・「熱心に祈り、できることから始めよう」-8月6日からの平和旬間へ、司教協議会会長が呼び掛け

 1981年2月25日、聖ヨハネ・パウロ二世教皇は、広島で鮮烈な平和アピールをなさいました。そのアピールに呼応して日本の教会は翌年から「日本カトリック平和旬間」をもうけて、平和について考え、平和のために祈り行動するよう努めてきました。「広島平和アピール」から38年9カ月後の今年11月、教皇フランシスコが日本を訪問され、新たな平和メッセージを世界に向けて発信してくださるものと期待しています。

 教皇フランシスコは、就任以来、折に触れて平和と核兵器廃絶について発言してこられました。2017年7月7日、国連総会で「核兵器禁止条約」という画期的な条約が採択されました。これに先立つ3月23日に、教皇は国連総会に、次のようなメッセージを送られました。

 「テロ、軍事力の差のある者同士の紛争、情報の安全確保、環境の問題、貧困などは、複雑に絡み合って、現代世界の平和と安全を脅かしています。しかし核の脅威はそのような課題に効果的に応えることはできません。恐怖に基づく安定は、実際には恐怖をさらに増し、諸国民の信頼関係を損なうだけです。もしそうなら、その安定をどれだけ維持できるか自問すべきです。国際平和と安定は、互いの破壊または全滅の脅威とか、単なる力の均衡の維持といった、誤った安心感の上に成り立ち得ません。平和は、正義、人間の全人的発展、基本的人権の尊重、被造物の保護、すべての人の社会生活への参加、諸国民間の信頼、平和を重んじる制度の促進、教育と福祉の恩恵に浴すること、対話と連帯の上に築かれなければなりません」。

 なお、バチカンは「核兵器禁止条約」を2017年9月20日に、各国に先駆けて批准した三カ国の一つですし、同年11月には国際会議「核兵器のない世界と総合的軍縮への展望」を主催しました。

 教皇フランシスコによると、「すべての人の全人的発展」とは、諸国民の間に経済格差や排除がないこと、社会が誰一人排除されず、だれもが参加できる開かれたものであること、人間の成長発展になくてはならない経済、文化、家庭生活、宗教などが保障されること、個人が自由であると同時に共同体の一員であること、一人ひとりに神が現存されることなどを意味します。平和は、この「すべての人の全人的な発展の実り」として生まれるのです(使徒的勧告『福音の喜び』219項)。

 従って、世界の平和と安全を築き確かなものとするためには、核兵器廃絶によって核の脅威を払拭するだけではなく、それと同時にすべての人があらゆる面でより豊かにされていく必要があるということです。

 教皇とともに、核兵器廃絶の実現を求めつつ、すべての人の全人的発展に深くかかわることによって平和をつくっていくことができるよう、平和の神に熱心に祈り、それぞれができることから始めるようにいたしましょう。

              2019年7月7日 日本カトリック司教協議会会長 カトリック長崎大司教 髙見 三明

(編集「カトリック・あい」)

2019年7月20日

・バチカン福音宣教省が”新求道共同体の道”神学院の東京設立計画の見直し決定

(2019.7.17  カトリック・あい)

 カトリック東京大司教区の菊地大司教がこのほど、大司教区の信徒あてのお知らせで、バチカンの福音宣教省のフィローニ長官から、同省による「Redemptoris Mater」神学院設立計画について見直しを決めた、との通知を受けたことを明らかにした。

 「お知らせ」によると、アジアにおける福音宣教を目的として「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)の信徒を司祭として養成(同神学院規約3項)」するために、「アジアのためのレデンプトーリス・マーテル神学院」を東京を本拠地として設立し、福音宣教省の直轄運営とするーと同省が昨年夏決定、通知を受けていたが、フィローニ長官から菊地大司教に宛てた6月17日付の書簡で、「教皇様ならびに新求道共同体の道の代表と協議の結果、同計画を見直すことを決定した」との通知を受けた。

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 (「カトリック・あい」解説)

 今回の福音宣教省長官からの”計画見直し”の決定は、同計画の事実上の白紙撤回を意味するとみられる。

 福音宣教省は昨年夏、日本の司教団との事前協議なしに「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の司祭を養成する神学院の東京への設置を一方的に通告、さらに神学院の名称を「アジアのためのレデンプトーリス・マーテル神学院」とし、院長、副院長を任命するなど具体的な準備を進めるに至って、日本の司教団の間に大きな物議を醸していた。

 ネオカテクーメナートは1964年にスペイン人信徒、キコ・アルグエイオによって始まった運動。キコは、ジプシーやマドリッドの社会から疎外された人々を対象に、片手にギター、片手に聖書をもって福音宣教を開始。多くの司祭や修道者たちの賛同を得て「共同体」として発展、現在は1万を越える「共同体」が世界各地に存在すると言われる。だが、典礼その他で創始者や共同体の方針、指導を優先する傾向もみられ、英ランカスター教区でそのミサ典礼に規制をかける動きなども出ている。

 日本では、ネオカテクーメナートの神学院が高松教区に設立されていたが、小教区に派遣されたネオカテクーメナート共同体の司祭たちが、独自の司牧を展開し、信徒たちの間に深刻な分裂をもたらした結果、日本の司教団が閉鎖を求め、2009年に閉鎖された。

 閉鎖を求めた理由として当時説明されたのは「現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題」「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」「権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」ということだった、と報道されている。

 さらに、日本の司教団は、ネオカテクーメナートの責任者に対し、活動を5年間停止して、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とし、「5年経過した後に、司教側はネオカテクーメナートと問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るな、と言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」としていた。

 だが、このような求めに対して、当事者であるネオカテクーメナートの責任者やバチカンの福音宣教省から、誠意のある説明が日本の司教団にあった、あるいは突っ込んだ話し合いがされた、とは伝えられていない。そうした中での、一方的ともいえる神学院の再設置は、自身がこの共同体のメンバーと言われる、福音宣教省長官の一方的な”強行”と見られてもしかたがない、との見方も出ていた。

 日本の司教団は今年2月、これまで全国一本だった司祭養成の体制を、東京、福岡2キャンパスからなる一つの「日本カトリック神学院」によるものから、「東京、福岡の二つ東京、大阪両教会管区11教区、長崎教会管区5教区)諸教区共立神学校」という別々の二つの司祭養成の体制に変更することを決め、司祭養成は事実上の「分裂」状態になろうとしている。その中での、バチカン福音宣教省直轄の神学院設立という今回の事態で、小さな日本のカトリック教会共同体は、司祭養成という極めて重要な分野で、三つの体制が乱立し、「日本の一つの教会」の理想からかけ離れ、さらなる危機を迎える可能性がでていたが、少なくとも、新求道共同体の道の神学院設立問題は当面、消えたとみといいだろう。

2019年7月17日

・日本の若者自殺深刻 -2018年の未成年自殺死亡率最悪

(2019.7.16 カトリック・あい)
政府は16日の閣議で2019年版「自殺対策白書」を決定した。2018年の全世代の自殺者総数は、前年より481人少ない2万840人で、9年連続の減少。人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」も減少している。だが、19歳以下の自殺者は前年比32人増の599人に上り、自殺死亡率は統計を取り始めた1978年以降で最悪の人口10万人当たり2.8を記録した。

 白書は「我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺。こうした状況は国際的にみても深刻であり、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高い」「若者の状況を把握するとともに、対策の効果検証を行い、見直していくことが必要」と指摘。白書を決定した16日の閣議の後の記者会見で、根本匠厚生労働相は「関係省庁と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、取り組みを進める」と述べた。

 10代の自殺で特定できた原因・動機のうち最も多かったのは「学校問題」。10~19歳の自殺者のうち遺書などから特定できた原因・動機を1人につき3つまで計上した結果、延べ568人中、学校に関する問題が188人(33%)と最多を占め、健康問題の119人(21%)、家庭問題の116人(20%)が続いた。

 学校問題の内訳をみると、学業不振の57人が最も多く、進路の悩み(46人)、学友との不和(27人)の順番だった。

 小学生は男子・女子ともに家庭問題に起因する理由が多かったが、中学生以上になると、男子は学業不振が最多を占めた。女子は中学生では「親子関係の不和」が多かったが、高校生以上になると、うつ病が最多となった。

 厚労省は、主に若者を対象にした自殺対策としてSNS(交流サイト)の相談事業を実施。18年度の相談件数は延べ2万2725件で、相談者は19 歳以下の未成年が最も多く、20 代、30代と続いた。相談内容は「メンタル不調」「自殺念慮」「家族」などが多かった。

 

 

 

 

2019年7月16日

・中国共産党幹部の河南省訪問、宗教の”中国化”に呼応した宗教施設破壊・転用激化、陝西省では国家公認の教会破壊

(2019.7.12 Bitter Winter 

*党上層部に宗教弾圧への熱意を示すため、滎陽市当局はキリスト教および民間信仰の礼拝所を多数閉鎖した。

 4月15日から17日にかけて 中国共産党 中央政治局常務委員会委員、中国人民政治協商会議主席の汪洋(ワン・ヤン)氏が中国中央部、河南  を訪れ、宗教に対する取り組みを視察し、田舎の宗教関連施設を調査した。開封 、周口市、省都の鄭州市などの地域で行われた会議で氏は、対宗教業務において中国共産党の指導力を高め、「積極的に宗教を『中国化』する効率的な施策を探求」する必要性を強調した。

 汪氏の訪問に興奮した地元政府は信仰を持つ人々を抑圧する行動に出た。鄭州市轄の訪問地のひとつ、人口63万人の 県級市、滎陽市の16の 郷級行政区 で少なくとも50の宗教関連施設が厳しい取り締まりを受けた。

*3日間で5つの教会を別用途に転用

 4月27日から30にかけて少なくとも5つの教会堂(政府公認の 三自教会家庭教会 の区別はなし)が別用途に転用され、信者たちは信仰を実践するための場所を失った。4月30日、高山  にある三自教会の3つの尖塔が取り外され、「滎陽市高山鎮石洞溝村活動センター」と書かれた看板が教会堂の外壁に掲げられた。

 2日前には城関  桃李  の真耶蘇教会が文化活動センターに変えられた。役人が、乗っ取りを断れば建物を壊すと言って会衆を脅し、無理やり合意させたのだ。

桃李村の真耶蘇教会は文化活動センターに変わった。桃李村の真耶蘇教会は文化活動センターに変わった。

 滎陽市中心街から14キロ離れた王村鎮后白楊村では、地元の役人が三自教会の会衆に礼拝所の将来について3つの選択肢を提示した。解体、譲渡、売却のいずれかだ。

 信者たちは教会を守ろうと18万人民元(約280万円)を集めて買い取ったが、当局にとってそれは無意味だった。4月27日、教会の尖塔が取り外され、高齢者センターに変わったことを伝える看板が外に掲げられた。

后白楊村の三自教会は高齢者介護サービスセンターに変わった。后白楊村の三自教会は高齢者介護サービスセンターに変わった。

王村鎮の村の三自教会は「オペラファンクラブ」に転用された。王村鎮の村の三自教会は「オペラファンクラブ」に転用された。

 一方、王村鎮のある村の三自教会は同様の建前で「オペラファンクラブ」に変えられた。

 同じく王村鎮轄の許庄村にある家庭教会の集会所は「楊子機械設備倉庫株式会社」に変わった。

*深刻な打撃を受ける民間信仰の寺院

 賈峪鎮では4月27日からわずか1週間のうちに主に民間信仰の24寺院が閉鎖された。信者たちの報告によると、地元政府は「上の方針」に従って閉鎖すると言ったという。また役人は閉鎖した寺院で香を焚く者がいれば逮捕するとして恫喝した。「共産党の政策は 文化大革命 時代の 毛沢東 の指針よりもずっと過酷です。とにかく厳し過ぎるのです。誰も抵抗しようとはしません」。ある寺院の責任者は話した。

 廣武鎮では5月12日から14日にかけて20近い民間信仰寺院が閉鎖になった。寺院の入口は封鎖され、叩き壊された香炉はレンガを詰め込まれたり、隠さ鳳凰頂大廟は5月13日に閉鎖された。れたりした。

 標的になった民間信仰の礼拝所のひとつ、王頂村の鳳凰頂大廟は5月13日に閉鎖され、その大きな香炉がひっくり返された。郷長が取り締まりに加わって写真を撮影した。政府が雇った警備員は参拝者が香を焚かないよう寺院の見張りを続けた。

鳳凰頂大廟は5月13日に閉鎖された。

160万人民元(約2,500万円)以上をかけて建てられたこの寺院の敷地はおよそ1,800平方メートルに及ぶ。以前は太陰月の1日と15日ごとに信者が寺院に長い列をなして香を焚いていた。

 地元の信者は政府の動きに怒り戸惑い、毛沢東時代の状況を思い起こしている。寺院閉鎖後、村民らは「政府は香を焚くのを禁じ、無理やり全員を党に服従させようとしています」と嘆いた。

 4月30日、喬楼鎮陳溝村で280平方メートル以上の敷地に広がる民間信仰の寺院がはるかに厳しい命運に直面した。建物を解体されたのだ。

喬楼鎮陳溝村の寺院は完全に粉々になった。喬楼鎮陳溝村の寺院は完全に粉々になった。

100人を超える信者が教会堂取り壊しに同意を強いられる

 養護施設として利用予定だった4階建ての教会別館が、建設中にもかかわらず最初に壊された。目撃者によると、取り壊し当日は警察官が教会を取り囲み、ブルドーザー3台が建物を破壊したという。2日後、教会本堂の屋根についていた十字架と三角形の骨組みが取り外された。

 この時点では、信者たちはまだ教会堂の存続に希望を持っていた。しかし2週間後、ブルドーザーの轟音が信者の最後の望みを完全に閉ざした。教会堂はがれきの山に変わってしまった。

勝利路に建つ教会堂の十字架は取り外された。勝利路に建つ教会堂の十字架は取り外された。

 情報提供者の話では、取り壊しの過程は、3階層の政府によって厳しく管理、監視されていたという。省、市、そして区の機関の役人が現場に立った。教会堂の周辺地域は「工事中」との口実で封鎖され、赤い腕章をつけた職員が地域内の各交差点を警備した。

 解体作業関係者以外は現場への入場を一切禁じられ、車両はすべて迂回を強いられた。職員は交代しながら24時間体制で地域全体を見張った。

 情報が広まるのを防ぐため、当局は厳しく現場を管理した。人々は足止めされ、取り壊しを撮影した写真がないかどうか携帯電話の内容を調べられた。

勝利路の教会堂は粉々に砕かれた。勝利路の教会堂は粉々に砕かれた。

 信者がBitter Winterに話したところによると、嫌がらせは教会の牧師の1人が自宅軟禁下に置かれた3月半ばには始まっていた。毎日午前8時から午前2時まで、警察と宗教局の役人が代わるがわる訪れては、教会堂の取り壊しに同意するよう圧力をかけてきた。絶え間ない迫害に疲れた牧師は病に倒れ、治療のため病院に運ばれた。

 当局がそこで手を引くことはなかった。彼らは教会職員のリストを入手し、100人を超える主要スタッフ、役員レベルの助祭、聖歌隊員を召喚し、威嚇や恫喝を繰り返して教会堂の取り壊しに同意する文書に署名させた。

 この教会堂の末路についてある住民は、中国の教会には大勢の信者がいるため、習近平 国家主席は自分自身の信者が足りなくなると考えているのではないか、それが理由で政府は教会を排除しているのではないか、と語った。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2019年7月12日

・日本カトリック難民移住移動委員会が14日の「船員の日」へメッセージ 

(2019.7.8 カトリック中央協議会)

2019年 AOS船員の日メッセージ  ノアの箱舟のような2か月近くの体験〜 神戸からブエノスアイレス港へ渡るときに出会った教会 〜

 *どこへ行くのか、どんなところに到着するのか?

私がアルゼンチンのサレジオ会志願院(小神学校)に入った時、耳にした歌があります。それはイタリアのサンレモ・フェスティバルでとても人気になった「ノアの箱舟」(セルジオ・エンドリーゴ作詞、イヴァ・サニッキ作曲)でした。歌詞には「わたしの船は出港するがどこに着くかそれは知らない、ノアの箱舟のようだ」とありました。先輩たちの歌うのを聞き、私も歌いたくなりました。音楽の先生であった司祭は全員に暗記させ、一年間ずっと歌いました。

 スペイン語でしたが全員で歌う繰り返しのところだけ元のイタリア語で覚えました。「Partirà, la nave partirà / dove arriverà, questo non si sa. / Sarà come l’Arca di Noè…」。多くの仲間たちの祖父母はヨーロッパから移住した家族でしたので、この歌は聖歌のように私たちを一致させてくれました。

 志願院では毎日サッカーの練習時間に、14~18歳の60人以上の男子が大きな声で歌いました。この歌は私に、日本からアルゼンチンへの移住の旅を思い出させてくれました。8歳半の私と4人の弟と30代だった両親にも、この海の旅はまるで「ノアの箱舟」のようで、どのようなところに到着するのか想像もできませんでした。

 *途中で停まる港々で街の教会を探す

 日本を離れて15年ほど過ぎた頃、私は神学生でした。霊的指導者に勧められたカルメル会カルロス・メステルス師の『アブラハムとサラ(信仰体験)』(注)を読み、私の父も神の呼びかけに従ってアルゼンチンに移住したことを悟りました。そして「ノアの箱舟」を歌いながら、1964年5月31日に神戸を出港して、横浜、ロサンゼルス、パナマ、ベネズエラ、べレム、レシフェ、サントス、モンテビデオを経て、7月20日にブエノスアイレスに着港するまでの旅を思い出しました。

 年をとるほど感動する父の思い出があります。それはパナマに数日間船が停まった時、2人でカトリック教会を探したことです。その時見つけた教会が、今回のワールドユースデーパナマ大会2019で何度もその横を通ったドン・ボスコ聖堂、パナマの守護者の教会でした。それからアルゼンチンに着くまで、ブラジル丸が停まった港では父と私、または家族7人で町の教会を必ず訪問しました。若い両親は2か月近く、ミサに一度も参加できなかったと思います。でも訪れた教会では、父の片言のスペイン語で何回かご聖体をいただくこともできました。そして必ず聖母の御像の前でアベマリア、またはロザリオを捧げました。

 今年から船員司牧(AOS)に司教として関わり、私の経験を分かち合える時が訪れたことを神様に感謝しています。海で働く船員たちとその家族のためにともに祈り、日本の港町、そこにあるカトリック教会は、常に船員の癒しの場であり、祈り温かく歓迎する家であることを、一緒に証ししていきましょう。

  2019年7月14日 日本カトリック難民移住移動者委員会 担当司教 山野内倫昭

2019年7月10日

・江西省でカトリック”地下教会”強制捜査・聖像破壊、山西省でプロテスタント家庭教会信者に棄教の脅し

*江西省余江教区のカトリック”地下教会”に強制捜査、閉鎖も

   どれほど都心から離れた地域であっても、愛国教会への加入を拒んだ地下教会の聖職者と信者は中国共産党の絶え間ない取り締まりと迫害を避けられないでいる。

   2018年9月のバチカンと中国間の合意 に続き、中国共産党 は カトリック地下教会 の聖職者全員に 中国天主教愛国協会 加入と、中国の「独立、自律、自主管理」の教会の原則の受け入れを強要している。拒んだ聖職者は迫害を受け、頻繁に逮捕されている。彼らの教会は嫌がらせを受けたり宗教的シンボルを破壊されたりした挙句、多くは閉鎖されている。

 バチカンは6月28日、新たな指針を公表した。聖座は良心に照らし合わせて中国天主教愛国協会への加入を拒む決断を下した者に加入の強制はしないと明言したのだ。

集会場が荒らされる前と後の様子。(内部筋が提供)集会場が荒らされる前と後の様子。(内部筋が提供)

 5月6日、中国南東部、江西 の地元政府の役人が余江教区のカトリック教集会場に強制捜査に入った。会衆の話では、迫害と監視を避けるために礼拝所を遠隔地の山村に設け、先祖を弔う伝統の中国式寺院を模したありきたりの古い集会場のような外観にしていたという。しかしその奮闘もむなしく、信者たちは中国共産党の厳しい追及を逃れることはできなかった。

 捜査が入ったときには会衆は誰もおらず、会場内にあった宗教関連のシンボルはすべて無残に砕かれ、破壊されていた。

 匿名希望の信者は強制捜査後に見た状況について「会場に行くと、正面の壁にあったイエスの十字架像が取り外してあり、屋外の山近くにある溝に投げ捨てられていました。壁の両側にかかっていた宗教画の額は粉々になって床に散らばっていました。祭壇の前にあしらわれた『イエス・キリスト』の文字を使った図案と十字架まで撤去されていたのです」と説明した。

宗教画は打ち砕かれ、正面祭壇の「イエス・キリスト」を表すJHSの文字と十字架は取り外された。(内部筋が提供)宗教画は打ち砕かれ、正面祭壇の「イエス・キリスト」を表すJHSの文字と十字架は取り外された。(内部筋が提供)

 5月13日、役人は再び集会場を違法で捜査した。集会場に隣接する小さな2階建ての建物にも入り込み、室内にあったカトリックに関わる物品を没収した。集会場の外壁には標語「宗教関連施設の管理を強化し、邪教 浸入に断固抵抗しよう」が書きつけられた。

集会場の外壁には標語「宗教関連施設の管理を強化し、邪教浸入に断固抵抗しよう」が書きつけられた。(内部筋が提供)集会場の外壁には標語「宗教関連施設の管理を強化し、邪教浸入に断固抵抗しよう」が書きつけられた。(内部筋が提供)

 集会場を荒らし回った後、政府の役人は会衆がその場でミサを行うことを禁じ、従わなかった場合は神父を逮捕して教会堂を取り壊すと言って脅した。

 中国共産党は、良心に照らし合わせて中国天主教愛国会加入を拒んだ者が運営する教会をあらゆる手段を使って支配しようとしている。継続的な嫌がらせや脅しであれ、聖職者の逮捕であれ、司祭と神父を欠けば教会は崩壊して信者たちは去っていくだろうと考えて行っているのだ。

 そのような事態を避けるため、信者たちは神父に対し、危険を冒して礼拝所に来ることのないように頼んでいる。「私たちは逮捕されても構いませんが、神父は絶対に守らなければなりません」。古参の信者たちは言った。

隣接する2階建ての建物内部にあったカトリック教に関わる物品は押収された。(内部筋が提供)隣接する2階建ての建物内部にあったカトリック教に関わる物品は押収された。(内部筋が提供)

 「中国共産党は『非行集団による犯罪を撲滅し、悪を根絶する』との口実で宗教信仰の徹底的な取り調べを行っています。各村の役人に担当区域の村民を捜査するよう求めています。信仰を持つ人物を特定したら、上位当局に報告しなければなりません。このような捜査が続けば宗教関連施設は残らず検挙されるでしょう。どれだけうまく集会場を隠しても見つかってしまうはずです」と信者は言った。

 またこの男性は、「非行集団による犯罪を撲滅し、悪を根絶する」キャンペーンの期間中に政府の役人が中国天主教愛国会加入を拒んだ余江教区各地の集会場を訪れ、見張ったり、脅したりしたことを明らかにした。家主は信者の集まりを開くことを禁じられ、20万人民元(約320万円)の罰金を科される可能性もあると脅された。「随分長い間、聖餐式を行っていませんが、かといって適当なやり方で実施したくないのです」と信者は付け加えた。

 

 

 

 

山西省で100人超す家庭教会信者に逮捕ちらつかせ棄教を迫る

 匿名希望の教会員がBitter Winterに伝えたところによると、会場が攻撃を受けたのは午前9時頃、牧師の主導で信者たちが主を称える讃美歌を歌っているときだった。先頭の警察官が叫んだ。「動くな。写真を撮ってはいけない。携帯電話と鞄を足元に置け」。

昨年12月16日に地元の民族宗教局が既にその会場を閉鎖していたが、会衆は集会を続けていたのだ。当局は房角石教会が宗教事務条例に反する違法の集会場だと言い放ち、信者らが「著しく公序良俗を乱した」ために教会を封鎖し、閉鎖しなければならないと言った。

動画 1:警察が房角石教会の集会場に強制捜査に入った。信者は写真撮影を禁じられた。

 正規警察官、予備警察官らが現場を警備し、信者は会場の出入りを禁じられた。集会に出席していた教会の牧師と100人を超える信者たちは少人数のグループごとに公安代理部に連行され、尋問を受けた。出発前にはそれぞれが写真を撮られた。

 信者の詳細な個人情報、家族情報だけでなく宗教的立場も調査中に登録された。また「保証書」と、教会との関係を断ち切り「共産党と政府の権限を断固支持」することを誓う「悔い改めの供述書」への署名を強いられた。信者が釈放されるためには親族に警察署に来てもらい、代理で保証書に署名してもらわなければならなかった。家族たちは宗教を信じる親族の見張りを命じられ、信者は信仰を続けるなら厳しい処罰を下すと言われ脅された。

動画 2:信者たちは1人ずつ警察に連行された。

 房角石教会の強制閉鎖は決して珍しい事件ではない。この数か月間でおびただしい数の家庭教会が閉鎖し、全国でキリスト教徒が逮捕されている。中国東部、浙江省台州市では3月から4月の間だけで少なくとも10の家庭教会が閉鎖されている。

 4月12日、中国東部、山東省済南市の活石教会が「無認可」だとして封鎖された。

済南市の活石教会が封鎖された。 済南市の活石教会が封鎖された。

 6月20日には中国南東沿岸部の福建省廈門市海滄区にある海福教会も閉鎖されている。地域の民族宗教局は海福教会が「違法な集会を行い、世間を妨害した」と述べ、教会責任者の呉斌(ウー・ビン)氏を三自教会に無理に加入させようとしたが、氏は拒否した。

行政は海福教会を閉鎖処分にした。行政は海福教会を閉鎖処分にした。(写真はWeChatより引用)

 訴訟や司法活動を通じて中国国民の利害の主張を支援する弁護士、法律の実践者、学者、活動家の権利保護運動「維権」の弁護士らによる6月17日の報告によると、家庭教会の閉鎖を目的とした大規模キャンペーンは廈門市内の40以上の教会に影響を及ぼした。

 殿前教会、金尚教会、瑞景教会、虔僕教会、十一間教会、益城教会、城光教会、庇哩亞教会をはじめとする数多くの教会である。

 迫害に直面した廈門市の牧師は「私たちの権利を守るべく義の道に沿って牧師の仕事を続けなければなりません」と述べた。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2019年7月9日

・中国天主教愛国会への参加を拒む福州の”地下教会”、信徒への弾圧強まる(BitterWinter)

   地下カトリック教会の聖職者と信者たちは、警察による強制捜索と取り締まりに晒されるなか、国の管理下に置かれることに抵抗し続けている。

   中央政府の宗教検査班が調査を行うなか、中国南東部、福建 の福州教区は今も厳しい弾圧に晒されている。上級機関による訪問に対する準備を整えておくため、福建省の省都である福州  は 中国天主教愛国会 への参加を拒む教会と集会所、そして、聖職者に対して一連の取り締まりを実施している。

中央政府の宗教検査班の福建省への到着を告げるWeChatの通知。中央政府の宗教検査班の福建省への到着を告げるWeChatの通知。

   2018年のバチカンと中国間の暫定合意後、中国共産党 は、全ての地下教会の神父は愛国会に参加しなければならない、と解釈し、拒否する者を弾圧してきた。

 6月28日に公表された新しいバチカンによるガイドラインによると、地下教会に所属していた聖職者は中国天主教愛国会に参加できるものの、参加を強制していない。大勢の聖職者は、今でも愛国者になることを拒み、良心に従い、拒否することを選んでいる。

  *命令に従うことを拒否した教会が荒らされる

 5月19日、福州市東街口  のビルの9階にあるカトリックの集会所に同市の鼓楼区の副区長と100人を超える人員が現れ、集会所を占拠した。

 当時、集会所を訪れた人々は全員捕まり、尋問を受け、そして、写真を撮られた。政府職員は、集会所は愛国会に属していないため、未承認であり、信仰活動を続けることを望むなら、信者は愛国会に参加するべきだと告げた。

 5日後、20人以上の人員が集会所に派遣され、壁の一部を破壊した。当局は火災時の避難経路を塞いでいることを理由に挙げていた。ドア、天井の一部、ウォールキャビネット、そして、修道女が暮らす部屋の壁が破壊された。

集会所の天井と広間の一部が原形をとどめないほど破壊された。集会所の天井と広間の一部が原形をとどめないほど破壊された。

 都市管理を担当する政府職員が取り壊しを監督し、作業の模様を写真に撮り、取り壊しの報告の一環として 統戦部 と宗教事務局に写真を送ると話した。

 きれいに整理されていた集会所は、乱雑な状態となり、ショックを受けた信者たちは途方に暮れていた。祈る信者もいれば、悲しみのあまり咽び泣く信者もいた。

 信者の1人は「政府は集会所が承認を受けておらず、違法であることを理由に、中国天主教愛国会に属する西門堂に行くことを要求しました。神父にミサの開催を認めない理由は、私たちの教会を管理したいからです」と話した。

 この日以降、毎週日曜日になると警察と私服警官が集会所のあるビルの入り口で警備を行い、信者による集会を阻止している。この集会所に通っていた1,000人を超える信者たちは、現在、少人数のグループで集まっている。信者たちは、携帯電話を介して監視されることを避けるため、集会の時間と場所については直前に直接会って伝えるようにしている。

 信者は「中国天主教愛国会の教えは私たちとは完全に異なります。一度参加してしまうと、政府の目標は達成されます。その後、交渉の余地はなくなります。絶対に参加すべきではありません」と話した。

   *現地の政府が教会に関する情報の収集を命じる

 中央政府の検査に応じるため、福州市平潭 の当局は各 の宗教事務連絡係に対し、中国天主教愛国会に参加していない カトリック地下教会、そして、その神父と責任者に関する情報を報告するよう命じた。脅しを受けた担当者は出来るだけ多くの情報を集めることに躍起になり、教会に密かに侵入して情報を集める者すらいた。

 平潭県の信者はBitter Winterに対し、6月1日の夜、現地の委員会のメンバーが同地区の教会の1つに現れ、進行中のミサを撮影し、その後、現地の警察署に写真を送ったと話した。窓ガラスは暗幕で覆われ、信者たちは静かに行動していたにも関わらず、当局はミサの存在を割り出していた。

現地の委員会の職員が教会を訪問した際にミサを執り行っていた神父。現地の委員会の職員が教会を訪問した際にミサを行っていた神父。

 ミサが終わるや否や10人以上の政府職員と警察官が神父を確保した。委員会の書記は神父に対し、教会の閉鎖を命じた。「政府に不可能はない。強制的な取り壊しと移転は簡単ではないが、避けられない。命令に従わない場合は、政府の好きなようにさせてもらう」と書記は神父を脅した。

 翌日、平潭県の別のカトリックの集会所も警察の急襲を受けていた。警察官は「愛国会に所属していない県内の全ての集会所は集会を中止した。中止していない場所はここだけだ。集会を続ける場合は、法執行局に命じて明日にでも集会所を破壊する」と告げた。そして、この集会所も閉鎖に追い込まれた。

集会所の外で警備する警察官。集会所の外で警備する警察官。

 非公式のカトリック教会を閉鎖する運動が激しさを増すなか、福建省の政府はAsiaNewsが報じているように、聖職者に誓約書への署名を要求している。

 海外勢力の侵入を今後も阻止すること、未成年の教会の入場と宗教教育の禁止を支持すること、そして、国が発行する適切な許可証を取得することなく布教活動を行わないことを約束するよう、誓約書で求められている。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。いかなる宗教団体や政治団体とも関係をもたず、政治問題について特定の立場を取らない。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2019年7月5日

・家庭教会のキリスト教徒、会食をして刑務所行きに(Bitter Winter)

    湖北省で信仰義認派教会の信者が、集まって食事を共にすることも違法な宗教活動であると言われ、逮捕されたり、暴力を受けたりした。

                  襄陽市で家庭教会のキリスト教徒が暴力を受ける

   現在、中国のキリスト教徒は共に食事をすることさえ禁じられている。会食は承認が不可欠な宗教的な集まりとみなされているようなのだ。

  それは2019年3月13日の夜、中国中央部、湖北  襄陽  の信仰義認派 家庭教会 の信者11人が会食した後に逮捕されて得た教訓だった。信者が会場を出ようとしたところ、20人以上の警察官に囲まれ、一斉に取り押さえられて警察車両で警察署に連行された。警察官曰く、通報があったのだという。おそらく、違法な宗教関連集会を訴えて報酬を得ようとした隣人がいたのだろう。

   Bitter Winterが得た情報では、60代のある女性信者が単純に疑問に思い、警察に連行の理由を尋ねると、返答の代わりに胸を殴られたという。女性は心疾患と高血圧に悩んでいた。警察官は彼女の状態に目もくれず、気を失うまで暴行を続けた。女性の意識が戻ると、警察官は再び攻撃した。

   警察署では、地域の宗教局職員が「集会を開くのも、ましてや他地域で説教をするのも許されない」と言い、信者を非難した。実際、別の県からバスで来ていた信者もいたが、政府はそれを「越境説教」とみなして禁じている。最後には信者らは釈放されたが、心疾患を抱えた女性の健康状態は悪化の一途をたどった。不整脈、嘔吐、尿失禁の症状も出てきた。病院に運ばれると、胸部、腹部、顔に複数の傷があることが分かった。さらに心臓の状態も悪くなり、3,000元(約47,000円)以上の治療費がかかった。

   女性は事件についての報告を書面にして政府に説明を求めたが、役人は説明どころか別のものを出してきた。新たな警告だ。地元の信者がBitter Winterに伝えたところによると、女性は「神を信じるのは違法だ。集会を続けるなら、また逮捕する」と言われたという。むしろその対応こそが違法であり、中国憲法には 信教の自由 に関する規定がある、と女性が訴えると、ある役人が答えた。「私に法を論じようというのか。私の言うことが法なのだ。気に入らないなら、訴えてみろ」。

             随州の教会が閉鎖

   近頃、湖北省で家庭教会(信仰義認派教会やセブンスデー・アドベンチスト教会を含む)の複数の集会場が弾圧を受けて閉鎖された。4月8日、湖北省随州市に建つ信望教会に強制捜査が入った。国保大隊 と地元の民族宗教局から30人を超える職員が集会場を急襲し、教会の財産を没収して、集会は違法であるとの理由で会場を閉鎖した。

集会を開く信望教会の信者たち。集会を開く信望教会の信者たち。

   教会の責任者は警察に法執行機関の証明を提示するよう求めたが、却下された。写真を撮って警察の強制捜査を記録しようとしたが、逮捕されて警察署に連行された。そして教会の会員数や所持金額などについて尋問を受けた。教会で働く他の3人も拘束され、今後集会を開いてはいけない、と通告された。

   釈放された教会の責任者は民族宗教局に赴いて教会の財産を取り戻そうとしたが、局長は、その教会が違法な伝道活動を行う違法な宗教団体であるため、信者の献金は違法な宗教的寄付として没収しなければならない、と言った。

   教会で働くある人は、以前、地元政府の役人に 三自教会 に加わるよう命じられたが、教会員の強い反対にあったことをBitter Winterに話した。「表向きには中国政府は信教の自由を喧伝していますが、国内では何もかもを政府の支配下に置いています。三自教会でも神の創造について話すことは許されず、進化論を取り上げなければなりません。聖書に関する説教や講義は事前に必ず政府の審査が入ります」と、教会で働く人は説明した。「三自教会では 習近平 主席と 毛沢東 主席の肖像画を掲げなければなりません。また『紅い』(国旗)を揚げ、『紅い歌』を歌う必要があります。それで神を礼拝する場と言えるでしょうか」。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。いかなる宗教団体や政治団体とも関係をもたず、政治問題について特定の立場を取らない。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 記者たちは逮捕されるなどの危険を顧みず、中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究の領域で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2019年6月30日

・2月の”性的虐待”全世界司教協議会会長会議受け、日本はようやく全国の司教にアンケート

(2019.6.26 カトリック・あい)

 日本カトリック中央協議会が25日発行した会報7月号によると、 5月9日の定例常任司教委員会で、中央協議会事務局の「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」に策定を求めていた「児童性虐待に対応」るための過去の事例と現在の状況についてのアンケート案を審議、正式なアンケートとして全国の各教区司教に送付し、6 月 30 日までに回答をもらうことを決めた。具体的なアンケートの内容は明らかにされていない。

 聖職者による性的虐待問題がいまだに世界中で問題となり、抜本的な信頼回復への手立てが思うように進まないこと深刻に受け止めている教皇フランシスコは今年2月、全世界の司教協議会会長を招集して抜本的な対応について協議を求めた。その結果を受けて、教皇が各国の司教協議会に聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範の策定・実施を求める自発教令を出され、米国など主要国の司教協議会で新規範の決定するなど、具体的な対応が始まっている。

 同会議に日本を代表して出席したのは、高見三明・司教協議会会長だったが、帰国から2か月後の4月に東京で開かれた「施設内虐待を許さない会」主催の「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」と題する集会に参加、その席で、文芸春秋3月号の調査報道記事「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」で実名を明らかにしていた性的虐待被害者に面前で謝罪するとともに、国内の実態調査を全国16の司教区で開始することを決めたことを明らかにしていた。

 高見会長は当時、「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」とも語っていたが、いまだに一般信徒を含む関係者にはそのような決意を示し、協力を求めるようなメッセージは届いていない。加えて、「全国16教区で開始する」としていた司教対象のアンケートは今月末期限で回答を待っている段階だ。

 そもそも、日本の精神風土で、被害者が自ら相手を特定して名乗り出るということは、それが実名は公表しない、という条件付きであっても、極めて難しい。文春で実名を明かして訴えた被害者は例外中の例外といえるだろう。そのような中で、どれほど意味のある、真の実態を把握したアンケート回答がえられるのだろうか。

 司教協議会では、米国などで聖職者による未成年性的虐待問題が噴出し始めた2002年から二度にわたって、被害の実態調査をしているが、その結果は一般に公表されたとは聞いていない。被害の報告があったとされているが、教会や修道会での対応などは、いまだに明らかにされていない。そして、今回もようやくアンケートの締め切りが今月末だ。教皇が全世界の司教協議会に求めている性的虐待・隠ぺい防止の新規範を日本がまとめるのはいつのことになるのだろうか。

 このような対応の遅さの背景には、関係者の「事を荒立て、余計な不安と動揺を信徒に与えたくない」という”隠蔽”体質と、「日本社会では欧米のように同性の幼児や少年に対する性的虐待は極めてまれ。教会内部ではほとんどあり得ない」という安易な思いがあるように感じる。

 では、同性の幼児や少年に対する性的虐待でなければ、それ以外の性的な不適切行為には目をつぶってもいいのか。そうではないはずだ。聖職者の独身制は教会法にも規定されており、その「独身制」は単に結婚しなければいい、というものではなく、貞潔を守らねばならないことを意味する、厳しいものだ。

 そのような”聖職者”が信徒の教会への信頼を損なう例は、日本でも少なくないと思われる。実際に筆者が確認している限りでも、そのような”聖職者”が二人いる。そのうちの一人は、神学校に在籍中に不適切行為を繰り返し、何度か警告を受けても辞めることがなかったため、所属教区から絶縁されたものの、他教区の司教から「俺のところに来い。面倒を見てあげる」と言われて(本人から直接筆者が聞いた)その教区に移り、叙階に至ったものの、またしても、不適切行為を繰り返し、後任司教が頭を抱えている、と聞いている。

 教皇の強い思いをしっかりと受け止め、すみやかに真摯な対応を取ることが望まれる。

(「カトリック・あい」南條俊二)

2019年6月26日

・教皇訪日、11月23日から26日に「長崎、広島、東京」の方向で調整

(2019.6.25 カトリック・あい)

 教皇フランシスコの訪日についてのバチカンと日本政府の調整が大詰めを迎えているようだ。共同通信が25日夜、伝えたところによると、教皇訪日は11月23日から26の日程で最終調整が進んでいる、という。

 主要メディアの情報を総合すると、具体的に調整されている日程とされているのは、23日午後に日本に到着、翌24日に原爆被爆地の長崎、広島を訪れ、現地から世界に向けて核廃絶と平和のメッセージを発表、25日は東京で天皇陛下、安部首相と会見、ミサは、聖ヨハネ・パウロ二世教皇が訪日された際にミサを捧げられた後楽園球場にならい、同じ場所の東京ドームで捧げられる可能性が強いようだ。

2019年6月25日