなど被災者支援のための活動や、救援物資のため「札幌教区災害支援募金口」を開設し支援金を募りました。教区でのボランティア活動が終了したら、今後の全国の状況を見て優先すべきところがあれば、そこの援助に振り分けることを記してあります。しかし、東日本大震災以後、国内だけでも熊本地震災害や西日本豪雨災害、関西台風災害などと続いています。つきましては、東日本大震災支援をきっかけに始め皆様に協力いただいた支援金の手持ち金を、東日本大震災の支援と共に、その後起きた災害やこれからおこる災害の支援のために有効活用させていただければと考えています。これから募る支援金も含め、適時、札幌教区が行う教区内外の様々な災害支援に振り分けていきたいと思います。皆様のご理解をよろしくお願いします。
神様の恵みが皆さんの上に豊かにありますようお祈り申し上げます。

カトリック札幌司教区 信徒、修道者、司祭の皆さまへ  札幌教区サポートセンター長 カトリック札 幌 司 教 区事 務 局 長 佐 藤 謙 一

✞主の平安 別紙の通り、勝谷司教様から皆様に今回の災害への支援についてお知らせがなされましたが、その詳細について次の通りお知らせいたします。司祭・代表者の方々には皆さま方への告知よろしくお願いします。

1.被災地復興支援への支援金のお願いについて:カリタスジャパンは今回の地震災害に関して緊急募金は行わず手持ち金で賄うことを決めました。また、札幌教区ではカリタスジャパンの支援対象外である教会関係施設の修復等に必要な資金およそ1千万円の支援金を募ることに致しました。三教会の被害と、特に三カ所のカトリック墓地の被害が地震前の台風の余波と重なり樹木の倒壊、墓石の倒壊とひどい状態です。教区で募る災害支援金への皆さんのご協力をお願いします。
【支援金の振込先】郵便振替 02740-8-35329 札幌カリタス ※ 通信欄に「災害支援」「北海道震災支援」「胆振東部震災支援」などと明記

2.被災地へのボランティア支援について:現地社協要望や先遣隊の報告に基づき、次の内容でボランティア活動を行っていきます。

<札幌教区ボランティア派遣要綱>

① 期間: 現時点では9月末までを目途と考えておりますが、被災地の厚真町の状況によって延長などについて判断します。今週は先遣隊派遣として、来週月曜日(9/17)から送迎車両(⑤の項目参照)を運行します。

② 対象: 個人参加といたします。 (北海道在住の方に限定されています)

③ 申込: 活動日前日の正午までに、厚真町社会福祉協議会(厚真町災害ボランティアセンター)へ、電話かメールで申し込むことが必要です。住所: 厚真町本郷283-2(旧かしわ保育園)電話: 090-7647-6583 E-mail:atsumavc@yahoo.co.jp

※ 厚真町災害ボランティアセンターWeb ページやフェイスブックから最新状況を確認して申し込むことをお勧めします。
④ 申込内容: 活動日、氏名、年齢、性別、居住地、移動手段、過去の災害ボランィア経験、保険(天災型)加入の有無。

⑤ 送迎: 現地への交通手段がない方は、司教館発の送迎を9月17日(月)から開始します。送迎が必要な方は、前日の現地への申込が済んだ時点で連絡下さい(連絡先は⑩の項目を参照)。

※ 現時点での運行予定日: 9 月17 日(月)19 日(水)21 日(金)22 日(土)24 日(月)26 日(水)27 日(木)28 日(金)30 日(日)

⑥ 送迎の際の日程(札幌司教館からの発着となりますのでご留意下さい)7:00 札幌司教館出発⇒ 9:00 オリエンテーション⇒ ボランティア活動⇒ 15:30 頃厚真町出発⇒ 17:00 頃札幌司教館到着

※ 上記時間は予定で混み具合によって異なります。参考として、司教館から現地まで車で、司教館⇒千歳インター⇒36号線⇒茂田石油左折⇒安平町から厚真町のルートで、1時間40分程度かかります。※ 前後の宿泊が必要な方は教区カトリックセンターに宿泊可能です。シーツ2枚と洗面具関係をご持参ください。

⑦ ボランティア保険の加入: 各自で加入して下さい。(現地社協でも申込可能ですが、できるだけ居住先の社協で加入して下さい)

⑧ 現地での宿泊: 宿泊施設はありません。野営、車中泊も遠慮願うとのことです。

⑨ 活動に必要なもの: 動きやすい服装、着替え、上靴、タオル、帽子、軍手、雨具、マスク、飲み物、昼食、ヘルメット(無くても大丈夫そうです。司教館に備品有)。

⑩ 連絡先・問合せ: 電話 080-9616-0185 担当:佐久間神父 E-mail caritas.sapporo5943@gmail.com 以上

2018年9月15日

・インド枢機卿、”強姦司教”の問題をバチカンと連携して取り上げへ(CRUX)

(2018.9.13 

ムンバイ(インド)-インドでカトリック司教が修道女を強姦した事件が大きな問題になっているが、同国のカトリック教会の最高責任者が、バチカンの担当者とともにこの問題に対処することを明らかにした。

 ボンベイ大司教でインド・カトリック司教協議会会長のオズワルド・グラシアス枢機卿が13日、Cruxとのインタビューで明らかにしたもので、近く、バチカン福音宣教省のフェルナンド・フィローニ長官とこの問題について話し合う予定だ。グラシアス枢機卿は教皇の枢機卿顧問会議のメンバーの一人で、前日まで開かれた同会議に出席のため、ローマに滞在している。

 インタビューで枢機卿は「(フィローニ長官とは)フランコ・ムラッカイ司教の問題を話し合う」と述べた。ムラッカイ司教は、2014年から2016年にかけて一人の修道女を繰り返し強姦した、として訴えられている。被害者の修道女は6月29日に彼女が住むケララ州の警察に被害を届け出、警察が捜査を開始しており、「私には司法権がないが、インドのカトリック教会にかかわる問題なので、バチカンの福音宣教省で取り上げられることになるでしょう」と説明した。グラシアス枢機卿はインド司教協議会のトップだが、個々の司教の規律に関する問題はバチカンに権限があるからだ。

 ムラッカイは北西部、パンジャブ州のジャランダ―司教。修道女が所属するイエス宣教修道女会の本部も同州にあるが、性的暴行があったとされるのは、ケララ州の同会修道院だった。彼は容疑を強く否認し、「彼女は自分が既婚男性と関係をもったという苦情を調べられた腹いせに、私を訴えたのだ」と主張している。

 ケララ州はインドで最もキリスト教徒が占める割合の高い州で、多くの司祭や修道女などを輩出している。問題の修道院は、同州出身の司祭が宿泊する施設を持っており、ムラッカイも同州を訪れた時に利用していた。

 ムラッカイは8月13日に居住地のジャランダ―で警察当局の捜査班から事情聴取を受けているが、警察当局は12日、ムラッカイに対して19日に出頭するよう求めた。担当刑事は「この事件には多くの矛盾があります。口頭の証言がもとになった古い事件です。多くの矛盾を検証しています。私たちの仕事は被害者と証人を保護することです」と語っている。

 ムラッカイはまた、11日のある会見で、訴えた修道女を「嘘つき」と呼び、警察当局の捜査には協力する、と述べた。ケララ州最大の都市、コチ市では被害者の仲間の修道女たちが、8日以来、ムラッカイに抗議する活動を続けているが、被害者が所属する修道会は10日に声明を発表し、ムラッカイを「申し立てで十字架につけられた『無実の魂』」として擁護している。

 被害者の修道女は今月初め、警察に被害を届け出るため、修道院の彼女のオートバイに乗ろうとして、ブレーキが壊されているのを発見した。また、届け出の後、電話で繰り返し殺害予告の脅しを受け、彼女の姉妹も脅された、という。このため、警察は12日に、彼女を保護下に置く措置をとっている。ケララ州政府の高官は「州政府は被害者の側に立ちます。心配する必要はない。適当な時に正しい判断をします。警察は証拠を集め、犯人たちを特定します。捜査は進んでいます。女性の謙虚さを損なうようなことは、誰にもさせません」と言明した。

 なお、グラシアス枢機卿はCruxに対して、自分がインドに帰国した後、司教団がこの問題について協議、調査することになる、と述べた。

 ムラッカイの問題は、現在、世界のカトリック教会に深刻な打撃を与えている一連のスキャンダルーチリでの多くの高位聖職者が関与した性的虐待隠ぺい問題、米ペンシルバニア州の大陪審が発表した何十年にもわたる多くの聖職者による性的虐待の調査結果、そして先に枢機卿の称号をはく奪されたセオドール・マカリックに対する司祭や神学生との性的関係の噂に加えての、幼児性的虐待の訴えーの一つに過ぎない。

 グラシアス枢機卿は12日まで行われた枢機卿顧問会議での聖職者による性的虐待の問題に関する議論に加わったが、教皇はこの会議の終わりに、全世界の司教協議会の会長たちによるこの問題についての会議を来年2月21日から24日まで開くことを提案し、決定した。

 枢機卿は、会議ですべきこととして「まず、この問題の深刻さを認識すること。次に、これまでの問題がどのように扱われ、被害者をどのようにケアしてきたのか、を議論し、最後に、これが最も重要ですが、今後、このような事態が起こらないようにする対策を考えることです」とCruxに語った。現在も生存している被害者のケアに関する文書の発出も話し合われるだろう、としている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2018年9月13日

・ 国連人権理事会 ミャンマーの責任追及訴え、国際刑事裁判所 ロヒンギャ迫害で予備的調査

 人権理事会は、国連ヨーロッパ本部で10日から始まり、新たに人権高等弁務官に就任したチリの前の大統領のバチェレ氏がミャンマーからの避難を余儀なくされている少数派のロヒンギャの人たちについて発言しました。この中でバチェレ氏は、「人権理事会の調査団は大量虐殺が行われた疑いを明らかにした。今も迫害が行われているおそれがあり、ミャンマーは裁かれなければならない」と指摘して、国際刑事裁判所など国際的な枠組みで責任を追及すべきだと訴えました。

 人権理事会をめぐっては、アメリカがことし6月、「慢性的なイスラエルへの偏見を抱えている」として離脱を表明していて、今回からはアメリカに代わってアイスランドが参加しています。

 理事会は今月28日まで行われ、中国政府が新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族の人たちをテロ対策を名目に不当に大勢拘束しているとされる問題など世界各地の人権問題が議論されます。

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国際刑事裁判所 ロヒンギャ迫害で予備的調査へ

 ミャンマーの治安部隊が、国内の少数派ロヒンギャの人たちを迫害した疑いについて、国際刑事裁判所は、この事案を取り扱う権限があると判断し、裁判所の検察官による予備的な調査が始まることになりました。

 ミャンマー西部では、少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの武装勢力と政府の治安部隊の衝突で、これまでに推計で70万人以上のロヒンギャの人たちが、隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされています。国際社会からは「少数派の迫害だ」として、国際刑事裁判所への付託を求める声が上がっていましたが、ミャンマーが国際刑事裁判所に加盟していないため、取り扱う権限があるかどうかが焦点となっていました。

 こうした中、国際刑事裁判所は6日、「犯罪の一部は加盟国のバングラデシュで行われた。人道に対する罪が疑われる行為を取り扱う権限がある」と発表し、裁判所の検察官が予備的な調査を始めることになりました。

 この問題をめぐっては、先月、国連が現地で調査した結果、ロヒンギャの人たちに対する無差別な殺害や暴行、それに村の焼き打ちが繰り返されていたことが確認されたとして、ミャンマー軍の幹部らを訴追するよう求めていました。

2018年9月12日