・「中国との正式合意には多くの課題」「タグレ新長官の手腕に期待」-バチカンの専門家語る(Crux)

( 2019.12.10 Crux SeniorCorrespondent Elise Harris)

 ローマ発-バチカンの教皇庁科学アカデミーの副総裁、マルセロ・サンチェス・ソロンド司教は、バチカンと中国の関係の次のステップは正式な外交関係の確立だ、との見方を示すとともに、教皇の中国訪問についても言及した。司教が先週末、環球時報(中国共産党の機関紙『人民日報』の系列紙)のインタビューを受けて語ったもの。この発言は中国政府からは歓迎されているが、アジア問題に関する何人かの専門家は「中国との正式な関係は、特に教皇フランシスのもとでバチカンが強く望んでいるものだが、すぐには実現しないだろう」と語っている。

 「ソロンド司教が言ったことは”現実”よりも”希望”だ」とAsia News代表で中国問題の専門家、ベルナルド・セルベレラ神父は語った。「彼の発言は”外交儀礼”によるもので、発言のようなことがすぐに起こる可能性を示す兆候は見えません… 正式な外交関係を結ぶうえで、(中国政府・共産党の監督・統制下にある)中国愛国天主協会のあり方、教皇にのみに忠誠を誓う”地下教会”の役割など、まだ、問題が多い」と指摘した。 さらに、「教会が正義と平和の構築を目的とした活動を活発にする場をどのように確保するか、などについも、議論する必要があります… ソロンド司教は、多くの課題について、中国側を少しばかりプッシュしているのです」と述べた。

 同じ様に、Fides Newsのアジア部門の責任者であるパオロ・アファタートも、「私は、(外交関係の確立)がすぐになされる、とは見ていない… バチカンと中国の関係には多くの”勇気づけられる兆候”があったし、現在起こっていることは、前進すればするほど、外交関係について話すことができるようになる、ということです」。そして「あまり先を見るべきではありません… 大事なのは、中国のカトリック教徒の”日常生活の質”です。それは小さなステップの積み重ねで達成されるものですが、改善されている、と信じています」と語った。

 ソロンド司教は現在、中国雲南省の首都昆明で開催中の「臓器提供および移植会議」に参加するために中国に滞在しているが、環球時報によると、司教は会議中に「教皇フランシスコは中国に対して愛と自信を持っている… 中国も教皇を信頼している」と語り、「こうした流れの中で、次のステップは外交関係(の確立の合意)です」と述べ、さらに、教皇の中国訪問と中国幹部のバチカン訪問の可能性についても楽観的な見通しを示した、とされている。

 司教の発言は、将来の可能性について全くあり得ないことではないが、彼は昨年、 Vatican Insiderのインタビューで「中国は貧困問題で重大な問題を抱えてはいない、中国政府は人権を守る先頭に立っている」などと発言して、専門家たちとの間で物議をかもしている。また、2013年に教皇フランシスコが就任して以来、論争を招く才を発揮しており、米国のバーニー・サンダース上院議員など民主党の関係者をバチカンの様々な会議に招待するなど、科学アカデミーの幹部の立場から偏った動きを繰り返してもいる。

 一方、教皇フランシスコはこれまでも、中国訪問の希望をたびたび、もらしており、先日、日本からの帰国途上の機内会見でも「私は中国を愛しています」と訪問に前向きの姿勢を示した。この会見では、香港での民主化運動の激化と中国の圧力についての質問に直接は答えず、「ラテンアメリカなど他の地域での問題」に注意を向け、これらの国々の平和を求め、対話を促すことにとどめていた。

 アファタートによると、教皇フランシスコの中国との関係についての努力は、前任者を受けたもので、中国におけるカトリック信徒の生活改善によって判断されるように「前向きな実りをもたらしている」という見方をとっている。だが、アファタート自身は、バチカンと中国の関係は、昨年秋に中国国内の司教任命について”秘密”合意して以後も、進展はなく、カトリック信徒をめぐる状況はむしろ悪化していると見ているが、それでも、中国政府幹部のバチカン公式訪問は、「バチカンはどのような人物の訪問も拒まない」ので可能だ、としている。

 また、中国政府・共産党の内部では、教皇フランシスコとカトリック教会への対応で異なった意見-中国におけるカトリック教会の存続は管理・統制に従う限り可能とする、という意見と、全に排除すべきだとする意見ーの対立が続いており、さらにその対立は激しくなる可能性がある、と見ている。それでも、教皇フランシスコが中国政府・共産党幹部をバチカンに招こうとするのは、「カトリック教会のトップとしてではなく、バチカンの長、という立場でなされることは可能だ」とも語った。

 また、先日、マニラ大司教のアントニオ・タグレ枢機卿が、教皇庁の福音宣教省の長官に任命されたことについては、アファタート、セルベラの二人とも、中国との今後の交渉の進展に寄与する、との見方をとっている。福音宣教省は、中国を含めた宣教地域の教会の管理、指導を担当しているが、タグレ枢機卿の母方の祖父は子供の時に中国からフィリピンに移住しており、中国系フィリピン人だ。

 アファタートは「枢機卿の出自と、アジア地域が直面している問題について彼が持つ知識から判断して、「より開かれた扉」を提供できる可能性があります… 問題の一つは、この地域では、キリスト教徒が特定の地域に集中し、全体として少数派だ、ということ。この意味で、この地域で宣教して来たタグレ枢機卿は、中国の現実を受け入れることができるでしょう」と述べた。

 セルべレラは、枢機卿の出自よりも、「知性と姿勢」が、バチカンと中国の関係の前進に寄与するとの見方をとり、「アジアの教会の役割は、世界の中で重要… タグレ枢機卿には、能力があるだけでなく、物事を実現する経験があります」と強調している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 ・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

 

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2019年12月11日

・「外交的”成功”をなぜ望むのか」-香港の陳枢機卿、改めてバチカンの対中国政策を批判

(2019.12.4 Crux  senior correspondent Elise Harris)

   香港名誉司教の陳日君・枢機卿が、「New Bloom Magazine」のインタビューに応じ、バチカンの中国への対応について改めて強く批判した。NBMは台湾を拠点にアジア太平洋地域の政治・社会問題の報道を続けているオンライン・マガジン。

 陳枢機卿は、バチカンと中国政府が昨年9月に中国国内での司教任命などについて暫定合意したことについて、「(中国政府・共産党の管理・統制に服すのを拒否する)”地下教会”を見捨てる行為」として一貫して批判。ローマに飛び、教皇フランシスコに直接、合意を再考するよう訴えてきた。

 このインタビューで枢機卿はまず、民主化運動が激しさを加え、これが中国政府・軍の弾圧を招きかねない状況に深い懸念を示した。そのうえで、中国本土においても、政府・党の管理・統制を拒否するカトリックなど諸教会がひどい弾圧を受けている実情を憂慮するとともに、「バチカンかこれまで、彼らを助けるために、ほとんど何もしてこなかった」と批判した。

 陳枢機卿は、上海生まれで、12歳で上海のサレジオ会の修道院に入り、中国共産党が政権を取り、修道院が閉鎖された後、香港の修道院に移り、イタリア・トリノのサレジオ大学で学んだあと、1961年に司祭叙階。マカオ・サレジオ中学校長、香港仔工業学校の院長などを経て、1996年に香港教区協働司教、2002年に香港司教となり、2006年にベネディクト16世により枢機卿に。2009年に香港名誉司教となった。

 バチカンの対中国政策について、枢機卿は、2001年まで福音宣教省の長官を務めたヨゼフ・トムコ枢機卿は「非常にバランスの取れた人で、中国政府と非公式の接触を始めたのは彼だったが、その一方で、中国国内の教会を迫害から守るため、厳しい路線をとった」と評価したうえで、トムコ枢機卿が定年で長官を退いた後、後任となったクレセンツォ・セぺ枢機卿につについては「彼は、何もせず、むしろ、前任者が敷いた路線を引き継ぐことに消極的でした」と批判。

 さらにその後任のイヴァン・ディアス枢機卿については、長官就任当初、司教と外交官の両方の経験を積んでいたことから、対中国でも期待されたが、「彼は、共産主義国との対話を進める”東方外交”の信奉者だったアゴスティーノ・カサロリ元国務長官の”弟子”でした」とし、ディアス長官の下で親中国政府への舵が切られたとの見方を示した。

 そして、当時、彼の下でバチカンと中国政府の交渉を担当していたのが現在、国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿であり、外交政策を担当する国務長官の手で、昨年秋の中国政府との暫定合意となったが、「(中国と合意することで)パロリン枢機卿が何を望んでいるのか、誰も分からない… 中国と共産党について全て知っている教会の人間が、どうして今やっているようなことができるのか、全くの謎です」とし、「彼の動機に対する唯一の説明は、『信仰』ではない。外交上の成功を収めること。虚栄心を満たすことでしょう」と強く批判した。

 また、教皇フランシスコのこの問題への対応についても疑問を呈し、「教皇は前任者たち(ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世)への敬意の払い方が足りません… お二人が(対中国政策で)なさったことを全て差し止めてしまった。お二人の路線を継承しておられる、と言う人がいたら、それはリップ・サービス。お二人への侮辱です」と言い切った。

 陳枢機卿によれば、ディアス、パロリンの2人は2010年に、中国との合意内容の草案を当時の教皇、ベネディクト16世に提出したが、署名されることは無かった。「これは、教皇が文書に署名することを拒否されたのだと思うが、それを裏付ける証拠はない」と述べた。

 また昨年9月の暫定合意については、「自分は中国(香港も中国に属する)のカトリック教会の2人の枢機卿のうちの1人であり、合意のうわさが出始めた昨年初めから3度にわたってローマに出かけたが、暫定合意の中身も文言も見たことがない」。教皇フランシスコとは、バチカン訪問の際に食事を一緒にしたり、個人的には良好な関係を続けているが、(対中国政策や暫定合意について)見直すように、との私の訴えに対する返事はなく、これまでの中国国内の動きをみると、私の訴えとは反対の方向に事態が動いているように見えます」と批判した。

 そして、バチカンと中国政府の暫定合意で実現したのは、中国側が一方的に叙階し、バチカンが破門していた7人の司教全員をバチカンが承認したことで、一方で中国政府・共産党に服従する中国天主愛国協会への加盟を拒否する”地下教会”の「抹殺」が進められている、と改めて警告。

 「自分自身を欺くことはできない。共産主義者たちを欺くこともできません。(中国との協力を進めようとしている)あなた方は、世界を欺いているのです… なぜなら、中国天主愛国協会の一員となることは、中国共産党の支配下にある教会の一員となるのを受け入れることになるからです」と強調した。

 また、教皇は9月にマダガスカルから帰国途上の機内会見で、「分裂は望みませんが、それを恐れてもいない」と話されたことを挙げ、「機会があれば、教皇にまたお会いしてこう言います-『あなたは、教会の分離を奨励しています。中国における分離教会を合法化しようとしているのです』と」と述べた。そして、共産党が支配する中国で、信仰が「自主独立して、平和的に」なされるなら、カトリック教会のグローバル化の中で、「希望がない、まったく希望がない」ことになる、と断言した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年12月8日

・インドでカトリック司教が不適切行為で訴えられる、司祭たちが教皇に解任を要請(Crux)

(2,019.12.3 Crux  Contributer Nirmala Carvalho)

 ムンバイ(インド)発-堕落し、子供を作り、さらに性的嫌がらせを受けた被害者を脅迫した、として司祭たちが教皇に解任を求めているインド南西部マイスル教区長のカンニカダス・ウイリアム・アントニー司教(54)。現地の警察当局は11月29日、この司教についての最初の訴えを受理した。

 この司教は、誘拐、脅迫、そして「女性の慎み深さを侮辱」した、として訴えられているが、まだ正式に告訴されておらず、逮捕もされていない。司教については、市民グループ「カトリック教会を案じる会」のロバート・ロサリオ氏が11月5日に告訴状を提出している。

 これ以前、今年3月に、同司教が、別の司祭を性的嫌がらせで訴えた女性を脅迫したとする女性のビデオが表に出ていた。このビデオで、教区で前に働いていたこの女性は「レスリー・モラス神父から嫌がらせをされ、その後、その不適切な行為を訴えようとした際、司教から脅しを受けた」と訴えている。

 「ある日の夕方、私は作業報告をする、という名目で、オフィスに呼ばれました。彼(レスリー・モラス)は私に好色な視線を投げかけ、露骨に性的行為をしようと近づいて来て、こう言ったのです。『お前が僕の言うことを聞いたら、いい仕事を世話してやろう』と。私は、昨年5月に、教区の仕事を辞めようと思いました」。

 そして、昨年7月、「司教から脅迫的な電話を受けた後、ある男たちが私の新しい職場に来て、私を車に連れて行き、私の携帯電話に入っていたデータを消し去り、『金をやる』と言いました」。

 彼女自身は司教について警察に訴えることはしなかったが、先の市民グループは問題を取り上げることを選んだ。先月12日、警察は被害者の女性から事情を聴き、彼女はこのビデオを基にした文書を提出した。警察の広報担当者は、被害者が治安判事の前で宣誓した段階で、司教に対する聴取を始める、と説明している。

 警察が司教を庇いたてしていることが表面化する一方で、当局は、告訴状の受理が遅れているのは、声明を作成するのに十分な時間を被害者に与えているためで、彼女に圧力をかけているわけではない、と述べた。

 インドのテレビ・ニュース番組「TheNewsMinute」に登場した市民グループのロバート・ロサリオ氏は「警察の担当者たちは、強力な人物に対して挑むようなことはしたくないのです」と批判。「ですから、私たちは、警察署長に何度が手紙を書いて、圧力をかけねばなりませんでした」と説明した。ロサリオ氏は、現地の司法制度をよく知っている。というのは、彼自身が昨年の議会選挙の際、「憎しみを拡散した」として訴えられた経験があるからだ。

 ウイリアム司教は11月29日、自分に対する訴えを否定し、「誰が苦情を言っているのですか?被害者の女性自身が訴えるべきで、そうでなければ無効です」と語った。だが、彼は声明に対する意見を聞こうと何度も尋ねようとしたが、応答することは無く、今月初めの記者会見で、自分に対する訴えの内容を否定した。

 司教に対する苦情は、マイソール教区のいくつかの教会の37人の司祭が、彼の解任を求める手紙を教皇あてに送った後に表面化した。それによると、司教は土地を収奪し、汚職に手を染め、カトリックの司祭に禁じられている子供を作った。そして、「司教は、犯罪歴のある政治家、腐敗した警察官、腐敗した官僚と強いつながりを持っている。アンダーワールドと関係を持っていることは極めて問題だ」と訴えている。

 さらに「この司教が着任した時、教区の暗黒時代が始まりました。不道徳で、堕落し、俗物的、唯物主義者、悪評、尊敬されない、独裁者を得たことを、悲しく、残念に思います」と強い嘆きを示した。

 だが、司教は無実を主張し、「申し立てには真実がなく、2年半かかって私が実施した管理体制の改革に不満を持つ連中が背後にいる」と反論している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年12月3日

・教会のキリスト像が習近平主席の肖像に変えられている(BW)

(2019.11.25 BitterWinter Tang Zhe)

 中国政府・共産党による管理・統制を拒む礼拝場は閉鎖され、受け入れる教会は〝共産党礼拝”に使われる。

 江西省南東部の主要都市、吉安のカトリック教会は、信徒が集めた100万人民元(140,000ドル以上)の資金で今年夏に建てられた。清の第四代皇帝、康熙帝が1711年に北京のカトリック教会に寄贈した銘板に刻まれた名前に由来する。だが、教会の使用が始まって間もなく、現地当局の迫害が始まった。

 9月下旬、当局は信徒たちに銘板の名前を消し、「党に従う、党に従う、党に感謝する」と書き換え、入り口に中国国旗を掲揚するよう命じた。

The Chinese characters on the outside wall
教会の名前を構成する中国語の文字が塗りつぶされた

 信徒たちを最も傷つけたのは、聖母マリアとキリストの御絵を取り外し、教会の暗い隅に捨てられたことだ。代わりに習近平主席の肖像画、党の宣伝文句と共に壁面の中央に掲げられた。

 The portrait of Xi Jinping hangs at the center
習近平の肖像画は教会の壁の中央にあり、両側に宣伝スローガン

 その数日後、当局は教会の鍵を没収し、全てのドアと窓を施錠し、信徒たちを入れなくした。

 The portrait of Our Lady with Christ Child is discarded
捨てられた聖母マリアとキリストの御絵

 同じ月、江西省の鄱陽県の政府・党に服従する中国愛国天主協会(CPCA)に加盟していないカトリックの集会所が、宗教活動を中止するよう命じられ、別の場所で集会を開いたら、信徒のリーダーの退職年金を取り消すと脅した。教会の十字架、聖母マリアの絵、宗教的な言葉は取り去られ、習近平と毛沢東の肖像が掲げられた。

 Portraits of Xi Jinping and Mao Zedong are posted
習近平と毛沢東の肖像画が、浦陽郡のカトリックの集会会場に掲示された

 これより前の5月には、鄱陽県の別のカトリックの集会所が「CPCAへの加盟を拒否する教会は邪教」という理由で閉鎖された。

 9月、中国人民政治協商会議(中国共産党と各界団体などの統一戦線組織)の汪洋主席の査察を前にして、地元当局が江西省福州市の臨川区にあるCPCAの聖ヨセフ大聖堂の信徒たちに、中国共産党を支援するスローガンを掲げ、教会外で伝統的な中国文化を促進する活動をするよう指示した。

The exterior appearance of the St. Joseph’s Cathedral

 福州の聖ヨセフ大聖堂の外観

 査察が終わった後、現地のCPCAと中国カトリック教会の国家管理委員会は、汪洋主席の演説を学習する特別会議を招集し、 CPCA加盟の聖職者は、党指導部への支持、国への愛、宗教を宣言し、「中国の夢を実現するために役割を果たす」と宣誓した。

The slogans promoting loving the Party are placed outside of the St. Joseph’s Cathedral
聖ヨゼフ大聖堂の壁には、中国文化を宣伝するスローガン

 これについて、地元のある司祭は「政府・党管理の教会は、一見、普通の礼拝所のように思われますが、実際は、中国共産党を”礼拝”し、そのイデオロギーを推し進める場になっています」と説明。また、吉林省東北部出身の引退した司祭は「共産主義者の支配に屈するのは、教会の取って災難です。私は、共産党の指導を受け、信徒たちを”強化”するのに協力するのが嫌で、引退の道を選びました」と語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

 

 

 

 

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2019年11月30日

・スマホなどでゲーム、若者の2割が平日3時間以上-「生活で一番大切」、心身に障害も-国の全国調査

(2019.11.27 カトリック・あい)

 厚生労働省研究班による若者の「ゲーム依存」に関する初の全国実態調査結果が27日、発表された。それによると、10代から20歳代の若者の2割が、平日に3時間以上、うち3割は6時間以上、スマホなどでゲームをしており、学業や仕事に影響が出たり、腰痛や目の痛みなど肉体的な支障を起こしていることが明らかになった。

 かねてから専門家が指摘していた生活や健康への影響が改めて確認された形で、政府は来年度からゲーム依存への対応を強化する方針だ。

 この調査は、今年1~3月、国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県)が実際に担当、10歳から29歳までの9000人を対象に行い、5096人から回答を得、うち最近近1年間にゲームをしたと答えた4438人から実情を聞いた。

 それによると、過去1年間でゲームをした人のうち、平日にゲームに費やす時間が一日4時間以上6時間未満が7%、6時間以上は3%。休日には4分の1が4時間以上ゲームをし、男性で3分の1以上を占めた。

 使用機器で最も多いのがスマホ(81%)、次いで据え置き型ゲーム機(48%)。ゲームをする場所は自宅(98%)や移動中(33%)が多い。

 「ゲームをやめなければいけないのにやめられない」と答えたのは、ゲーム時間が1時間未満が22%。6時間以上が46%。

 平日に6時間以上ゲームをしている4人に1人が「生活で一番大切なのがゲーム」と答え、学業や職業に支障が出てもゲームを続けていた。4割は肉体的な問題や、睡眠障害、ゆううつや不安などの心の問題が起きてもゲームを続けていた。2割以上は過去1年間のうち半年以上、家に引きこもっていた。

 世界保健機関(WHO)は今年5月、「ゲーム依存症」を「精神疾患」の一つとして位置づけたが、治療のための指針はまだ出ていない。

 国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は「スマートフォンの普及でオンラインゲームにのめり込む若者が増え、日常生活への悪影響が出ている。相談を受ける人や治療する医師向けの指針や手引を作るなど態勢を整える必要がある」と改めて、具体的な対策実施を訴えている。

2019年11月27日

・「長崎大司教区で、女性信徒が性被害訴え。神父処分も公表せず」と時事通信が報道

(2019.11.23 カトリック・あい)

 長崎大司教区は問題の神父の聖職を停止したが、教区の信徒たちに処分を公表せず、不在の理由を「病気療養中」とだけ説明しいる、といい、関係者は「問題行為を明らかにしなければ、再発防止にはつながらない」と懸念している、と時事通信は伝えている。

 複数の関係者によると、神父は40代で、昨年5月、自らが司祭を務めていた長崎県内の教会に女性を呼び出し、抱き付いたり、体を触ったりする猥褻な行為をしたとされている、という。女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、長期の入院を余儀なくされた。被害届を受理した長崎県警が強制わいせつ容疑で捜査している。
神父は面会した教区幹部に「女性や教会に大変な迷惑を掛けた」と話したが、時事通信の取材には「何も申し上げられない」と答えたという。

2019年11月23日

・(解説)北京は香港を「中国」にしようとしているのか?(LaCroix)

(2019.11.20 LaCroix  Michel Chambon)

 香港と中国本土での1か月の現地訪問から戻って、香港問題に対する見解の激しい二極化と、話し合いで解決することの困難の増大を目の当たりにした。

 中国南部にあるこの自治地域では、多くの住民や外国人が北京政府のやり方を非難している。多くの人々は、若者たちが暴力的になってきているのは、香港行政府が住民たちの要求に応えることを、北京が認めないためだ、と考えている。つまるところ、香港の人々は中国共産党のために自治権を失っているのだ。

 境界線の反対側、中国本土では、多くの市民が香港に対する米国の影響を批判している。多くの人は、この地で起きている突然の暴力的な社会不安は米中の緊張関係と関係している、抗議活動をしている人々の背後に米国の存在がある、と考えているのだ。

 このような考え方は共に危険だ。人類学者でありキリスト教徒の私は、議論を二極化する単純思考に疑念を持っている。現状では、話し合いによる非暴力的な解決はますます難しくなっている。多くの当事者とその責任は、北京とワシントンに焦点を絞った言辞の裏に姿を消し、香港の人々の運命を危険にさらしている。

 だから、抗議している人々と香港政府の背後に誰がいるのかを、この境界線の両側で調べる手はない、と私は判断した。暴力的な対立に対して、ワシントンと北京には果たすことのできる役割が確かにあるが、その役割がいかほどのものか測ることはできない。

 敵対する二つの勢力の背後にある存在は分からないが、彼らの前に何があるかは分かるし、そこに私たちの注意の焦点であるべきだ。

 私は司祭として2003年から2006年にかけて香港で司牧活動をし、その後も毎年香港を訪れてきたので、かつてミサ奉仕をしてくれた若者たちやさまざまな友人たちから、定期的に話を聴く機会がある。彼らの家で何日かを過ごし、現地の流儀に従った質問の仕方なども学んだ。そして、彼らの日々の生活の実態や男女の交流などについても話を聴くことができた。

 例えば、ジェイソン。彼は34歳の父親で、海外移住を希望する敬虔なカトリック教徒だ。仕事は、大病院の救急車の運転だが、香港の標準語である広東語を話さない、中国本土出身の香港在住者のことを心配している。

 本土出身の人々を否定しているわけではない。彼自身、5年前に広東省育ちの女性と恋に落ち、結婚して経験がある。だが3年後、妻は狭いアパートに夫、娘、そして義理の母と同居することに耐え切れず、本土に帰り、離婚を申し出た。彼は娘を引き取り、妻の申し出を受けた。「こうなったのは、誰のせいでもない。私たちには生活するのに十分な部屋がないのです」と説明した。

 彼の仲間は抗議活動に参加している。4歳の面倒を見ている彼は参加していないが、多くの香港市民と同じように、抗議活動をしている人々を支持している。「私たちは鳥かごに住んでいるようなものです。耐えられない」。

 20年前、香港のほとんどの人々は、都市生活が改善される希望を持っていた。彼らは貧困脱出の記憶がまだ残っており、経済成長と周辺地域に開発の余地が多く残されているのを目の当たりにしていた。だが、今、希望は消えている。生活環境は悪化し、公営住宅への入居は難しく、わずか5,6平方メートルの部屋に共に住むしか選択肢がない人が多い。公共サービスの質は向上せず、公共交通機関の料金は上がっている。教育分野での競争は激しく、負担は重くなり続けている。多くの住民にとって、香港で生き残ることが難しくなっているが、国外に移住するのはさらに難しい。

 性格条件が良くなっている周辺国の中で、香港は取り残されたようになっているが、これまでの経済成長の恩恵は一部のエリートによって独占され、行政府は配分に失敗し、多くの住民は恩恵を受けられずにいる。

 一方、中国本土では、新しい近代的な都市が至る所に出現しています。平均的な家は、香港の家の少なくとも2倍の大きさ。多くの中国人は贅沢なアパートを購入する手立てがないが、しゃれた地区でほどほどに満足できる住まいを手に入れることが可能だ。バス、電車などの移動手段も大きな進歩を遂げており、驚くほどの低料金に据え置かれている。

 だが、香港にはそのようなものはない。 20年前には、まだ手頃な価格の住宅を選ぶことができたが、いまは価格が均一化され、手に入らない。移動コストも年々値上がりを続けている。

 香港で抗議運動に参加している人々と行政府の前にあるのは、このような物理的な現実だ。香港が過去20年間、歩んできた”エリート主義”の道は、もはや続けられない。緊急な見直しが必要だ。言い方を変えれば、北京政府は、香港を「中国」に単純に変えようとしてはいない。住宅と交通機関で見たように、香港はどんどん悪化している。

 実際、香港の問題は、それを“乗っ取った”裕福な投資家の影響と、彼らの力を抑制すべき行政府の能力の無さにに関連している。主な課題はそこにあり、それに対処する方法があるのだが、香港と中国本土で見聞した結果を分析するにつれ、主要な役者として北京政府とワシントン政府を取り上げる言辞が圧倒している、ことへの懸念が強まって来た。

 このような見方をとれば、香港の全住民の物質的な条件が、今最も必要とされている政治的解決の中心に置かれる可能性は低くなる。私たちが日々見ているように、暴力はエスカレートし続けており、修復不能な事態が起き、ひとつの世代が失われるかも知れない。

(ミシェル・シャンボンは、中国のキリスト教を専門とするフランスのカトリック神学者、人類学者)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

 

 

 

 

 

2019年11月21日

・ウイグル族弾圧を「容赦するな」と習主席が命じた中国政府の内部文書を、米紙が入手

(2019.11.18 カトリック・あい)

 米ニューヨーク・タイムズが16日伝えたところによると、同紙はこのほど、中国の新疆ウイグル自治区におけるウイグル族の「再教育施設」収容に関して、習近平・国家主席が関係部局に指示した内容をまとめた内部文書を入手した。

 403ページにわたる内部文書では、習主席がイスラム過激主義を伝染病のウイルスに例え、対処するためには「痛みを伴う一定期間の治療が必要だ」との言葉があり、また、ウルムチ市の警察を視察した際には「容赦なく対応せよ」と命じていた、としている。

 同紙はまた、新彊ウイグル自治区書記に2016年に就任した陳全国氏が習氏の指示内容を担当者に配布し、「積極的に収容」するよう命じた文書もあったとし、これ以降、施設への収容が一気に進んだ、と指摘している。

 施設入所者の家族からの問い合わせに対応するため、トゥルファン市が作成したという「想定問答」には「危険思想の影響を受けたため政府の訓練学校に行った」「家族の幸せのために一定期間の教育訓練が必要だ」などと答えるよう、具体的な指示が書かれていたとしている。

 同紙は、この内部文書は「中国で政治的に地位のある人物から匿名を条件に提供されたもの」としており、中国共産党内部にも、ウイグル族弾圧を疑問視する動きがある、と指摘している。

 

2019年11月18日

・日本のカトリック中央協議会が「聖職者による性虐待に関する調査」の経過報告-「教皇訪日に際しての発表は予定せず」

(2019.11.15 日本カトリック中央協議会)

 日本カトリック司教協議会は、聖職者による性虐待に対応するために、2003年に「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」(以降、デスク)を設置し、現在に至るまで、日本のカトリック教会全教区(各法人)にて、被害者の立場に立った対応を行える体制づくり等を推し進めております。

 昨今、日本のカトリック教会における聖職者による性虐待の事例について、調査の状況に関するお問合せがカトリック中央協議会に寄せられていますので、以下の通り現状についてご説明いたします。

■国内の調査状況について

 2002年に日本カトリック司教団として、2012年にデスクとして調査を行っております。しかし、それぞれの調査の目的が異なっていたことから、より正確な調査(現状把握)が必要であるとして、2019年6月から10月にかけて、日本カトリック司教団として、全教区ならびに全修道会、宣教会に対して再調査を実施し、現在、追加調査を行っているところです。

■調査結果の公表時期について

 教皇訪日に際して、公表の予定はあるかというお問合せが寄せられています。上記のとおり、現在調査を継続しているところですので、教皇訪日に際しての発表は予定しておりません。報告できる段階になり次第、カトリック中央協議会のウェブサイトで公表する予定です。

■司教協議会、各教区での本件への対応について

 冒頭で述べましたように、2003年に日本カトリック司教団は、この問題に対応するためにデスクを設置しました。原則的に、個々の案件は各教区、また修道会、宣教会の場合は各会が対応しています。

 デスクは、全教区に向けて、被害者の立場に立った対応ならびに被害の訴えがきちんと受け止められる体制づくり、二次被害の防止、教皇フランシスコが世界によびかけた「性虐待被害者のための祈りと償いの日」に行われる祈りのつどいと啓発活動、また加害司祭への対応等を司教団のもとで進めています。

 現在では、全ての教区に対応委員会が設置され、複数の教区にて、相談窓口などのホットラインが設置されています。日本カトリック司教協議会は、今後も様々な課題に対して、一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進していく所存です。

2019年11月15日 カトリック中央協議会

2019年11月17日

・教会の入り口に指紋と顔認証システムを設置・中国で信徒の行動監視をハイテク化(BW)

(2019.11.11 BitterWinter Cai Congxin)

 ハイテク機器が、湖北省や中国の他の場所にある三自教会の信者をさらに監視、規制するために使われ始めた。

 BitterWinterでは、先に、新彊ウイグル自治区の首都ウルムチで、政府の管理下にあるプロテスタントの三自教会に顔認識システムが設置されたことを伝えたが、今やこうしたハイテクの監視システムが中国全土の教会にも広がっている。

 湖北省の中央部、黄石市の2つのキリスト教協会の母体である牧羊教会に10月6日、2つの生体認証システム機器が設置さた。以来、信徒たちは、教会に入る前に顔と指紋をスキャンして本人確認を受けなければならなくなった。他の教会にも顔認識システムが設置され、集会に出席する信者をチェックしている。

 BitterWinterの取材に対して、ある信徒は、「2つの中国キリスト教協議会は、黄石市の三自教会が設置している集会場全てで、この装置によって信者が指紋の確認を受けるため、事前に個人情報と家族情報を提出することを要求した」と述べた。これによって、信徒たちを当局の常時監視の対象に置くだけでなく、その家族や親族も監視の対象となり、教会訪問が阻害される。

 その信徒は「親族の中に公務員やElderly believers are queuing to have their fingerprints taken at a church共産党員がいる。彼らは処罰されるか、活動に制限が加えられるだろう」と懸念を示した。職場での昇進にも影響を与える可能性がある。

 別の信徒によると、10月以降、黄石の複数の地方政府公認の教会が、信者の礼拝出席をチェックするため、指紋センサーと顔認証スキャナーを使い始めた。

 黄石市の2つの中国キリスト教協会の会長は信徒に対して、「指紋と顔のデータ収集は今年の教会の仕事の優先事項の1つである」と説明し、また「この措置は、国が認めた教会による集会を監視し、出席を記録するのに役立ち、生体認証データを入力していない信徒が教会に立ち入ることができないと、警告する意味がある」と語ったという。

 9月下旬、黄石のある教会共同体の集会場では、担当者が「日曜日の礼拝に出席するには、すべての会衆が指紋をスキャンしなければならない」とし、 「そうすることで、教会は誰が礼拝に出席し、誰が欠席するかを明確に知ることができる」と説明し、スキャナーを持ち込み、信者の指紋を収集した。

 信徒たちは、こうした行為が、政府当局による中国全土の三自教会の信徒に対する監視・統制を一段と強化するもの、と感じている。このようなハイテク監視は、中国共産党が宗教的な活動を規制、抑制する不可欠なツールとしていることの表れだ。

 家庭教会とは異なり、三自教会の信徒は宗教的な集まりを開くことを認められているようだが、当局は、既に、一部の礼拝堂の洗面所を含めて、随所に監視カメラが設置されており、今回の指紋、顔認証システムの導入で、信徒たちの行動の監視が去れに徹底されることになるとみられる。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2019年11月12日